調査レポート

『新型コロナウイルス感染症に関する調査⑧』コロナ禍における出産の実態調査~ママたちのコロナとの向き合い方を考える~

  • LINEで送る
コロナ禍_出産

1.はじめに

国内で新型コロナウイルスが流行し始めてから10ヶ月。

コロナ流行以前に妊娠し、コロナ禍での出産を乗り越えたママたちは、現在子育てに奮闘している。誰も経験したことがないコロナ禍での出産は、ママたちの希望どおりのものとなったのか、また実際にはどのような制限があったのか。

第3回目では、ママたちの声を織り交ぜながら、コロナ禍での出産の実態について報告する。

2.調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ 
調査対象:生後0ヶ月から生後8ヶ月までのお子さんをもつ女性
調査期間:2020年10月23日(金)~2020年11月6日(金)
有効回答者数:1,141名

※国内感染者数が200名を超えた2020年2月以降をコロナ流行後とし、調査時点のお子さまの月齢が「生後0ヶ月」~「生後8ヶ月」と回答した被験者(2020年2月以降に出産されたママ)を調査対象とした。

3.調査概要

・出産時に希望することのうち、パートナーの面会を実現できたのは61.70%、パートナーの立ち合い出産を実現できたのは52.79%。

・「コロナ禍での妊娠出産に対する支援として今後必要だと思うこと」として、最も多かったのは、「立ち合い出産に代わる産院での撮影・記録」(58.98%)。

4.結果・考察

①コロナ禍での出産の実態

コロナ禍で出産したママたち(n=1,141)に対して、出産時に希望したこと、そのうち実際にできたことを聞いた。

最も希望が多かったのが「面会(パートナー)」(73.01%)であったが、実現できたのはそのうちの61.70%に留まった(図1)。面会ができないということは退院するまで、パートナーと赤ちゃんが対面できないということであり、感染リスクを最小限にするため、家族にも我慢が強いられた実状が明らかになった。

次に希望が多かったのが「立ち合い出産(パートナー)」(67.57%)であったが、実現できたのは52.79%であり、出産時の妊婦たちは一人での出産に不安を感じたことが想像できる。また、パートナーの立ち会い出産が実現した割合は「面会(パートナー)」よりも低くなった。
コロナ禍_出産

続いて、実際に出産されたママたちに、コロナ禍での病産院の状況について聞いた。

その結果、「面会に制限があった」のは93.86%にも上り、病産院としても、未知のウイルスから赤ちゃんを守るために厳しい対応していたことがわかる(図2)。また、「立ち合い出産に制限があった」のも83.87%となっており、こちらも同様に厳しい対応がとられていた。

また、「パパママ学級が中止」(80.01%)されるなか、「パパママ学級の方法・内容が変更された」(61.35%)ことで、病産院としてもパパママに対して工夫をしながら必要な情報を届けていたことがわかった。

さらに「マスクをしての出産」を経験した妊婦が29.10%いたことから、妊婦たちも大変な出産を乗り越えた実状が明らかになった。後述する自由回答記述からも「マスクをしての出産で胎児の心拍が下がった」、「出産時のマスク着用は本当にきつかった。苦しいと言っても外すのは出来ないから酸素マスクで!と言って替えられた」という回答が得られている。
コロナ禍_産院_状況

②コロナ禍での妊娠出産に必要な支援

これらの状況を踏まえ、実際にコロナ禍で出産したママたちに、「コロナ禍での妊娠出産に対する支援として今後必要だと思うこと」を聞いた。

最も多かったのは、「立ち合い出産に代わる産院での撮影・記録」(58.98%)となった(図3)。これはコロナ禍での出産では立ち合い出産ができず、誕生の瞬間を満足する形で記録できなかったからだと考えられる。一方で、「立ち合い出産に代わるオンライン出産」を望む声は29.10%に留まった。このことからママたちは、立ち会うことだけでなく、立ち会うことで赤ちゃん誕生の記録をして欲しいとも考えていることがわかった。

次いで「妊婦へのPCR検査の全額補助(自己負担なし)」(58.46%)、「コロナ禍での収入減に対する金銭的な補助(53.72%)」と、行政による金銭的な支援策を望む声が上がった。

