調査レポート

子育て世帯における「紙おむつ」市場調査2026

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1. はじめに

紙おむつは、出産準備から卒業まで毎日のように消費される、子育て世帯にとって最も身近な消耗財の一つである。主要ブランドの認知はいずれも高水準で並び、機能・価格・入手性が拮抗するなかで、ママがどのタイミングで何を基準にブランドを選び、どのように買い替えていくのかという購買プロセスの実態は、必ずしも明らかになっていない。そこで本調査では、認知から初回購入、そして買い替えに至るまでの一連の購買行動を、生後1歳以上の子を持つママの視点から明らかにした。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

2. 調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:生後1歳以上の子を持つコズレ会員
調査期間:2026年1月21日(水)〜2026年2月28日(土)
有効回答数:570名

3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図17)は、記事末尾にまとめて掲載しています。

各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。

紙おむつの購入経験はほぼ全数に行き渡る(→ 図1)

紙おむつを買ったことが「ある」と回答した割合は約99.5%であり、1歳以上の子を持つ層では未購入はごく一部にとどまった(→ 図1)。

この水準の背景には、紙おむつが育児の初期から事実上の必需品として浸透している実態があると考えられる。

新規需要の開拓余地は小さく、初回のブランド選択と買い替え時の指名獲得こそが競争の主戦場になると示唆される。

検討開始・初回購入はともに「妊娠後期」が起点(→ 図2・図4)

購入の検討を始めた時期は妊娠後期が約57.8%と過半を占め、初回購入の時期も妊娠後期が約57.3%、続いて生後0か月が約26.8%であった(→ 図2・図4)。

意思決定が出産前の準備期に前倒しされている背景には、出産直後の慌ただしさを見越して事前に備えようとする心理があると考えられる。

妊娠後期から出産直後にかけてのタッチポイント設計が、初回ブランド獲得の鍵を握ると示唆される。

検討期間は「即決」が約6割(→ 図3)

紙おむつの検討にかかった期間は「即決」が約58.2%と最多で、「1日以内」の約13.2%を加えると、短時間で決定する層が大半を占めた(→ 図3)。

短い検討時間で決まる背景には、検討に入る前の段階で接触した情報やブランドイメージが、そのまま選択に結びついている可能性がある。

検討フェーズに入る前の認知形成と好意形成が、結果を大きく左右すると考えられる。

認知率トップは「パンパース さらさらケア」だが上位は僅差(→ 図5)

知っているブランドはパンパース さらさらケアが約76.0%で首位だが、グーン・ムーニー・メリーズなど主要ブランドが約73〜75%で僅差に並んだ(→ 図5)。

上位ブランドの認知がほぼ横並びである背景には、各社が長年にわたり広範な露出を続けてきた市場の成熟があると考えられる。

認知の高さだけでは差がつきにくく、第一想起や検討リスト入りでの優位が必要になると示唆される。

比較検討ではパンパース2製品が上位を占める(→ 図6)

初回購入時に比較検討されたブランドは、パンパース はじめての肌へのいちばんが約45.9%、さらさらケアが約45.0%と上位を占めた(→ 図6)。

認知が横並びであるのに対し検討段階ではP&Gが抜け出している背景には、出産準備層に向けた訴求やサンプル接触の強さがあると考えられる。

検討リストに入り込む力こそが、P&Gの初回獲得を支えていると示唆される。

初回購入は「パンパース はじめての肌へのいちばん」が最多(→ 図7)

実際に初めて購入したブランドは、パンパース はじめての肌へのいちばんが約31.0%、さらさらケアが約25.9%と、P&Gの2製品で半数超を占めた(→ 図7)。

比較検討での優位がそのまま初回購入に転換している背景には、検討段階での想起と店頭での入手しやすさの両立があると考えられる。

P&Gは初回購入において突出したシェアを確立していると示唆される。

購入理由は「肌触り・吸水性」、最重視は「病産院のすすめ」(→ 図8・図9)

購入理由(複数回答)では肌触りが約35.3%、吸水性が約32.5%と機能面が上位を占める一方、最も重視した理由を一つに絞ると病産院のすすめが約17.1%で首位となった(→ 図8・図9)。

機能は比較の前提として広く挙げられるが、最終的な決め手は信頼できる第三者の推奨に集約される傾向があると考えられる。

病産院チャネルでの推奨獲得が、初回ブランド指名に直結すると示唆される。

初回購入チャネルは「西松屋」が最多(→ 図10)

初めて紙おむつを購入した場所は、ベビー用品店(西松屋)が約37.2%、ドラッグストアが約31.0%、ベビー用品店(アカチャンホンポ)が約16.4%と、実店舗が中心であった(→ 図10)。

ECの構成比が限定的である背景には、現物を確認しながら選びたいという初回特有の慎重さがあると考えられる。

店頭での棚づくりやサンプル施策が、初回購入を左右する重要な接点になると示唆される。

初回購入価格は「1,000〜1,500円未満」が最多(→ 図11)

