調査レポート

子育て世帯における「ベビーベッド」市場調査
~妊娠後期に集中する「検討→購入」の短期決戦~

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1. はじめに

ベビーベッドは、新生児期の睡眠環境を整える上で代表的な育児用品の一つである。しかし、住宅事情や育児スタイルの多様化により、「購入するかどうか」の判断から始まり、「どのブランドを選ぶか」「どこで買うか」に至るまで、その意思決定プロセスは家庭によって大きく異なる。特に近年は、フリマアプリの普及やレンタルサービスの台頭により、「必ずしも新品を購入するとは限らない」という購買行動の変化が進んでいると考えられる。

一方で、ベビーベッドは高額商品に分類されうる耐久消費財であり、ブランドや機能への理解が購買決定に強く影響する可能性がある。しかし、ベビーベッドの購入率・非購入理由・ブランドシェア・購買チャネルの実態を総合的に明らかにした調査はまだ少ない。そこで本調査では、1歳以上の子どもを持つ親を対象に、ベビーベッドの購買行動の全体像を明らかにした。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

2. 調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:1歳以上の子どもを持つコズレ会員
調査期間:2025年5月15日(木)〜2025年6月5日(木)
有効回答数:254名

3. 結果・考察


📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図15)は、記事末尾にまとめて掲載しています。

各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。

ベビーベッドの購入率は約3割、非購入が多数派(→ 図1)

調査対象254名のうち、ベビーベッドを購入した経験があると回答したのは約32%であった(→ 図1)。一方、購入しなかったと回答した割合は約68%に達し、非購入が多数派であることがわかった。

ベビーベッドは購入すべき”必須アイテム”として認識されているとは言い難い状況にある可能性がある。住宅の広さや家族構成、育児スタイルの違いが購入判断に大きく影響していると考えられる。購入者と非購入者のそれぞれにアプローチを変えたコミュニケーション設計が、マーケティング上重要になると考えられる。

非購入の最大理由は「置き場所に困る」――スペース課題が購入障壁のトップ(→ 図2)

非購入者172名に対してその理由を尋ねたところ(→ 図2)、「置き場所に困る」が約42%と最多となった。次いで「お下がりをもらった」が約38%、「大人と一緒に寝ている」が約24%と続く。「必要性を感じない」(約21%)や「布団を敷いて寝ている」(約20%)も上位に挙がった。

日本の住宅事情における省スペースへの課題意識は根強く、スペース問題が購入障壁として最も大きく機能している可能性がある。また、「お下がりをもらった」が約38%と高水準であることは、フリマアプリやお下がり文化が浸透した現代において、新品購入の必要性自体が問い直されていることを示唆している。

コンパクト設計・折り畳み機能・スペース効率を訴求することが、潜在的な非購入層を購入層に転換する上で有効な手段となり得る。

購入検討開始は「妊娠後期」に集中、購入もほぼ同時期(→ 図3・図4)

購入者82名において、検討開始時期は「妊娠後期(8〜10ヶ月)」が約48%と最多であった(→ 図3)。「妊娠中期(4〜7ヶ月)」(約22%)と「妊娠初期(0〜3ヶ月)」(約7%)を合算すると、妊娠中に検討を開始した割合は約77%に達する。

一方、実際の購入タイミングも「妊娠後期(8〜10ヶ月)」が約65%と突出して高く(→ 図4)、検討から購入までのリードタイムが極めて短いことがわかった。

ベビーベッドは、妊娠後期(8〜10ヶ月)の「検討→購入」が集中する、非常に短い意思決定ウィンドウを持つ商材であると考えられる。この時期を外したプロモーションは効率が著しく低下する可能性がある。妊娠中期以降のプレママへのアプローチが、認知と検討のリストに入るための必要条件となる。

検討期間は「即決」が最多、3割強が迷わず購入(→ 図5)

検討期間については(→ 図5)、「即決(購入を決めるのに迷わなかった)」が約33%と最多であった。「2〜3日」(約12%)、「1日以内」(約9%)を含めると、1週間以内に決定した割合は約62%に達する。「1〜2ヶ月」かけた割合は約6%にとどまった。

ベビーベッドは耐久消費財でありながら、短期間で意思決定が完了するケースが多いことが示唆される。この背景には、妊娠後期という限られた時間的プレッシャーの中での購買という特性が影響していると考えられる。意思決定が早い層には、比較検討前の段階での認知獲得と第一印象の形成が購買につながる可能性がある。

ブランド認知トップは「西松屋」、認知上位4ブランドが拮抗(→ 図6)

