調査レポート

サンプリングの有効性に関する実態調査〜試供品の商品購入・SNS投稿への影響〜

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1. はじめに

2025年8月〜9月に実施した「サンプリングの有効性に関する実態調査〜試供品の商品購入・SNS投稿への影響〜 」を本日公開する。試供品は、商品の使用体験を通じて消費者に価値を伝えるマーケティング手法として長く活用されてきた。近年は試供品を受け取った消費者がSNSに商品の感想を投稿するという行動が見られることがあり、SNSマーケティングという副次的効果にも注目が集まっている。一方で、物価高の影響により試供品の製造や配布にかかるコストが上昇し、企業にとってはコストパフォーマンスの面からサンプリング施策の実施が慎重になっている現状も見受けられる。そこで、コズレ会員を対象に、大人向け・子ども向けの商材における試供品受取率や受取者の商品購入率・SNS投稿率について詳しく調査・分析を実施し、「サンプリングが有効な商材」の傾向や特徴を明らかにした。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

2. 調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:妊娠中または0歳以上の子を持つコズレ会員
調査期間:2025年8月21日(木)〜2025年9月8日(月)
有効回答者数:757名

 

3. 結果・考察

「赤ちゃん向け商材」は購入促進の効果大

赤ちゃん向けの商材の多くが試供品受取者の商品購入率が30%を超え、大人向けの商材に比べてサンプリングの有効性が高いことがわかった。

特に受取率・購入率が高かった商材は「おむつ(受取率:80%、購入率:68%)」「粉ミルク(受取率:76%、購入率:54%)」であり、「妊娠中・授乳中のママのためのサプリメント(受取率:56%、購入率:39%)」や、「赤ちゃん用のスキンケア製品(受取率:47%、購入率:33%)」なども、試供品の有効性は比較的高いことが示された。

一方、「ベビーフード(受取率:12%、購入率:43%)」「赤ちゃん用のボディソープ/シャンプー(受取率:27%、購入率:42%)」「赤ちゃん用の洗濯洗剤(受取率:10%、購入率:38%)」など、試供品受取率はそれほど高くないものの、受取者の多くが商品を購入していることがわかった。

これらの商材に共通していることとして、日常的に使用頻度が高く、比較・試用が求められる点が挙げられる。これは、「赤ちゃんに使うものは安全性・使用感を確認してから購入したい」というニーズが強く現れた可能性がある。こうした特徴を有する商材は、競合実施率が低い一方、購入への影響が大きいため、シェア獲得の手段としてサンプリングが有効な手段になると考えられる。

大人向け商材では、「妊娠中・授乳中のママのためのサプリメント(受取率:56%、購入率:39%)」や「妊娠中・産後のママのためのスキンケア製品(受取率:39%、購入率:30%)」といったターゲット層が明確な商材において、サンプリングの有効性が高いことが示された。一方、「消臭剤(受取率:0.3%、購入率:50%)」のように母数が非常に少ない中で高い購入率が出ているものもあれば、「日焼け止め(受取率:17%、購入率:27%)」のように受取率・購入率ともに中程度のものも存在する。これは、「ターゲット層のニーズが明確な商材」でないと、サンプリングの効果が見えにくいことを示唆する。

 

サンプリング効果は「購入」と「SNS拡散」で商材ごとに異なる

サンプリングは「購入促進」と「SNS拡散」の2つの側面を持つことが明らかになった。

まず、日常的に使用頻度が高く比較・試用が求められる商材は、試供品の受取後に実際の購買へとつながる割合が高いことが特徴である。例えば、「おむつ」は購入率が約68%、「粉ミルク」は約54%と、いずれも半数を超えており、サンプリングが購買行動を直接的に刺激することが示された。他方、これらの商材におけるSNS投稿率は1割前後にとどまっており、生活必需品は「購入促進には極めて有効であるが、SNS拡散の効果は限定的である」という特性を有している。

一方で、嗜好性や体験性の高い商材は、購買への直結度こそ低いものの、SNS投稿率が顕著に高いことが確認された。「ネイル製品」は投稿率約29%、「乳幼児用の飲み物/お菓子」は約21%、「フィットネス用品」は約20%と、いずれも平均を大きく上回る数値を示している。これらは「試供品を受け取ること自体が話題化や共有の契機となる」カテゴリーであり、サンプリングによってSNS上での認知拡大や話題形成を期待できる。

さらに、「コーヒー/紅茶(購入率約34%、投稿率約14%)」、「制汗剤(購入率約35%、投稿率約18%)」といった大人向け商材においても、購買とSNS投稿の双方で高い水準が観測された。この結果は、サンプリングが子ども向け商材に限らず、ママ自身の利用を想定した商材にも有効であることを示唆している。

以上の結果から、サンプリングの有効性は商材カテゴリごとに異なる特性を持ち、必需品系は購入促進効果が高く、嗜好性・体験性の高い商材はSNS拡散効果に優れるという構図が浮き彫りとなった。すなわち、サンプリングは単なる試用機会の提供にとどまらず、目的に応じて商材を選定することで、購買行動の喚起とSNSを通じた認知拡大の双方において高い効果を発揮し得る施策であると結論づけられる。

4. 調査項目

  • 試供品受取率
  • 試供品受取者の商品購入率
  • 試供品受取者のSNS投稿率
  • 商品購入者のSNS投稿率

※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

5. おわりに

コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。

本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。

(コズレ子育てマーケティング研究所 村尾、早川)

 

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。

出典:「サンプリングの有効性に関する実態調査〜試供品による商品購入・SNS投稿への影響〜(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/16124

(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/

(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/

この記事の著者

株式会社コズレ 取締役 早川修平の写真

著者: 早川 修平(株式会社コズレ 取締役/MBA)

NTT東日本にて法人営業、マーケティング、経営企画を経験後、慶應義塾大学大学院(在学中、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院へ留学)にてMBAを取得。戦略コンサルティングファーム「ローランド・ベルガー」にて自動車・金融業界など幅広いクライアント向けにマーケティング戦略立案、ビジネスプロセス改善の支援に従事。

その後、子育て世代向けWebメディア「コズレ」を創業期から運営責任者として牽引し、会員数100万人超のプラットフォームへと成長させる。累計500件以上の子育て世帯を対象とした市場調査を主導し、育児用品メーカーや子育て関連サービス企業向けに、定量・定性データに基づくマーケティング戦略やプロモーション施策を多数提案・実行している。また、子育て世代の購買行動やニーズを踏まえたマーケティング手法に関するセミナーや講演会の講師も務める。

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