自由回答記述では、「緊急事態宣言真っ只中での出産でしたが、あと数日、、といったギリギリのところで子供への10万円給付がされませんでした。同じコロナ渦の中大変な思いをしたのにたった数日でこの差をつけられるのは本当に悲しい」といった声が見られた。

また、「宅配スーパー・ネットスーパーの送料負担」(47.33%)や「集団健診に代わる、個別健診・予防接種」(42.33%)などの赤ちゃんを連れての外出機会を減らすことを望む声も半数近くに及んだ。
コロナ禍_出産時_サービス

最後に、コロナ禍における妊娠・出産について、困ったことや不安なことをコロナ禍で出産したママたちに自由回答記述で聞いた。その中でとくに印象的なのは「面会(できない)」「立ち合い(できない)」というワードである。そして、「不安」「辛い」「大変」「怖い」という感情を表すワードも多く見受けられた。以下に自由回答記述の一部を記載する。

【妊娠期間中】
・妊娠中、コロナが流行りだしたが、妊婦や胎児に関するコロナの情報が少なくて不安だった。とにかく妊娠中だけはかかりたくない、そんな気持ちで毎日を過ごした。

・パパママ学級や妊娠中のさまざまなイベントが中止になり、第一子のため、出産への不安が大きかった。

【出産時】
・立ち合い出産はもちろん禁止、館内立ち入りも禁止で、孤独でした。せめて助産師さんがずっとついていてほしかったです。陣痛が5分間隔になるまで個室で1人きりで陣痛に耐え、本当に辛かったです。

・1人目の妊娠出産でとても不安でしたが私と子供とで頑張りました。立ち会い出産希望していましたがダメで面会もダメでとてもとても不安で寂しかったです。もっと病院で写真など沢山撮りたかったですが余裕もある訳もなく全然とれてないのが残念です。

・入院期間中もパートナーが仕事のため上の子も一緒に居られる様に、予定では家族も泊まれる病室を希望していたが、コロナの影響で家族は泊まれなくなり、上の子の面倒を見てくれる人が居なくて困った。

・コロナで立ち会い出産が出来なかったのが心残り。県をまたぐ移動がダメだったため娘がパパに会えたのが生後2ヶ月近かったこと。

【コロナ禍で感じたこと】
・5月初めの出産でした。予定していた両親学級なども全て中止、立ち会いなども完全にできないなど、いきなり決まることが多く振り回された妊婦生活でした。4月27日までしか受け付けられなかった給付金、出産が終わってからのタクシー券配布など、全てが間に合わない、結局何も受けられなかったことは、大変な時期に出産を迎えた私たちのことを本当に考えてくれているのかと、悔しくなる思いばかりでした。

・誰のせいでもないことですが、助けてもらいたい、でも助けてくれる人がコロナをもっていたら?と不安になるから利用できない、そんな悪循環のなかにいます。

・コロナベビーと言われるのがとても嫌です。

5.おわりに

コロナ禍での妊娠・出産という、誰も経験したことのない状況下。ママたちは現実を受け止めて、できること(予防)に努め、立ち合いや面会の制限があるなかで、不安や孤独などの気持ちを抱えながら出産に臨んだ。そして、現在もコロナ禍という従来と異なる環境で子育てをしている。

妊娠・出産・育児に関わる周囲の人、企業、病産院、行政が、そんなママたちの声に耳を傾け寄り添い、本当に求められているサポートやサービスの提供が一層すすむことに期待したい。

コズレ子育てマーケティング研究所では、このように変化していく子育ての現状をお伝えするとともに、今できる支援とは何かを明らかにしていきます。

本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。(コズレ子育てマーケティング研究所 惣宇利)

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。

出典:「新型コロナウイルス感染症に関する調査(株式会社コズレ)」
https://cozre.co.jp/5291/
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)

  • LINEで送る

コズレは子育て世帯マーケティングの
新たな視点をご提供します

自社や自社製品・サービスが、どのように認知されているのかを知りたい方、そもそもどのように消費者に認知させるべきなのか、もしくはプロモーション策を立てる必要があるのか等でお悩みの方は、ぜひともコズレ子育てマーケティング研究所にご連絡ください。
新たな視点をご提供させていただきます。また、具体的企業名など、本調査の詳細レポート等はお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら