調査レポート

『新型コロナウイルス感染症に関する調査⑤』コロナ禍においてママの思考・価値観はどのように変化しているのか?

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在宅_ママパパ

1.はじめに

今回は2020年8月に実施した「新型コロナウイルス感染症に関する調査」について、結果をまとめ、その一部を公開いたします。

新型コロナウイルス感染拡大により全都道府県に出されていた緊急事態宣言が5月25日に解除されてから4ヶ月が経とうとしています。誰もがこれまで経験したことのないような状況の中で、ママの思考や価値観はどのように変化したのでしょうか。

2018年と2019年に行った2つの調査結果と比較し、商品やサービスを購入する際に基盤となる「価値観」と、その価値観に一部影響を与えているであろう心理的な側面である「自己肯定感」の変化について考察します。

2.調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:妊娠中、ならびに0歳以上の子を持つ女性
調査期間:2020年8月19日(水)~2020年8月27日(木)
有効回答者数:2,698名

3.結果・考察

【ママの価値観の変化】

ママ_価値観
「各項目に対するあなたの考え・意識・行動を教えてください」という質問に対する2018年5月と2020年8月の調査結果の比較を行いました。被験者には、各項目に対して、「あてはまる、ややあてはまる、どちらともいえない、あてはまらない、全くあてはまらない」の5段階で回答してもらいました。

両調査とも、「休日は家族と過ごす」割合が最も高く(90.72%/2018年、92.26%/2020年)、次いで「できるだけ長く使えるものを使う」割合が高いという結果になりました。(79.93%/2018年、83.98%/2020年)

2018年の調査と2020年の調査で、とくに大きな上昇変動が見られたのは、「安全性に配慮して商品を購入する」「自分のライフスタイルにこだわって商品を選択する」「家事は家族と分担する」という3つの項目でした。

●「安全性に配慮して商品を購入する」割合は、2018年(70.30%)よりも2020年(82.34%)の方が12.04ポイント高くなりました。
新型コロナウイルス感染への恐怖から衛生・健康意識が高まったことが影響し、心身ともに、より安心安全を感じられる商品を購入したいという意識が強くなったことがうかがえます。

●「自分のライフスタイルにこだわって商品を選択する」割合は、2018年(57.54%)よりも2020年(67.50%)の方が9.96ポイント高くなりました。
感染防止の観点において「他人との接触を避けて生活する」という日常が長期間に及んでいるため、より自分が好む、何より自分が望ましいものを選択したいという意識が高まったのかもしれません。

●「家事は家族と分担する」割合は、2018年(57.42%)よりも2020年(70.23%)の方が12.81ポイント高くなりました。
在宅ワーク増加などの影響により、パートナーや家族が家で過ごす時間が増えたことが要因ではないかと推察できます。例えば、「昼食もパートナー分も用意する必要がある」、「家にいる時間が増えたため汚れが増えたり目に入ったりするため掃除する頻度が高くなった」などの理由が挙げられるのではないでしょうか。

【ママの自己肯定感の変化】

「次の各項目について、今現在のあなたのお気持ちをお答えください。」という自己肯定感を測る10の質問項目(Mimura & Girffiths (2007)による日本語版RSES-J 自尊感情を測定する尺度)を用いて、2019年9月と2020年8月の調査結果の比較を行いました。

ここでの自己肯定感とは、「自分は大切な存在」「自分はかけがえのない存在」だと思える心の状態のことを言います。

<自己肯定感を測る10の質問項目>
1.私は、自分自身にだいたい満足している。
2.時々、自分はまったくダメだと思うことがある。
3.私にはけっこう長所があると感じている。
4.私は、他の大半の人と同じくらいに物事がこなせる。
5.私には誇れるものが大してないと感じている。
6.時々、自分は役に立たないと強く感じることがある。
7.自分は少なくとも他の人と同じくらい価値のある人間だと感じている。
8.自分のことをもう少し尊敬できたらいいと思う。
9.よく、私は落ちこぼれだと思ってしまう。
10.私は、自分のことを前向きに考えている。

これらの各項目に対して、「4=強くそう思う、3=そう思う、2=そう思わない、1=強くそう思わない」という4段階で回答してもらいました。ただし、2.5.6.8.9の質問に関しては「4=強くそう思わない」「3=そう思わない」「2=そう思う」「1=強くそう思う」で測ります。また、自己肯定感の高低基準は、上記10の質問結果の合計が「30点以上を高い、20点以下を低い」とされています。

ママ_自己肯定感

では、ママの自己肯定感の変化をみてみると、妊婦さんでは「自己肯定感が高い」割合は、2019年(18.30%)よりも2020年(20.60%)の方が高く、同様に、子育て中ママも「自己肯定感が高い」割合は、2019年(14.62%)よりも2020年(18.73%)の方が高い結果となりました。

では、自己肯定感が高い割合が増えた理由とはどのようなことでしょうか。自己肯定感が高いグループに属するママに対して聞いた「自己肯定感が高くなる理由」のフリーアンサーから探っていきたいと思います。
  
<自己肯定感が高くなると思う理由>
●「育休中であり、コロナの影響から自宅で過ごすことが多くなっているが、夫や子どもから必要とされていると感じた」

●「コロナの影響と妊娠中なのもあってほとんど自宅で過ごしているが家事や子育てなど旦那によくやったと言ってもらえた時に感じる」

●「コロナの中でも、子どもを毎日生かして育てて、元気に過ごしているだけでもよく出来ていると自分で肯定感を感じて過ごしている」

まず、「パートナーや子どもから必要とされる」「褒めてもらえる」ことが理由のひとつとして挙げられるようです。

コロナ禍では家族が家にいることが多いため、以前と比べてママが子育てや家事などを行う量が増えた反面、その分「必要とされている」と感じる機会が増えたのかもしれません。

そして、パートナーが子育てや家事をしているママの姿を見る機会が増えたことも大きな変化でしょう。ママの奮闘している姿を目の当たりにすることで、自然と感謝の気持ちを伝えたり、褒めてあげたりといったことが実践できているのかもしれません。

次に、「自分なりによくできていると思うから」という理由はとても興味深いものです。他人と比べることなく、自分で自分を評価するママ達が増えているのかもしれません。コロナ禍においては、他人との接触を控える傾向にあるため、周りのママ達と自分を比較する機会が少なくなっていることも影響している可能性があります。

新型コロナウイルス感染への不安や恐怖といった感情を抱えながらも、子どものため、日々、自分を鼓舞しつつ生活しているママ達の精神的な強さを感じられる結果と言えるのではないでしょうか。

4.おわりに

 
以上、コロナ禍におけるママの思考・価値観はどのように変化しているのかについてご紹介しました。

2018年よりも「家事は家族と分担することを前提に、安全性に配慮し、自分のライフスタイルに合致した」ものやサービスを選ぶ傾向にあろうことが分かりました。

また、ママの自己肯定感においては、高いグループに属するママの割合が2019年よりも増加していることが分かりました。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、社会不安が蔓延している状況において、ひとつの明るい結果であるといえるのではないでしょうか。

コズレ子育てマーケティング研究所では、このように変化していく子育ての現状をお伝えするとともに、今できる支援とは何かを明らかにしていきます。

本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。(コズレ子育てマーケティング研究所 山内)

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。

出典:「新型コロナウイルス感染症に関する調査(株式会社コズレ)」
https://cozre.co.jp/5014/
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)

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