1. はじめに
妊娠・出産は、家族構成が変わることで住み替えを検討する大きな契機となる。一方で、子どもの医療費助成や保育園の入りやすさといった子育て支援策は自治体ごとに内容が大きく異なり、近年は子育て世帯向けの住み替え助成を新設する自治体も現れるなど、「どの自治体に住むか」が家計や暮らしに直結する論点となりつつある。しかし、住む場所の選択に自治体の子育て支援策が実際どの程度影響しているのか、その実態は十分に明らかにされていない。そこで本調査では、子育て世帯の住み替え意向と、エリア選定における自治体の子育て支援策の影響度を明らかにした。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:妊娠中および0歳以上の子を持つ親
調査期間:2026年6月4日(木)〜2026年6月24日(水)
有効回答数:565名
3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図14)は、記事末尾にまとめて掲載しています。
各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。
住み替えに関心を持つ子育て世帯は約45%(→ 図1)
今後の住宅購入・住み替えについて、「具体的に計画・検討している」が約12%、「いつかはしたいが、まだ具体的には考えていない」が約33%であった(→ 図1)。両者を合わせると、住み替えに何らかの関心を持つ層は約45%にのぼる。妊娠・出産という生活基盤の変化を控えた、あるいは経たばかりの世帯にとって、住まいの見直しが身近なテーマとなっていることがうかがえる。本調査では以降、「具体的に計画・検討している」層を具体的検討層、「いつかはしたい」層を潜在検討層として、それぞれの実態を分析する。
住み替えという大型の意思決定は妊娠・出産期に集中して立ち上がるため、この時期のママ・パパへの早期接触が重要になると考えられる。
住み替え検討の最大のきっかけは「妊娠・第一子の出産」(→ 図2・図3)
検討のきっかけを尋ねたところ、具体的検討層では「妊娠・第一子の出産」が約70%と突出して高く、潜在検討層でも約31%で最多であった(→ 図2・図3)。なお、具体的検討層は回答者数が限られるため参考値として捉える必要がある。潜在層では「現在の住まいが手狭になった」(約29%)「子どもの入学」(約25%)も上位に並び、子の成長段階に応じて検討の引き金が分散する傾向が見られる。第一子の出生は、住まいに対する要件を一度に塗り替える最初の転換点であると考えられる。
住宅・住み替え関連商材のマーケティングにおいては、妊娠期から第一子出産直後を最優先の接触タイミングと位置づけることが有効と考えられる。
エリア選びで自治体の子育て支援を意識する層は約7〜9割(→ 図4・図5)
エリア選定における自治体の子育て支援策の影響度について、「非常に影響する」「やや影響する」の合計は、具体的検討層で約72%、潜在検討層では約90%に達した(→ 図4・図5)。実際の予算や物件と向き合う具体的検討層よりも、まだ条件の制約が少ない潜在検討層のほうが影響度を高く見積もる傾向があり、支援策への期待が理想として先行している可能性がある。いずれの層でも支援策が無視できない選定要素となっていることは共通している。
自治体の子育て支援策は、エリア選定の判断軸として既に定着しつつあると考えられる。
重視点は検討層で「教育環境」、潜在層で「医療費助成」(→ 図6・図7)
重視する支援策は、具体的検討層では「教育環境」(約47%)「子育て施設の充実度」(約45%)「医療費助成」(約44%)が上位に並んだ(→ 図6)。一方、潜在検討層では「医療費助成」が約66%で突出してトップとなった(→ 図7)。検討が具体化するほど、就学後を見据えた教育環境や日常の遊び場といった生活実感に近い要素へ関心が広がる一方、検討初期の潜在層では、わかりやすく家計に直結する医療費助成が支援策の象徴として認識されやすいと考えられる。
ターゲットの検討段階に応じて訴求する支援策の切り口を変えることが、エリア提案の説得力を高めると考えられる。
支援策情報は「エリア選定の初期段階」までに調べ始める(→ 図8・図9)
