調査レポート

こどもNISA、子育て世帯の8割超が利用に前向き ─ 一方で「内容理解」は1割、商品選びへの不安が最大の壁に

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1. はじめに

2027年1月、0歳から17歳の子どもが年間60万円・合計600万円を上限に非課税で投資できる新制度「こどもNISA」の開始が予定されている。教育費の長期的な上昇や将来への備えへの関心が高まるなか、子育て世帯の資産形成を後押しする制度として注目を集めている。一方で、制度が新しいだけに、その認知や理解、利用意向の実態は十分に明らかになっていない。そこで本調査では、妊娠中および0歳以上の子を持つ親を対象に、教育資金準備の現状とこどもNISAに対する認知・利用意向・懸念を明らかにした。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

2. 調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:妊娠中および0歳以上の子を持つコズレ会員
調査期間:2026年5月26日(火)〜2026年6月2日(火)
有効回答数:661名

3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図10)は、記事末尾にまとめて掲載しています。

各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。

教育資金に「不安を感じる」割合は約8割に達する(→ 図1)

お子さまの将来の教育資金について、「やや不安を感じる」が約54.8%、「非常に不安を感じる」が約23.8%であり、不安を感じる割合は合計で約8割に達した(→ 図1)。背景には、大学進学までを見据えた教育費の長期的な負担に加え、物価上昇への警戒感があると考えられる。子育て世帯にとって教育資金は普遍的かつ切実な関心事であり、将来に向けた計画的な資産形成や教育資金の準備に対する関心が高まっていることが推察される。

教育資金準備は「預金」が中心、未着手層も約3割(→ 図2)

現在行っている教育資金の準備は、「子ども名義口座での預金」が約32.8%、「親名義口座での預金」が約27.7%と預金が上位を占めた(→ 図2)。預金中心の傾向は、元本保証を重視する安全志向を反映している可能性がある。一方で、「親名義のNISA(つみたて投資枠含む)」を活用している人は20.1%と一定数みられ、教育資金準備においても資産運用を取り入れる家庭が広がりつつあることがうかがえる。しかし、「旧ジュニアNISA(既に制度終了)」の利用率は1.8%にとどまり、親向けNISAと比べて大きな差が見られた。今回の調査対象が、制度終了後に親となった妊婦・0歳・1歳の親などを含むこと、そして、ジュニアNISAは子どもの将来に向けた資産形成を目的とした制度であったものの、原則として18歳まで払い出しが制限されるなどの制約があり、利用のハードルが高かったことが背景にあると考えられる。なお、「特になし」と回答した人も27.7%存在しており、教育資金への不安を抱えながらも、具体的な準備に着手できていない世帯が一定数いることが示された。

親世代の約55%が既にNISAを利用している(→ 図3)

自身または配偶者名義のNISAについて、「夫婦ともに利用している」が約28.1%、「自分のみ」が約14.8%、「配偶者のみ」が約12.0%であり、いずれかが利用している世帯は約55%にのぼる(→ 図3)。新NISA制度の開始以降、投資が家計に身近な選択肢として浸透してきたことが背景にあると考えられる。こうした投資経験を持つ親世代の存在は、子どもの将来に向けた資産形成制度である「こどもNISA」の受容性を高める土台となる可能性がある。一方で、約45%の世帯では依然としてNISAを利用しておらず、投資に対する不安や知識不足を抱える層も少なくないと考えられるため、制度設計だけでなく分かりやすい情報提供や金融教育も重要になるだろう。

こどもNISAは「名前だけ」認知が約56%で最多(→ 図4)

こどもNISAの認知度は、「名前だけ聞いたことがある」が約55.8%で最も多く、「初めて聞いた」が約31.5%であった。「内容まで詳しく理解している」は約12.7%にとどまる(→ 図4)。こどもNISAは比較的新しい制度であるにもかかわらず、約7割が制度名を認知しており、子育て世帯の関心の高さがうかがえる。一方で、内容まで詳しく理解している人は12.7%にとどまり、認知が先行している状況が見られた。今後の普及に向けては、制度の仕組みやメリットを分かりやすく伝える情報発信が重要と考えられる。

利用に前向きな層は約8割超、ただし「条件次第」が中心(→ 図5)

こどもNISAの利用意向は、「条件次第では利用したい」が約61.1%で最も多く、「利用したい」が約22.7%であった。前向きな層は合計で約8割を超える(→ 図5)。教育資金の準備ニーズは高い一方で、旧ジュニアNISAは利用率が低かったことを踏まえると、子育て世帯は子ども向けの資産形成制度そのものを敬遠しているわけではなく、制度の条件や使い勝手を重視していると考えられる。利用意向を実際の利用につなげるためには、柔軟で分かりやすい制度設計が重要になるだろう。

利用したい理由は「教育資金の準備」が約71%で突出(→ 図6)

こどもNISAを利用したい理由は、「子どもの教育資金を準備したいから」が約71.1%で突出して高く、「非課税で資産運用ができるから」が約37.5%、「子どものライフイベントに向けた資産形成のため」が約35.9%で続いた(→ 図6)。利用動機の中心はあくまで教育資金準備という具体的な目的にある。非課税メリットは、その目的を実現する手段として評価されていると考えられる。

利用したくない理由は「リスク回避」と「知識不安」(→ 図7)

