調査レポート

店頭で手に取られる育児用品は「2〜3種類」までーー「育児用品の店頭実物確認」市場調査2026

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1. はじめに

育児用品の購買においてECの比重が高まる一方、実店舗は「実物を確認する場」として依然として重要な役割を担っている。しかし、ママ・パパが購入前に何回店舗を訪れ、何種類の商品を実際に手に取り、来店する前にどこまで購入候補を絞り込んでいるのか、その実態は十分に明らかにされてこなかった。売場に商品を並べることと、実際に手に取られることは同義ではない。

そこで本調査では、A型ベビーカー・抱っこひも・チャイルドシート・B型ベビーカーの4商材について、購入前の実店舗訪問回数、実物を手に取って確認した商品の種類数、および来店前の購入候補の絞り込み状況を明らかにした。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

2. 調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:妊娠中および0歳以上の子を持つコズレ会員
調査期間:2026年7月24日(金)〜2026年7月29日(水)
有効回答数:445名

3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図12)は、記事末尾にまとめて掲載しています。

各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。

実店舗訪問は「1回」が最多、A型ベビーカーは約47%が2回以上(→ 図1〜図4)

購入前に実物を確認するための実店舗訪問回数は、4商材すべてで「1回」が最多であった。B型ベビーカーが約53%、チャイルドシートが約44%、抱っこひもが約42%、A型ベビーカーが約37%である(→ 図1〜図4)。一方、「2回」以上の合計で見ると商材間の差は大きい。A型ベビーカーでは「2回」が約30%、「3回」が約12%を占め、2回以上の合計が約47%に達する(→ 図1)。抱っこひもは約31%、チャイルドシートは約37%、B型ベビーカーは約23%であり、A型ベビーカーのみ突出している(→ 図2〜図4)

A型ベビーカーは新生児期から使用する最初の大型耐久消費財であり、価格帯も高い。押し心地や折りたたみ操作といった体感情報が判断を左右しやすく、複数回の来店は、そうした体感の検証と家族間の合意形成に費やされている可能性がある。

店頭での接触機会は商材によって倍近く異なっており、販促の投下量はカテゴリー一律ではなく、商材特性に応じて設計する必要があると考えられる。

抱っこひもは約25%が実物を確認せずに購入(→ 図2・図4)

「0回(実物は確認していない)」と回答した割合は、抱っこひもが約25%と最も高く、B型ベビーカーが約23%で続いた(→ 図2・図4)。チャイルドシートは約17%、A型ベビーカーは約11%である(→ 図1・図3)。

抱っこひもは体格との適合性から試着が前提と捉えられやすい商材であるが、実際には約4人に1人が実物に触れないまま購入している。装着方法を紹介する動画やSNS上の使用レビューなど、オンラインで代替可能な情報が厚く蓄積されていることが背景にあると考えられる。

店頭を一度も経由しない購買層が一定規模で存在する以上、オンライン上の情報のみで意思決定を完結できる導線設計が求められる。

手に取られるのは2〜3種類が中心、「6種類以上」はほぼ存在しない(→ 図5〜図8)

実物を手に取って確認した商品の種類数は、A型ベビーカーで「3種類」が約38%と最多、抱っこひもで「3種類」が約26%、チャイルドシートで「2種類」が約27%、B型ベビーカーで「2種類」が約34%であった(→ 図5〜図8)。一方「6〜9種類」「10種類以上」は、いずれの商材でも合計で約5%未満にとどまる。

売場には多数のブランドが並ぶものの、実際に比較の俎上に載るのは2〜3種類、多くても5種類程度である。限られた時間の中で、あらかじめ想定した範囲の商品だけが手に取られている可能性がある。

棚に並ぶことと手に取られることは別問題であり、「比較枠となる数種類」に残れるかどうかが店頭における実質的な勝負であると考えられる。

A型ベビーカーは約65%が3種類以上を比較(→ 図5〜図8)

「3種類」以上を手に取って確認した割合の合計は、A型ベビーカーが約65%と最も高い(→ 図5)。次いでチャイルドシートが約46%、抱っこひもが約40%、B型ベビーカーが約36%であった(→ 図6〜図8)。

A型ベビーカーは4商材の中で最も比較検討の密度が高い。初めての購入であることに加え、単価が高く、機能差が体感として認識しやすいことが多数比較を促していると考えられる。逆にB型ベビーカーは二台目・買い替え需要が中心であり、A型での使用経験を踏まえて短時間で判断されている可能性がある。

A型ベビーカーでは「並べて比較される」ことを前提に、実機体験や店頭販促物による相対的な差別化訴求の優先度が高いと考えられる。

過半数が来店前に購入候補を絞り込んでいる(→ 図9〜図12)

来店前にWeb等で情報収集を行い、購入候補を「1種類」以上に絞っていた回答の合計は、A型ベビーカーが約56%、B型ベビーカーが約54%、抱っこひもが約52%であった(→ 図9・図10・図12)。チャイルドシートのみ約45%と過半数を下回る(→ 図11)。

店頭は「候補を発見する場」から「事前に作成した候補リストを検証する場」へと、その役割を移しつつあることが示唆される。

Web上の情報接触段階で候補リストに入らなければ、店頭に商品を並べても比較の土俵に乗らない可能性がある。

約2割から3割弱は「1種類」まで絞ってから来店(→ 図9〜図12)

