【はじめに】
受験のため、補講のために塾に行くということは東京で生まれ育った私にとって、よく聞く話しであった。実際私自身も中学受験、大学受験をするにあたり塾に通っていた。しかし、乳幼児教育に関してはどうだろうか。「いま」を生きていくうえで、乳幼児をもつママパパは子どもにどのような教育をしているのか。さらにはどのようなことを大切にして育てていきたいと考えているのか。
今回は「乳幼児教育の現状」について調査を行った。
【調査】
弊社コズレ子育てマーケティング研究所では、2018年9月21日(金)から2018年9月27日(木)にかけて、乳幼児教育の現状に関するアンケート調査をインターネット上で行った。調査対象は主に末子のお子様の年齢が0歳~2歳のママパパで、「乳幼児教育を利用したことがあるか」等について質問をした。有効回答者数は2478名であった。
【分析と結果考察】
そもそも、乳幼児教育(注;ここでは通信教育)について、現代のママパパ達はどのくらい実践しているのだろうか。「乳幼児向け通信教育に関して、最もあてはまる選択肢をお選びください」という質問に対し、「利用したことがある」と回答した人は10.65%、「興味関心があり、利用を検討している」は14.66%、「興味関心はあるが、具体的に利用を検討はいない」は55.51%となった(図1参照)。この結果からわかる通り、利用経験がある、もしくは興味関心をもっている人は全体の約8割にも上るが、実際に利用している人は約1割にとどまる。
図1 乳幼児向け通信教育に対する意識
(単位:%)
実際に利用経験がある人が少ないという状況の中で、ママパパ達はどのようにしてそれに関する情報を取集しているのだろうか。本調査では乳幼児通信教育の情報源に関する質問も行なった。結果、「最も役立った情報源」として、インターネットやパンフレットを抑え、友人・知人からの口コミという意見が21.97%に上った。消費財などと異なり、より信用・信頼できる相手からの情報を非常に頼りにしていることがわかる。
今回、調査結果の中で最も興味深いと感じたのは「素養」に関する結果である。本調査では「親から言われた重要な素養」、「実際に役立った素養」、「子どもの将来に重要だと考える素養」をそれぞれ質問した。3つの結果を並べたものが図2〜図4である。その結果、素直さ・協調性・積極性に関してはどの項目においても上位であったが、おもしろいのが「自己肯定感」に関する結果である。「自己肯定感」は「親から言われた重要な素養」では2.55%ほど、「実際に役立った素養」では4.30%なのに対し「子どもの将来に重要だと考える素養」では素直さに次いで2番目に多く15.82%である。つまり「自己肯定感」を重要だと考える「いま」のママパパが多いということである。
図2 親から言われた重要な素養
(単位:%)
図3 実際に役立った素養
(単位:%)
図4 子どもの将来に重要だと考える素養
(単位:%)
ではなぜ、今、「自己肯定感」が重要視されるようになったのだろうか。考えられる要因として2つあると私は考える。第一に、以前に比べ、体罰やいじめなどに世間が敏感になっていることだ。体罰やいじめは子どもの自己否定につながりかねない。第二に、SNSの利用者、利用機会の増加である。スマートフォンの普及が一気に進むとともに、自らの日々の生活の一部をSNSに載せるという行為が日常化してきている。人とつながりやすくなると同時に、人と自分を比べる機会が増えたのではないだろうか。他人と自分を比べた結果、自分の生活が見劣りする場合、自らを自己否定することにつながりかねない。Instagramを例に考えてみる。Instagramに載せる写真といえば、「インスタ映え」という言葉に代表されるように自分がその時撮った写真の中でも最も盛れていて、かつキラキラしている写真たちである。つまり利用者は、その人の最もキラキラしている写真のみが詰まった投稿を見ることになる。そうなると、まるでその人がキラキラした時間のみを生きていて、自分が生きている世界とそのキラキラした苦痛のない世界を比べてしまう。その結果として、自己肯定感が下がるということにつながるのではないだろうか。
実際に多忙で時間的・精神的余裕がなくなっている時や、人との関わりの中で悩みを抱えている時には、友人のInstagramの投稿を見ることで自己肯定感が下がったという経験が私にも多々ある。ここではInstagramの例を述べたが、他のSNSに関しても同様なことは起こるであろう。そんな、人とつながりやすく、人と比較してしまう機会が多くある「いま」そして「みらい」を生きていく子どもたちに、自己肯定感を大切にしてほしいとママパパが願うのは自然のことなのかもしれない。
【まとめ】
本レポートでは「乳幼児教育」に関してママパパの考えを明らかにすべく調査を行った。結果、子どもにとって大切な素養に「自己肯定感」という回答が増加していることが見受けられた。理由として、体罰・いじめによる世間の関心の増加とSNS利用による他人との比較機会の増加を挙げたが、いずれも推測に過ぎず、今後のさらなる追跡調査が必要である。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせいただきたい。
(コズレ子育てマーケティング研究所 インターン生 福田)
【関連記事】
【習い事調査】子どもにやらせてあげたいスポーツは?気になる人気ランキング1位は?
【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。
出典:「乳幼児教育の現状に関する調査(株式会社コズレ)」 http://www.cozre.co.jp/blog/1706/
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)