1. はじめに
妊娠・出産・子育て期のママは、限られた時間の中で膨大な情報を取捨選択しながら意思決定を行っている。これまで情報収集の中心はSNSや口コミサイト、身近な人からのアドバイスであったが、近年はChatGPTやGeminiなどの生成AIが急速に普及し、情報の探し方そのものが変わりつつある。しかし、子育て世帯においてAIがどの程度浸透し、従来の情報源にどのような変化をもたらしているのかは明らかになっていない。そこで本調査では、2025年と2026年の調査結果を比較し、AIの登場による情報収集行動の変化と、妊娠中・0歳・1歳というステージによる違いを明らかにした。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:妊娠中および0~1歳の子を持つ女性(コズレ会員)
調査期間:2025年調査:2025.04.15-2025.04.21/2026年調査:2026.09.11-2026.10.19
有効回答数:2026年556名(妊婦183名・0歳272名・1歳101名)/2025年544名(妊婦277名・0歳215名・1歳52名)
集計方法:両年とも妊婦・0歳・1歳の構成比が等しくなるようウェイトバック集計を実施
検定方法:前年比較はステージ別の分散を考慮した比率の差の検定(z検定)、ステージ間比較はカイ二乗検定および2群の比率の差の検定を用い、5%水準で有意と判断した。図中には ** p<.01、* p<.05、† p<.10 を表示している
3. 結果・考察
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📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図12)は、記事末尾にまとめて掲載しています。
各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。
AI利用は約3割、主要SNSの利用は減少せず(→ 図1)
2026年に新設した「AI(ChatGPT・Gemini・Claudeなど)」の利用率は約28%であり、妊婦・乳幼児ママの約3割がAIを利用している実態が明らかとなった(→ 図1)。一方、主要SNSの利用率に有意な減少はみられず、Instagramは約86%から約92%へと5%水準で有意に上昇した。YouTube(約70%)、X(約55%)、TikTok(約39%)も前年並みである。この結果は、AIが既存SNSの利用を置き換えるのではなく、SNSと併用される新たなツールとして生活に加わっていることを示唆している。
AIの登場はSNSの置き換えではなく情報接点の「追加」と捉え、SNS施策を維持しつつAI上での接点を設計する必要があると考えられる。
AIは「使う」段階から「信頼する」段階への移行が途上(→ 図2・図3)
AIを「サービスとして利用している」は約28%、「妊娠・出産・子育て情報の情報源として重視」は約21%、「育児用品・サービス情報の情報源として重視」は約16%であった(→ 図2)。一方、AIを最もよく利用するサービスとする割合は約4%、「AIに質問する」を最も信頼性が高い取り入れ方とする割合は約3%にとどまる。最も信頼する取り入れ方に前年からの有意な変化はなく、「ネット上で文章を読む」(約29%)と「対面で人の話を聴く」(約27%)が上位を占める(→ 図3)。AIは下調べには活用されつつも、最終判断の拠り所には至っていない可能性がある。
AIへの露出はゴールではなく、AIの回答からSNS口コミや公式情報へと確認行動をつなぐ導線設計が重要になると考えられる。
子育て情報では「友人・知人・家族の口コミ」が約11ポイント減(→ 図4)
妊娠・出産・子育て情報で重視する情報源は「SNS上の口コミ」が約60%で最多であり、前年から有意な変化はない(→ 図4)。一方、「友人・知人・家族の口コミ」は約48%から約37%へ(1%水準で有意)、「ランキング情報」は約25%から約20%へ(5%水準で有意)低下し、新設の「AI」が約21%を占めた。重視する情報源の平均選択数は約3.0個から約2.9個とほぼ横ばいであり、AIが加わった分だけ既存の情報源の選択が減った構図である。身近な人への相談の一部がAIに移りつつある可能性がある。ただし選択肢追加自体の影響も否定できない。
身近な人への相談に近い文脈でAIが使われ始めている可能性を踏まえ、AIに参照されやすい信頼性の高い情報発信が求められると考えられる。
育児用品では「ランキング情報」が約12ポイント減(→ 図5)
育児用品・サービス情報で重視する情報源でも「SNS上の口コミ」が約62%で最多であり、前年から変化はない(→ 図5)。一方、「ランキング情報」は約31%から約20%へ(1%水準で有意)、「友人・知人・家族の口コミ」は約41%から約33%へ(5%水準で有意)低下し、新設の「AI」は約16%であった。「公式サイト・アカウント」(約44%)や「店頭」(約20%)に有意な変化はない。候補を絞り込む比較の工程が、ランキングからAIへと一部移っている可能性がある。
ランキング上位の獲得のみに依存せず、AIが比較時に参照しうる公式情報や商品特徴の明確な言語化を整備することが重要になると考えられる。
ランキング離れは妊婦・0歳で有意、1歳では有意差なし(→ 図6)
ステージ別にみると、育児用品における「ランキング情報」の低下は妊婦(約36%→約24%)と0歳(約31%→約19%)でいずれも1%水準で有意であった(→ 図6)。子育て情報でも妊婦・0歳は有意に低下した一方、1歳は約17%から約20%と横ばいであり、育児用品でも1歳の低下は有意差に至らない。「友人・知人・家族の口コミ」は全ステージで約6〜11ポイント低下したが、有意差が確認されたのは妊婦・0歳であった。妊婦・0歳期は新たに揃える商品が多く比較ニーズが高いため、AIの普及が比較行動に与える影響を受けやすい層と考えられる。