「1種類に絞った」と回答した割合は、抱っこひもが約27%、B型ベビーカーが約25%、A型ベビーカーが約23%、チャイルドシートが約20%であった(→ 図9〜図12)。約2割から3割弱が、事実上1点に決めた状態で来店していることになる。

この層にとって来店の目的は比較ではなく、すでに決めた商品を実際に見て確信を得ることにあると考えられる。裏を返せば、実機が展示されていない、在庫がない、想定と印象が異なるといった事態が生じた場合、その決定は容易に覆りうる。

事前に指名を獲得した層に対する店頭の役割は「発見」ではなく「確信の付与」であり、実機展示と在庫の確保が離脱防止に直結すると考えられる。

チャイルドシートは約47%が「絞っていない」まま来店(→ 図11)

「絞っていない」と回答した割合は、チャイルドシートが約47%と最も高かった(→ 図11)。A型ベビーカーが約38%、B型ベビーカーが約38%、抱っこひもが約37%であり、チャイルドシートのみ突出している(→ 図9・図10・図12)。

チャイルドシートは車種への適合確認が必要であり、Web上の情報だけでは判断しきれないこと、また子どもの安全に直結するため店頭での相談需要が高いことが背景にあると考えられる。

購買層は「事前絞り込み層」と「店頭発見層」の二層に分かれており、Web施策と店頭施策のいずれかに偏らせない設計が求められる。

4. 調査項目

  • 長子(第一子)の子どもの年齢
  • A型ベビーカーの購入経験
  • A型ベビーカー購入前の実店舗訪問回数
  • A型ベビーカー購入前に実物を手に取って確認した商品の種類数
  • A型ベビーカーの来店前における購入候補の絞り込み状況
  • 抱っこひもの購入経験
  • 抱っこひも購入前の実店舗訪問回数
  • 抱っこひも購入前に実物を手に取って確認した商品の種類数
  • 抱っこひもの来店前における購入候補の絞り込み状況
  • チャイルドシートの購入経験
  • チャイルドシート購入前の実店舗訪問回数
  • チャイルドシート購入前に実物を手に取って確認した商品の種類数
  • チャイルドシートの来店前における購入候補の絞り込み状況
  • B型ベビーカーの購入経験
  • B型ベビーカー購入前の実店舗訪問回数
  • B型ベビーカー購入前に実物を手に取って確認した商品の種類数
  • B型ベビーカーの来店前における購入候補の絞り込み状況

※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

5. おわりに

情報収集フェーズにおいては、来店前の絞り込みがすでに標準化していた。A型ベビーカー・B型ベビーカー・抱っこひもでは過半数が来店前にWeb等で購入候補を絞り込んでおり、約2割から3割弱は1種類まで限定している。店頭に商品を並べるより前に、Web上の情報接触段階で候補リストに残ることが、購買の前提条件となりつつある(図9〜図12)。

店頭比較フェーズでは、比較枠の狭さが際立った。実際に手に取られる商品は2〜3種類、多くても5種類程度にとどまり、6種類以上を比較する層はほぼ存在しない。売場の棚を確保することと、実際に手に取られることは同義ではなく、限られた比較枠に残るための訴求設計が求められる(図5〜図8)。

一方、店頭の関与度は商材によって大きく異なっていた。A型ベビーカーは約47%が2回以上来店し、約65%が3種類以上を手に取る。対して抱っこひもは約25%が実物を一度も確認しないまま購入しており、チャイルドシートは約47%が候補を絞らずに来店している。店頭が「検証の場」として機能する商材と、「発見の場」として機能し続ける商材が併存している(図1〜図5・図11)。

したがって、店頭施策とWeb施策の最適な配分はカテゴリー一律では決まらない。自社商材が「事前に決められて確認される商材」なのか、「店頭で発見され比較される商材」なのかを見極めたうえで、投資配分を設計することが有効と考えられる(図1〜図12)。

コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川)

【グラフ】図1〜図12(全グラフまとめ)

【出典の記載についてのお願い】

調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「「育児用品の店頭実物確認」市場調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/21161
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)

この記事の著者

株式会社コズレ 取締役 早川修平の写真

著者: 早川 修平(株式会社コズレ 取締役/MBA)

NTT東日本にて法人営業、マーケティング、経営企画を経験後、慶應義塾大学大学院(在学中、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院へ留学)にてMBAを取得。戦略コンサルティングファーム「ローランド・ベルガー」にて自動車・金融業界など幅広いクライアント向けにマーケティング戦略立案、ビジネスプロセス改善の支援に従事。

その後、子育て世代向けWebメディア「コズレ」を創業期から運営責任者として牽引し、会員数100万人超のプラットフォームへと成長させる。累計500件以上の子育て世帯を対象とした市場調査を主導し、育児用品メーカーや子育て関連サービス企業向けに、定量・定性データに基づくマーケティング戦略やプロモーション施策を多数提案・実行している。また、子育て世代の購買行動やニーズを踏まえたマーケティング手法に関するセミナーや講演会の講師も務める。

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