1.はじめに
コロナ禍で迎えるゴールデンウィークも今年で2回目となった。昨年2020年6月の調査では、「来年のゴールデンウィークは自由におでかけしたい」との記述が多数見受けられたが、東京、大阪、京都、兵庫の4都府県では、今年も緊急事態宣言下で迎えるゴールデンウィークとなった。
子育てマーケティング研究所では、2019年から3回にわたってゴールデンウィークに関する意識調査を実施している。それらの結果を比較することで、コロナ禍において行動が制限される前と後、そして新しい日常になった今、子育て世帯のお休み事情がどのように変化したのかを明らかにしたい。
2.調査
調査主体:子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:生後0ヶ月以上の子と同居のパートナーを持つママパパ
<今年:2021年調査>
調査期間:2021年5月12日(水)~2021年5月27日(木)
有効回答者数: 2,288名【女性99.39%、男性0.61%】
<昨年:2020年調査>
調査期間:2020年6月5日(金)~2020年6月11日(木)
有効回答者数: 370名【女性96.49%、男性3.51%】
<一昨年:2019年調査>
調査期間:2019年5月14日(火)~2019年5月20日(月)
有効回答者数: 1,143名【女性99.39%、男性0.61%】
3.トピック
● パートナーの育児参加状況では、「子どもの食事の世話をする(57.12%)」「子どもをお風呂に入れる(72.47%)」「子どもを寝かしつける(46.77%)」などの生活面のサポートに関する項目が過去3年で最も高くなった。
● パートナーの家事参加状況では、「掃除」「洗濯」「炊事」「片付け」の全項目で2019年調査では参加割合が4割を下回っていたが、2020年調査、2021年調査では4割を上回った。
● 自分のための時間の過ごし方は、「友人に会う」がコロナ禍前の2019年と比べると、2020年調査以降、低い割合のままである。
● ゴールデンウィークの総合満足度については、2019年の57.83%に比べ、2020年(48.92%)、2021年(50.26%)と低くなっている。
4.結果考察
(1)【ゴールデンウィーク】パートナーの育児・家事への参加状況
まず、パートナーの育児・家事への参加状況について考察する。
ゴールデンウィーク中、パートナーが「子どもと一緒に遊ぶ」「子どもの食事の世話をする」「子どもの身支度(着替え・おむつ)を手伝う」「子どもをお風呂に入れる」「子どもを寝かしつける」の5つの項目について育児参加していたか、「非常にそう思う」「そう思う」「どちらともいえない」「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」の5段階で回答してもらい、その結果を『そう思う』(「非常にそう思う」「そう思う」)・『どちらともいえない』・『そう思わない』(「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」)の3段階で集計した。
2019年から2021年にわたる3回の調査結果を比較したところ、2019年から「子どもと一緒に遊ぶ」というアクティブな活動については「育児に参加していたと思う(『そう思う』)」割合が7割前後であった。
一方、アクティブな活動だけでなく、「子どもの食事の世話をする」「子どもをお風呂に入れる」「子どもを寝かしつける」などの生活面のサポートに関する項目についても2019年と比べると、2021年では「参加していたと思う(『そう思う』)」と回答した割合が増えている(図1)。
これは、リモートワークの推進や外出自粛などで在宅時間が増え、パートナーと子どもとの関わりが生活面全般に及ぶようになったためと推察される。
続いてパートナーの家事参加についてみてみよう。
家事参加については、ゴールデンウィーク中、パートナーが「掃除」「洗濯」「炊事」「片付け」の4つの項目について参加していたか、5段階で回答したものを、『そう思う』(「非常にそう思う」「そう思う」)・『どちらともいえない』・『そう思わない』(「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」)の3段階で集計した。
3回の調査を比較すると、2019年には4つの項目とも「参加していたと思う(『そう思う』)」割合が4割を下回っていたが、2020年、2021年はすべて4割を上回っていることがわかる(図2)。
