1. はじめに
妊娠期は、女性の体型が急激に変化する特別な時期であり、日常着としてのマタニティウェアは、妊婦の生活の質に直結する重要なカテゴリーである。近年、共働き世帯の増加や価値観の多様化を背景に、「産後も着られるか」「授乳に対応しているか」といった機能面を重視する傾向が見られる一方、マタニティ専用商品を購入しない層も一定数存在し、その実態は十分に明らかにされていなかった。
そこで本調査では、生後0歳以上の子を持つ親を対象として、マタニティウェアの購入有無・購入時期・検討行動・ブランド選択・価格帯・チャネルに至る購買プロセス全体と、買い足し行動の実態を明らかにした。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:生後0歳以上の子を持つコズレ会員
調査期間:2025年11月28日(金)〜2025年12月31日(水)
有効回答数:585名
3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図20)は、記事末尾にまとめて掲載しています。
各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。
約7割がマタニティウェアを購入経験あり(→ 図1)
マタニティウェアを購入した経験が「ある」と回答したのは約73.8%であった(→ 図1)。4人に3人近くが実際に購入しており、妊娠期における購買行動として一定の定着が確認できる。一方で約26.2%は購入していないことも示されており、非購入層の心理・背景を理解することもマーケティング上重要な視点といえる。マタニティウェアはすでに広く普及しているカテゴリーであるが、潜在的な未購入層へのアプローチにも余地があると考えられる。
非購入理由のトップは「普段の服で代用できるから」(→ 図2)
マタニティウェアを購入しなかった理由として最も多かったのは「普段の服で代用できるから」(約46.4%)であった(→ 図2)。次いで「必要性を感じないから」(約26.1%)、「お金がかかるから」(約16.3%)が続く。この結果は、マタニティ専用商品のベネフィットが「代替品と明確に差別化されていない」ことを示唆している。「普通の服では得られない快適性・機能性」を具体的な言葉で訴求できるブランドが、未購入層を購入層に転換できる可能性がある。
検討開始は妊娠5〜6ヶ月がピーク(→ 図3)
マタニティウェアの購入を検討し始めた時期として、「妊娠5〜6ヶ月」が約42.6%と最多であった(→ 図3)。妊娠3〜4ヶ月(約21.6%)、妊娠7〜8ヶ月(約20.9%)がそれに続き、妊娠中期以降に検討が本格化する実態が浮かび上がる。妊娠初期(0〜2ヶ月)での検討開始は約4.4%にとどまり、腹部の変化が実感される妊娠中期がマーケティング接点の最重要フェーズといえる。妊娠5〜6ヶ月前後のプレママへのアプローチを集中させることが、認知獲得効率の最大化につながると考えられる。
実際の購入も妊娠5〜6ヶ月が最多(→ 図4)
【最初の購入】時期は、「妊娠5〜6ヶ月」が約41.2%と最多で、「妊娠7〜8ヶ月」(約24.2%)、「妊娠3〜4ヶ月」(約22.8%)が続いた(→ 図4)。検討開始時期とほぼ同様の分布を示しており、検討から購入までのリードタイムが非常に短いことが示唆される(図3と比較)。検討開始と購入がほぼ同時に起きるこのカテゴリーでは、検討期入りした瞬間に選択肢に入れてもらえるかどうかが勝負を決定づける。
検討期間は「即決」が4割超(→ 図5)
購入を検討するのにかかった時間として、「即決(購入を決めるのに迷わなかった)」が約42.8%と最多であった(→ 図5)。「1日以内」(約15.6%)まで含めると、約6割近くが1日以内に購入を決定していることになる。マタニティウェアは商品の特性上、急を要するケースも多く、ブランドロイヤリティよりも「その場で見つかるかどうか」が購買の主な決定要因になりやすいと考えられる。購入意向が高まったタイミングでの視認性の高さ(店頭・EC露出)が購買に直結する可能性がある。
