1. はじめに
乳幼児は自ら鼻をかむことが困難であり、鼻づまりは睡眠不足や不機嫌、さらには中耳炎や副鼻腔炎といった病状の重症化を招く直接的な要因となる。この実態の認知が浸透し、現代の育児において鼻吸い器は「贅沢品」ではなく「必需品」として認識されつつある。
本レポートでは、2026年3月~4月に実施した『子育て世帯の「鼻吸い器」市場調査~使用率・購入理由・満足点と不満点・選択基準~』の結果をもとに、購入時期や購入理由、購入時のあるべき選択基準などを分析し、子育て世帯における鼻吸い器の使用実態を整理した。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:生後0歳以上の子を持つ親
調査期間:2026年3月13日(金)〜2026年4月8日(水)
有効回答者数:364名
3. 結果・考察

市場概況:鼻吸い器は“必需品”として定着

「必要だと思う」と回答した割合は86.31%に達している。一方で、「必要ではない」と明確に否定する層は2.07%にとどまっており、鼻吸い器が多くの家庭において“ある前提で検討される商品”となっていることが分かる。
この結果は、鼻吸い器が単なる補助的な育児用品ではなく、必要性が高く認知されているカテゴリであることを示している。
使用実態:普及率は6割強、パパの関与も拡大

鼻吸い器の利用実態を分析すると、使用率は約66%となっている。主要な使用者はママが約97%と圧倒的であるが、パパの使用率も約41%である。イクメンという言葉は一般化されつつあるが、鼻吸い器の使用という点で見ても夫婦で育児にあたる家庭が増えつつあることを実感させる。
「夫婦で共有するデバイス」であることから、母親視点のケア性能だけでなく、父親にとっても直感的に理解しやすい操作性や、心理的なハードルを下げたデザイン、訴求が不可欠であるといえよう。
購入のきっかけ:緊急需要と計画購入

消費者が購入に至るトリガーは、大きく二つのタイプに分類される。
1つは「風邪で鼻づまりがひどかった(約63%)」「夜眠れないほど鼻づまりがあった(約28%)」といった緊急層である。
もう1つは「妊娠中に出産準備として購入した(約22%)」という、将来の不調に備えた準備層である。
全体として、圧倒的多数が「事後的な解決策」として鼻吸い器を求めている。一方で、後述する「検討期間の短さ」を考慮すると、この緊急事態が発生した瞬間に「どのブランドを選ぶべきか」が既に決まっている状態を作っておくことが、シェア獲得の決定的な分水嶺となる。
検討・購入時期:1週間以内に購入する層が7割を超える「即決市場」

購入検討および実際の購入時期ともに、「妊娠中」が約27%で最多となっている。次いで「0歳3ヶ月〜5ヶ月(検討約18%、購入約20%)」と続き、低月齢のうちに需要のピークを迎える。
ここで特筆すべきは検討期間の短さである。検討期間が「即日(その日のうちに購入)」と回答した割合は約41%にのぼり、1週間以内に購入を決定する層は合計で7割以上に達する。 鼻吸い器市場は、じっくりと比較検討を行う「吟味型」ではなく、必要に迫られて即座に決断を下す「即決型」の特性が極めて強い。この特性を踏まえると、必要性が生じてから広告を当てるのでは遅く、妊娠中のプレママ期から「ブランド刷り込み」を行い、発生時の指名買いを誘発する戦略が必須であると考えられる。
商品選択基準と満足度:「安価な初動」と「スペック重視の買い替え」

商品タイプ別の知名度では、「電動据え置きタイプ」が約58%でトップであり、次いで「手動ポンプ/スポイトタイプ」が約54%と並ぶ。ブランド別では、電動据え置きにおいて「メルシーポット」と「ピジョン シュポット」が共に約55%の知名度を誇り、市場を牽引している。

ここで戦略的に重要だと考えられるのは、「初期コスト重視によるミスマッチ」である。
初期購入理由:では「価格が手頃(約50%)」が首位。追加購入(買い替え)理由では 追加購入経験者(約2割)のうち、約48%が「吸引力への不満」を理由に挙げている。
ここでいう「価格が手頃」には2パターンあると考えられる。単に「安い」ことを重視するタイプと、いわゆる「性能の割にコスパがいい」というタイプである。前者のタイプは手動や安価なタイプを選択する傾向にあるが、実用段階でパワー不足を感じ、最終的に高スペックな電動タイプ(ピジョン シュポットなど)を買い直すという「不満による買い替えサイクル」が発生しているのではないだろうか。メーカー側は、この「二度手間」を防ぐための「最初から高スペック機を選ぶメリット」を、妊娠期に訴求する動きがより必要であろう。
使用者の実感:重要なのは「使いやすさ」「お手入れのしやすさ」

商品選択時に重視される要素を見ると、「使いやすさ(74.04%)」「お手入れ・洗浄のしやすさ(73.56%)」が最も高く、次いで「吸引力(64.90%)」が続く構造となっている。
鼻づまりの時期には1日のうちに複数回使用することから、多くのユーザーは使ってみて改めて、操作性やメンテナンス性の重要性に気づくことを示唆している。
4. 調査項目
- 使用率
- 鼻吸い器で赤ちゃんのケアをしている人
- 購入率
- 購入きっかけ
- 購入検討開始時期/検討期間
- 購入時期
- 鼻吸い器タイプ別知名度
- 鼻吸い器ブランド別知名度
- 比較検討した商品/購入商品
- 購入理由/最重視理由
- 購入場所/購入価格
- 参考にした情報源/最初に接触した情報源
- 購入前に悩んだこと
- 満足度
- 満足点/不満点
- 別の鼻吸い器の購入経験
- 2台目購入の理由
- 追加購入したブランド
- 追加購入した時期
- 鼻づまりが起こりやすい時期
- 現在主に使用している商品タイプ
- 必要性
- 購入時のあるべき選択基準
- 後輩ママにおすすめする商品タイプ
- 使用していない理由
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
今回の調査から、鼻吸い器市場は「早期ブランド認知」と「高スペック機の必要性理解促進」という二段構えの戦略が必要不可欠である。
コズレでは、以下のような提案ができる。
・妊娠期ターゲットによる「指名買い」の形成:検討開始の最大ピークである妊娠中のユーザーに対し、コズレの属性情報を活用した「ターゲティングメール」や「妊娠週数別広告」を展開。即日決定層(約4割)を確実に捕らえるために、この段階での第一想起獲得が重要である。
・「タイプ別診断コンテンツ」による迷いの払拭:ユーザーの約42%が「どのタイプが良いかわからない」という悩みを抱えている。この層に対し、コズレのプラットフォーム上で「生活スタイル別・鼻吸い器タイプ診断」や、電動・手動の徹底比較記事を配信し、検討時の離脱を防止する。不満点首位の「子どもが嫌がる(30%)」を解消するコツなどの体験談記事(タイアップ広告)を併用することで、製品への信頼度を飛躍的に高めることが可能である。
・パパ層をターゲットに加えたデュアル・プロモーション:パパの関与も一定数見られるため、リアルな「パパが活躍する」体験談をSNS口コミ施策で拡散する。これにより、ママだけにアプローチする競合他社との差別化を図る。
株式会社コズレでは、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川、水島)
【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。
出典:「子育て世帯の「鼻吸い器」市場調査~使用率・購入理由・満足点と不満点・選択基準~(株式会社コズレ)」
https://cozre.co.jp/blog/19125/
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)
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