調査レポート

子育て層における写真館・フォトスタジオ利用実態調査|購買決定プロセスとLTV最大化の示唆

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1. はじめに

少子化が進む中でも、子ども一人ひとりの成長の節目を大切に記録しようとする子育て世代の意識は依然として高く、むしろそのニーズは多様化している。

本レポートでは、2025年4月〜5月に実施した「子育て層における写真館・フォトスタジオ利用実態調査|購買決定プロセスとLTV最大化の示唆」の結果を基に、写真館およびフォトスタジオに対する利用状況、ブランド認知、リピート傾向等について分析を行った。

本調査は、長子1歳以上の子育て世帯を対象としたものであり、乳幼児期の家族行事における写真館の位置付けや、消費者の意思決定プロセスにおける重要な因子を明らかにしつつ、具体的な活用の方向性について考察を加えていく。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

 

2. 調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:長子1歳以上のコズレ会員
調査期間:2025年4月2日(木)〜2025年5月3日(土)
有効回答数:525名

 

3. 結果・考察

写真館の利用率は約76%|初回利用は「お宮参り」「1歳の誕生日」が中心

調査回答者の約76%が、写真館またはフォトスタジオを利用した経験があると回答しており、これは非常に高い利用率といえる。初回利用の目的として最も多かったのは「お宮参り」であり、続いて「1歳の誕生日」「お食い初め」「マタニティフォト」が上位に挙がっている。これらの回答から、乳幼児期の重要なライフイベントが写真館利用の大きな契機となっていることが明らかとなった。

初回利用のタイミングは非常に限定的であるため、0歳児の親を対象とした集中的な情報提供および訴求が、顧客獲得において極めて重要である。

 

意思決定は「即決型」と「熟考型」に二極化


写真館の予約時期は、「2週間〜1ヶ月前」に集中している。一方で、利用先の決定に要する検討期間を見ると、「即決(当日中)」とする回答が4割を超え、非常に高い割合を占めている。また、1週間以上かけてじっくり検討する層も約3割存在し、この結果からは、意思決定のスピードが「即決型」と「熟考型」に二極化している傾向が読み取れる。

 

認知度は「スタジオアリス」「スタジオマリオ」が突出

写真館の認知度については「スタジオアリス」が約89%、「スタジオマリオ」が約62%と、他社を圧倒。また、比較検討の対象としてもこの2社が最も多く挙げられており、ブランドの認知と選好が強く連動していることが伺える。

大手チェーンが市場での存在感を強めている一方で、地元の個人経営写真館や中小スタジオは、独自の強み(例:柔軟な対応、価格設定、地域密着性)を活かしたポジショニング戦略が重要となる。

 

写真館の選定要因は「立地」「価格」「キャンペーン」

利用者が写真館を選ぶ際に最も重視する要素として、「便利な場所(立地)」が最上位に挙げられた。次いで「価格の安さ」「お得なキャンペーン」などの金銭的メリットが重視されている。一方で、「写真のクオリティ」や「作風へのこだわり」などの要素は相対的に重視されにくい傾向にある。

来店のしやすさとコストパフォーマンスが消費者の意思決定に強く影響しており、Webサイトや広告媒体においては、立地情報や料金体系、キャンペーン内容などの実用的な情報を明瞭に伝えることが極めて重要である。

 

リピート率は54%|初回利用施設が継続的に選ばれる傾向

 

写真館をリピート利用した経験があると回答した層は全体の54%に上り、その多くが初回に利用したスタジオを継続して選んでいる。この傾向からは、初回利用の体験がその後のロイヤルティ形成に大きく影響していることが読み取れる。

顧客生涯価値(LTV)の最大化には、初回来店時の体験設計が鍵となる。具体的には、接客品質の向上、オプション商品の提案、リピート特典の設置など、初回から長期的関係を視野に入れた対応が求められる

 

4. 調査項目

  • 写真館/フォトスタジオの利用経験
  • 写真館/フォトスタジオの決定時期
  • 写真館/フォトスタジオの認知・比較検討
  • 写真館/フォトスタジオの利用
  • 写真館/フォトスタジオの選択理由
  • 写真館/フォトスタジオのリピート
  • 写真館/フォトスタジオへの交通手段
  • 初回と異なる写真館/フォトスタジオの利用
  • 初回利用と異なる写真館/フォトスタジオの利用理由
  • プロモーションプラン

※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せください。

 

5. おわりに

本調査により、写真館利用における主要な動機、意思決定行動、ブランド認知、リピート傾向が明らかとなった。特に、利用が集中するライフイベントのタイミング、意思決定に影響する実利的要素(立地・価格)、初回体験の満足度がLTVを左右する構造などは、今後の事業戦略において重要な考慮事項である。今後は、「イベント起点」のサービス設計と「地域最適化」に基づいた広告運用、ならびにLTVを最大化するための顧客体験の設計が、写真館業界にとって不可欠となるであろう。

 

コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。

本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。

(コズレ子育てマーケティング研究所 山内、早川)

 

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。

出典:『子育て層における写真館・フォトスタジオ利用実態調査|購買決定プロセスとLTV最大化の示唆(株式会社コズレ)』https://cozre.co.jp/blog/15212

(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)

この記事の著者

株式会社コズレ 取締役 早川修平の写真

著者: 早川 修平(株式会社コズレ 取締役/MBA)

NTT東日本にて法人営業、マーケティング、経営企画を経験後、慶應義塾大学大学院(在学中、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院へ留学)にてMBAを取得。戦略コンサルティングファーム「ローランド・ベルガー」にて自動車・金融業界など幅広いクライアント向けにマーケティング戦略立案、ビジネスプロセス改善の支援に従事。

その後、子育て世代向けWebメディア「コズレ」を創業期から運営責任者として牽引し、会員数100万人超のプラットフォームへと成長させる。累計500件以上の子育て世帯を対象とした市場調査を主導し、育児用品メーカーや子育て関連サービス企業向けに、定量・定性データに基づくマーケティング戦略やプロモーション施策を多数提案・実行している。また、子育て世代の購買行動やニーズを踏まえたマーケティング手法に関するセミナーや講演会の講師も務める。

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