調査レポート

『ママと子どもたちの新しい生活様式とは?』新型コロナウイルス概況調査2021年4月結果

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感染症,対策

1.はじめに

新型コロナウイルスが世界中で蔓延し、国内で最初の緊急事態宣言が発令されてからはや1年。依然、日本国内ではワクチン接種が進まないなか、2021年4月には3度目の緊急事態宣言が発令された。

このような状況下でも、ママたちは休むことなく子育てに奮闘し、お腹の赤ちゃんは一日一日成長し、新たな命を迎えた妊婦たちは出産と向き合っている。

本レポートでは、1年前の緊急事態宣言時と直近の緊急事態宣言時の妊婦と子育て中のママの生活動態・消費行動を比較し、ママと子どもたちの新しい生活様式・日常がどのように変化しているかを報告する。

2.調査

調査主体:子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ 
調査対象:末子妊娠中~2歳以下の子を持つ女性

(今回)2021年4月調査
調査期間:2021年4月26日(月)~2021年5月11日(火)
有効回答者数:2,658名
緊急事態宣言発令 2021年4月25日(日)4都府県が対象~6月20日(日)
         2021年5月12日(水)以降 順次対象を9都道府県に拡大
         および 5県に於いてまん延防止等重点措置

(前回)2020年4月調査
調査期間:2020年4月6日(月)~2020年4月14日(火)
有効回答者数:2,956名
緊急事態宣言発令 2020年4月7日(火)7都道府県が対象~5月25日(月)
         2020年4月16日(木)~対象を全国に拡大

3.結果・考察

①実店舗の利用控えが緩和されつつある

直近2週間の買い物の状況について聞いたところ、1年前と比較してネットショッピングの利用が減少し、実店舗の利用が増えていることがわかった。

前回調査では、スーパーの利用が「減った(40.26%)」「かなり減った(19.38%)」(図2)のに対して、今回調査では「かなり増えた(10.99%)」「増えた(36.72%)」(図1)となった。1度目の緊急事態宣言時はスーパーも入場制限や時短営業をしており、ママたちも買い物回数を減らすなどの対応が見られたが、直近ではスーパーの入場制限もあまり見られなくなり、日常的にスーパーを利用するようになったことがわかる。

また、前回調査ではショッピングモールの利用が「減った(24.02%)」「かなり減った(61.13%)」(図2)と大幅に敬遠されていたものの、今回調査では「かなり増えた(3.42%)」「増えた(16.85%)」(図1)とこちらも大きな変化が起きている。

対して、インターネット通販の利用が、前回調査の「かなり増えた(7.71%)」「増えた(31.56%)」(図2)に比べ「減った(28.60%)」「かなり減った(10.52%)」(図1)となったことから、インターネット通販を利用していた層が、再びスーパーやショッピングモールに足を運ぶようにシフトしたと考えられる。

背景として、①店舗側の入場制限の緩和、②「実物を手に取って選びたい」という消費者の心理、③外出控えの不便さとストレスからの反動(リバウンド)、④マスクや消毒等の感染症対策グッズが購入できるようになったことによる外出へのハードルが下がったこと、が考えられる。

コロナ禍,買い物

②「マスク」「手洗い」「検温」の生活が日常に

次に、直近2週間と昨年4月の緊急事態宣言時を比較した「商品購入の増減」を聞いところ、小さなお子さまのいる家庭でも「マスク」「手洗い」「検温」の生活が日常になっていることが明らかになった。図3は、昨年の緊急事態宣言時よりも購入が「かなり増えた」「増えた」と回答した被験者割合をグラフ化し、その前年との差を折れ線で示したものである。

その結果、昨年は入手困難であった「マスク」(+15.54pt)、「ハンドソープ」(+8.35pt)、一家にひとつ以上必要となった「体温計」(+8.13pt)の需要が高まったことがわかった。

コロナ禍,商品購入

③育児・家事の負担は増加

今日のような「新しい日常」は、小さなお子さまをもつママたちの生活にどのような変化をもたらせたのだろうか。次に、0~2歳のお子さまをもつママたちの、直近2週間と、昨年4月の緊急事態宣言時の変化を聞いた(図4・図5)。
それぞれの項目の「かなり増えた」「増えた」の割合が増えた項目に注目した結果、「育児に関わる時間」が前回比+11.06pt(※1)、「家事に関わる時間」が前回比+16.13pt(※2)となった。

※1:育児に関わる時間
「かなり増えた」22.96%+「増えた」23.26%=46.22%(前回35.16%)
※2:家事に関わる時間
「かなり増えた」15.88%+「増えた」29.35%=45.23%(前回29.10%)

コロナ禍,生活

実際のママたちからのコメントでは、「外出を控えているので、家での過ごし方や料理のレパートリーに悩みます」、「一緒にいすぎて子どもの嫌々や兄弟喧嘩に嫌気がさすことがある」など、家で過ごす時間が増えたことにより、今までになかった負担が増えているという声が挙がった。

