1. はじめに
妊娠期や子育て期は、出産準備品や育児用品などの支出が増える時期である。新しい家族の誕生や子どもの成長を喜ぶ一方で、昨今の物価上昇により家計への負担を感じている家庭も少なくない。そこで本調査では、妊娠中および1歳以下の子どもを持つ女性を対象に、身近な商品・サービスの価格に対する実感や世帯支出の変化、また物価上昇下における支出の優先順位などについて調査を実施した。さらに、2025年に実施した同様の調査結果と比較し、子育て世帯の意識や行動の変化を分析した。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
<2025年調査>
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:妊娠中および1歳以下の子を持つコズレ会員
調査期間:2025年1月22日(水)〜2025年2月14日(金)
有効回答数:872名
<2026年調査>
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:妊娠中および1歳以下の子を持つコズレ会員
調査期間:2026年2月20日(金)〜2026年3月6日(金)
有効回答数:458名
3. 結果・考察

家計の「ゆとり」は低下し、支出増を感じる世帯が拡大


2025年から2026年にかけて、子育て世帯の家計状況は厳しさを増している。現在の暮らし向きについて、「1年前に比べて、ゆとりがなくなってきた」と回答した割合は、約39%(2025年)から約41%(2026年)へと増加した。また、世帯全体の支出が「増えた」と回答した割合も、約64%(2025年)から約67%(2026年)へと増加している。
ゆとりがなくなった理由では、妊娠期から出産後にかけて主な要因が大きく変化している。妊娠中の世帯において、2026年調査では「自身の収入減少」が60%と最多であり、産休入りなどに伴う手取り額の減少が最大の要因となっている。次いで「生活関連の物やサービスの値段が上がったから(約43%)」「家族が増えた(約29%)」となっており、実際の支出増加よりも収入源や物価高といった要因がゆとりの喪失感に繋がっていることが示された。
一方、出産を経て0歳児を持つ段階に移行すると家計の状況は一変し、「家族が増えたから」が約78%と最大の要因となった。これは妊娠中の約29%から約50%増加しており、育児用品や生活費といった支出増加が子育て世帯を直撃している実態がうかがえる。同時に「自身の収入が減ったから」も約71%と高い水準を維持しており、育休による減収と支出増という二重の負担が顕在化している。
家計に対する不安においても、「かなり不安」が約33%、「少し不安」が約48%と、合計約81%の子育て世帯が家計に不安を抱えていることが示された。子育て期は将来の教育費など長期的な支出も想定されるため、現在の家計状況だけでなく将来的な経済的不安も影響していると考えられる。
子ども関連支出は8割以上が「増加」、消耗品が中心


お子さまに関する支出が「増えた」と回答した割合は、約78%(2025年)から約83%(2026年)に増加した。支出が増えた品目では「紙おむつ」が最多であり、次いで「おしりふき」「子ども服/肌着」「粉ミルク」など、日常的に使用する消耗品が上位を占めている。支出が増えた理由では「新たに利用を開始したから」が最多であり、次いで「購入商品の価格が上昇したから」が上位を占めている。特に乳幼児期は、おむつやミルクなどの使用量が多く、短期間で多くの消耗品を必要とする時期である。そのため、メーカーによる価格改定や物価上昇の影響が、子育て世帯の家計に直接的な負担として現れていると考えられる。
実際に行われた育児用品の価格改定例として、ピジョン株式会社が挙げられる。2025年6月に哺乳瓶や乳歯用歯ブラシ、ベビーシャンプーなど一部商品で最大約35%の値上げを実施している。また、2026年3月にはレトルト育児食など一部商品で最大約11%の価格改定が行われており、こうした継続的な値上げが子育て世帯の支出増加に影響していると考えられる。
物価上昇をが8割以上が実感、購買行動にも変化


2026年調査において、1年前に比べ物価が「かなり上がった」と回答した割合は約55%に達し、「少し上がった(約29%)」と合わせると、約84%の子育て世帯が物価上昇を実感している。2025年調査時の「かなり上がった(約66%)」と比較すると強烈な上昇感はやや緩和しているものの、依然として多くの家庭が物価高を強く意識している状況が続いている。
物価上昇を受けて取った具体的な行動としては、「割引時に購入するようになった」が約61%で最多となり、次いで「より価格の安い商品に切り替えた(約51%)」「まとめ買いをするようになった(約42%)」が上位を占めた。これらの結果から、生活者は購入量や頻度を減らすことよりも「買い方の工夫」によって購入単価を抑え、生活水準を維持しようとする傾向が見られる。これは、育児用品などの「削れない必需品」を多く抱える子育て世帯の特徴と言える。
「家庭内の生活」と「子ども関連支出」を優先

