調査レポート

『新型コロナウイルス感染症に関する調査④』 ゴールデンウィーク・母の日の過ごし方に見るwithコロナでの家族イベントの行動・意識の変化

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子育て_ママパパ

1.はじめに

昨年のゴールデンウィークは、令和10連休という特別な長期休暇でした。
一方、今年のゴールデンウィークは新型コロナウイルス感染拡大により、緊急事態宣言が出された中で迎えることとなり、また別な意味で特別な長期休暇となりました。

続いて5月10日に迎えた母の日についても、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中、例年のように実母・義母と外食するなどの移動を伴う行動が制限された状態でした。

このような、外出もままならない状況下で、妊娠中や育児中の子育て世帯は、どのようなゴールデンウィーク、母の日を過ごしたのでしょうか。

昨年、2019年5月に実施した調査結果と比較することで、コロナ禍における家庭イベントの過ごし方にどのような変化が見られ、子育てママ・パパたちがどのような状況で子育てと向かいあっているのかを分析します。

2.調査

■ゴールデンウィークの過ごし方に関する調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:子どもがいる(妊娠中を含む)男女
(今年:2020年調査)
調査期間:2020年6月5日(金)~2020年6月11日(木)
有効回答者数:1,252名
(昨年:2019年調査)
調査期間:2019年5月14日(火)~2019年5月20日(月)
有効回答者数:2,069名

■母の日の過ごし方に関する調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:子どもがいる(妊娠中を含む)男女
(今年:2020年調査)
調査期間:2020年6月5日(金)~2020年6月11日(木)
有効回答者数:1,252名
(昨年:2019年調査)
調査期間:2019年5月27日(月)~2019年5月31日(金)
有効回答者数:1,909名

3.トピック

・今年のゴールデンウィークの総合満足度(ポジティブ回答割合)は2019年調査に対し-10ポイントであった。

・ゴールデンウィーク中のパートナーの子どもとの関わりは日中の活動よりも夜の時間帯が中心となっていた。

・ゴールデンウィーク中のパートナーの家事・育児への参加状況は、育児よりも家事のほうが進んだ。

・今年の母の日の総合満足度(ポジティブ回答割合)は2019年調査に対し+9ポイントだった。

・母の日の過ごし方では「家族でゆっくり過ごせた」のポジティブ回答割合が前年調査に対し+11ポイントと大きく増加した。

・一方で出産後の子育てママは家事・育児から解放されることはなく、「ひとりでゆっくり過ごせた」と回答したのは、子育てママ全体の2割だった。

4.結果・考察

(1) 【ゴールデンウィーク】パートナーの育児・家事への参加状況

子どもの年齢で「生後0ヶ月以上」と回答し、かつ同居の家族として「パートナー」を含む回答者(2019年調査 n=1143、2020年調査 n=370)に、ゴールデンウィーク中のパートナーの育児参加を5項目につき、「非常にそう思う」「そう思う」「どちらともいえない」「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」の5段階評価で聞いた結果が下記である。(図1)

「子どもと一緒に遊ぶ」「子どもの身支度(着替え・おむつ)を手伝う」「子どもの食事の世話をする」の3項目は、2020年調査のポジティブ回答(5段階評価のうち「非常にそう思う」「そう思う」のいずれかに回答)の割合が2019年調査を下回る結果となった。一方、2019年調査を上回ったのは、「子どもをお風呂に入れる」「子どもを寝かしつける」であることがわかる。

昨年のゴールデンウィークでの育児参加に比べ、パートナーの子どもとの関わりは日中の活動よりも夜の時間帯が中心となっていたようである。

        <パートナーはいつもの休日に比べて、連休中に育児参加していましたか>図1.パートナーのGW中の育児参加状況

では続いて、同じく子どもの年齢が「生後0ヶ月以上」と回答した人について、パートナーの家事参加状況をみる。(図2)

家事参加状況は、「掃除」「洗濯」「炊事」「片付け」の4項目について、パートナーの参加状況を「非常にそう思う」「そう思う」「どちらともいえない」「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」の5段階で聞いた。2020年調査のポジティブ回答の割合が、4項目すべてで2019年調査を上回る結果となった。

ステイホームで迎えたゴールデンウィーク中のパートナーの家事・育児への参加状況は、育児よりも家事のほうが進んだようである。

<パートナーはいつもの休日に比べて、連休中に家事参加していましたか>
図2.パートナーのGW中の家事参加状況

(2) 【ゴールデンウィーク】パートナーとの夫婦時間の過ごし方

子どもがおり、同居の家族として「パートナー」を含む回答者(2019年調査 n=1925、2020年調査 n=1544※両年とも妊娠期含む)に、ゴールデンウィーク中のパートナーと過ごす時間について3項目を5段階評価で聞いた。(図3)

すべての項目で2020年調査のポジティブ回答(5段階評価のうち「非常にそう思う」「そう思う」のいずれかに回答)の割合が、2019年調査の同割合を10ポイント以上、上回る結果となった。

2019年調査では、自分自身やパートナー自身について「ゆっくり話す時間が取れた」と回答したポジティブ回答の割合は35%程度であったが、2020年調査で半数を超えているのが興味深い。

<あなたはいつもの休日に比べて、連休中に夫婦で過ごす時間を取れましたか>図3.GW中の夫婦時間

(3) 【ゴールデンウィーク】総合満足度

2019年調査・2020年調査とも、子どもがいる回答者すべてに、ゴールデンウィークの総合満足度を聞いたところ、ゴールデンウィークの総合満足度(ポジティブ回答割合)は2019年調査に対し10ポイント以上、下回る結果となった。(図4)

<ゴールデンウィークに対する総合満足度>図4.GWの総合満足度

しかし、今回の調査においてゴールデンウィークに対する感想(自由回答形式)を聞いたところ、下記のような記述があった。

・はじめての育児であたふたするなか、旦那もネットなどで色々調べておむつかえやお風呂に入れてくれた。夜も起きてくれてた。イクメンでびっくりした。これから2人で協力して子育てできそうだなって安心した。

・私は出産もありましたが、旦那の仕事が休みのため、ゆっくりできました!家族で過ごせる時間が良かったです!今年はコロナで外出してませんが、家で会話をする時間もあり充実した時間が良かったです!

2020年のゴールデンウィークは、新型コロナウイルス感染拡大により、例年のように行楽や帰省など外出や移動を伴う楽しみ方をするということが難しい状況だったため、総合満足度は低くなったと予想される。しかしながら、パートナーの家事参加や、家族でゆっくり過ごす時間については前年調査よりポジティブの割合が増加したため、今後の家族での過ごし方が良い方向に変わってくることを期待したい。

(4) 【母の日】ママ自身に対するお祝い内容

次に、母の日について見ていく。誰に対して母の日のお祝いをしたか(されたか)という質問に対し、「あなた」(ご自身)と回答した人のうち女性のみ(2019年調査 n=159、2020年調査 n=84)に、ママ自身に対する母の日のお祝い内容を聞いた。

ママ自身に対するお祝いの内容は、2019年調査・2020年調査とも「プレゼント」が第1位であった。しかし2020年調査の「プレゼント」の回答割合は、2019年調査に対し、8ポイントマイナスとなっている。また、2020年調査では、2019年調査に対し「外食」(2019年第2位、2020年第3位)と「パートナー・子どもの手料理」(2019年第3位、2020年第2位)の順位が逆転していることがわかる。(図5)

2020年の母の日は、外出制限のかかる中、妊娠期や乳幼児を育てるママに対しての感謝の気持ちを手作りのおもてなしで伝えた層が一定数増加したようだ。

<あなたに対して母の日にされたお祝いとは何ですか>図5.ママ自身への母の日のお祝い内容

(5) 【母の日】今年の過ごし方

続いて、母の日をどのように過ごしたかについての結果をみる。子どもがいると回答した人のうち女性のみ(2019年調査 n=1897、2020年調査 n=1224)に、母の日の過ごし方に対する評価を「ひとりでゆっくり過ごせた」「子どもとゆっくり過ごせた」「家族でゆっくり過ごせた」「家事から解放された」「育児から解放された」「普段の休日とまったく変わらなかった」の6項目につき、「非常にそう思う」「そう思う」「どちらともいえない」「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」の5段階で回答してもらった。

2019年調査では「普段の休日と変わらなかった」のポジティブ回答が他の項目に比べ最も多かったのに対し、2020年調査は「家族でゆっくり過ごせた」が「普段の休日と変わらなかった」を抜きトップとなり、割合も+11ポイントと大きく増加した。(図6)

<母の日の過ごし方で、もっとも近いものをお選びください>
図6.母の日の過ごし方

次に、2020年調査の母の日の過ごし方の回答結果を、子どもを出産後の子育て中のママに絞って分析をした。

子育て中のママ全体(n=483)は、子ども・家族とはゆっくり過ごせた半面、家事・育児から解放されることはなく、「ひとりでゆっくり過ごせた」と回答したのは、子育てママ全体の2割だった。(図7)

<母の日の過ごし方で、もっとも近いものをお選びください>
図7.【子育てママ全体】母の日の過ごし方

(6) 【母の日】総合満足度

最後に、母の日に対する総合満足度を「非常に満足」「やや満足」「どちらともいえない」「やや不満」「非常に不満」の5段階で聞いた。母の日に対する総合満足度に「非常に満足」「やや満足」と回答した人は、2020年調査では59.07%で、2019年調査の49.60%に対し+9ポイントとなった。(図8)

<今年の母の日に対する総合満足度を教えてください>
図8.母の日の総合満足度

コロナ禍による緊急事態宣言下で迎えた母の日は、前年に比べ家族で共に過ごす時間が多いことが影響し、総合満足度も前年を上回る結果となったということが推測される。

5.おわりに

2020年のゴールデンウィーク・母の日は、新型コロナウイルス感染拡大により、これまでとは異なる状態で迎えることとなった。全国的な緊急事態宣言が発令され、終わりの見えない閉塞感が社会に蔓延する中、不安を抱えたまま迎えた家族イベントに対する満足度はゴールデンウィーク・母の日とも昨年に比べ低いものとなることが予想された。

しかし調査結果は、ゴールデンウィークと母の日で対照的な数値となった。

ゴールデンウィークに関しては、新型コロナウイルス感染拡大により、例年のように行楽や帰省など外出や移動を伴う楽しみ方をするということが難しい状況だったため、家の中での育児や家事の負担がさらに大きく感じられ、総合満足度は低くなったのかもしれない。

一方、今年の母の日に対する総合満足度は、前年を大きく上回る結果となった。長期間にわたるゴールデンウィークと比べ、1日のみの記念日であるため、オンラインのコミュニケーションや手作りのふるまいなどを活用し、満足度の高い休日を過ごすことができたと予想される

まもなく迎えるwithコロナ下での今年の夏季休暇は、例年より長く仕事がお休みとなる家庭も多いかもしれない。パートナーをはじめとした家族の家事・育児への参加がより一層促進され、家族でゆっくり過ごす時間とともに子育てママの自分時間の確保が進むことに期待したい。

本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。 (コズレ子育てマーケティング研究所 後藤・惣宇利)

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。

出典:「『新型コロナウイルス感染症に関する調査④』ゴールデンウィーク・母の日の過ごし方に見るwithコロナでの家族イベントの行動・意識の変化(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/4769

(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/

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