1. はじめに
自動車市場では、新車の供給不足や高額化が進んでいる。そこに、サステナビリティへの関心や、オンライン販売プラットフォームの拡大による買い手の利便性向上もあり、中古車が注目されている。子育て世帯にとって、自動車は単なる移動手段のみならず、子どもの送迎や家族での外出を支える生活必需品としても機能している。本レポートでは、2025年10月に実施した「子育て世帯における中古車ディーラー市場調査 2025」の結果を基に、妊娠以降の自動車購入の有無から中古車に関する検討、さらに中古車販売店の知名度や自動車販売店に求めること等について分析を行った。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:妊娠中及び生後0歳以上の子を持つコズレ会員
調査期間:2025年10月21日(火)〜2025年10月31日(金)
有効回答数:471名
3. 結果・考察
最重要ターゲットは「妊娠期」の潜在顧客である

調査データは、子育て世帯の自動車購入における最重要タイミングを明確に示している。約45%の家庭が、妊娠以降に自動車の検討または購入を行っていることが明らかになった。特に、検討開始時期は「妊娠初期」から本格化し、実際の購入時期は「妊娠後期」が最多である。
この事実は、出産準備の一環として、新生児を安全かつ快適に移動させる手段の確保が、多くの家庭にとって喫緊の課題となることを示唆している。検診や退院、その後の外出など、子どもが生まれることで急増する移動ニーズを見越し、妊娠期間中に購入計画を具体化させるという消費行動が、この市場攻略の出発点となるであろう。
「低予算と高機能性の両立」という要求に応える

自動車購入検討者のうち、約70%が中古車を視野に入れている。そして、実際に購入したのは自動車購入検討者のうち、約33%であった。
子育て世帯が検討した自動車の金額帯は、「200万円未満」が約35%と最も多い。中古車購入の理由としても、「車両価格の手頃さ」が約8割と圧倒的多数を占めている。一方で、「状態や走行距離の良さ」(約3割)に続き、「維持費の手頃さ」や、特に「スライドドアの有無」が2割を超えるなど、車両価格以外の実用性も極めて重視されている。実際に購入された車種が「軽自動車」を筆頭に、「ミニバン・SUV」が続くことも、この傾向を裏付けている。

ここに、子育て世帯特有の購買心理が浮き彫りになる。彼らは、教育費や住宅ローンなど将来の出費を見据え、車両購入予算を厳しく管理したいという強い制約を抱えている。しかし同時に、子どもの安全や日々の利便性(スライドドアなど)は妥協できない必須条件と捉えている。この「低予算と高機能性の両立」という一見矛盾した要求こそ、品質と価格のバランスに優れた中古車市場が最も効果的に応えられる需要であり、最大のビジネスチャンスが存在する領域である。
「価格・在庫・安全性」の3つの不安をいかに解消するか

前述の通り、自動車購入検討者のうち、約70%が中古車を視野に入れているにもかかわらず、実際に購入したのは自動車購入検討者のうちの約33%であった。この大きなギャップを生む要因こそ、中古車市場が乗り越えるべき最大の障壁である。購入に至らなかった理由として、「新車との価格差が小さかった」(28%)、「希望条件に合う在庫がなかった」(約25%)、そして「安全面の不安」(約13%)が挙げられた。

さらに、そもそも中古車を検討しなかった層の6割以上が「新車の安心感・保証面を重視」している事実は、根深い不信感の存在を示している。
これらの結果は、中古車市場が対峙すべき3つの不安、すなわち「価格・在庫・安全性」を明確にしている。価格メリットを感じられない、あるいは希望の車種が見つからないという機会損失に加え、特に子どもを乗せることを前提とするが故の、品質や安全性、購入後の保証に対する漠然とした不安が、最終的な購入の意思決定を阻む強力な障壁となっていると考えられる。
知名度を凌駕する「品質・価格」と「信頼性」


中古車販売店のブランド認知度調査では、「ガリバー」が約8割と圧倒的な知名度を誇る。しかし、実際にガリバーを検討した層は約3割弱にとどまり、認知度と実際の検討行動には大きな乖離が存在する。
また、購入者の8割以上が選択肢に挙げた大手中古車販売店以外で購入しているという点が特徴的である。

では、何が最終的な購入の決め手となるのか。販売店の選択基準として、「車の品質・状態」と「車両価格の安さ・コスパ」が半数近くを占めている。このことから、高い知名度は顧客が検討を始める“きっかけ”にはなり得るものの、最終的な購入決定は、個別の車両の品質や価格といった具体的な提供価値と、販売店そのものに対する「信頼性」によってなされる傾向が極めて強いことがわかる。
「子育てへの配慮」が74%の選択に影響する