支援策の情報を調べ始めるタイミングは、両層とも「住宅の検討を始めてすぐ(エリア選定の初期段階)」が最多(具体的検討層で約42%、潜在検討層で約37%)であった(→ 図8・図9)。「日頃から」と合わせると、エリア選定の初期段階までに調べ始める層は具体的検討層で約71%、潜在検討層で約62%にのぼる。物件を絞り込む前の、エリアそのものを選ぶ段階で支援策が参照されていることがわかる。
支援策に関する情報発信は、個別物件の訴求よりも前の「エリア選び」の局面で届けることが効果的と考えられる。
支援が手厚ければ予算・条件を「妥協してもよい」層が多数(→ 図10・図11)
「子育て支援策が手厚いエリアであれば、予算や物件条件を多少妥協してもよい」と考える層(「強くそう思う」「ややそう思う」の合計)は、具体的検討層で約76%、潜在検討層で約64%であった(→ 図10・図11)。広さや駅からの距離といった従来重視されてきた条件に対し、子育て支援策が一定のトレードオフ材料として機能していることがうかがえる。
立地や価格だけでなく、エリアの子育て支援策をあわせて訴求することが、検討の後押しになりうると考えられる。
希望物件は両層で「新築戸建て」がトップ(→ 図12・図13)
希望する物件種別は、具体的検討層で「新築戸建て」が約74%、潜在検討層でも約44%で最多であった(→ 図12・図13)。一方、潜在層では「こだわらない」が約26%、「中古マンション」が約13%と選択肢が分散しており、検討が進むにつれて新築戸建てへ希望が収れんしていく構図が見える。
戸建てを軸としつつ、検討初期の層には中古や集合住宅も含めた幅広い選択肢を提示することが、接点づくりに有効と考えられる。
回答者の約半数が賃貸居住、住み替え余地が大きい(→ 図14)
現在の住まいは「賃貸マンション・アパート」が約47%で最も多く、「戸建て(持ち家)」が約36%で続いた(→ 図14)。賃貸居住が約半数を占めることは、今後の住み替え余地が大きい層が多く含まれることを意味する。賃貸は持ち家に比べて住まいを変える際の制約が小さく、住み替えの実行に移りやすいと考えられる。
賃貸居住層は、住み替え提案の有望なセグメントとして捉えられると考えられる。
4. 調査項目
- 第一子(長子)の年齢
- 現在の住まいの形態
- 今後の住宅購入・住み替えへの関心
- 住宅の購入・住み替えの検討を始めた(始める予定の)時期・きっかけ
- 希望する物件種別
- エリア選定における自治体の子育て支援策の影響度
- 特に重視する自治体の子育て支援策
- 子育て支援策の情報を調べ始めるタイミング
- 支援が手厚いエリアでの予算・物件条件の妥協意向
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
本調査からは、住み替えという大型の意思決定が妊娠・出産期に集中して立ち上がる構造が改めて確認された。住み替えに関心を持つ層は全体の約45%にのぼり、その最大のきっかけは「妊娠・第一子の出産」であった(図1〜図3)。
エリア選定の局面では、自治体の子育て支援策が強い影響力を持つ。支援策が「影響する」とした層は具体的検討層で約72%、潜在検討層で約90%に達し、重視点は検討の段階に応じて「医療費助成」から「教育環境」へと広がっていく傾向が見られた(図4〜図7)。
さらに、支援策の情報はエリア選定の初期段階までに調べ始める層が多数を占め、支援が手厚ければ予算や物件条件を妥協してもよいと考える層も過半を超えた(図8〜図11)。立地・価格と並ぶ選定軸として、子育て支援策が機能し始めていることがうかがえる。
回答者の約半数は賃貸居住であり、今後の住み替え余地が大きい有望なセグメントといえる(図14)。住宅・自治体・関連サービスのいずれにとっても、妊娠期からの早期接触と、エリア選びの局面での支援策訴求が鍵になると考えられる。
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川)
【グラフ】図1〜図14(全グラフまとめ)


【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「子育て世帯の住まい選びと自治体の子育て支援 市場調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/20000
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)



