調査レポート

「絵本サブスク」市場調査2025

  • LINEで送る

1. はじめに

子育て世帯において、絵本は子どもの成長や発達を支える身近な教育コンテンツである。一方で、子どもの年齢や発達段階に応じた絵本選びの難しさや、蔵書の増加による保管スペースの制約など、家庭ごとにさまざまな課題も存在している。こうした背景のもと、近年では専門家による選書や定期配送といった特徴を持つ「絵本サブスクリプションサービス(以下、絵本サブスク)」が登場し、選択肢の一つとして注目されつつある。しかし、絵本サブスクは新しいサービス形態であることから、子育て世帯への認知や理解は十分とは言えず、実際の利用状況や検討実態については明らかになっていない部分も多い。そこで本調査では、コズレ会員を対象に、絵本サブスクの認知度や利用状況などを詳しく分析し、利用者・未利用者それぞれの意識や関心のある情報を明らかにした。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

2. 調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:妊娠中及び生後0歳以上の子を持つコズレ会員
調査期間:2025年11月18日(火)〜2025年11月26日(水)
有効回答数:444名

3. 結果・考察

絵本サブスクの認知率は約57%、「よく知っている」のは約11%

 

子育て世帯における絵本サブスクの認知度について、「よく知っている」と「聞いたことはあるがよく知らない」を合わせ、全体の約57%が絵本サブスクを認知していることがわかった。しかし、「よく知っている」と回答した割合は約11%にとどまっており、サービスの詳細まで理解しているのはかなり少数であった。さらに、「聞いたことがない(今回初めて知った)」と回答した割合も約43%に及んだ。

これらの結果から、絵本サブスクの普及において、「認知しているが詳細を知らない層への情報提供」と「認知していない層への認知拡大」の2つの側面が主な課題である。

絵本サブスクサービスの認知度では「知っているものはない」が約72%

個別の絵本サブスクサービスの認知度について、「知っているものはない」が約72%と最多であった。これは、絵本サブスクというサービス形態自体の認知度は約57%であるものの、具体的なサービス名まで把握している人はその半分にも満たないことを示している。つまり、絵本サブスクの存在は漠然と認知されているものの、そこから個別のサービスを調べたり、比較検討したりする段階には至っていない人が多いと考えられる。認知されているサービスでは、「絵本のサブスク」が約10%と最多であり、次いで「こぐまえほんクラブ」「福音館の月刊絵本」が上位を占めた。

「利用したことがある」のは約4%にとどまる

絵本サブスクの利用経験について、「現在利用している」が約2%、「過去に利用したことがあるが、現在は利用していない」が約2%となり、利用経験者は全体の約4%にとどまった。認知度(約57%)に対し利用率(約4%)が大きく乖離していることが示された。また、「検討・利用したことはない」は約86%であり、このうち約43%は「絵本サブスクを認知しているが、検討・利用したことがない」層であることがわかった。これらの結果から、絵本サブスクの存在は知っているものの利用に踏み出していない層がボリュームゾーンになると考えられる。

検討開始・購入時期は「0歳」が約5割を占める

絵本サブスクの利用経験者(n=16)うち、購入を検討し始めた時期・実際に購入した時期ともに「生後0ヶ月〜8ヶ月」が5割を占めている。次いで「妊娠中期」「妊娠後期」が上位となっており、子育てが始まる前から親が子どもの教育環境を整える準備を始めていると考えられる。また、「2〜5歳」で購入を検討し始める・実際に購入する割合も一定数存在している。この時期は家庭内の蔵書が増加しやすく、収納スペースの制約など異なるニーズから絵本サブスクを検討・購入している可能性がある。

利用理由は「子どもの成長や発達段階に合った絵本が届くから」が最多

絵本サブスクの利用理由として、「子どもの成長や発達段階に合った絵本が届くから」が約44%で最多となった。次いで、「自分では選ばないような多様な絵本を読んでほしいから」「人気・話題の絵本を気軽に試せるから」が上位を占めた。一方、「絵本を選ぶ手間を省きたいから」「絵本を買いに行く手間を省きたいから」「コストパフォーマンスが良いから」といった、親の負担軽減に関する項目は下位となった。

これらの結果から、絵本サブスクは利便性の高いサービスとしてではなく、教育・選書の信頼性が高いサービスとして評価されていることが明らかになった。親自身の負担軽減よりも、「子供にとって適切かどうか」を重視する姿勢が強く、専門家による選書が最大の提供価値となっている。この点を前面に出した訴求は、未利用層の心理的ハードルを下げる可能性が高い。

最初に利用したサービスは「WorldLibrary Personal」「福音館の月刊絵本」が最多

最初に利用したサービスでは、「WorldLibrary Personal」と「福音館の月刊絵本」が約19%で最多となった。一方、「その他」も約19%を占め、利用するサービスには分散傾向が見られた。また、最初に利用したサービスの月額料金では、「500〜1000円未満」が約38%と最多であり、「1500円未満」が合計で約8割を占めた。一方、3000円以上といった高価格帯も一定数存在することがわかった。

初期利用では比較的低価格帯のサービスが選ばれやすい傾向があるものの、高価格帯も一定数存在することから、価格そのものよりも「内容に対する納得感」が重要であると考えられる。

絵本サブスクの利用は「高頻度&短時間」

絵本の利用頻度では「毎日」が約38%と最多であり、「1週間に複数回以上」が約69%を占めた。1日当たりの平均利用時間では「0〜15分未満」が約56%と最多であり、「0〜30分未満」が約81%を占めた。これより、絵本サブスク利用者は、「高頻度」かつ「短時間」で絵本を利用していることがわかった。