こどもNISAを利用したくない理由は、「特になし」を除くと「元本割れするリスクを避けたいから」が約20.6%、「投資や資産運用の知識に不安があるから」が約18.7%が上位となった(→ 図7)。利用をためらう主な要因として、投資に伴うリスクへの懸念と金融知識への不安が挙げられており、制度への関心は高くても実際の利用には慎重な姿勢が見られる。特に教育資金は子どもの将来に関わる重要な資金であるため、損失への抵抗感が強いことがうかがえる。一方で、「特になし」と回答した人が約4割を占めており、制度そのものへの拒否感は必ずしも大きくないと考えられる。リスクや制度への理解を深める情報提供が進めば、利用意向の向上につながる可能性がある。

懸念点の最多は「どの商品を選べば良いか分からない」約39%(→ 図8)

こどもNISA利用にあたっての懸念点は、「どの商品を選べば良いか分からない」が約39.4%で最も多く、「投資や資産運用の知識に不安がある」が約36.8%、「元本割れするリスクがある」が約34.3%、「制度の仕組みが分かりにくい」が約31.2%と続いた(→ 図8)。利用意向は高いものの、商品選択や制度理解に対する不安が利用の障壁となっていることがうかがえる。これらは適切な情報提供やサポートによって緩和しうる懸念であり、利用促進に向けた重要な課題といえる。

積立希望額は「月1〜2万円」が約30%、未決定層も約34%(→ 図9)

こどもNISAで毎月積み立てたい金額は、「1〜2万円未満」が約30.0%、「1万円未満」が約24.2%であった(→ 図9)。子育て世帯では、家計に無理のない範囲で毎月1〜2万円程度を積み立てながら、長期的に教育資金を準備したいと考える人が多いことがうかがえる。一方で、「まだ決めていない・分からない」と回答した人も約34.1%にのぼり、利用意向はあるものの具体的な積立額まではイメージできていない層が少なくないことがわかった。制度への関心が先行する一方で、必要な教育資金や積立シミュレーションに関する情報は十分ではない可能性があり、目標金額や積立事例などを分かりやすく示すことが、利用検討を後押しするポイントになりそうだ。

求められる情報は「分かりやすい制度説明」と「基礎知識」(→ 図10)

こどもNISA検討時にあれば嬉しい情報は、「制度の仕組みや特徴についての分かりやすい説明」が約57.6%、「初心者向けの資産運用・投資の基礎知識」が約55.2%、「おすすめの商品や選び方の情報」が約42.4%で上位を占めた(→ 図10)。情報ニーズは、専門的な内容よりも「基礎」と「分かりやすさ」に集中している。検討層の多くが投資初心者であることを反映していると考えられる。

4. 調査項目

  • お子さまの将来の教育資金に対する不安度
  • 現在行っている教育資金の準備
  • 自身または配偶者名義のNISA利用状況
  • 「こどもNISA」の認知度
  • 「こどもNISA」の利用意向
  • 「こどもNISA」を利用したい理由
  • 「こどもNISA」を利用したくない理由
  • 「こどもNISA」利用にあたっての懸念点
  • 「こどもNISA」で毎月積み立てたい金額
  • 「こどもNISA」検討時にあれば嬉しい情報
  • お子さまの年齢
  • お子さまの人数(妊娠中を含む)
  • 性別
  • 年齢
  • 家族の就業状況
  • お住まいの都道府県
  • 世帯の年間収入

※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

5. おわりに

まず、子育て世帯にとって教育資金は切実な関心事であり、不安を感じる層は約8割に達した。その準備手段は子ども名義・親名義の預金が中心である一方、約3割が未着手であり、安全志向と未準備層が併存する状況にある(図1・図2)。

次に、こどもNISAの土台となる親世代の投資環境を見ると、約55%が既にNISAを利用しており、投資は家計に浸透しつつある。こどもNISA自体は「名前だけ」の認知が約56%で理解はまだ浅いものの、利用に前向きな層は約8割を超えた。ただしその多くは「条件次第」という留保付きの態度である(図3〜図5)。

そして、利用したい理由は「教育資金の準備」が約71%と突出し、目的が明確である。一方で、商品選択・知識・元本割れリスク・制度理解といった懸念が幅広く挙がっており、これらが「条件次第」層の留保の正体になっていると考えられる(図6〜図8)。

最後に、積立希望額は月1〜2万円程度を中心としつつ未決定層も約34%と多く、検討は初期段階にある。求められる情報は「分かりやすい制度説明」と「初心者向けの基礎知識」に集中しており、平易で実用的な情報提供が利用への後押しになると考えられる(図9・図10)。

コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川)

【グラフ】図1〜図10(全グラフまとめ)

 

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「「こどもNISAの認知度・利用意向」市場調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/19638
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)

※コズレでは子育て世代の調査・子育て世代向けマーケティングのコンサルティングを承っております。詳細は下記よりお問合せください。

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この記事の著者

株式会社コズレ 取締役 早川修平の写真

著者: 早川 修平(株式会社コズレ 取締役/MBA)

NTT東日本にて法人営業、マーケティング、経営企画を経験後、慶應義塾大学大学院(在学中、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院へ留学)にてMBAを取得。戦略コンサルティングファーム「ローランド・ベルガー」にて自動車・金融業界など幅広いクライアント向けにマーケティング戦略立案、ビジネスプロセス改善の支援に従事。

その後、子育て世代向けWebメディア「コズレ」を創業期から運営責任者として牽引し、会員数100万人超のプラットフォームへと成長させる。累計500件以上の子育て世帯を対象とした市場調査を主導し、育児用品メーカーや子育て関連サービス企業向けに、定量・定性データに基づくマーケティング戦略やプロモーション施策を多数提案・実行している。また、子育て世代の購買行動やニーズを踏まえたマーケティング手法に関するセミナーや講演会の講師も務める。

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