妊婦・0歳向け商品では、ランキング施策に加えて、AIを使った比較検討の過程で選ばれるための情報整備を優先すべきと考えられる。
口コミは「悪い点」の確認がより重視される方向へ(→ 図7・図8)
口コミ・レビューを「とても参考にしている」「参考にしている」の合計は2025年・2026年ともに約88%であり、口コミの参考度に有意な変化はない(→ 図7)。一方、口コミで重視する内容では「商品・サービスについての悪い内容」が約52%から約60%へと5%水準で有意に上昇し、「良い内容」(約60%)と並んだ(→ 図8)。評判の概要把握はAIなどで済ませ、口コミではリスクや失敗談の確認に重点を移している可能性がある。
ネガティブな口コミを避けるのではなく、懸念点への回答を公式に用意し、比較検討時の不安を解消する設計が求められると考えられる。
育児用品の情報源としてのAI重視は0歳が1歳の約2倍(→ 図9)
AIの利用率は妊婦約28%、0歳約30%、1歳約26%とステージ間に有意差はない(→ 図9)。一方、育児用品・サービス情報の情報源としてAIを重視する割合は0歳が約21%と1歳(約10%)の約2倍であり、この差は5%水準で有意であった。0歳期は月齢に応じて必要な用品が次々と変わり、授乳や寝かしつけの合間など人に相談しづらい時間帯に疑問が生じやすいため、即時に候補を整理できるAIとの相性が良い可能性がある。
0歳期は、用品選びの疑問を起点にAI経由の情報接点を優先的に設計すべきステージと考えられる。
妊婦は「病産院の情報」と「用品の情報収集」を重視(→ 図10・図11)
妊婦は子育て情報の情報源として「病産院の情報」を約27%が重視しており、0歳(約19%)を5%水準で有意に上回る(→ 図10)。この傾向は2025年にも同様にみられた。また、最もよく利用するサービスの利用理由として「マタニティ用品・育児用品の情報収集のため」を挙げる割合は妊婦が約49%と、0歳(約39%)、1歳(約32%)より高く、ステージ間の差は5%水準で有意であった(→ 図11)。健診を通じた病産院との接点と、出産準備品をまとめて揃える必要性が背景にある可能性がある。
妊婦向けには、病産院経由の専門的な接点と、SNS上での用品情報の発信を組み合わせたアプローチが有効と考えられる。
1歳ママは情報の「受け手」から「発信者」へ(→ 図11・図12)
最もよく利用するサービスの利用理由として「妊娠・出産・育児の情報収集のため」を挙げる割合は、1歳が約42%と妊婦(約60%)、0歳(約63%)を1%水準で有意に下回る一方、「情報を発信するため」は約20%と0歳(約11%)を有意に上回る(→ 図11)。口コミ・レビューの投稿経験も妊婦約15%に対し0歳約28%、1歳約38%と高い(→ 図12)。情報収集目的の低さや妊婦の投稿経験の低さは2025年にも同様にみられ、育児経験の蓄積に伴う構造的な傾向と考えられる。
1歳期のママは口コミを生み出す担い手として、レビュー投稿促進施策の主要ターゲットになり得ると考えられる。
4. 調査項目
- 性別
- 子どもの年齢(末子・妊娠中を含む)
- 利用しているサービス
- 最もよく利用するサービス
- 最もよく利用するサービスの利用理由
- 最もよく利用するサービスの利用時間帯
- 音声サービスの利用理由(自由回答)
- 音声サービスの利用時間帯
- サービス上で保存したスクリーンショット画像とその保存理由(自由回答)
- 妊娠・出産・子育て情報で重視する情報源
- マタニティ/育児用品・サービス情報で重視する情報源
- マタニティ/育児用品・サービスの口コミ・レビューの参考度
- 信頼できる口コミ・レビューの件数とその理由
- 信頼性が高い口コミ・レビューの発信者
- 口コミ・レビューを見る際に重視すること
- 口コミ・レビューの投稿経験とその理由
- 最も信頼性が高いと思う情報の取り入れ方
- 自分に合っていると思う情報の取り入れ方
- 年齢
- 家族の就業状況
- 勤務形態
- 居住都道府県
- 世帯年収
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
情報接点の面では、AIの利用率が約3割に達した一方、主要SNSの利用率に減少はみられず、Instagramはむしろ有意に上昇した。AIはSNSを置き換える存在ではなく、併用される新たな接点として加わったといえる。ただし、AIを最も信頼できる取り入れ方とする割合は約3%にとどまり、信頼の拠り所はネット上の文章や対面のまま変わっていない(図1〜図3)。
情報源の選択では、SNS上の口コミが引き続き最も重視される一方、「友人・知人・家族の口コミ」と「ランキング情報」が有意に低下し、その受け皿としてAIが選ばれている可能性がある。特にランキング情報の低下は、比較ニーズの高い妊婦・0歳で顕著であった(図4〜図6)。
口コミの参考度は約88%と高水準を維持しているが、重視する内容では「悪い内容」が有意に上昇した。口コミは評判を知るための情報から、リスクを確かめるための情報へと役割を広げている可能性がある(図7・図8)。
ステージ別では、0歳ママが育児用品の情報源としてAIを最も重視し、妊婦は病産院の情報と用品の情報収集を重視し、1歳ママは情報の受け手から発信者へと役割を移している。AI時代の子育てマーケティングにおいては、ステージごとに異なる情報行動を踏まえ、AI・SNS・公式情報・口コミを組み合わせた接点設計が求められると考えられる(図9〜図12)。
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川、林)
【グラフ】図1〜図12(全グラフまとめ)


【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「「ママの情報収集」調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/22860
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)


