調査レポート

子育て世帯における「エアコン」市場調査~購入動向・選定基準等のトレンド~

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1. はじめに

近年、エアコン市場は着実な成長を見せている。背景には、地球温暖化による猛暑の常態化に加え、在宅時間の増加や空気環境への意識の高まりといった社会的要因がある。特に子育て家庭は、乳幼児の体温調節が未発達であるため、エアコンの性能や快適性に対する期待は一層高まっている。このような背景を踏まえ、2025年7月に妊娠中および0歳以上の子どもを持つ女性を対象とした調査を実施し、エアコンの購入経験、重視ポイント、使用実態などを分析した。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

2. 調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:妊娠中および生後0歳以上の子どものいる女性
調査期間:2025年7月7日(月)〜 2025年7月29日(火)
有効回答者数:694

3. 結果・考察

設置場所はリビングと寝室が中心。快適性の最適化を重視

設置台数で最も多かったのは「2台」(42.22%)であり、設置場所としては「リビング」(92.57%)、「寝室」(75.80%)が上位を占めた。これは、家族が長時間過ごす空間や睡眠環境の快適性を優先していることがうかがえる。
一方「子ども部屋」への設置は少数派であり、対象世帯が妊娠中から未就学児中心であることから、まだ個室を利用する段階に至っていないことが要因と考えられる。

 

購入のきっかけはライフイベント

購入経験者の67.46%が「引越や住宅購入がきっかけ」と回答しており、子育て世帯においては、こうしたライフイベントがエアコン購入の主要な契機となっている。また、「妊娠/出産したから」が10.29%であることも特徴といえる。妊娠/出産の時期をとらえた訴求を行うことで、購入ニーズを惹起できる可能性が考えられる。

 

購入場所は家電量販店が中心、メーカー選定は信頼感重視

購入場所では「家電量販店」が71.77%と多数を占め、ネット通販は少数にとどまった。購入メーカーは「日立」「ダイキン」「パナソニック」「三菱電機」がいずれも20%以上を占めており、冷暖房性能や省エネ性で高い評価を得ている定番ブランドである。子育て世帯においては、ブランドの信頼性も選定基準として重視される傾向にあるようだ。

 

オンライン時代における「店頭の販売員」の存在感

購入価格の中心は「5〜10万円」(36.87%)であり、安価なモデルよりも性能と価格のバランスを考慮した中価格帯を好む傾向がある。但し、設置する部屋の大きさに応じた商品を購入することもあり、価格帯にはばらつきがみられる。注目すべきは、購入時に参考にした情報源で、「店頭の販売員」が53.11%と最多である。
これは、エアコンが設置工事を前提とする耐久消費財であり、設置条件や機能の選定に専門的な知識や説明が求められるためである。加えて、価格帯が高く、長期使用を前提とするため、購入時に販売員の説明によって不安を解消したいという心理が働いていると考えられる。このカテゴリーにおいては、リアルチャネルの影響力が根強く、情報提供や接客の質が購買活動に影響を与える重要なタッチポイントとなっているようである。

 

購入時の重視ポイントは「省エネ性能」「冷暖房能力」「本体価格」

エアコン選びにおいて重視された上位3項目は、「冷暖房能力」「本体価格」「省エネ性能」であった。これは長期使用に伴う電気代への意識の高さを反映しており、エネルギー効率の可視化などが訴求材料として有効だと考えられる。

 

今後のニーズは「快適性」へと拡張

買い替え時に重視したい項目として、「省エネ性能」「冷暖房機能」「本体価格」に続いて「空気清浄機能」「清潔機能」「加湿・除湿機能」などの“快適機能”が上位にランクインした。
これは、赤ちゃんと生活することによる衛生意識の高まりと、コロナ禍を通じて空気環境や清潔面への意識が高まった影響とみられ、エアコンが単なる冷暖房機器から“健康家電”として意識されつつあるのかもしれない。

 

親世代への贈答需要──現段階では少数派

親世代へのプレゼント経験は少数であったが、贈った理由として「設置されていなかった」「相談された」「古かった」が挙げられた。厚生労働省の情報【※】によると、熱中症を防ぐためには、体温調節機能が十分に発達していない子どもに加え、暑さや水分不足に対する感覚機能やからだの調整機能が低下している高齢者も注意が必要だと言われている。しかし、エアコンを“安全・健康のための贈り物”として捉える動きは現状は確認できなかった。

 

4. 調査項目

● 自宅の設置台数
● 設置場所
● 購入経験
● 購入のきっかけ
● 購入したメーカー
● 購入時に重視したポイント
● 購入した場所
● 購入した価格
● 参考になった情報源
● 妊娠前の夏のエアコン使用状況
● 今後購入時に重視するポイント
● 親へのエアコンのプレゼント経験
● 年齢、住居地、就業状況など

 

5. おわりに

子育て世帯のエアコン選定においては、価格や基本性能だけでなく、「販売員の説明による納得感」や「長時間使用への安心感」、「快適性への期待」など、複合的な価値判断がなされていることが明らかになった。

コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中ママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、今できる支援とは何かを明らかにしていきます。

本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。

(コズレ子育てマーケティング研究所 早川、水島)

 

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。

出典:「子育て世帯における「エアコン」市場調査~購入動向・選定基準等のトレンド~(株式会社コズレ)」
https://cozre.co.jp/15851/
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/

この記事の著者

株式会社コズレ 取締役 早川修平の写真

著者: 早川 修平(株式会社コズレ 取締役/MBA)

NTT東日本にて法人営業、マーケティング、経営企画を経験後、慶應義塾大学大学院(在学中、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院へ留学)にてMBAを取得。戦略コンサルティングファーム「ローランド・ベルガー」にて自動車・金融業界など幅広いクライアント向けにマーケティング戦略立案、ビジネスプロセス改善の支援に従事。

その後、子育て世代向けWebメディア「コズレ」を創業期から運営責任者として牽引し、会員数100万人超のプラットフォームへと成長させる。累計500件以上の子育て世帯を対象とした市場調査を主導し、育児用品メーカーや子育て関連サービス企業向けに、定量・定性データに基づくマーケティング戦略やプロモーション施策を多数提案・実行している。また、子育て世代の購買行動やニーズを踏まえたマーケティング手法に関するセミナーや講演会の講師も務める。

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