1. はじめに
2025年8月〜10月に実施した「ベビーカー・紙おむつ購入検討における情報源・購入場所の実態調査」の結果を公開する。
育児用品の購入においては、価格帯や使用頻度、使用期間など、商材ごとの特徴によって情報収集の方法や購入経路が大きく異なることが想定される。本調査では、比較的高額で長期間使用する「ベビーカー」と消耗品である「紙おむつ」という、性質が対照的な育児用品を取り上げた。また、同一商材内においてもブランドごとに情報収集の方法や購入経路が異なることが考えられる。そこで本調査では、コズレ会員を対象に、両商材の購入検討時における情報源や購入場所の実態を詳しく分析し、各商材および各ブランドの傾向や特徴を明らかにした。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:妊娠中または0歳以上の子を持つコズレ会員
調査期間:2025年8月26日(火)〜2025年10月3日(金)
有効回答者数:822名
3. 結果・考察
ベビーカーは約73%、紙おむつは約97%が購入経験あり

購入経験の有無について、ベビーカーでは「購入したことがある」が約73%であるのに対し、「検討したが購入には至らなかった」が約15%を占める結果となった。一方、紙おむつでは「購入したことがある」が約97%と非常に高く、「検討したが購入に至らなかった」はわずか約1%に留まっている。
ベビーカーは比較的高額な育児用品であることに加え、収納スペースの有無や操作性など、多様な要因によって購入を見送る家庭が一定数存在することがうかがえる。また、移動手段としての役割を担う点では、「抱っこ紐」という代替品が存在することも、購入を控える要因の一つと考えられる。一方、紙おむつは育児において必須の消耗品であり、子どもがいる家庭では購入が不可欠であることから、購入検討者のほとんどが購入に至っていると考えられる。
ベビーカーは「アップリカ」、紙おむつは「パンパース」がトップシェア


検討および実際に購入したベビーカーブランドでは、「アップリカ(検討:58%、購入:35%)」が最も多く、次いで「コンビ(検討:50%、購入:22%)」「サイベックス(検討:32%、購入:15%)」が上位を占めた。国内大手メーカーの信頼性や豊富なラインアップを持つブランドが広く検討されつつ、海外ブランドのサイベックスも人気を高めており、機能性とデザイン性を求める層に支持されていることがうかがえる。また、サイベックスは検討率こそアップリカやコンビに劣るが、検討率と購入率の差では最も小さく(21pt)、検討から購入に至る割合が上位2ブランドと比較して相対的に高いことがわかる。
検討および実際に購入した紙おむつブランドでは、「パンパース(検討:83%、購入:40%)」が最も多く、次いで「メリーズ(検討:74%、購入:22%)」「ムーニー(検討:65%、購入:21%)」が上位を占めた。特に、「パンパース」は8割以上が購入を検討しており、認知度の高さがうかがえる。
これらの結果から、ベビーカーでは実際に購入した上位6ブランド(アップリカ・コンビ・サイベックス・ピジョン・西松屋・joie)で全体の約9割を、紙おむつでは上位4ブランド(パンパース・メリーズ・ムーニー・グーン)で全体の約9.5割を占めており、上位ブランドへの集中傾向が見られた。以下では、購入時に参考にした情報源や購入場所を、ベビーカーと紙おむつ間で比較するとともに、同一商材内でブランドごとの差異について分析を行った。
ベビーカーは「店頭」を情報源として重視、紙おむつは分散傾向

ベビーカー購入者が最初に接触した情報源は「店頭」が約29%と最多であったものの、次いで「SNS上の口コミ」が約26%と僅差で上位を占めた。一方、最も参考にした情報源は「店頭」が約42%と圧倒的に高い割合を占めており、次いで「SNS上の口コミ」が約18%であった。
紙おむつ購入者が最初に接触した情報源は「SNS上の口コミ」が約20%と最多であったものの、次いで「店頭」が約17%と僅差で上位を占めた。一方、最も参考にした情報源では「SNS上の口コミ」が約23%、「友人・知人・家族の口コミ」が約21%であり、「口コミ」が40%以上を占め、「店頭」を上回った。
これらの結果から、ベビーカーおよび紙おむつにおいて、情報収集の初期段階では「店頭」と「SNS上の口コミ」を活用することが明らかとなった。一方、購入の決め手となる情報源においては、ベビーカーは安全性や操作性などを実際に確認できる「店頭」を、紙おむつはリアルなユーザーの評価が得られるSNSや身近な人の「口コミ」を重視しており、商材間で異なる傾向が見られた。
ベビーカー購入上位6ブランド比較_国内ブランドは「店頭」、海外ブランドは「SNS」の情報源重視