子どもの成長を見守りながら、感染予防に気を遣う毎日。そのような中で家事・育児の負担は増え、ストレスが溜まるばかり。外食や旅行などでリフレッシュする機会もない今、家事・育児の負担を減らすサービスや、ママたちの精神的なフォローが求められるであろう。

④子どもの遊びは「公園」が復調、「動画視聴」にシフト

次に0~2歳のお子さまの、直近2週間と、昨年4月の緊急事態宣言時の変化を聞いた。図6は、昨年の緊急事態宣言時よりも「かなり増えた」「増えた」と回答した被験者割合をグラフ化し、その前年との差を折れ線で示したものである。

なかでも、お子さまの遊び場所に注目した結果、「自宅での遊び」が前回比-15.14ptとなった一方、「外遊び、スポーツをする」が前回比+5.95pt、「公園の利用」が前回比+5.87pt、「児童館・支援センターの利用」が前回比+4.76ptとなった。

昨年4月の緊急事態宣言時は、お子さまの遊び場所が「自宅」に大きく変化したが、1年を経た今回調査では、制限していた屋外での遊びを取り戻しつつあることがわかった。

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さらに、お子さまの過ごし方に関する項目に注目すると、「テレビを観る」が前回比-6.29ptとなった一方で、「動画配信サービスの視聴(Netflix、Amazonプライムビデオなど)」が前回比+3.36pt、「動画共有サービスの視聴(YouTubeなど)」が前回比+3.35ptとなった。この1年で、テレビに限らず様々なサービスで視聴するようになったことがわかる。

テレビとAmazonプライム等の動画配信サービスとの決定的な違いは、テレビは決まった時間に放送される番組を視聴するものであるのに対し、動画配信サービスは自分の好きなタイミングで見たい番組を見られる点にある。子育ては予定通りにいかない。「お昼寝をなかなかしてくれず、夕飯の支度ができないとき」、「上の子の宿題を見ている間に」など、ママと子どものタイミングで好きな番組を選ぶことができる。

上述したように、家で過ごす時間が増えたことにより、ママが育児に関わる時間も増えた。ママたちはこうしたサービスを有効に活用することで、このコロナ禍での子育てを乗りきっているのかもしれない。

実際のママたちのコメントからは、「人混みは行かないようにしているが、子どもが飽きてしまう&運動がてら公園には行っている」、「ストレス発散の場所がなく、ゲームや動画配信サービスばかりで、なんだかやるせない日々が続いています」など、子どもたちを飽きさせることのないよう、ママたちが気を配りながら過ごしている様子が見受けられた。

⑤「育児」と「感染」との板挟みになるママたち

最後に、コロナ禍において現在不安に感じていることを聞いた。その結果、0~2歳児の子どもを持つママのうち、「感染への不安」(75.98%)はもちろんのこと、半数以上のママたちが「育児への不安」(59.40%)、「子どもの発達・成長への不安」(52.37%)を感じていることがわかった(図7)。

従来の育児では直面しなかった、「支援センターの利用や公園などを控えているため2歳半の末っ子は同世代の子どもと遊んだことがなく今後の発達にどう影響するか不安」、「子どもたちが集う場所へ行けないので、娘は8ヶ月だがハイハイできず発育が遅いのを不安に感じているものの、周りの赤ちゃんの様子も分からず不安が解消されない」などの、コロナ禍ならではの不安の声が0~2歳児のママたちから挙がった。

一方、妊婦の多くが「妊娠・出産への不安」(86.96%)を感じており、その不安は「感染への不安」(76.45%)を上回っている(図8)。
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妊婦たちからは、「もし妊娠中に感染してしまったらどのように対応すればいいのか」、「前例がないだけに、これから出産をし育児をしていく事に不安がある」という声が挙がった。

4.おわりに

コロナウイルスは、今なお収束することなく、ママと子どもたちの日常は、従来の日常とは大きく変わってしまった。

昨年の緊急事態宣言下においては、未知のウイルスに対する恐怖・不安がママたちにのしかかり、子どもたちに対しても多くの「自粛生活」を強いている様子が見られた。

その「自粛生活」もおよそ1年が経過し、今回の調査では、ママたちはただ自粛をするのではなく、子どもたちが自然と触れ合ったり、体を動かしたりできるような環境や機会を少しでも与えられるよう、時間や場所、衛生面に意識を払ったり、子どもたちを飽きさせないよう様々な工夫をする様子が見られた。こうした状況下で、ママたちの育児・家事に関わる時間も増えており、コロナ禍が長引くことにより、疲労感が一層増すことが懸念される。

最後にママたちからのメッセージを届けたい。
「私たち親が感染してしまった場合、子どもたちとどう隔離生活をおくればいいか不安です。」
「自分だけがやっていても限界があるので、みんなで対策をすることでリスクを減らしていきたい。」

ママたちが不安を抱えることなく育児と向き合えること、子どもたちが健やかに育つ環境や機会が戻ること。そのために、各人ができることを意識しながら、一日も早いコロナウイルスの収束を願いたい。

(子育てマーケティング研究所 惣宇利)

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。

出典:「新型コロナウイルス概況調査(株式会社コズレ)」
https://cozre.co.jp/6404/
(子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)

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