子育て世帯における「紙おむつ」市場調査2026

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1. はじめに

紙おむつは0歳から2〜3歳頃まで毎日使用する生活必需品であり、子育て世帯にとって購買頻度と支出頻度が最も高い消耗品の一つである。市場ではP&G「パンパース」、ユニ・チャーム「ムーニー」、花王「メリーズ」、大王製紙「グーン」の大手4社が長年にわたってシェアを分け合ってきたが、近年はオーガニックコットンや高吸水素材を採用した「プレミアムライン」の台頭により、品質・価格帯ともに多様化が進んでいる。

一方で、紙おむつは「どのタイミングで・どのブランドを認知し・なぜそれを選ぶか」という購買意思決定プロセスが複雑であり、特に第一子の親は育児経験ゼロの状態から数週間以内にブランド選択を完了させるという特殊な購買行動をとる。検討期間・選定理由・その後のブランドスイッチを含む一連の購買行動の実態は、必ずしも十分に可視化されてこなかった。

そこで本調査では、1歳以上の子を持つコズレ会員を対象に、紙おむつに関するブランド認知・検討開始時期・購入チャネル・選定理由・ブランドスイッチの実態と、その背景にあるメカニズムを明らかにした。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

2. 調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:1歳以上の子を持つママパパ
調査期間:2026.01.21-2026.02.28
有効回答数:570名

3. 結果・考察

主要4社の認知率は7割超:「パンパース さらさらケア」が76%でトップ

【グラフ:ブランド認知率】

ブランド認知率(複数回答)では、P&G「パンパース さらさらケア」が約76%で最高値を記録し、大王製紙「グーン」(約75%)、ユニ・チャーム「ムーニー」(約74%)、花王「メリーズ」(約74%)が続いた。大手4社の主力ブランドはいずれも認知率7割以上と拮抗しており、「パンパース はじめての肌へのいちばん」(約73%)、「ムーニー低刺激であんしん」(約52%)、「グーンプラス」(約52%)などのサブラインも5割以上に達している。

一方、アイリスオーヤマ「あんしんGenki!」は約42%、Smart Angel「ベビーパンツ」は約30%と、価格訴求型PBブランドは大手の半数程度にとどまる。認知率の高さと実際の購入シェアの差が大きい場合、「知っているが選ばれない」という状況を示唆しており、認知よりも「選ばれる理由の形成」に課題がある可能性がある。

認知の高い大手4社が購入候補の「デフォルト」となる構造が形成されており、後発ブランドが割り込むためには認知向上施策と合わせて機能・価格訴求の差別化が不可欠と考えられる。

紙おむつ購入経験は99%超:事実上の全員購入商材

【グラフ:紙おむつ購入経験の有無】

本調査の対象者(1歳以上の子を持つコズレ会員)のうち、紙おむつを購入したことがあると回答した割合は約99%(n=567)であった。購入していないのは約0.5%(n=3)にとどまり、そのうち「布おむつしか使わない」が約67%(n=2)であった。

この結果は、1歳以上の子を持つ親の層において紙おむつはほぼ普遍的に購入される消耗品であることを示している。市場としての「購入経験者の裾野」はほぼ飽和しており、今後の競争はいかに継続購入ブランドとして選ばれ続けるか、すなわち「ブランドロイヤリティの維持」と「スイッチの防止」が主戦場となると考えられる。

妊娠後期が最重要接触期間:検討・購入ともに約58%が出産前に完結

【グラフ:購入検討を始めた時期】

【グラフ:最初に購入した時期】

紙おむつの購入検討を「妊娠後期(妊娠8〜10か月)」に開始した割合は約58%と最多であり、実際の初回購入タイミングも「妊娠後期」が約57%で並んでいた。出産直後(0か月)に初めて購入した割合は約27%であり、検討・購入の両方を合わせると、約85%が出産前後のわずかな期間に購買行動を完結させている。

この集中した意思決定期間の背景には、出産準備リストに沿って必需品をまとめて購入する習慣や、育児経験のない親が「産前に情報収集をしておかなければ」という心理的プレッシャーを抱えやすいことが関係していると考えられる。

妊娠後期(8〜10か月)が紙おむつ購入の「最重要接触期間」であり、この時期に先んじてブランド認知と信頼を形成できているかどうかが、初回購入シェアを左右する最大の変数と考えられる。

