1.はじめに
子どもが生まれるのを機に、新たに車を購入したり買い替えたりする家庭は多い。しかし、車を保有していても、カーディーラーに行ったことのある妊娠中の女性やママは多くないようだ。そこで妊娠中の女性たちやママたちのカーディーラーへの訪問事情について調査を行った。本調査では、妊娠中の女性と末子0歳以上の子を持つママを比較し、カーディーラーに行った理由、行かなかった理由、どのような工夫があれば訪問したいかなどを分析した。
2.調査概要
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:350名(末子妊娠中および0歳以上の子を持つ女性)
調査期間:2025年1月27日(月)〜 2025年2月4日(火)
3.結果・考察
-
車の所有率に対して、カーディーラーへの訪問率が低い
末子妊娠中の女性(63名)の68.25%、末子0歳以上の子を持つママ(287名)の77.70%が車を保有しているのに対し、カーディーラーへの訪問経験は、妊娠中の女性では39.68%、0歳以上の子を持つママでは54.00%と、車の保有率に対してカーディーラーへの訪問率は低いという結果になった(図1)。
図1 車の保有率とカーディーラーへの訪問経験
-
カーディーラーへの訪問理由
購入検討やメンテナンスなど明確な理由がある
カーディーラーへの訪問理由は、「新しい車の購入を検討するため」が約6割(妊娠中の女性60.00%、ママ55.48%)、「車のメンテナンスのため」が約4割(妊娠中の女性40.00%、ママ43.22%)、「車の買い替えを検討するため」と回答した割合は、妊娠中の女性は20.00%に対して、0歳以上の子を持つママは32.25%となり、12.25ptの差があった(図2)。
図2 カーディーラーへの訪問理由
-
カーディーラーへ行って良かったこと
妊娠中に購入する車をよく「検討」し、出産を機に購入を「決断」
カーディーラーへの訪問経験のある方に、カーディーラーへ行って良かったことを聞いた(図3)。「新しい車を購入できた」と回答した割合は、妊娠中の女性は28.00%、ママは40.64%と12.64ptの差があった。一方、「色々な車を見てまわれた」と回答した割合は、妊娠中の女性は20.00%、ママは10.96%と9.04ptの差があった。これらの結果から、妊娠中は購入したい車をじっくり検討し、出産を機に購入を決断していると推察される。
図3 カーディーラーへ行って良かったこと
-
カーディーラーへ行ったことがない理由
妊娠中は「営業を受けそうだから」、ママは「カーディーラーがどんなところか知らないから」
カーディーラーへの訪問経験がない方に、カーディーラーへ行ったことがない理由をたずねたところ、3割は「カーディーラーに行く目的がないから(妊娠中の女性31.57%、ママ37.12%)」、次いで「車を買う予定がないから(妊娠中の女性23.68%、ママ20.45%)」と続いている(図4)。
妊娠中の女性とママとを比較してみると、「営業を受けそうだから」と回答した割合は、妊娠中の女性は15.78%、ママは7.57%で8.21ptの差があり、「どんなところか知らないから」と回答した割合は、妊娠中の女性は10.52%、ママは15.90%で5.38ptの差があった。車を保有しているにも関わらず、「カーディラーがどんなところか知らないから」と回答した妊娠中の女性やママは、カーディーラーについてよく知らない可能性があるため、よく知らせる必要がある。
図4 カーディーラーに行ったことがない理由
-
カーディーラーへの同行者
カーディーラーへ子どもと一緒に行ったことのあるママは3割
妊娠中の女性、ママともに、カーディーラには「夫」と訪問する割合が最も多く、次いで妊娠中の女性は「自分の親(40.00%)」と、ママは「子ども(31.61%)」と訪問する割合が多いことが分かった(図5)。ママの3割ほどしか「子どもと一緒」に行っていないことから、カーディーラーへ行った経験は出産前であるか、何かしらの理由で子どもと一緒には行きづらいと感じている可能性がある。
図5 カーディーラーへの同行者
-
カーディーラーにどのような工夫があれば行ってみたいか
妊娠中の女性とママの3割が「気軽に立ち寄れるような雰囲気」があれば行ってみたいと回答
妊娠中の女性とママに、カーディーラーにどのような工夫があれば行ってみたいか尋ねたところ、「プレゼントがもらえる(妊娠中の女性46.03%、ママ59.93%)」が最も多かった(図6)。また、「子ども向けイベントがある(妊娠中の女性25.39%、ママ42.16%)」、「授乳室内の設備が整っている(妊娠中の女性20.63%、ママ38.32%)」など全体的に妊娠中の女性よりもママの方が、何らかの工夫によって「行ってみたい」と回答する割合が多いことがわかった。
プレゼントやイベントといった特別感のある工夫はもちろんだが、授乳室やキッズスぺ―スの整備といったハード面での工夫や「妊婦さん歓迎」をアピールするなど、気軽に立ち寄れる雰囲気の創出が求められているのではないだろうか。
図6 カーディーラーにどのような工夫があれば行ってみたいか
4.おわりに
本調査では、妊娠中の女性や0歳以上の子を持つママのカーディーラーへの訪問事情についてお伝えした。車の「所有率」に対してカーディーラーへの「訪問率」は低いことが分かった。
カーディーラーへの訪問理由は、車の購入検討や車のメンテナンスであるが、妊娠中に購入する車を「よく検討」し、出産を機に購入を「決断」する家庭が多いと考えられる。
一方、カーディーラーへの訪問経験がない理由は、妊娠中の女性では「営業を受けそうだから」、ママでは「カーディーラーがどんなところか知らないから」などであった。また、カーディーラーへの訪問経験があるママのうち、子どもと一緒に行ったことがあるのは3割ほどである。
これらの結果を受けて、より多くの妊娠中の女性やママにカーディーラーを訪れてもらうためには、カーディーラー自体をよく知らない人にはよく知ってもらうことが重要である。カーディーラーを知ってはいるけれど敬遠している人には、気軽に来てもらえるような機会を増やす、工夫するなど、カーディーラーを身近に感じ、敷居が低く感じられるような施策が必要ではないだろうか。
(子育てマーケティング研究所 水島)
【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。
出典:「【妊娠層と子育て層の比較】カーディーラーへの訪問実態調査(株式会社コズレ)」
(https://cozre.co.jp/blog/14014)
(子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)