調査レポート

子育て世帯向け共済保険市場を徹底分析!最新動向とデジタル戦略

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1. はじめに

少子高齢化が進む日本において、子育て世帯向けの共済保険市場は、依然として注目すべき市場である。共済は相互扶助の精神に基づき、組合員が協力して生活を保障する仕組みであり、特に子育て世帯にとっては、経済的な負担を軽減しながら将来への備えができる手段として重要な役割を果たしている。

本記事は2024年9~10月に実施した『子育て世帯における「共済」加入検討 市場調査2024』を元に、最新の市場規模、主要プレイヤー、子育て世帯のニーズ、今後のトレンドなどを詳細に分析し、具体的なデジタルマーケティングの手法と事例を提案していくものである。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「5.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

2. 調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:長子が生後半年以上のコズレ会員
調査期間:2024年9月29日(日)~2024年10月28日(月)
有効回答者数:親517名 子501名

3.考察

共済保険市場の現状と子育て世帯の加入状況

(1)市場規模と主要プレイヤー

日本の共済保険市場は、その規模の大きさにおいて無視できない存在である。2023年度の受入共済掛金は6兆1,659億円に達しており、これは同期間の損害保険会社の保険料収入9兆9,178億円と比較しても、その規模の大きさが際立っている 。

検討と加入における共済の選択状況(親)

検討した共済と加入した共済の比較グラフ(親)

(2) 子育て世帯の共済保険加入状況

子育て世帯に特化した共済保険市場の正確な市場規模を示すデータは、現時点では見当たらない。しかしコズレの調査によると、親の約26%が何らかの共済保険に加入しており、出産がきっかけとなった共済加入や見直しは約59%、さらに子の共済保険加入率は約21%だった。このことから子育て世帯において、共済保険が一定の普及を見せていることがわかる。

特に、親の共済加入者の約59%が出産をきっかけに加入・見直しを行っているというデータは、子育てが共済保険加入の重要な契機となっていることを示している。

一方、同じ調査では親の約50%、子の約37%が民間生命保険のみに加入していることが読み取れる。この比較から、子育て世帯では依然として民間生命保険の加入率が高いものの、共済保険も無視できない選択肢として認識されていると言えるだろう。

親の加入状況と出産きっかけの共済加入・見直し

子の共済加入状況

(3) 子育て世帯に人気の共済の種類

子育て世帯に人気の共済の種類は、親と子で異なる傾向が見られる。親に最も人気があるのは医療保障であり、次いで死亡保障となっている 。一方、子どもの場合は、医療保障が圧倒的に人気が高く、共済加入者の約96%が医療保障に加入し、死亡保障については約24%となっている。また、多くの家庭で複数の共済契約を結んでいる傾向も見られ、クロスセルの需要が高いことが示唆されている。

子が契約した共済の種類

(4)主要な共済団体の子ども向けプラン比較

主要な共済団体の具体的な子育て世帯に向けたプランについて注目してみると、各団体がそれぞれの特徴を生かし、子育て世帯にとって魅力的な内容を打ち出している。

特徴 コープ共済(ジュニアコース) 都道府県民共済(こども型) JA共済(子ども共済学資応援隊) 全労済(こども保障タイプ)
加入対象年齢 0~19歳 0~17歳 0~12歳 0~17歳
主な保障内容 医療、傷害 医療、傷害、賠償責任、親の死亡 学資金、死亡 医療、傷害、親の死亡、育児サポート
月額掛金例 1,000円~ 1,000円または2,000円 プランによる 1,200円
入院保障 あり(初日から) あり(初日から) 含む あり(1万円/日)
通院保障(傷害) あり(初日から) あり(初日から) 含む あり(初日から)
学資積立オプション なし なし あり あり(満期金付タイプ)
主な特徴 妊娠中加入可 手頃な掛金、割戻金 高い貯蓄性 包括的な保障、育児無料相談
  • コープ共済:医療・傷害保障に加え、妊娠中の加入も可能
  • 都道府県民共済:手頃な掛金で医療、傷害、賠償責任、親の死亡保障までカバー
  • JA共済:学資金準備に特化したプランがあり、貯蓄性を重視
  • 全労済:医療、傷害に加えて無料育児相談サービスも提供

医療保障の充実はもちろん、学資積み立てのオプションなど、成長に従って必要となる経済的な面をサポートする内容も目立つ。また全労済のように子育てや進路など幅広い分野にわたる無料相談など、特長的なオプションを設けている点も注目される。

