調査レポート

育児用品の価格上昇に対する購買行動の変化と意識実態-ママは育児用品の値上がりをどこまで許容できるのか?

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1.はじめに

2025年5月に実施した『育児用品の価格上昇に対する購買行動の変化と意識実態-ママは育児用品の値上がりをどこまで許容できるのか?』を本日公開する。いまや価格上昇していないものを見つけるのが難しいほど、さまざまなものが値上がりしており、育児用品もその例外ではない。そこで、コズレ会員を対象に「育児用品の価格上昇」に関するママたちの購買行動や意識実態について詳しく調査・分析を実施した。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

2.調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:末子妊娠中および0歳以上の子を持つ女性
調査期間:2025年5月15日(木)~2025年5月21日(水)
有効回答者数:721名

3.結果・考察

①現在と1年前の同時期をくらべた物価に対する感じ方

92%が「物価が上がった」と回答

物価に対する感じ方についての調査では、約92%が「1年前と比べて物価が上がった」と回答した。内訳を見ると「かなり上がった」が約65%となっており、物価上昇の実感を強く感じている世帯が多いことがわかる。

②値上がりへの許容範囲と許容理由、許容できない場合の商品選択について

ママたちは実際にどの程度の値上がりまで許容できるのか。許容する場合の理由は何か。許容できない場合はどのような選択をするのだろうか。今回は育児用品の中でも紙おむつ、粉ミルク、AB型兼用ベビーカーの3点に焦点を当て、値上がりへの許容範囲と許容できる理由、許容できない場合の商品選択について調査を実施した。

紙おむつの値上げに対する許容範囲

52%が「許容できる」と回答

例として50枚入りの紙おむつが1,500円の場合として質問してみたところ、約52%が値上げを「許容できる」と回答。そのうち「1割増までなら許容できる」という回答が最も多く約31%、「2割増まで許容できる」人は約17%となった。価格上昇への耐性はおよそ「1割増」の水準にとどまっていると言えるだろう。また「許容できない」と回答した人は約39%であり、「許容できる」を10ポイント以上、下回っていることにも注目したい。

紙おむつの値上げ許容理由/非許容時の商品選択

許容理由は「子どものために必要なものだから」が約88%で最多

許容できる理由については「子どものために必要なものだから」が約88%で圧倒的なトップとなり、次いで「値上がりしても子どもに合った商品を選びたいから」が約37%で続いた。「紙おむつは必要不可欠である」という認識から、価格が上昇しても購買継続が前提となっていることが伺える。

また、許容できない場合の商品選択としては「別のブランド/メーカーの商品に切り替える」が約59%で最多であり、ブランドスイッチが起きやすい商品であることは明らかである。

粉ミルクの値上げに対する許容範囲

41%が「許容できる」と回答

例として、800g入りの粉ミルクが2,500円の場合としたところ、「許容できる」と回答したのは約41%にとどまった。さらに「1割増まで許容できる」人は約14%、「2割増まで許容できる」人は約8%となり、紙おむつよりも値上げ耐性が低い商品と言える。

粉ミルクの値上げ許容理由/非許容時の商品選択

許容できる理由は「子どものために必要なものだから」が約86%で最多

値上げを許容できる理由は「子どものために必要なものだから」が約86%で最多、「値上がりしても子どもに合った商品を選びたいから」が約42%となった。粉ミルクは赤ちゃんの栄養源として健康・成長に直結しているため、「なくてはならない」という意識が非常に高いことがわかる。

許容できない場合の商品選択は「別のブランド/メーカーの商品に切り替える」が最多で約56%だった。

AB型兼用ベビーカーの値上げに対する許容範囲

約34%が「許容できる」と回答

AB型兼用ベビーカーでは1台60,000円の場合として質問を実施。約34%が「許容できる」と回答し、「63,000円まで許容できる」人は約22%、「65000円まで許容できる」とした人は約17%にとどまった。単発でしか購入しないものではあるが、やはり高額なため、紙おむつや粉ミルクと比較すると許容範囲が低めなことが特徴である。