ベビーベッドの購入者を対象としたブランド認知調査では(→ 図6)、「西松屋」が約60%でトップとなった。次いで「アップリカ」(約57%)、「コンビ」(約52%)、「カトージ」(約51%)と続き、上位4ブランドが拮抗している。5位以下では「ニトリ」「リッチェル」(ともに約24%)、「ストッケ」(約22%)、「ベビービョルン」(約21%)がミッドレンジを形成する。一方、「サイベックス」の認知は約15%と、ベビーカー市場での急成長と比較するとベビーベッド市場での認知形成はまだ途上にあると考えられる。

認知率上位4ブランド(西松屋・アップリカ・コンビ・カトージ)が約50〜60%の認知を持つ一方、5位以下は認知率が大きく落ち込むことから、認知獲得が購入シェアに直結する可能性が高い。

比較検討ブランドはアップリカ・カトージ・コンビ・西松屋の4強(→ 図7)

比較検討ブランドでは(→ 図7)、「アップリカ」(約38%)が最多となり、「カトージ」(約35%)、「コンビ」(約33%)、「西松屋」(約32%)が僅差で続く。「わからない・覚えていない」も約13%存在しており、検討プロセスの記憶が薄れているケースも一定数見られた。

認知の順位(西松屋→アップリカ→コンビ→カトージ)と比較検討の順位(アップリカ→カトージ→コンビ→西松屋)が入れ替わっていることは注目に値する。西松屋は「安価・手近」というイメージから認知は高いが、積極的な検討対象としてはやや後退する傾向にある可能性がある。一方でアップリカとカトージは認知率に比べて比較検討率が高く、積極的に選ばれやすいブランドポジションにあると考えられる。

初回購入シェアトップはカトージ(約23%)、アップリカが約20%で続く(→ 図8)

初回購入シェアは「カトージ」が約23%でトップとなった(→ 図8)。「アップリカ」が約20%、「西松屋」が約13%と続く。「わからない・覚えていない」も約20%あり、ブランドへの帰属意識が薄い購入者が一定数存在することが示唆される。比較検討で上位だった「コンビ」は最終シェアが約6%にとどまっており、検討はされるものの最終選択では他ブランドに流れる傾向が見られる。

カトージは認知では4位ながら購入シェアでトップに立っており、比較検討から購入への転換率が高いブランドであると考えられる。認知率対比でのシェア効率が高い点は、マーケターにとって学ぶべき事例として参考になり得る。

購入理由のトップは「購入しやすい価格」、次いで「安全性」(→ 図9)

ブランドを購入した理由(複数選択)では(→ 図9)、「購入しやすい価格」が約52%と最多であった。次いで「安全性」(約43%)、「サイズ」(約34%)、「素材」(約26%)、「デザイン・色」(約24%)が続く。

「購入しやすい価格」がトップである一方、「安全性」が2位に位置することは、ベビーベッドが「コスパを重視しながらも安全性は妥協できない」という意識のもとで選ばれていることを示唆している。価格帯ごとの安全性訴求を整合させたコミュニケーションが有効となる可能性がある。

最重視理由は「安全性」がトップ、「価格」と拮抗(→ 図10)

最も重視した購入理由(単一選択)では(→ 図10)、「安全性」が約27%で1位となり、「購入しやすい価格」(約24%)が僅差で続く。「サイズ」(約13%)、「折り畳み可能・収納しやすい」(約10%)が後に続く。

複数選択では「価格」がトップであったが、「最も重視したもの」の単一選択では「安全性」が逆転している。これは、価格を購入の前提条件(足切り軸)として設定しつつ、最終判断の決め手は「安全性」にあることを示していると考えられる。

「安全性」を中核に据えた商品訴求は、最終的な購買転換に最も直結する可能性がある。

実物確認派は約65%、アカチャンホンポへの来店が圧倒的(→ 図11・図12)

購入者のうち約65%が比較検討時に実物を見に行ったと回答した(→ 図11)。実物確認の来店先としては(→ 図12)、「ベビー用品店(アカチャンホンポ)」が約62%と突出して高く、次いで「ベビー用品店(西松屋)」(約36%)、「ベビーザらス」(約21%)と続く。

ベビーベッドは高額な耐久消費財であるため、EC購入前のリアル店舗での確認ニーズが高いと考えられる。アカチャンホンポは実物確認の主要拠点として機能しており、店頭での商品展示・POP・販促物の充実が認知・購入意向の形成において重要な役割を持つ可能性がある。

購入チャネルはEC(楽天)とアカチャンホンポが首位、EC合計で約40%(→ 図13)

購入チャネルは(→ 図13)、「EC(楽天)」(約23%)と「ベビー用品店(アカチャンホンポ)」(約22%)がほぼ同率でトップとなった。「ベビー用品店(西松屋)」(約12%)、「EC(Amazon)」(約12%)が続く。EC系チャネル(楽天・Amazon・ブランドサイト・その他EC)を合算すると約40%に達し、リアル店舗(ベビー用品店系)の合計(約44%)と拮抗している。また、「フリマアプリ・サイト」での購入も約4%存在した。

