調査レポート

『新型コロナウイルス感染症に関する調査⑦』コロナ禍における妊活・妊娠の実態調査~ママたちのコロナとの向き合い方を考える~

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コロナ禍_妊活

1.はじめに

再び感染者の増大と第3波への懸念が広がるなか、妊娠中は飲める薬が限られていたり、胎児への影響もまだ不明な部分が多い状況において、妊娠・出産は非常に頭を悩ませる問題であろう。

2020年4月から約2ヶ月に及ぶ外出自粛要請を経て、感染者数は一時的に収束したものの、10月下旬からは再び感染者数が増大傾向にある。果たして前向きに妊活を継続すべきなのか、控えるべきなのか、先が見えない状況下で実際はどうであったのか。

第2回目は2020年2月以降に妊娠・出産したママたちの声から、コロナ禍での妊活・妊娠の実態について報告する。

2.調査概要

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ 
調査対象:末子妊娠中および生後8ヶ月までのお子さんをもつ女性
調査期間:2020年10月23日(金)~2020年11月6日(金)
有効回答者数:3,697名

● 国内感染者数が200名を超えた2020年2月以降をコロナ流行後として、以下の2群に分類し、分析した。
A群:妊婦(調査時点で妊娠中) n=2,527
B群:2020年2月以降に出産されたママ(生後0ヶ月~8ヶ月と回答した被験者) n=1,170

3.結果・考察

・妊婦のうち約2割が、外出自粛要請期間(2020年4月~5月)以降、妊活を取りやめたり、一時的に中断・延期をしていた。

・2020年2月以降に出産されたママ(B群)は88.20%がコロナ禍での出産に不安を感じていたが、妊婦(A群)は74.18%と14.02pt低かった。

①妊娠・出産に対する変化

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、来年の出生数が減少する可能性があることが、2020年10月厚生労働省より発表された。2020年5~7月の全国の妊娠届の件数は、平均すると、前年同月比1割強減少しており、未知のウイルスへの不安から妊娠を控えたことが一因と考えられる。
厚生労働省_妊娠届

出典:厚生労働省 「令和2年度の妊娠届出数の状況について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14095.html

そこで被験者(n=3,697)に対して、コロナ以前、お子さんの妊娠を希望されていたかを聞いた。その結果、「(強く)望んでいた」と回答したのは78.36%に上った(図1)。
コロナ禍_妊娠を望んだか

さらにコロナ以後、妊娠や妊活に対する行動の変化があったかどうか聞いたところ(前問で「答えたくない」と回答した被験者を除くn=3,665)、41.66%(n=1,219)が「(とても)変化があった」と回答した。

次に、前問で「(とても)変化があった」と回答した1,219名のうち妊婦(A群)の被験者(n=1,031)に対して、妊活(妊娠・不妊治療等)にどのような行動の変化があったかを聞いた。

8割近くの被験者が妊娠を望んでいたにも関わらず、妊婦のうち2割前後は、外出自粛要請期間(2020年4月~5月)以降、妊活を取りやめたり、一時的に中断・延期をしていたことがわかる(図2;横軸は調査時点での妊娠月齢)。
また直近でも、妊婦のうち2割弱が妊活を控えていることから、今後の妊娠届出数、ひいては出生数も前年を下回ることが予想される。
コロナ禍_妊活状況

②コロナ禍での妊活や妊娠・出産に対する不安

妊婦(A群、n=1,009)・コロナ禍で出産したママたち(B群、n=1,839)にそれぞれに対して、妊活や妊娠・出産に対する不安をどの程度感じていたかを聞いた。

B群では、88.20%がコロナ禍での出産に不安を感じていたが、A群では、74.18%となり14.02pt低くなった(図3)。これは、コロナ禍での出産の実状が少しずつ明らかになり、体験談などを耳にしたこと、それらを踏まえ出産に臨めることが、これから出産を迎える妊婦たちの心の支えになったからだと思われる。
コロナ禍_妊娠出産_不安

次に、前問で「(とても)不安だった」と回答した被験者(n=2,848)に、どのようなことに不安を感じたかを聞いた。いずれの回答においても、コロナ禍で出産したママたち(B群)よりも妊婦(A群)の方が少ないという結果になった(図4)。

中でもB群に対してA群は、「外出自粛時のベビー用品の購入」が18.71pt減、「日常生活での外出自粛」が17.69pt減となっており、必要な買い物は混雑を控えて外出したり、ネットショッピングを活用するなど、新しい生活様式を取り入れながら、不安を解消していったと考えられる。

しかし、依然として「胎児・乳幼児への感染、影響」を不安に感じる割合は8割を超えており、次いで「自分・家族への感染」を不安に感じる割合は7割を超えることから、不安な状況での出産であることには変わりない。また、妊婦を支えるパートナーや家族の「面会の制限」「立ち合い出産の制限」も6割以上の妊婦たちの不安の要因となっている。
コロナ禍_不安なこと

4.おわりに

誰も経験したことがない、コロナ禍での出産に臨んだママたち。医療体制に対する不安や、母子感染や乳幼児の感染などわからないことが多い中、彼女たちが感じた不安はとてつもなく大きかったであろう。

再び感染者数が増大するなか、これから出産を迎える妊婦たちがいる。しかし、コロナ禍での出産を乗り越えた先輩ママたちがいるということが、これから出産に迎える妊婦たちの不安の軽減につながっていることがわかった。そんな彼女たちの支えとなるよう、引き続き先輩ママたちの声を、我々は真摯に発信していきたい。

コズレ子育てマーケティング研究所では、このように変化していく子育ての現状をお伝えするとともに、今できる支援とは何かを明らかにしていきます。

本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。(コズレ子育てマーケティング研究所 惣宇利)

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。

出典:「新型コロナウイルス感染症に関する調査(株式会社コズレ)」
https://cozre.co.jp/5243/
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)

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