AB型ベビーカーの値上げ許容理由/非許容時の商品選択

許容できる理由は「子どものために必要なものだから」が約71%で最多

許容できる理由として最も多かったのは「子どものために必要なものだから」で約71%、次いで「値上がりしても自分や子どもに合った商品を選びたいから」が約35%だった。

許容できない場合の商品選択は「AB型兼用ベビーカー自体の購入を見合わせる」が約41%で最も多く、値上がりが商品の購買行動そのものを抑制する懸念があることがわかった。

 

<値上げに対する許容範囲の比較>

● 紙おむつ

・50枚入り1,500円の紙おむつに対しては、1割までの値上げに対して約31%が、2割までの値上げに対して約17%が「許容できる」と回答

・値上げそのものを「許容しない」と回答したのは約39%

● 粉ミルク

・800g入り2,500円の粉ミルクに対しては、1割までの値上げに対して約14%が、2割までの値上げに対して約8%が「許容できる」と回答

・値上げそのものを「許容しない」と回答したのは約40%

● AB型兼用ベビーカー

・1台60,000円のAB型兼用ベビーカーに対しては、63,000円までの値上げに対して約22%が、65,000円までの値上げに対して約17%が「許容できる」と回答

・値上げそのものを「許容しない」と回答したのは約41%

 

<値上げを許容できない場合に想定される商品選択の比較>

●紙おむつ

別ブランド/メーカーの商品に切り替える(約59%)が最多。価格に敏感で、比較的ブランドスイッチしやすい市場と言える。

●粉ミルク

別ブランド/メーカーの商品に切り替える(約56%)が最多。栄養面の信頼と価格を天秤にかける消費行動が特徴。ブランドロイヤルティがある一方で、一定数が価格で乗り換える。

●AB型兼用ベビーカー

購入自体を見合わせる(約40%)が最多。他2品目と異なり、“そもそも買わない”という選択肢が多い。価格上昇が直接「需要喪失」につながるリスクあり。

これらのことから、紙おむつは3商品の中で最も高い値上げ耐性を示していることがわかる。「消耗品である」「毎日使用する」「子どもの健康や衛生に直結する」などの要因から、必要性が値段を上回っていると考えられる。粉ミルクは紙おむつと比較すると、値上げ耐性がやや低く、1割増までしか許容できない人が多いことが特徴である。継続購入が前提な上に高額商品であり、少額の値上げでもインパクトが大きく感じられるのかもしれない。

今回調査した中で最も値上げ耐性が低かったのが、高額耐久消費財であるAB型兼用ベビーカーである。許容できない場合は購入自体を見送る人も多く、需要そのものを抑制するリスクがあることは注視すべきである。

4. 調査項目

● 現在と1年前の同時期をくらべた物価に対する感じ方

● 紙おむつの値上げに対する許容範囲

● 紙おむつの値上げ許容理由/非許容時の商品選択

● 粉ミルクの値上げに対する許容範囲

● 粉ミルクの値上げ許容理由/非許容時の商品選択

●AB型兼用ベビーカーの値上げに対する許容範囲

●AB型兼用ベビーカーの値上げ許容理由/非許容時の商品選択

●育児用品の値上げがされても、お金をかけたいもの

●育児用品の値上げがされたら、節約したいもの

※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せください。

 

5. おわりに

コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。

本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。

(コズレ子育てマーケティング研究所 槇本、山内)

 

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。

出典:『育児用品の価格上昇に対する購買行動の変化と意識実態-ママは育児用品の値上がりをどこまで許容できるのか?(株式会社コズレ)』https://cozre.co.jp/blog/15251

(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/

(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/

「ママは育児用品の値上がりをどこまで許容できるのか」2022年調査結果はこちら

 

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