認知率トップは西松屋(79.8%)、上位4ブランドが過半数(→ 図6)
マタニティウェアブランドの認知率では、「西松屋」(約79.8%)が最多で、「アカチャンホンポ」(約64.7%)、「ユニクロ」(約60.0%)、「犬印本舗」(約57.4%)が続く(→ 図6)。これらの大手4ブランドが認知の大半を占めており、その他のブランドは認知率が著しく低い。ただし、「ジェラートピケ」(約35.6%)のような高感度・プレミアム系ブランドが5位に位置しており、価格・機能軸とは異なる差別化軸での認知獲得の可能性を示している。認知率で大手と拮抗することが難しい後発ブランドほど、特定のセグメント(例:デザイン・授乳対応)に特化した認知戦略が有効と考えられる。
比較検討でも西松屋がトップ(62.8%)(→ 図7)
比較検討されたブランドの上位は「西松屋」(約62.8%)、「ユニクロ」(約39.5%)、「アカチャンホンポ」(約34.9%)の順であった(→ 図7)。認知率と同様に上位3ブランドが圧倒的な比較検討率を誇る。また、「犬印本舗」(約22.1%)は認知率(図6)と比較検討率の落差が比較的小さく、認知した人が検討に至りやすいブランドといえる。認知から検討への転換率に着目することで、各ブランドのコミュニケーション課題が明確になると考えられる。
初回購入ブランドは西松屋が4割(→ 図8)
【最初に購入】したブランドは「西松屋」が約40.0%と圧倒的な首位であった(→ 図8)。「ユニクロ」(約17.9%)、「アカチャンホンポ」(約13.0%)が続き、上位3ブランドで全体の約71%を占める。認知率・検討率・購入率のすべてにおいて西松屋が首位を占めており、同ブランドがこのカテゴリーの「初回接触から購買」に至る導線を独占的に押さえていることが確認できる。後発ブランドが初回購入シェアを奪うためには、妊娠中期の認知接点と、購入障壁を下げる訴求の両面での施策が不可欠と考えられる。
購入理由のトップは「手頃な価格」(48.4%)、機能面の訴求も重要(→ 図9・図10)
購入ブランドを選んだ理由として最も多かったのは「手頃な価格」(約48.4%)で、「産後も使える」(約36.0%)、「着心地の良さ」(約26.3%)が続いた(→ 図9)。さらに「購入理由の中で最も重視した1つ」を聞くと、「手頃な価格」(約32.3%)が首位で変わらないが、「産後も使える」(約15.6%)が2位に浮上し、コストパフォーマンス軸と長期使用価値の両方が意思決定を左右していることが分かる(→ 図10)。「手頃な価格」だけでなく「産後も着られる汎用性」を組み合わせた訴求が、購入決定に最も強く影響すると考えられる。
購入チャネルは西松屋が44.2%で圧倒的首位(→ 図11)
【最初の購入】チャネルは「ベビー用品店(西松屋)」が約44.2%で最多、「ベビー用品店(アカチャンホンポ)」(約16.5%)が続く(→ 図11)。EC経由(楽天・メーカー・Amazon計)は合計約12.3%にとどまり、リアル店舗が購買の主戦場となっている。マタニティウェアは実際に着用感を確認したいというニーズが強く、「実物を見に行った」の約78.6%(図13参照)という高い比率ともこの傾向は一致する。リアル店舗での商品露出・棚確保がこのカテゴリーでは購買直結の施策として最優先と考えられる。
購入価格帯は「2,000〜4,000円」が過半数(→ 図12)
【最初の購入】の価格帯は「2,000〜4,000円」が約53.5%と過半数を占め、「〜2,000円」(約29.3%)と合わせると2,000円未満〜4,000円の価格帯が全体の約83%を占める(→ 図12)。マタニティウェアは使用期間が限定されるカテゴリーであることから、価格感度が高い実態が示されている。一方、約11.9%が4,000〜6,000円帯を選択しており、品質や機能性を重視する層も一定数存在することが分かる。主要ターゲットの購入価格帯を意識した価格設定と商品展開が重要と考えられる。
約79%が購入前に実物確認(→ 図13・図14)