購入者の約58%が即決:「売り場で決める」前にブランドは選ばれている

【グラフ:購入決定までにかかった時間】

初回購入における検討所要時間を尋ねたところ、「即決(迷わなかった)」が約58%と最多であり、「1日以内」の約13%を加えると約71%が1日以内に購入ブランドを確定していた。「2〜3日」が約7%、「1週間以内」が約6%と、長期にわたって比較検討するケースは少数にとどまる。

このデータは、多くの親が「店頭に着く前に購入ブランドを決定済みである」ことを強く示唆している。妊娠後期という短期間に、すでにブランドへの信頼や認知が形成されているため、店頭での商品比較よりも「事前に記憶にあるブランドを選ぶ」行動が主流となっている可能性がある。

マーケターへの示唆として、店頭POPや棚施策の重要性は否定できないが、「購入の意思決定は産前のメディア接触・産院での体験・口コミ」で既に形成されるケースが多く、産前マーケティングへの投資対効果が相対的に高い可能性がある。

初回購入は西松屋・ドラッグストアが二強、価格帯は1,000〜1,500円未満が約48%

【グラフ:最初に購入した場所】

【グラフ:初回購入の価格帯】

初回の購入場所として最も多かったのは「ベビー用品店(西松屋)」の約37%であり、「ドラッグストア」の約31%が続いた。「アカチャンホンポ」は約16%と3位、EC(Amazon・楽天合計)は約6%にとどまり、初回購入においてはリアル店舗が圧倒的に主流である。

価格帯では「1,000〜1,500円未満」が約48%と最多であり、「1,500〜2,000円未満」が約34%で続く。合計すると約82%が1,000〜2,000円の価格帯で初回購入を完了しており、極端な低価格品(500円未満:約0.4%)や高価格品(3,000円以上:約2%)への偏りは見られない。

初回購入の主戦場は「西松屋・ドラッグストアの実店舗」であり、この2チャネルでの棚確保・視認性向上が初回購入シェア獲得の前提条件となり得る。

パンパースが認知・比較検討・初回購入でトップ:認知から購入への転換率に差

【グラフ:最初に購入したブランド】

【グラフ:比較検討したブランド】

初回購入ブランド(単一回答)では、P&G「パンパース はじめての肌へのいちばん」が約31%で首位であり、「パンパース さらさらケア」(約26%)と合わせるとP&G系が約57%と過半数を占める。花王「メリーズ ファーストプレミアム」が約10%、花王「メリーズ」が約9%でこれに続き、花王系が約19%を占める。

比較検討ブランド(複数回答、最大3つ)では「パンパース はじめての肌へのいちばん」(約46%)と「パンパース さらさらケア」(約45%)が並ぶ一方、「メリーズ」(約34%)、「メリーズ ファーストプレミアム」(約31%)、「ムーニー」(約31%)も3割以上が検討対象に挙げている。

ブランド認知率と比較検討率・購入率を照らし合わせると、認知率が7割台で横並びの主要4社の中で、P&Gの購入転換率が特に高い構造が見てとれる。「比較検討はするが選ばれない」ブランドにとっては、認知よりも「最終選択に残る理由」の訴求が課題と考えられる。

購入理由は「病産院のすすめ」が最重視項目1位:医療機関接点が初回選択を直接決定

【グラフ:初回購入のブランドを選んだ理由】

【グラフ:最も重視した理由】

購入した理由(複数回答)では「肌触り」が約35%でトップ、「吸水性」が約33%、「病産院のすすめ」が約31%と続いた。一方、「最も重視した理由(単一回答)」では「病産院のすすめ」が約17%でトップに立ち、「吸水性」の約14%、「かぶれにくさ」の約13%を上回った。

「病産院のすすめ」が複数回答では3位ながら、単一最重視項目では1位に浮上するのは注目すべき点である。育児経験のない親にとって、医療機関という権威ある情報源からの推薦は、価格・機能・ブランドイメージを超えた強力な動機となる可能性がある。

医療機関との連携(院内採用・サンプリング)が初回ブランド選択の「最終決定要因」として機能しており、産院・産婦人科への働きかけは他の施策に比べて高いROIが期待できると考えられる。

約82%がブランドスイッチを経験:生後3か月が最大の離脱リスクポイント

【グラフ:ブランドスイッチ経験の有無】

【グラフ:初めてスイッチした時期】

初回購入後に「違うブランドを購入したことがある」と回答した割合は約82%(n=466)に達した。紙おむつ市場においてブランドスイッチは例外的な行動ではなく、大多数の親が経験する標準的な行動パターンといえる。