実物確認はアカチャンホンポが圧倒的な来店率を持ちながら、最終購入ではEC(楽天)が同水準に並ぶことは、ショールーミング行動の実態を示していると考えられる。

リアル接点での体験価値設計と、ECでの購入完結への動線整備を両立させることが、販売機会の最大化につながる可能性がある。

購入価格帯は1〜1.5万円未満が最多、3万円以上は少数(→ 図14)

購入価格帯では(→ 図14)、「10,000〜15,000円未満」が約22%と最多であった。「わからない・覚えていない」も約22%と同率であった。次いで「25,000〜30,000円未満」(約13%)、「5,000〜10,000円未満」(約12%)、「15,000〜20,000円未満」(約11%)が続く。「30,000円以上」の合計は約5%にとどまり、高額帯での購入は少数派であることがわかった。

購入価格の中央帯は1〜3万円圏にあり、「購入しやすい価格」を重視する層の多さと一致する傾向にある。プレミアム価格帯(3万円以上)への訴求においては、価格に見合う安全性・デザイン・機能性の差別化を明確に伝えることが重要となると考えられる。

購入サイズはコンパクト・床板高さ調整可能タイプが最多(→ 図15)

購入ベビーベッドのサイズ・タイプでは(→ 図15)、「コンパクトサイズ・床板高さ調整可能タイプ」が約26%で最多となった。「レギュラーサイズ・床板高さ調整可能タイプ」(約23%)、「コンパクトサイズ・床板ハイタイプ」(約21%)が続き、コンパクト系サイズ全体では合計約51%に達する。

非購入理由のトップが「置き場所に困る」であったことと呼応して、購入者においてもコンパクトサイズへの支持が高い傾向にある。また、床板高さ調整可能タイプの人気は、「大人が乗せ降ろししやすい」というニーズとも一致している。

スペース効率と使い勝手を両立したコンパクト・高さ調整可能モデルが、最も支持されるカテゴリーであると考えられる。

4. 調査項目

  • お子さんの現在の月齢
  • ベビーベッドの購入経験の有無
  • 【購入者】購入検討開始時期(お子さんの月齢)
  • 【購入者】購入検討にかかった時間
  • 【購入者】購入時期(お子さんの月齢)
  • 【購入者】知っているベビーベッドブランド(認知率)
  • 【購入者】比較検討したブランド(最大3つ)
  • 【購入者】比較検討時の実物確認の有無
  • 【購入者】実物確認に行った店舗
  • 【購入者】初回購入ブランド
  • 【購入者】ブランド選定理由(複数選択)
  • 【購入者】最も重視した購入理由(単一選択)
  • 【購入者】購入したベビーベッドのサイズ・タイプ
  • 【購入者】購入チャネル
  • 【購入者】購入価格帯
  • 【非購入者】ベビーベッドを購入しなかった理由

※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

5. おわりに

本調査から、ベビーベッド市場に関するいくつかの重要な示唆が得られた。

【購入率・非購入の実態】ベビーベッドの購入率は約32%にとどまり、非購入者が多数派である(図1・図2)。非購入の最大理由は「置き場所に困る」(約42%)であり、日本の住宅事情に起因する構造的な購入障壁が存在する。「お下がりをもらった」(約38%)という形でのニーズ充足も一定数存在しており、フリマ・レンタル市場への流出も含めた市場全体の把握が重要である。

【購入検討・意思決定のタイミング】購入検討の大多数は妊娠後期(8〜10ヶ月)に集中し、購入もほぼ同時期に完了している(図3〜図5)。検討から購入完了までのウィンドウは極めて短く、妊娠中期から後期にかけてのプレママへの認知施策が、購入リストへの参入において決定的な役割を果たすと考えられる。

【ブランドシェアと購買転換】認知率は西松屋・アップリカ・コンビ・カトージの4ブランドが拮抗しているが(図6)、最終購入シェアはカトージがトップとなっており(図8)、認知率から購入への転換効率に差がある。比較検討段階では上位にいたコンビが最終シェアで埋没している点は(図7・図8)、検討段階の競合差別化の課題を示唆している可能性がある。

【購買チャネル・価格・機能ニーズ】ECと実店舗がほぼ拮抗する形で購買チャネルが分散しており(図13)、ショールーミング行動が確認された(図11・図12)。購入価格帯は1〜3万円に集中し(図14)、最重視の購入理由は「安全性」であった(図10)。また、コンパクトサイズ・床板高さ調整可能タイプへのニーズが高く(図15)、スペース効率と使いやすさを両立した商品訴求が求められている。

コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川)

【グラフ】図1〜図15(全グラフまとめ)


ベビーベッド市場調査2025 図1〜図15 グラフまとめ

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「ベビーベッド市場調査2025|購入率・ブランドシェア・非購入理由を徹底分析(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/19207
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/

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