比較検討に際して実物を確認しに行ったと回答した割合は約78.6%に上った(→ 図13)。確認した場所では「ベビー用品店(西松屋)」(約76.9%)が圧倒的首位で、「ベビー用品店(アカチャンホンポ)」(約55.3%)が続く(→ 図14)。マタニティウェアは着心地・素材・フィット感を重視する購買行動が強く、オンライン情報だけでは購入判断に至りにくい商材の特性が表れている。実物確認を促すリアル接点の整備は、購買転換率を高める上で不可欠と考えられる。
最初に購入したアイテムはパンツ・ワンピース・パジャマの順(→ 図15)
【最初に購入】したマタニティウェアの種類は「パンツ(ボトムス)」(約55.1%)がトップで、「ワンピース」(約49.1%)、「パジャマ・ルームウェア」(約37.0%)が続いた(→ 図15)。パンツが最多となった背景には、体型の変化に対応する実用的なボトムスへの需要が最初に高まりやすいことが考えられる。パジャマ・ルームウェアが3位に入っている点も、家での快適性を重視するプレママのニーズを反映していると考えられる。「最初の1枚」として検討されやすいパンツ・ワンピースへの重点的な商品開発・訴求がカテゴリー参入の鍵となると考えられる。
過半数が別ブランドへ買い足しを経験(→ 図16)
【最初の購入】以降に別ブランドのマタニティウェアを買い足した経験があると回答した割合は約51.6%であった(→ 図16)。約半数が購入後に他のブランドを試していることは、マタニティウェア市場においても消耗品・耐久消費財を問わずブランドスイッチが活発に起きていることを示している。最初の購入ブランドが固定されるわけではなく、購入後の継続的な接触施策が重要と考えられる。「最初の購入」で選ばれなかったブランドも、買い足しフェーズで逆転する機会が十分に存在すると考えられる。
買い足し時はインナーの需要が増加(→ 図17)
【買い足し時】に購入したアイテムは、「パンツ(ボトムス)」(約48.2%)がトップである点は初回と同じだが、「インナー」(約37.8%)が「ワンピース」(約40.1%)に迫る3位に浮上する(→ 図17)。初回購入では「パジャマ」(約37.0%)が3位であったのに対し、買い足し時にはインナーへの需要が増加している点が特徴的である。妊娠が進むにつれて肌に触れるアイテムへのこだわりが高まる可能性があると考えられる。買い足しフェーズにおけるインナー訴求は、新規獲得と差別化の双方で有効な施策になりうると考えられる。
買い足しブランドはユニクロ・西松屋・アカチャンホンポが拮抗(→ 図18)
【買い足し時】の購入ブランドは「ユニクロ」(約29.7%)、「西松屋」(約29.3%)、「アカチャンホンポ」(約29.3%)がほぼ同率でトップを並ぶ(→ 図18)。初回購入では西松屋が約40.0%と圧倒的首位であったのに対し(図8参照)、買い足し時には3ブランドが拮抗する状況に変化する。ユニクロが買い足し時に躍進している点は、「産後も使える」「汎用性が高い」というブランドイメージが買い足しフェーズに刺さりやすいことを示唆している。買い足しフェーズでは初回と異なるブランド選択が起きやすく、この局面に特化した訴求を設計することで既存ユーザーを取り込む余地があると考えられる。
買い足し理由でも「手頃な価格」がトップ、ただし「授乳対応」が4位に浮上(→ 図19)
【買い足し時】のブランド選択理由は「手頃な価格」(約45.0%)が最多で、初回購入(図9)と変わらない傾向を示した(→ 図19)。一方で注目すべき変化は、「授乳対応」(約24.3%)が4位に浮上していることである。初回購入では「授乳対応」は7位(約17.7%)であったが、出産・授乳を経験したことで授乳への対応機能が購買の判断基準として強く意識されるようになる可能性が高い。買い足しフェーズでは「授乳対応」の機能訴求が初回購入時以上に有効と考えられ、このフェーズに特化した訴求設計が購買転換につながると考えられる。
買い足し時期は妊娠7〜8ヶ月がピーク(→ 図20)