初回購入時の1パックあたりの価格は、1,000〜1,500円未満が約47.8%、1,500〜2,000円未満が約33.9%と、一定のレンジに集中した(→ 図11)。

価格帯が狭い範囲に収れんしている背景には、初回には品質を重視しつつも極端な高額品は避けるという心理があると考えられる。

この中心価格帯を起点とした価格設計とプロモーションが標準的な打ち手になると示唆される。

約8割が別ブランドへ買い替え、買い替え先は花王が逆転(→ 図12・図13)

初回購入以降に違うブランドを購入した経験がある割合は約82.2%にのぼった(→ 図12)。買い替え先は花王メリーズが約47.0%で首位となり、初回購入で首位だったP&Gとは順位が入れ替わった(→ 図13)。

初回はP&Gが強い一方で、その後に他社へ流出している背景には、価格や使用感の見直しによるスイッチがあると考えられる。

初回獲得後のリテンション設計が課題であり、花王はスイッチ需要の有力な受け皿になっていると示唆される。

買い替え理由は「価格の安さ」が突出(→ 図14)

違うブランドを試した理由は、価格が安いが約68.5%と2位以下を大きく引き離して突出した(→ 図14)。次いで吸水性が約26.0%、通気性・ムレにくさが約22.3%であった。

継続購入の局面で価格が前面に出る背景には、使用量の増加に伴って総コストへの感度が高まることがあると考えられる。

スイッチ局面では、価格・容量・コストパフォーマンスの訴求が有効に働くと示唆される。

買い替え時期は生後3か月前後が中心(→ 図15)

違うブランドを購入した時期は、生後3か月が約15.7%を中心に、0〜6か月のあいだに回答が集中した(→ 図15)。

この時期に見直しが起きる背景には、使用量の増加やサイズアップ、肌トラブルといった節目で選び直す行動があると考えられる。

生後数か月の節目を狙った乗り換え提案が、スイッチ獲得に効きやすいと示唆される。

4. 調査項目

  • 紙おむつの購入経験
  • 紙おむつの購入を検討し始めた時期(子の月齢)
  • 紙おむつの検討にかかった期間
  • 紙おむつを初めて購入した時期(子の月齢)
  • 知っている紙おむつのブランド(認知)
  • 初回購入時に比較検討したブランド
  • 初めて購入した紙おむつのブランド
  • そのブランドを購入した理由(複数回答)
  • 購入時に最も重視した理由
  • 初めて紙おむつを購入した場所(購入チャネル)
  • 初回購入時の1パックあたりの価格
  • 初回購入以降、違うブランドを購入した経験
  • 買い替えたブランド
  • 違うブランドを試した理由
  • 違うブランドを購入した時期(子の月齢)
  • 回答者の子どもの現在の月齢
  • 紙おむつを購入しなかった理由

※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

5. おわりに

認知から検討のフェーズでは、主要ブランドの認知が約73〜76%で横並びとなる一方、検討の起点は妊娠後期に大きく偏り、決定は「即決」が約6割と短時間で下されていた。出産準備期にすでに選択が固まりやすい構造がうかがえる(図2・図3・図5)。

初回購入のフェーズでは、比較検討・初回購入ともにパンパースの2製品が上位を占め、P&Gが初回の主役となっていた。決め手は機能を前提としつつ「病産院のすすめ」が最重視され、購入は西松屋やドラッグストアといった実店舗、価格は1,000〜2,000円未満に集中していた(図6・図7・図9・図10・図11)。

買い替えのフェーズでは、約8割が別ブランドを経験し、買い替え先は花王メリーズが首位へと逆転した。理由は「価格の安さ」が突出し、時期は生後0〜6か月に集中していた。初回で築いた優位が継続購入では崩れやすい実態が示された(図12〜図15)。

コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。

本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。

(コズレ子育てマーケティング研究所 早川)

【グラフ】図1〜図17(全グラフまとめ)

「紙おむつ」市場調査2026 図1〜図17 グラフまとめ

出典

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「「紙おむつ」市場調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/19886
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)

この記事の著者

株式会社コズレ 取締役 早川修平の写真

著者: 早川 修平(株式会社コズレ 取締役/MBA)

NTT東日本にて法人営業、マーケティング、経営企画を経験後、慶應義塾大学大学院(在学中、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院へ留学)にてMBAを取得。戦略コンサルティングファーム「ローランド・ベルガー」にて自動車・金融業界など幅広いクライアント向けにマーケティング戦略立案、ビジネスプロセス改善の支援に従事。

その後、子育て世代向けWebメディア「コズレ」を創業期から運営責任者として牽引し、会員数100万人超のプラットフォームへと成長させる。累計500件以上の子育て世帯を対象とした市場調査を主導し、育児用品メーカーや子育て関連サービス企業向けに、定量・定性データに基づくマーケティング戦略やプロモーション施策を多数提案・実行している。また、子育て世代の購買行動やニーズを踏まえたマーケティング手法に関するセミナーや講演会の講師も務める。

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