(5) 子育て世帯が共済保険を選ぶ動機と重視するポイント

子育て世帯が共済保険を選択する主な動機として、コズレ調査では、民間保険と比較して「保険料が安いこと」が最も重視されている点が挙げられる。次いで、「保障内容が分かりやすい」「保障内容が充実している」ことも重要な要素とされている。子どもの共済保険についても「掛金の安さ」が最も重要な選択基準であり、次いで「保障内容の充実度と分かりやすさ」が重視されている。

またJA共済のウェブサイトでは、子ども向けの保険(共済を含む)を検討する理由として、教育資金の準備、病気や怪我への備え、親に万が一のことがあった場合の保障、そして子どもの自立支援などが挙げられている。

このような点から、子育て世帯が共済保険に求めるのは経済的な負担を抑えつつ、将来の健康リスクや教育資金、そして万が一の事態に備えるための安心感であると推測できる。特に、家計への負担が大きくなりがちな子育て期間において、手頃な保険料は非常に魅力的な要素と言えるだろう。

加えて保障内容の分かりやすさも、親と子の両方にとって重要な選択基準となっている。先ほど述べた経済的なメリットに加えて、保障の範囲や内容が十分に理解でき、安心できる水準であることが共済に求められているのではないだろうか。

親の選択基準

子の選択基準

 

(6) 子育て世帯が共済保険を選ぶ際の情報収集の手段

情報収集の手段としては、親子共に共済組合からのパンフレットや資料が最も多く、続いてウェブサイト、そして親戚・知人からの口コミが上位に挙げられている 。子育て世帯は共済団体自身が提供する情報チャネルの重要性が高く、信頼できる情報源からの情報を重視する傾向があると言える。

親の共済保険選択時の情報収集手段

(7) 社会保障制度と子育て支援における共済の役割

現在、日本の社会保障制度には子育て世帯への経済的支援や保育サービスの不足などの課題が指摘されている 。政府は児童手当の拡充や出産・子育て応援交付金、保育サービスの拡充など、子育て支援策を強化しているが、共済保険はこれらの公的支援を補完する役割の一旦を担っていると言える 。

例えば、日本には子どもの医療費負担を軽減する小児医療費助成制度がある。内容は自治体によって違いがあるが、共済保険の中には入院時の食事代や差額ベッド代など、この公的支援の対象外となる費用をカバーすることが可能なものがある。また全労済の「こども保障タイプ」のように育児相談サービスを提供することで、経済的な支援だけでなく、子育てに関する悩みをサポートする共済も登場している。

さらに教育費の高騰が続く日本において、学資共済は子どもの教育資金を準備する上で重要な手段となっていることも見逃せない 。進学など子育て期のさまざまな課題に対して共済保険が経済的な安心を提供することで、間接的に子育てを支援する役割も果たしていると言えるだろう。

(8) 共済保険市場の今後のトレンドと成長の可能性

現在の少子化の進行は、長期的な視点で見ると潜在的な顧客層の減少につながる可能性もある。しかし共済団体は高齢者向けのニーズにも対応するなど、事業の多角化も図っており、多数存在する子育て世帯からの安定した需要が、市場成長の主要な推進力となると考えられる。

またコズレ調査が示すように子育て世帯の共済保険への関心は高く、結婚や出産といったライフイベントを機に保険加入を検討する傾向も強い。出産を経験した親の多くが共済保険に加入・見直しを行っている現状を踏まえると、子育て世帯向け共済保険市場の今後の成長は、安定した需要と政府の子育て支援策によって支えられると予想される。

4.コズレのデータを活用したデジタルマーケティング戦略の提案

以上の分析とコズレが保有するデータを活用した、デジタルマーケティング戦略の提案は以下の通りである。

(1) ターゲット層の明確化とセグメンテーション

コズレの調査データによると、子育て世帯における共済保険の検討開始時期は、親の場合も子の場合も「生後0~1ヶ月」が最も多い 。また、親の共済加入者の約59%が出産をきっかけに加入・見直しを行っている 。これらのデータから、妊娠後期から生後半年までの家庭をターゲット層として設定し、さらに以下の属性でセグメントすることで、より効果的なアプローチが可能となる。