購入時の重視項目は「子どもの年齢・発達段階への適合度」「絵本の質」

購入時に重視した項目では、「子どもの年齢・発達段階への適合度」が約44%と最多であり、次いで「絵本の質」「絵本のジャンルやテーマのバランス」「月額料金の手頃さ」などが上位を占めた。上位8項目において、利用経験者の1割以上が重視したと回答しており、分散傾向が見られる。

一方、購入時に最も重視した項目では、「子どもの年齢・発達段階への適合度」が約31%と最多であり、次いで「絵本の質」が約19%であった。その他の項目については1割に満たず、上記2項目に集中していることが示された。特に、「料金の手頃さ」「配送料・追加料金の有無」といった費用に関する項目よりも、絵本の内容や質が重視されていることは注目すべき点である。

利用者のうち25%がサービス変更経験あり、理由は「絵本の内容や質に満足できなくなったから」

最初に利用していた絵本サブスクからサービスを変更したことがある割合は25%であった。変更理由では、「絵本の内容や質に満足できなかったから」が50%、「子供の年齢・発達に合わなくなったから」「毎回似たような絵本が多かったから」がともに25%と、絵本の内容に不満を感じて変更していることがわかった。一方、「月額料金が高いから」や「手続きが面倒だったから」といったサービス形態に関する項目は挙げられなかった。

これらの結果から、絵本サブスクの価格や手続きではなく、絵本の中身そのものが継続・解約を左右している点は重要な示唆である。選書の一貫性・多様性・成長適合性をどのように維持・進化させるかがLTVを高めることができるのか、の分かれ目となると考えられる。

未利用の理由は「自分で絵本を選びたいから」「絵本サブスクを知らなかったから」

絵本サブスクを利用したことがない理由では、「自分で絵本を選びたいから」が約27%で最多となった。次いで、「絵本サブスクを知らなかったから」が約23%と、サービスの存在自体が十分に認知されていないことが、未利用の主な要因の一つとなっていることがわかった。

他にも、「月額料金が高いと感じるから」といったコストパフォーマンスに対する懸念や、「必要なときに買いたいから」「家にすでに絵本がたくさんあるから」といった、そもそも絵本サブスクへのニーズの低さを表す項目も上位に挙げられた。

これらの結果から、未利用の背景にはサービスへの否定的評価というよりも、絵本サブスクの価値や必要性を実感できていない状況があると考えられる。

未利用者のうち約5割が興味あり、「月額料金や利用プラン」に関心

絵本サブスクを利用したことがない人のうち、絵本サブスクに「とても興味がある」が約8%、「少し興味がある」が約41%と、約5割が絵本サブスクに対して何らかの関心を持っていることが明らかになった。

絵本サブスクについて知りたいことでは、「月額料金や利用プラン」が約51%と最多であり、次いで「配送・返却などの仕組み」「契約・解約の手続き」といったサービスの利用方法や条件に関する項目が上位を占めた。

4. 調査項目

  • 絵本サブスクの認知度
  • 個別サービスの認知度
  • 利用経験の有無
  • 検討開始・購入時期
  • 利用理由
  • 最初に利用したサービス
  • 最初に利用したサービスの月額料金
  • 利用頻度
  • 1日当たりの平均利用時間
  • 継続期間
  • サービスの変更有無
  • サービスの変更理由
  • 未利用の理由
  • 未利用者の絵本サブスク興味の有無
  • 未利用者が絵本サブスクについて知りたいこと

※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

5. おわりに

コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。

本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。

(コズレ子育てマーケティング研究所 村尾、早川)

 

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。

出典:「絵本サブスク市場調査2025(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/16922

(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/

(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/

 

この記事の著者

株式会社コズレ 取締役 早川修平の写真

著者: 早川 修平(株式会社コズレ 取締役/MBA)

NTT東日本にて法人営業、マーケティング、経営企画を経験後、慶應義塾大学大学院(在学中、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院へ留学)にてMBAを取得。戦略コンサルティングファーム「ローランド・ベルガー」にて自動車・金融業界など幅広いクライアント向けにマーケティング戦略立案、ビジネスプロセス改善の支援に従事。

その後、子育て世代向けWebメディア「コズレ」を創業期から運営責任者として牽引し、会員数100万人超のプラットフォームへと成長させる。累計500件以上の子育て世帯を対象とした市場調査を主導し、育児用品メーカーや子育て関連サービス企業向けに、定量・定性データに基づくマーケティング戦略やプロモーション施策を多数提案・実行している。また、子育て世代の購買行動やニーズを踏まえたマーケティング手法に関するセミナーや講演会の講師も務める。

  • LINEで送る

子育てビッグデータ×マーケティング
の知見をご提供します

コズレ子育てマーケティング研究所は、120万人以上のママパパによる独自調査パネルと、570万件を超える回答データ・10年以上の運営で培ったビッグデータを活用し、子育て世帯をターゲットとする企業のマーケティング活動を支援しています。

子育て世帯Web調査サービスは、独自パネルを持つからこそ業界最安値水準です。
また、子育て世帯向けマーケティングのヒントが詰まった各種資料やセミナーアーカイブを無料で提供中です。
必要とされるデータが掲載されている資料をお探しの際は、AIチャットボット「調査データコンシェルジュ」にご相談ください。

子育て世帯Web調査サービスの詳細はこちら


子育て世帯調査資料の無料ダウンロードはこちら


セミナーアーカイブ配信はこちら


AIチャットボット「調査データコンシェルジュ」はこちら



マーケティング活動の支援にご関心がある方は、以下リンクからお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら