調査レポート

大都市 vs 地方 子育て環境・意識調査
~子育てしやすいのは都市か地方か?実感に大きな差なし~

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1. はじめに

子育て環境は住む地域によって大きく異なると語られることが多い。とりわけ「大都市は便利だが負担が大きい」「地方はゆとりがあるが選択肢が少ない」といった対比は広く共有されている。しかし、実際に子育て世帯が感じている負担や不安、そして移住への意向が地域でどう異なるのかを、データで捉えた調査は多くない。そこで本調査では、大都市と地方に住むママパパを対象に、子育て環境への実感、負荷の内容、サポートの充足、移住意向の違いを明らかにした。

なお、本調査では便宜上、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・愛知県・大阪府を「大都市」、それ以外を「地方」と分類している。なお、「地方」には地方中核都市や郊外エリアも含まれるため、過疎地域のみを指すものではない。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

2. 調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:大都市(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・愛知県・大阪府)および地方(それ以外)に居住する、お子さまを持つママパパ
調査期間:2026年5月20日(火)〜2026年6月8日(日)
有効回答数:436名(大都市168名・地方268名)

3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図10)は、記事末尾にまとめて掲載しています。

各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。

「子育てしやすさ」の総合実感に大きな地域差はない(→ 図1・図2)

現在「子育てしやすい環境にいる」と感じる(「とてもそう思う」+「ややそう思う」)割合は、大都市が約85%、地方が約80%であり、いずれも8割を超えた(→ 図1)。子育てに関する不安や孤独感を感じる(「頻繁に」+「時々」)割合も、大都市が約57%、地方が約58%とほぼ同水準であった(→ 図2)。

地域による生活環境の違いは大きいものの、子育てのしやすさや不安感という「総合的な実感」のレベルでは、地域差は限定的であると考えられる。ただし「頻繁に不安を感じる」は地方が約11%と大都市の約8%をやや上回り、孤立感が局所的に強まる層の存在が示唆される。

子育て支援の訴求においては、地域を問わず一定の不安層が存在する前提で設計することが有効と考えられる。

地方のメリットは「車移動・治安・住まいの広さ」に集中(→ 図3)

住環境のメリットでは、「買い物や生活導線が便利」が大都市・地方ともに約56%で最多となり、利便性の実感に差はみられなかった(→ 図3)。一方で、「車移動がしやすい」(地方約38%/大都市約24%)、「治安が良い」(地方約39%/大都市約31%)、「住居が広い」(地方約28%/大都市約20%)は、いずれも地方が大都市を上回った。

これらは地方の物理的・空間的なゆとりを反映していると考えられる。

地方を主戦場とする商材では、車移動や住空間の広さを前提とした提案が受け入れられやすいと考えられる。

地方は教育・医療・選択肢の「少なさ」への不安が顕著(→ 図4)

住環境への不満・将来不安では、大都市は「あてはまるものはない」が約64%に達したのに対し、地方は約43%にとどまった(→ 図4)。具体的な項目では、「子どもの将来の選択肢が限られる」(地方約23%/大都市約9%)、「医療機関が少ない」(地方約24%/大都市約15%)、「教育の選択肢が少ない」(地方約25%/大都市約16%)と、いずれも地方が大都市を上回った。

地方では、日常の不便さよりも、子どもの将来に関わる「選択肢の限られ」への不安が相対的に強いことがうかがえる。

教育・医療・進路に関わる商材は、地方世帯の潜在的な不安に応える訴求がフックになりうると考えられる。

子育ての「負荷」の中身は都市と地方で大きく異なる(→ 図5)

子育ての負荷では、大都市は「保育園・学童が激戦」(約36%/地方約23%)、「住宅が狭い・家賃やローンが高い」(約45%/地方約37%)が地方を上回った(→ 図5)。一方、地方は「教育費や生活費がかかる」(約54%/大都市約47%)、「同世代の親が少なくコミュニティを作りにくい」(約24%/大都市約17%)で大都市を上回った。

負荷の総量に大きな差はないものの、その内容は大都市が「保育・住居」、地方が「費用・つながり」へと分かれていると考えられる。

負荷軽減を訴求する際は、大都市では保育・住居、地方では費用・孤立対策と、地域ごとに異なる切り口が求められる。

大都市はコミュニティ・情報面のサポート実感が高い(→ 図6)

子育てを支える情報・サービスの充足では、「地域のコミュニティやイベントが充実」(大都市約33%/地方約24%)、「子育て情報が得られやすい」(大都市約32%/地方約20%)で大都市が地方を上回った(→ 図6)。一方、「子育て支援サービスが豊富」は両者とも約27%で差がみられなかった。

大都市は人口密度の高さを背景に、コミュニティや情報へのアクセス面で優位にあると考えられる。

地方向けには、地域コミュニティや情報の不足を補うオンラインのつながり・情報提供が価値を持ちやすいと考えられる。

重視点は「医療」「治安」が共通の上位、地方は「車移動」を重視(→ 図7)

「子育てのしやすさ」を決める要素として、「医療機関の充実」(大都市約67%/地方約64%)と「治安の良さ」(大都市約64%/地方約55%)が両地域で上位を占めた(→ 図7)。最大の違いは「車移動の利便性」で、地方が約33%と大都市の約13%の約2.5倍に達した。