物価上昇が続く状況下において、子育て世帯は「子どもの成長」や「家庭内の生活」に直結する項目への支出を優先する傾向にある。2026年調査において、物価が上昇しても「お金をかけたい項目」として最も多かったのは「家庭での食事(約55%)」であり、次いで「育児用品(約47%)」「子どもの教育費・習い事(約30%)」が上位を占めた。2025年調査と比較すると、家庭での食事への支出意欲はわずかに低下した一方、子どもに関する支出意欲は全体的に高まる傾向が見られた。
一方、家計を切り詰める場合に「最初に支出を抑えたい項目」については、「自身の衣服・美容(約46%)」が最多であり、次いで「外食・惣菜・フードデリバリー(約43%)」「自身の趣味・交際費(約34%)」が上位を占めた。
これらの結果から、親自身の嗜好品や利便性に関わる支出を抑える一方で、子どもの健康や生活環境を優先する「選択と集中」の消費傾向が見られた。
商品選定では価格以上に「安心安全」を重視

今後1年間の商品・サービスの選定基準において、子育て世帯は低価格であること以上に品質への安心感を重視する傾向が見られた。2026年の重視項目では「安心安全」が約70%で最多となり、2025年に引き続きトップであった。特筆すべきは「信頼できる」という基準の変化である。「信頼できる」を最も重視する割合は約16%(2025年)から約22%(2026年)へ大幅に増加した一方、「低価格」を最も重視する割合は約25%(2025年)から約23%(2026年)に減少した。家計が厳しい状況にあっても、子どもに関わる商品やサービスについては価格だけでなく品質や安全性を重視する傾向が強いことがうかがえる。特に乳幼児期は健康や衛生への意識が高まりやすく、信頼できるブランドや商品を選ぶ行動につながっている可能性がある。
物価上昇は「もう一人子どもを持つこと」にも影響


物価上昇は、将来の家族設計にも影響を及ぼしている。2026年調査で物価上昇を感じている子育て世帯のうち、「もう一人子どもを持つことに対して慎重になった」と回答した割合が約51%(かなり慎重:約24%、やや慎重:約27%)に達した。
一方、子育て支援制度の認知度は高く、「児童手当」は約92%、「出産育児一時金」は約89%の世帯が認知している。利用経験についても「出産育児一時金」が約68%、「児童手当」が約66%と一定程度活用されている。しかし、子育て支援制度の満足度については「不十分だと思う(約35%)」と「やや不十分だと思う(約41%)」を合わせ、約76%の子育て世帯が制度不足を感じている。
これらの結果から、公的支援が一定の役割を果たしているものの、昨今の物価上昇による支出増が支援の効果を上回っており、経済的な不透明感が「もう一人子どもを持つ」という前向きな選択を阻害する要因になっていることが考えられる。
4. 調査項目
- 1年前と比べて、暮らし向きはどう変わったか
- 1年前と比べて、世帯支出はどう変わったか
- 「ゆとりがなくなってきた」と感じる理由
- 1年前と比べて、お子さまに関する支出はどう変わったか
- お子さまに関する支出で増えた/減った項目
- お子さまに関する支出が増えた/減った理由
- 1年前と比べて、生活に関する支出はどう変わったか
- 生活に関する支出で増えた/減った項目
- 生活に関する支出が増えた/減った理由
- 1年前と比べて、サービスに関する支出はどう変わったか
- サービスに関する支出で増えた/減った項目
- サービスに関する支出が増えた/減った理由
- 1年前と比べて、物価がどう変わったと感じるか
- 物価上昇を受けて取った行動
- 「もう一人子どもを持つこと」に対する気持ちの変化
- 物価上昇でもお金をかけたい項目
- 家計を切り詰める場合、最初に抑えたい支出
- 今後1年間、商品やサービスを選ぶ際に重視すること
- 考え/意識/行動
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 村尾、早川)
【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。
出典:「【2025年・2026年 定点調査】 子育て世帯における物価・支出に対する意識(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/18281
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)




