1. はじめに
EC(ネット通販)の普及により、育児用品の購入チャネルは多様化している。一方で、日々の買い足しが発生する育児消耗品について、ママ・パパが「初回購入」と「2回目以降の購入」とで購入場所をどう使い分けているのかは、これまで十分に明らかにされてこなかった。特に、重く・かさばる商材ほど、初回は店頭でパッケージを確認して購入し、勝手が分かった2回目以降はECでの買い足しに移行するのではないか、という仮説が考えられる。そこで本調査では、粉ミルク・紙おむつ・ベビーフードなど12の育児消耗品を対象に、初回購入と2回目以降の購入におけるEC・実店舗の利用実態を商材別に明らかにした。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:長子0歳以上の子を持つ親
調査期間:2026.06.05-2026.06.23
有効回答数:345名
3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図4)は、記事末尾にまとめて掲載しています。
各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。
リピート購入が発生する「定番消耗品」は紙おむつ・ベビーソープ・粉ミルク(→ 図1)
2回以上の購入経験率は紙おむつが約93%で最も高く、ベビーソープ約83%、粉ミルク約80%が続く(→ 図1)。一方、沐浴剤約15%、フォローアップミルク約21%など、利用が一部の世帯に限られる商材もある。購入経験率の高い商材は、使用頻度が高く買い足しが繰り返し発生する「定番消耗品」であり、購入チャネルの選択がブランドの売上に継続的に影響すると考えられる。
購入経験率の高い定番消耗品ほど、初回だけでなくリピート購入のチャネル設計が売上を左右する重要論点になると考えられる。
初回購入はいずれの商材も実店舗が中心(→ 図2)
初回購入のチャネルを見ると、葉酸サプリを除くほぼ全ての商材で実店舗が約8割前後を占める(→ 図2)。特にベビーフードは実店舗が約95%、沐浴剤・紙おむつも約87%に達する。初めて購入する商材は使用感やサイズ・成分が分からず、店頭でパッケージを確認したり品揃えを比較したりして選びたいというニーズが強く働くと考えられる。赤ちゃんの肌や口に触れる商材ほど、その傾向が強い可能性がある。
初回購入の獲得においては、店頭の棚・パッケージ・POPでの訴求が依然として決定的な接点であると考えられる。
2回目以降も店頭主体は変わらないが、重量商材ほどECの取り分が増加(→ 図3・図4)
2回目以降のEC利用率は、紙おむつで初回比約8.7ポイント増、粉ミルク約7.2ポイント増、赤ちゃん用洗濯洗剤約6.9ポイント増と、いずれも大きく上昇している(→ 図3・図4)。これらは重く・かさばる代表的な商材である。一度使ってブランドや使用感が分かれば、店頭で持ち運ぶ負担の大きい重量商材ほど、自宅まで届くECでの買い足しに合理性が生じると考えられる。ただし、このシフトは逆転を意味しない。2回目以降も紙おむつ・粉ミルク・洗濯洗剤の実店舗利用率はいずれも約8割で、ECの約4倍にあたる。あくまで店頭主体が維持されたまま、リピート局面でECの取り分が数ポイント増える、という変化である。
重量・かさばり商材であっても2回目以降の主体は引き続き実店舗であり、店頭を主軸としつつ、リピートで漏れていく1〜2割をECの買い足し導線(定期便・まとめ買い案内等)で取りこぼさない設計が有効と考えられる。
ベビーフードは例外的に店頭にとどまる(→ 図3)
ベビーフードのEC利用率は初回約3.6%、2回目以降も約6.7%にとどまり、12商材で最も低い水準である(→ 図3)。重量・かさばりの観点では運びやすい商材だが、EC化は進んでいない。ベビーフードは月齢ステージや味の種類が多く、その場で品定めして選ぶ要素が強い。1個あたりの単価も低く、日々の買い物のついでに購入されやすいため、店頭が選ばれ続けると考えられる。
ベビーフードはEC化に賭けるよりも、店頭での品揃えや棚での新フレーバー訴求に注力する方が合理的と考えられる。