【買い足し時】最初に買い足した時期として「妊娠7〜8ヶ月」が約41.9%と最多であった(→ 図20)。初回購入(妊娠5〜6ヶ月:約41.2%)よりやや遅い時期にピークが来ており、お腹の成長に伴って追加購入が発生する実態が見て取れる。妊娠後期(9〜10ヶ月)での買い足しも約12.2%存在しており、出産直前まで購買機会が続くカテゴリーであることが分かる。買い足しに対応するアプローチは、初回購入訴求の1〜2ヶ月後をターゲットとする継続的な接触設計が有効と考えられる。
4. 調査項目
- お子さん(長子)の現在の月齢
- マタニティウェアを買ったことがあるか
- 【最初に】マタニティウェアの購入を検討し始めた時期(月齢)
- 【最初に】購入したマタニティウェアを検討するのにかかった時間
- 【最初に】マタニティウェアを購入した時期(月齢)
- どのマタニティウェアのブランドを知っているか(認知率)
- 【最初に】マタニティウェアを購入する際に比較検討したブランド
- 比較検討時に実物を見に行ったか
- 実物を見に行った場所
- 【最初に購入】したマタニティウェアの種類
- 【最初に購入】したマタニティウェアのブランド
- そのブランドを購入した理由(複数回答)
- 購入した理由の中で最も重視したもの(単一回答)
- 【最初に】マタニティウェアを購入した場所
- 【最初に購入】したマタニティウェアの価格帯
- 【最初の購入】以降、違うブランドのマタニティウェアを買い足したことがあるか
- 【買い足し時】購入したマタニティウェアの種類
- 【買い足し時】購入ブランド
- 【買い足し時】ブランドを選んだ理由
- 【買い足し時】最初に買い足した時期(月齢)
- マタニティウェアを購入していない・しなかった理由
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
本調査を通じて、マタニティウェア市場の購買プロセス全体像が明らかになった。まず認知・検討フェーズ(図1〜図3・図6・図7)では、購入経験者は約74%と多数派であるが、非購入理由の上位に「普段の服で代用できる」が挙がっており、マタニティ専用商品の差別化訴求が未購入層への鍵となる。認知では西松屋・アカチャンホンポ・ユニクロ・犬印本舗の4ブランドが圧倒的な地位を占め、後発ブランドの参入障壁が高い実態も示された。
購入行動フェーズ(図4〜図5・図8〜図12)では、検討開始・購入ともに妊娠5〜6ヶ月がピークとなり、「即決」が4割超と検討期間が極めて短い特徴が浮き彫りになった。購入理由の最多は「手頃な価格」(約48.4%)で、「産後も使える」(約36.0%)が続く。初回購入ブランドは西松屋が約40%と圧倒的シェアを有し、購入チャネルも西松屋の実店舗が主体となっている。購入価格帯は2,000〜4,000円が過半数を占め、価格感度の高さが確認された。
実物確認・チャネル行動フェーズ(図13・図14・図11)では、約79%が実物確認のためリアル店舗を訪問しており、店舗における商品体験の設計がこのカテゴリーにおいて依然として購買転換の最重要因子であることが確認された。オンラインのみでの購買完結率は現時点では低く、EC訴求とリアル体験の連携が課題になると考えられる。
買い足し行動フェーズ(図16〜図20)では、過半数(約52%)が別ブランドへの買い足しを経験しており、買い足し時期は妊娠7〜8ヶ月にピークが来ることが分かった。買い足し時には「授乳対応」への関心が初回より高まっており、妊娠後期から産後にかけての継続接触と機能訴求のシフトが有効であると示唆された。
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川)
【グラフ】図1〜図20(全グラフまとめ)

【出典】
【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「マタニティウェア市場調査2025(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/19349
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)