地方では車が生活の前提であり、移動環境が子育てのしやすさに直結していることがうかがえる。

地方世帯への訴求では、車移動を軸とした生活シーンの提案が共感を得やすいと考えられる。

移住意向は大都市住民の方が高い(→ 図8)

異なる地域への移住意向(「ぜひ」+「機会があれば移住したい」)は、大都市が約44%と、地方の約32%を上回った(→ 図8)。「全く移住したくない」は地方が約36%で大都市の約21%を上回り、地方住民の定着志向の強さがうかがえる。

大都市住民の一定数が、子育てを機に地方への移住を選択肢として意識していることが示唆される。

自治体の移住促進や住宅・地方サービスの訴求では、大都市の子育て世帯が有望なターゲット層になりうると考えられる。

移住の二大障壁は「仕事」と「収入」(→ 図9)

移住意向者にその障壁を尋ねると、「仕事(就職先・キャリアの継続)」(大都市・移住意向約60%/地方・移住意向約64%)と「収入の減少や生活費の変動」(大都市・移住意向約60%/地方・移住意向約60%)が、いずれも約6割で二大障壁となった(→ 図9)。地方への移住意向者では「コミュニティへの馴染みにくさ」(約41%)が、大都市への移住意向者では「子どもの教育環境」(約38%)が次ぐ懸念となっている。

移住の意思があっても、経済・キャリアの不確実性が決断を阻んでいると考えられる。

移住支援では、仕事と収入の見通しを具体的に示すことが、意向を行動に転換する鍵になると考えられる。

満足度を支えるのは「パートナー」「実家・親族」という身近な人的要因(→ 図10)

子育ての満足度を最も支える要素は、両地域とも「パートナーの積極的な育児参加」(大都市約32%/地方約35%)が最多で、次いで「実家や親族との距離の近さ」(大都市約27%/地方約30%)が続いた(→ 図10)。地域そのものの環境や支援サービスを挙げた割合は相対的に低い。

子育ての満足度は、住む地域の条件よりも、パートナーや親族といった身近な人的サポートに大きく左右されると考えられる。

地域差を超えて、家庭内・親族の支援を補完・代替する商材やサービスに普遍的なニーズがあると考えられる。

4. 調査項目

  • 一番上のお子様(長子)の年齢
  • お住まいの地域
  • 現在、ご自身が「子育てしやすい環境」にいると感じるか
  • 子育てに関する不安や孤独感を感じる頻度
  • 現在の住まいの環境でメリットだと感じるもの(複数回答)
  • 現在の住まいの環境で不満や将来への不安を感じるもの(複数回答)
  • 現在の住まいの環境で子育ての負荷になっているもの(複数回答)
  • 子育てをサポートする情報・サービスについてあてはまるもの(複数回答)
  • 「子育てのしやすさ」で特に重視する要素(最大3つ)
  • 異なる地域へ移住して子育てをしたいか(移住意向)
  • 実際に移住する上での高い障壁になっているもの(移住意向者・複数回答)
  • 子育ての満足度を最も支えている(支えになっている)と感じる要素(単一回答)

※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

5. おわりに

大都市・地方のいずれも約8割が「子育てしやすい環境にいる」と感じ、不安や孤独感を抱く割合も同水準であった。子育てのしやすさや不安感という総合的な実感のレベルでは、地域差は小さいことが分かった(図1・図2)。

一方で、メリットと負荷の「中身」は明確に分かれた。地方は車移動・治安・住まいの広さに強みを持つ反面、教育・医療・将来の選択肢の少なさに不安を抱える。大都市は保育園激戦や住宅費が負荷となるが、コミュニティや情報面のサポートは相対的に充実している(図3〜図6)。

重視点は「医療」「治安」が両地域で共通する一方、地方では「車移動」が突出した。移住意向は大都市住民で高く、その障壁は「仕事」と「収入」に集約される(図7〜図9)。

そして、子育ての満足度を最も支えていたのは、住む地域の条件よりも、パートナーの育児参加や実家・親族との近さといった身近な人的サポートであった(図10)。

コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。

(コズレ子育てマーケティング研究所 早川) お問い合わせはこちら

【グラフ】図1〜図10(全グラフまとめ)

【出典の記載についてのお願い】

調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「大都市 vs 地方 子育て環境・意識調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/19650
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)

この記事の著者

株式会社コズレ 取締役 早川修平の写真

著者: 早川 修平(株式会社コズレ 取締役/MBA)

NTT東日本にて法人営業、マーケティング、経営企画を経験後、慶應義塾大学大学院(在学中、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院へ留学)にてMBAを取得。戦略コンサルティングファーム「ローランド・ベルガー」にて自動車・金融業界など幅広いクライアント向けにマーケティング戦略立案、ビジネスプロセス改善の支援に従事。

その後、子育て世代向けWebメディア「コズレ」を創業期から運営責任者として牽引し、会員数100万人超のプラットフォームへと成長させる。累計500件以上の子育て世帯を対象とした市場調査を主導し、育児用品メーカーや子育て関連サービス企業向けに、定量・定性データに基づくマーケティング戦略やプロモーション施策を多数提案・実行している。また、子育て世代の購買行動やニーズを踏まえたマーケティング手法に関するセミナーや講演会の講師も務める。

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