スイッチの時期(初めてスイッチした月齢)では「3か月」が約16%と最多であり、「1か月」(約13%)、「0か月」(約11%)、「2か月」(約12%)、「6か月」(約12%)がそれぞれ1割前後で続く。生後3か月はサイズアップのタイミングや肌状態の変化が起きやすい時期であり、初回購入ブランドへのロイヤリティが揺らぎやすい構造がある。

スイッチ防止の観点からは、産後0〜3か月の短期間における継続接点(アプリ・サンプル提供・メルマガ等のフォローアップ)が離脱率の低減に有効な手段となり得る。

スイッチ理由の約68%は「価格が安い」:機能差より価格差が行動を動かす

【グラフ:ブランドスイッチの理由】

ブランドスイッチの理由(複数回答)では「価格が安い」が約68%と他を大きく引き離しており、2位の「吸水性」(約26%)、3位の「通気性・ムレにくさ」(約22%)とは約45ポイントの差がある。「入手のしやすさ」(約20%)、「かぶれにくさ」(約19%)、「機能」(約20%)が3割弱で続く。

初回購入の決め手では機能・品質・医療機関推薦が上位に立ったのとは対照的に、継続使用フェーズでは価格感応度が急上昇する。毎月発生する消耗品コストは家計の固定支出として意識され、わずかな価格差でも他ブランドへの切り替えが発生しやすい構造がある。

初回獲得は「品質・信頼性」で戦い、継続維持は「コストメリット」で戦う、という2段階の訴求戦略がこの市場では不可欠と考えられる。

スイッチ先1位は花王「メリーズ」約47%:初回購入と逆転するブランド順位

【グラフ:スイッチ後に選んだブランド】

スイッチ後に選ばれたブランド(複数回答)では、花王「メリーズ」が約47%でトップとなり、大王製紙「グーン」(約45%)、ユニ・チャーム「マミーポコ」(約45%)が拮抗して続いた。これに「ムーニー」(約38%)、「パンパース さらさらケア」(約29%)が続く。

初回購入では「パンパース はじめての肌へのいちばん」が約31%でトップを占めていたが、スイッチ先では約11%へと大幅に低下しており、初回に強いブランドと継続使用・スイッチ先として強いブランドが明確に異なる構造を示している。スイッチ先として想起されるブランドになるためには、「価格の手ごろさ」と「機能・品質への安心感」の両立が有効な手段となり得る。

4. 調査項目

  • お子さんの今の月齢
  • 紙おむつを買ったことがあるか
  • 紙おむつの購入を検討し始めた時期
  • 紙おむつを最初に購入した時期
  • 最初の購入を検討するのにかかった時間
  • どの紙おむつのブランドを知っているか・ブランド認知
  • 最初に購入したブランドを比較検討する際に検討したブランド
  • 最初に購入した紙おむつのブランド
  • そのブランドを購入した理由(複数回答)
  • 購入した理由の中で最も重視したもの(単一回答)
  • 最初に紙おむつを購入した場所
  • 最初に購入した紙おむつの1パックあたりの価格帯
  • 最初の購入以降、違うブランドを購入したことがあるか
  • スイッチ後に選んだブランド
  • 最初にスイッチした時期
  • 違うブランドを試した理由(複数回答)
  • 紙おむつを購入していない・しなかった理由

※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

5. おわりに

本調査から、紙おむつ市場の購買行動には以下の構造が浮かび上がった。

まず「認知」においては、大手4社が7割超の認知率で拮抗しており、後発ブランドが入り込む余地は限られている。次に「初回購入」においては、妊娠後期という極めて短い期間に約85%の親が検討から購入までを完結させており、かつ約58%が即決している。この背景には「病産院のすすめ」(最重視理由1位:約17%)が強力に機能していることがあり、産院との連携が初回シェア獲得の最重要施策であることを示している。そして「継続使用」においては、約82%がブランドスイッチを経験しており、スイッチ理由の約68%が「価格が安い」である。初回購入後の離脱リスクは生後0〜3か月に集中しており、スイッチ先として選ばれるブランドは初回購入とは異なる顔ぶれとなっている。

これらの知見は、紙おむつブランドの戦略立案において「産前の認知形成」「医療機関との連携による初回獲得」「産後フォローによるスイッチ防止」という3つのフェーズを分けて設計することの重要性を示唆している。

コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。

本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。

(コズレ子育てマーケティング研究所 早川)

 

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。

出典:「「紙おむつ」市場調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/19170

(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/

(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/

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