    • 妊娠中の夫婦
    • 乳幼児のいる家庭(0~6ヶ月)
    • 子どもの年齢層別(1歳未満、1~3歳、4~6歳など)
    • 世帯年収

(2)主要なデジタルマーケティング手法

コンテンツマーケティング

コズレが保有するデータに基づき、子育て世帯が共済保険に求める情報(保険料の安さ、保障内容の充実度・分かりやすさ)を軸としたコンテンツを制作する。

例:

    • 「子育て世帯のための共済保険選びガイド:保障内容と保険料の比較」
    • 「共済保険の賢い活用術:教育費、医療費、万が一への備え」

 

SNSマーケティング

ターゲット層の利用率が高いSNSプラットフォーム(Instagram、Twitter、Facebookなど)で、共済のメリットや加入者の声を発信する。

例:

    • インフルエンサーマーケティング:子育て層に影響力のあるインフルエンサーに共済の体験談や魅力を語ってもらう。
    • ユーザー参加型キャンペーン:子育ての悩みや共済に期待することなどをテーマに、ユーザーが投稿しやすい企画を実施する。

 

Web広告

ターゲット層を絞り込み、共済の認知度向上と資料請求、加入促進を目的としたWeb広告を展開する。

例:

    • リスティング広告:子育て関連のキーワード(「出産 準備 保険」「子どもの医療費 共済」など)で検索するユーザーに共済の広告を表示する。
    • ディスプレイ広告:妊娠・育児関連サイトやアプリに共済のバナー広告を掲載する。

 

メールマーケティング

妊娠後期~生後半年までの家庭に絞り込み、共済のメリットやキャンペーン情報などを提供する。

例:

    • ステップメール:妊娠中の方向け、出産直後の方向けなど、時期に合わせた情報提供を行う。
    • One to Oneメール:ユーザーの属性や行動履歴に基づき、個別に最適化された情報を提供する。

5.調査項目

●共済というサービスの認知

●共済のイメージ

●加入状況(親・子)

●出産きっかけの共済加入・見直し(親)

●検討開始時期の子の年齢(親・子)

●契約時期の子の年齢(親・子)

●検討した共済(親・子)

●加入した共済(親・子)

●契約した共済の種類(親・子)

●契約した共済の過去の契約経験(親)

●選択基準(親・子)

●最も重視した選択基準(親・子)

●参考にした情報(親・子)

●最も重視した情報(親・子)

●民間保険契約の理由(親・子)

●出産きっかけの見直し無しの理由(親)

●保険・共済未契約の理由(子)

※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

6. おわりに

コズレでは、前述でご紹介した事例以外にも子どもの年齢をセグメントしたプロモーションはもちろん、商材の特徴とママたちの購買特性を踏まえたきめ細かいプロモーションのご提案が可能です。

「おすすめのプロモーション」でご提案した

・家族構成

・妊娠週数

・子どもの月齢

・世帯年収

などの属性でターゲティングして絞り込んだプロモーションに対応が可能です。
なお、上記はあくまで一例ですのでご希望の属性がある場合にはご相談ください。

プロモーションをご検討の際はぜひお問合せください。

株式会社コズレでは、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。

本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。(株式会社コズレ 早川)

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。

出典:『子育て世帯向け共済保険市場を徹底分析!最新動向とデジタル戦略(株式会社コズレ)』https://cozre.co.jp/blog/14305(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/

※コズレでは子育て世代の調査・子育て世代向けマーケティングのコンサルティングを承っております。詳細は下記よりお問合せください。

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この記事の著者

株式会社コズレ 取締役 早川修平の写真

著者: 早川 修平(株式会社コズレ 取締役/MBA)

NTT東日本にて法人営業、マーケティング、経営企画を経験後、慶應義塾大学大学院(在学中、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院へ留学)にてMBAを取得。戦略コンサルティングファーム「ローランド・ベルガー」にて自動車・金融業界など幅広いクライアント向けにマーケティング戦略立案、ビジネスプロセス改善の支援に従事。
その後、子育て世代向けWebメディア「コズレ」を創業期から運営責任者として牽引し、会員数100万人超のプラットフォームへと成長させる。累計500件以上の子育て世帯を対象とした市場調査を主導し、育児用品メーカーや子育て関連サービス企業向けに、定量・定性データに基づくマーケティング戦略やプロモーション施策を多数提案・実行している。また、子育て世代の購買行動やニーズを踏まえたマーケティング手法に関するセミナーや講演会の講師も務める。

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