おうち時間が増えるなかで、子育て世帯の家事分担について変化が現れ、そしてその変化が新しい日常として定着しつつあるのかもしれない。
(2)【ゴールデンウィーク】回答者自身の過ごし方
次に、回答者自身の過ごし方について、子どもとの時間、自分のための時間に分けて聴取した。
回答者自身が子どもと過ごす時間がとれたか、「一緒に外で遊ぶ」「一緒に家で遊ぶ」「ゆっくり話を聞く」「一緒にゆっくり寝る」の4つの項目について、前問までと同様に5段階で回答したものを、『そう思う』(「非常にそう思う」「そう思う」)・『どちらともいえない』・『そう思わない』(「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」)の3段階で集計した。
2020年は4項目すべてで2019年の「時間がとれた(『そう思う』)」と回答した割合を下回った。これは、初めての緊急事態宣言下でのゴールデンウィークということで、思うようにゆっくりと子どもとの時間が過ごせなかったからと推測される。
しかし2021年は4項目すべてで「時間がとれた(『そう思う』)」と回答した割合が2019年と同等の値まで回復し、なかでも「一緒に家で遊ぶ(73.82%)」については2019年の調査(69.64%)を上回る結果となった(図3)。
長引く外出自粛を背景に、おうち時間を楽しむ情報や商品・サービスが充実したことで、制限はありながらも一緒に遊ぶ時間は確保できたのかもしれない。
次に「友人に会う」「趣味に時間を使う」「勉強」「美容」「体を休める」の5つの項目について、自分のために過ごす時間をとれたかどうか、前問までと同様に5段階で回答したものを、『そう思う』(「非常にそう思う」「そう思う」)・『どちらともいえない』・『そう思わない』(「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」)の3段階で集計した。
2021年の調査結果は、2019年の調査時点と「趣味に時間を使う」「勉強」「美容」「体を休める」の5項目とも、ほぼ同程度で大きな変化はない。一方、「友人に会う」については、コロナ禍前の2019年と比べると、2020年の調査以降、「自分の時間がとれた(『そう思う』)」と回答した割合は低いままとなっている(図4)。
このことから、子育て世帯のママパパは、直接会って悩みを相談したり、共感したりする機会が減少し、やや孤独を感じやすい状況となっているのかもしれない。
(3)【ゴールデンウィーク】総合満足度
では総合的なゴールデンウィークの評価としては、どのような変化があったのだろうか。ゴールデンウィークに対する総合満足度を「非常に満足」「やや満足」「どちらともいえない」「やや不満」「とても不満」の5段階で聞き、「非常に満足」「やや満足」を『満足』として、「とても不満」「やや不満」を『不満』(「どちらともいえない」は『どちらともいえない』)の3段階で集計した。
『満足』の割合がもっとも高いのは、2019年の57.83%で、2020年、2021年はともに50%程度となった(図5)。ゴールデンウィークに対する総合満足度は、コロナ禍において低迷が続いている。
5.おわりに
今回の調査ではコロナ禍において、パートナーの育児参加率は上昇しており、パートナーと協力しながらの子育てが進んでいる実態が明らかになった。その一方で、ママパパたちが「自分の時間」、とりわけ「友人に会う時間」を思うように取れていないこともわかった。とくに子育て中のママパパにとって、子育ての悩みなどを気軽に相談する機会が減っているであろうことは、ゴールデンウィークの満足度低下につながっているのかもしれない。
今後子育て世帯のママパパたちにもワクチン接種が進み、友人と会いたいときに会える日が来るのも、そう遠い未来のことではないかもしれない。来年の調査では、子育て世帯のゴールデンウィークにおける満足度が上昇していることを期待したい。
(子育てマーケティング研究所 後藤)
【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。
出典:「2021年ゴールデンウィーク意識調査(株式会社コズレ)」
https://cozre.co.jp/6493/
(子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)