ベビーカー購入上位6ブランドにおいて、国内ブランドの「アップリカ」「コンビ」「ピジョン」「西松屋」では、参考にした情報源として「店頭」の重要度が極めて高いことがわかった。特にアップリカでは、最も参考にした情報源に「店頭」を挙げた割合が半数を超えており、コンビ・ピジョン・西松屋でも約4〜5割が「店頭」を重視していた。つまり、国内ブランドは実店舗での製品体験や販売員による接客が購入の決め手となる、伝統的な購買チャネルを確立していることが示唆される。一方、一番最初に接触した情報源では、「店頭」と並んで「SNS上の口コミ」や「公式サイト・アカウント」も上位を占めている。これらの結果から、情報収集の初期段階では複数の情報源を活用しつつ、購買の決め手は店頭であることが示唆される。
一方、海外ブランドの「サイベックス」では、情報収集のきっかけとしてSNSの影響力が顕著であることがわかった。一番最初に接触した情報源では、「SNS上の口コミ」が約40%と最多であり、「店頭」の2倍以上を占めた。一方、最も参考にした情報源では、「SNS上の口コミ」が約34%、「店頭」が約25%と差を縮めた。つまり、情報収集の初期段階から購買決定に至るまで「SNS上の口コミ」が重視されるものの、SNSが接点となり実店舗での体験により購買決定に至る割合も一定数存在することがわかった。
紙おむつ購入上位4ブランド比較_情報源がブランドごとに分散する傾向

紙おむつ購入上位4ブランドにおいて、ブランドごとに明確な傾向が確認された。「パンパース」購入者では「友人・知人・家族の口コミ」が最も多く、信頼できる周囲の体験談が購買の決め手になっていることがうかがえる。また、「SNS上の口コミ」も高い割合を示しており、オンライン・オフライン双方の口コミが影響している点が特徴である。「メリーズ」「ムーニー」購入者では、「SNS上の口コミ」が最も多く、次いで「友人・知人・家族の口コミ」や「ネット記事」が続いた。これらの結果から、SNSを中心にリアルな使用感や他者の評価を参照して選ぶ傾向が強いといえる。「グーン」購入者では、「店頭」の割合が最も高く、特に「最も参考にした情報源」としての比率が他ブランドよりも高いことから、店頭の陳列や価格、キャンペーン情報などが購買決定に強く影響している可能性がある。
ベビーカー・紙おむつともに「実店舗」での購入が主流

ベビーカーの購入場所では「実店舗」が約66%、「インターネットショッピング」が約26%と、実店舗が主流であることが示された。一方、紙おむつの購入場所では「実店舗」が約82%と非常に高く、「インターネットショッピング」は約15%に留まっている。
この結果から、ベビーカーは比較的高額な育児用品であり、購入前に実物の確認や店員による説明を受けるニーズが強いため、実店舗で購入される傾向にあると考えられる。しかし、紙おむつと比較してインターネットショッピングの割合が高いのは、オンラインでの価格比較や海外ブランドの選択肢も多いことが要因として挙げられる。一方、紙おむつは定期的に購入する消耗品であり、必要なタイミングで手軽に入手できる実店舗が選ばれやすいことが考えられる。
ベビーカー購入上位6ブランド比較_国内ブランドは「実店舗」、海外ブランドは「インターネットショッピング」

