1. はじめに
妊娠・出産・育児期のママにとって、マタニティ用品や育児用品を選ぶ際の口コミ・レビューは欠かせない判断材料である。一方で、口コミの件数や発信者はサービスによって大きく異なり、企業による広告・PR投稿やインセンティブ付きのレビューも混在しているため、ママがどのような口コミを「信頼できる」と判断しているのかは十分に明らかになっていない。口コミを活用したマーケティングを設計するうえでは、目標とすべき件数や、起用すべき発信者の見極めが重要となる。そこで本調査では、2025年と2026年の調査結果を比較し、信頼できる口コミの件数とその理由、信頼される発信者、そして口コミを投稿する側の動機を明らかにした。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:妊娠中および0~1歳の子を持つ女性(コズレ会員)
調査期間:2025年調査:2025.04.15-2025.04.21/2026年調査:2026.09.11-2026.10.19
有効回答数:2026年556名(妊婦183名・0歳272名・1歳101名)/2025年544名(妊婦277名・0歳215名・1歳52名)
集計方法:両年とも妊婦・0歳・1歳の構成比が等しくなるようウェイトバック集計を実施
検定方法:前年比較はステージ別の分散を考慮した比率の差の検定(z検定)、ステージ間比較はカイ二乗検定および2群の比率の差の検定を用い、5%水準で有意と判断した。図中には ** p<.01、* p<.05、† p<.10 を表示している
3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図7)は、記事末尾にまとめて掲載しています。
各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。
信頼できる口コミ件数は「41件以上」が約45%で最多(→ 図1)
マタニティ/育児用品・サービスの口コミ・レビューとして信頼できる件数は「41件以上」が約45%で最多であり、「21〜30件」(約18%)、「31〜40件」(約9%)を合わせると、約73%が21件以上を求めている(→ 図1)。「10件以下」は約13%にとどまる。いずれの件数帯も2025年から有意な変化はなく、信頼できる件数の基準は安定している。
30件では半数に届かず、40件で初めて過半数に(→ 図2)
信頼できる件数の回答を「最低限必要な件数」とみなして累積すると、10件で信頼できると考える人は約13%、20件で約27%、30件で約45%にとどまり、40件でようやく約55%と過半数に達する(→ 図2)。2025年も30件で約43%、40件で約51%と、同様の構造であった。口コミが数件から十数件の段階では、ママの過半数にとって信頼の判断材料として不十分である可能性がある。
新商品の発売初期の口コミ施策は少数の高評価を集めることよりも、サンプリングやモニター施策によって早期に40件程度の口コミを積み上げることが、購入検討の土台になると考えられる。
信頼の根拠は「質」より「量」(→ 図3)
その件数が信頼できると思う理由は「件数が多い方が信頼できるから」が約47%、「件数が多い方が参考にしやすいから」が約41%と上位を占め、「口コミ・レビューは質が重要だから」は約27%にとどまる(→ 図3)。「件数が少ない方が信頼できるから」は約3%であった。前年からの変化は「件数が少ない方が参考にしやすいから」の低下(約5%→約2%、5%水準で有意)のみである。個々の口コミの真偽を見極めることは難しく、多数の口コミを見比べることで判断のリスクを分散している可能性がある。
個々の口コミの質を磨くことに加え、比較に耐える件数を揃えることが、信頼獲得の前提条件になると考えられる。
最も信頼される発信者は「一般のママパパ」で約8割(→ 図4)
口コミ・レビューの発信者として信頼性が高いのは「一般のママパパ」が約80%で突出しており、「友人・知人」(約42%)、「家族・親戚」(約33%)、「医師・助産師・看護師」(約31%)、「保育士」(約24%)が続く(→ 図4)。一方、「インフルエンサー」(約9%)、「企業・メーカー」(約9%)、「芸能人・著名人」(約5%)は1割に満たない。同じ立場で利害関係のない第三者の実体験が、身近な人や専門家の知見以上に信頼されている構図がうかがえる。