葉酸サプリは初回からEC比率が高い特異な商材(→ 図2・図3)
葉酸サプリは初回購入の時点でEC利用率が約35.6%と突出して高く、2回目以降は約41.2%へさらに上昇する(→ 図2・図3)。他の育児消耗品とは明らかに異なる挙動を示す。葉酸サプリは赤ちゃんに直接使う商材ではなく、妊娠前・妊娠初期からママ自身が継続的に摂取する。定期購入との相性がよく、一般的な健康食品・大人向けECに近い購買行動を取ると考えられる。なお、EC利用率が最も高い葉酸サプリでも2回目以降の実店舗利用率は約57%と過半を保っており、店頭が依然として最大チャネルである点は他商材と共通する。
葉酸サプリは店頭が主体である点は変わらないものの、他商材に比べEC・定期購入の比重が際立って高く、一般的な健康食品ECの手法を応用する余地が大きいと考えられる。
※ フォローアップミルク・赤ちゃん用柔軟剤・沐浴剤は回答者数が少ないため、参考値として扱っている。
4. 調査項目
- 長子の年齢
- お住まいの地域
- 粉ミルクの購入経験/初回購入チャネル/2回目以降の購入チャネル
- 液体ミルクの購入経験/初回購入チャネル/2回目以降の購入チャネル
- フォローアップミルクの購入経験/初回購入チャネル/2回目以降の購入チャネル
- 紙おむつの購入経験/初回購入チャネル/2回目以降の購入チャネル
- ベビーフードの購入経験/初回購入チャネル/2回目以降の購入チャネル
- ベビーソープの購入経験/初回購入チャネル/2回目以降の購入チャネル
- 赤ちゃん用洗濯洗剤の購入経験/初回購入チャネル/2回目以降の購入チャネル
- 赤ちゃん用柔軟剤の購入経験/初回購入チャネル/2回目以降の購入チャネル
- 子ども用歯ブラシの購入経験/初回購入チャネル/2回目以降の購入チャネル
- 子ども用歯磨き粉の購入経験/初回購入チャネル/2回目以降の購入チャネル
- 沐浴剤の購入経験/初回購入チャネル/2回目以降の購入チャネル
- 葉酸サプリの購入経験/初回購入チャネル/2回目以降の購入チャネル
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
本調査からは、まず初回購入においては、葉酸サプリを除くほぼ全ての育児消耗品で実店舗が主戦場であることが確認された。使用経験のない商材を選ぶ際、店頭でパッケージや品揃えを確認したいというニーズが強く働いていると考えられる(図1・図2)。
一方、2回目以降の購入では、紙おむつ・粉ミルク・赤ちゃん用洗濯洗剤といった重く・かさばる商材を中心にEC利用率が上昇した。ただし、これは逆転ではない。EC化が最も進んだこれらの商材でも2回目以降の実店舗利用率は約8割を保っており、リピート局面においても実店舗が最大チャネルである点は変わらない。「初回は店頭、リピートでECの取り分がやや増える」という方向性が、重量・かさばり商材で特に明確に確認された格好である(図3・図4)。
ただし、すべての商材がEC化するわけではない。多品種で選ぶ要素の強いベビーフードは店頭にとどまり、逆に葉酸サプリは初回からECが選ばれる。EC化の進みやすさは「重さ・かさばり」だけでなく、「選ぶ楽しみの有無」や「赤ちゃんに直接使うか否か」によっても規定されると考えられる(図3)。
したがって、育児消耗品のチャネル戦略は商材特性に応じて設計する必要がある。重量商材は店頭で初回を獲得しECでリピート導線を整える、ベビーフードは店頭の品揃えで勝負する、サプリはEC定期購入を軸とする、といった商材ごとの最適化が有効と考えられる(図1〜図4)。
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川)
【グラフ】図1〜図4(全グラフまとめ)

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「育児消耗品のEC・実店舗 購入チャネル実態調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/19977
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)