本調査において、74%もの回答者が「子育て世帯にやさしい」というイメージが販売店の選択に影響すると答えている。また、販売店にあると嬉しいサービスとして、「キッズスペース」や「おむつ替え台」が半数以上の支持を集めた。
子ども連れでの来店は、親にとって大きな身体的・精神的負担を伴う。そうした状況を軽減する設備や配慮は、単なる利便性の提供にとどまらない。それは、販売店が顧客の状況を深く理解し、寄り添う姿勢を示すことであり、前述した「信頼性」を醸成する上で決定的な役割を果たす。物理的な設備だけでなく、ブランド全体で「子育て世帯を歓迎している」というメッセージを発信することが、他社との強力な差別化要因となり、最終的な選択を左右する成功の鍵となる。
4. 調査項目
- 妊娠以降の自動車購入の検討、購入の有無
- 妊娠以降の車購入の時期
- 妊娠以降の車購入検討開始の時期
- 妊娠以降の車の購入検討金額
- 中古車検討の有無
- 購入した中古車の車種
- 中古車の検討または購入した理由
- 中古車を購入しなかった理由
- 中古車を検討しなかった理由
- 中古車販売店の知名度
- 妊娠以降利用または購入を検討したことのある中古車販売店
- 妊娠以降購入したことのある中古車販売店
- 中古車販売店の選択基準
- 車選びの情報収集チャネル
- 中古車に対するイメージ
- 車販売店に求める設備・サービス
- 車販売店に求める購入後のフォローアップ
- 「子育て世帯に優しい」イメージの影響
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
本レポートから、子育て世帯の中古車購入には、「妊娠期という適切なタイミングでの接点創出」と、「価格・在庫・安全性という三大不安の解消」、そして 「販売店に対する信頼感の醸成」という三つの要素を組み合わせた戦略が不可欠であることが明らかになった。
子育て世帯が中古車購入に踏み切れない最大の理由は、 価格メリットへの疑念や希望在庫の不足、そして安全性への不安など、 複数の要因が複合的に作用している点にある。
そのため、販売店側は単一の訴求ではなく、「価格の納得感」「在庫の充実」「品質・保証の透明性」 をセットで提示することが求められる。
さらに、こうした機能的価値を支えるのが、来店前から構築される 「子育て世帯にやさしい」という信頼感である。 実際に、74%が販売店の「子育て配慮」を重視しており、これは他要因の判断にも影響するブランド基盤となる。
なお、コズレでは、これらの課題に対し戦略的なアプローチの実現が可能である。
まず、購入検討が本格化する妊娠中の会員に、顧客リスト不要で直接アプローチできるコズレDMは、「妊娠期という適切なタイミングでの接点創出」に適したソリューションである。「子どもの月齢×住所」でセグメント可能なため、無駄のない効率的なリーチが実現する。実際に自動車ディーラーが妊娠期〜2歳未満の子を持つ層に絞ってアプローチし、250組以上の来店を達成した成功事例もある。さらに、cozreマガジンのプレミアムレコメンドメールは「妊娠月齢」単位でのターゲティングが可能であり、検討初期の潜在顧客に的確に情報を届けることができる。
次に、「価格・在庫・安全性という三大不安の解消」、そして 「販売店に対する信頼感の醸成」に対しては、第三者の客観的な声が最も効果的である。cozreマガジンのタイアップ記事、特にユーザーのリアルな声を反映できる座談会オプションは、この課題に対する理想的な処方箋となる。実際の母親たちが、認定中古車の品質や保証について語る体験談は、抽象的な不安を「同じ立場の母親からの信頼できる情報」へと転換させ、信頼の醸成に直結する。
最後に「子育てにやさしい」ブランドイメージの構築には、子育て世帯に週末のミニバン試乗体験などを提供し、そのリアルな感想をSNSなどで発信してもらうといった施策が考えられる。これにより、強力なユーザー生成コンテンツが生まれ、「あの販売店は子育て家族に理解がある」というポジティブな口コミが自然発生的に広がり、来店への動機付けとなるであろう。この施策への参加者をcozreマガジンのプレゼントキャンペーンで募ることをご提案したい。
株式会社コズレでは、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川、水島)
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【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。
出典:『子育て世帯における「中古車ディーラー」市場調査 2025 ~検討タイミングから販売店選びまで~(株式会社コズレ)https://cozre.co.jp/blog/16630』
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)
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