購入検討段階では一般ユーザーの口コミ創出を最優先とし、インフルエンサー施策は認知獲得の役割と切り分けて設計することが重要と考えられる。
発信者への信頼構造は1年間で変化なし(→ 図4)
発信者別の信頼性は、いずれの項目も2025年から統計的に有意な変化はみられない(→ 図4)。「友人・知人」は約47%から約42%、「医師・助産師・看護師」は約34%から約31%とわずかに低下したものの、有意差には至らない。「インフルエンサー」も約11%から約9%と、低い水準で推移している。広告・PR表記の明示が求められるなかでも、ママが誰の声を信頼するかという基準は短期間では大きく変わらない可能性がある。
「一般のママパパ>身近な人・専門家>インフルエンサー・企業」という信頼の序列は安定的な前提として、施策設計に組み込むことができると考えられる。
ステージによる差は小さく、信頼の基準は共通(→ 図5・図6)
信頼できる件数で「41件以上」を挙げる割合は妊婦約42%、0歳約46%、1歳約49%であり、ステージ間に有意差はない(→ 図5)。「21〜30件」のみ、妊婦(約24%)が1歳(約12%)を上回り、ステージ間の差は5%水準で有意であった。信頼できる発信者も「一般のママパパ」が全ステージで約77〜82%と最多であり、多くの項目でステージ間の有意差はみられない(→ 図6)。口コミの信頼基準は育児経験の長さによらず、ママ全体に共有された判断軸である可能性がある。
口コミ施策の基本設計は、妊婦から1歳ママまで共通の方針で展開できると考えられる。
投稿動機は「良い商品だったから」約75%、「特典目当て」が約4割(→ 図7)
口コミ・レビューの投稿経験者に投稿した理由を尋ねると、「良い商品・サービスだったから」が約75%で最多、「ポイントやプレゼント等がもらえるから」が約40%で続く(→ 図7)。「悪い商品・サービスだったから」は約8%、「広告・PRとして報酬をもらったから」は約11%であり、いずれも前年から有意な変化はない。口コミの供給は肯定的な体験とインセンティブに偏りやすく、読み手が件数の多さを重視する背景には、こうした偏りを平均化したいという意識がある可能性がある。
特典による投稿促進は件数確保に有効であるが、評価の偏りを避けるため、使用後の率直な感想を求める設計とすることが求められると考えられる。
4. 調査項目
- 性別
- 子どもの年齢(末子・妊娠中を含む)
- マタニティ/育児用品・サービスの口コミ・レビューの参考度
- 信頼できる口コミ・レビューの件数とその理由
- 信頼性が高い口コミ・レビューの発信者
- 口コミ・レビューを見る際に重視すること
- 口コミ・レビューの投稿経験とその理由
- 年齢
- 家族の就業状況
- 勤務形態
- 居住都道府県
- 世帯年収
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
信頼できる口コミの件数では、「41件以上」が約45%で最多となり、約73%が21件以上を求めている。累積でみると30件では信頼できると考える人が半数に届かず、40件でようやく過半数に達する。理由としては「件数が多い方が信頼できる」「参考にしやすい」が上位を占め、口コミの信頼は質以上に量によって支えられている(図1〜図3)。
信頼される発信者では「一般のママパパ」が約8割と突出し、友人・知人や家族、医療専門職がこれに続く一方、インフルエンサーや企業・メーカー、芸能人は1割に満たない。この序列は2025年から有意な変化がなく、安定した構造となっている(図4)。
ステージ別にみても、信頼できる件数や発信者の傾向に大きな差はなく、口コミの信頼基準は妊婦から1歳ママまで共通している。一方、投稿する側の動機は肯定的な体験と特典に偏っており、口コミ施策においては件数の確保と評価の偏りへの配慮を両立させることが求められると考えられる(図5〜図7)。
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川、中臣)
【グラフ】図1〜図7(全グラフまとめ)

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「「ママが信頼する口コミ」調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/22906
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)