ベビーカー購入上位6ブランドにおいて、国内ブランドの「アップリカ」「コンビ」「ピジョン」「西松屋」では、購入場所として「実店舗」が約8割と高い割合を占めている。一方、海外ブランドの「サイベックス」「joie」では、「インターネットショッピング」が半数以上を占め、対照的な結果となった。
これらの結果は、購入検討時の情報源と強く関連している。国内ブランド購入者は「店頭」を情報源として重視しており、実物を確認した上で販売員の説明を受け、そのまま実店舗で購入に至っていると考えられる。一方、海外ブランドの購入者は「SNS上の口コミ」や「公式サイト・公式アカウント」など、オンライン上の情報を中心に検討を進める傾向があり、情報収集の起点そのものがオンラインであるため、価格比較や利便性を重視してインターネットショッピングでの購入につながりやすいことがうかがえる。
紙おむつ購入上位4ブランド比較_一貫して「実店舗」が約8割

紙おむつ購入上位4ブランドにおいて、一貫して約8割が「実店舗」で購入されている。ブランド間で大きな差はないものの、「グーン」購入者において実店舗での購入率が極めて高いのは、情報源として「店頭」を最も重視していることが影響していると考えられる。一方、「パンパース」「メリーズ」購入者において、インターネットショッピングでの購入率が比較的高いことがわかる。これは、通常価格からの割引が適用されるクーポンや定期便サービスがオンライン購買を後押ししている可能性がある。
ベビーカーは「アカチャンホンポ」、紙おむつは「西松屋」が主力

ベビーカー購入者の実店舗内訳は「ベビー用品店(アカチャンホンポ)」が約38%と最も多く、次いで「ベビー用品店(西松屋)」と「ベビー用品店(ベビーザらス)」が上位を占めた。なお、「西松屋(SmartAngel)」は、プライベートブランドであるため、例外的に「ベビー用品店(西松屋)」での購入が多数を占めている。
紙おむつ購入者の実店舗内訳は「ベビー用品店(西松屋)」が約40%と最も多く、次いで「ベビー用品店(アカチャンホンポ)」と「スーパー」が上位を占めた。中でも、「パンパース」「メリーズ」購入者は複数の実店舗チャネルに分散しており、特に「メリーズ」は「ディスカウントショップ」での購入率が相対的に高いことが特徴である。一方で、「ムーニー」「グーン」購入者では、「ベビー用品店(西松屋)」と「ベビー用品店(アカチャンホンポ)」の合計が6割以上を占めており、実店舗はこの2店舗に中心していることがわかる。
ベビーカー・紙おむつともに、「楽天」「Amazon」が主力

ベビーカー購入者のインターネットショッピング内訳は「楽天」が約40%と最も多く、次いで「Amazon」が約19%であった。なお、「西松屋(SmartAngel)」は、プライベートブランドであるため、例外的に「西松屋公式オンラインストア」での購入が多数を占めている。また、「サイベックス」は「楽天」の割合が6割以上と極めて高くなっている。これは、「Amazon」と比較して「楽天」では製品情報がより詳細に掲載されているほか、口コミ数が3倍以上に上ることが影響していると考えられる(10月28日現在、「リベル」販売ページ)。こうした豊富な情報量とレビューの蓄積が、購買を後押ししている可能性がある。
紙おむつ購入者のインターネットショッピング内訳は「Amazon」が約44%と最も多く、次いで「楽天」が約38%であり僅差で上位を占めた。中でも、「グーン」購入者は「Amazon」の割合が6割以上と極めて高くなっている。これは、「楽天」と比較して「Amazon」では定期便やまとめ買いによる価格メリットがあり、これらの要因が購買を後押ししている可能性がある。
4. 調査項目
- ベビーカーの購入検討有無
- 購入を検討したベビーカーブランド
- 実際に購入したベビーカーブランド
- ベビーカー購入検討時一番最初に接触した情報源
- ベビーカー購入検討時最も参考にした情報源
- ベビーカーの購入場所
- 紙おむつの購入検討有無
- 購入を検討した紙おむつブランド
- 実際に購入した紙おむつブランド
- 紙おむつ購入検討時、一番最初に接触した情報源
- 紙おむつ購入検討時、最も参考にした情報源
- 紙おむつの購入場所
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 村尾、早川)
【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。
出典:「ベビーカー・紙おむつ購入検討における情報源・購入場所の実態調査(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/16252
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)


