1. はじめに
生成AIの普及により、子育て世帯の情報収集のあり方が大きく変わりつつある。妊娠・出産・育児は分からないことの連続であり、親は短期間に多くの疑問や不安を抱える。従来は検索エンジンや家族・専門家への相談が中心であったが、24時間いつでも気軽に質問できるAIが、新たな相談先として浮上している。一方で、AIの回答の正確性や信頼性に対する不安も根強く、その実態は十分に明らかになっていない。そこで本調査では、妊娠中および子育て中の親を対象に、育児領域におけるAIの利用実態・利用理由・懸念点を明らかにした。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:妊娠中および0歳以上の子を持つコズレ会員
調査期間:2026年6月3日(水)〜2026年6月27日(土)
有効回答数:858名
3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図11)は、記事末尾にまとめて掲載しています。
各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。
育児へのAI利用経験者は約53%と過半数に到達(→ 図1)
妊娠・出産・育児に関する情報収集や相談のために「AIを利用したことがある」と回答した割合は約53%であり、過半数に達した(→ 図1)。ChatGPTやGeminiをはじめとする生成AIの一般公開から数年という短期間で、AIは子育て世帯にも広く浸透し、新たな情報収集手段・相談相手として定着し始めていることがうかがえる。
最初の相談相手はパートナーが約76%、AIはSNSに迫る存在へ(→ 図2)
妊娠・出産・育児の悩みで最初に相談する相手・ツールでは、「配偶者・パートナー」が約76%と最多であり、次いで「自分の親」が約47%であった(→ 図2)。一方、「AI」も約20%が選択しており、「SNS」(約24%)に迫る水準にある。身近な人的ネットワークが依然として中心である構造は変わらないものの、AIが検索やSNSと並ぶ相談チャネルとして定着しつつあることがうかがえる。また、「医師・保育士などの専門家」(約11%)を大きく上回っており、専門家へ相談する前の一次的な情報収集や疑問解消の手段としてAIが活用されている可能性がある。
利用頻度は「毎日」が約4割(→ 図3)
妊娠・出産・育児に関する情報収集や相談のためにAIを利用する頻度では、「週に数回程度」が約33%と最多であった(→ 図3)。一方、「1日に何度も」(約23%)と「1日に1回程度」(約17%)を合計すると約4割が「1日に1回以上」利用しており、7割以上の子育て世帯が情報収集や相談にAIを日常的に利用していることが明らかになった。
相談内容は「妊娠中の体調・胎児の成長」が最多で約55%(→ 図4)
AIで情報収集・相談したことがある内容では、「妊娠中の体調・胎児の成長」が約55%と最も多く、次いで「子どもの食事」「子どもの病気・怪我・体調不良時の対応」がともに約42%、「子どもの発育や発達」が約41%であった(→ 図4)。一方、「人間関係」や「パートナーとの育児分担」といった対人関係に関する相談は下位となった。上位には、妊娠中の体調や子どもの健康・発育など、日々の子育ての中で疑問や不安が生じやすく、その場で情報を確認したいテーマが多く並ぶ結果となった。
利用理由は「すぐに回答が得られる」が約72%でトップ(→ 図5)
妊娠・出産・育児に関する情報収集や相談のためにAIを利用する理由では「すぐに回答が得られるため」が約72%と最も高く、次いで「24時間いつでも利用できるため」が約68%、「気軽に質問できるため」が約64%で(→ 図5)。即時性・利便性・心理的な気軽さが、子育て世帯のAI利用を促進する主な要因であると考えられる。子育て中は、まとまった時間を確保することが難しいだけでなく、夜間や外出先など時間や場所を選ばず疑問が生じる場面も多い。こうした状況において、AIは必要なタイミングですぐに情報を得られる手段として、高い価値を提供していることが示唆された。
AIの回答で誤った判断をしたことがある割合は約12%(→ 図6)
AIの回答を参考にしたことで適切な対応が遅れたり誤った判断をした経験が「ある」と回答した割合は約12%であった(→ 図6)。一方、「ない」が約77%、「AIの回答を参考にして行動したことはない」が約11%を占めた。利用者の多くはAIを有用な情報源として活用しているものの、約1割が誤判断を経験していることから、特に医療や健康など正確性が求められる分野では、信頼できる情報源への導線を整備することの重要性が示唆された。
AI利用で不安・悩みが軽減した親は合計約95%(→ 図7)
AIの利用によって不安や悩みが「かなり軽くなった」「少し軽くなった」と回答した割合は合計で約95%に達した(→ 図7)。多くの利用者が、AIの利用によって育児に伴う心理的負担の軽減を実感していることが明らかとなった。これは回答内容の正確性だけでなく、「いつでも相談できる」「すぐに疑問を解消できる」という安心感そのものが、利用価値として認識されていると考えられる。
最大の懸念は「回答が正しいか判断できない」で約48%(→ 図8)
妊娠・出産・育児に関する情報収集や相談において、AI利用に対する懸念点では「AIの回答が正しいのか判断できない」が約48%と最多であり、次いで「鵜呑みにして誤った判断をしないか不安」が約43%であった。(→ 図8)。また、「個人情報やプライバシーの流出が心配」が約27%を占めており、AIへの相談内容には妊娠や子どもの健康状態などセンシティブな情報が含まれることから、データの取り扱いに対する懸念は一定程度存在すると考えられる。一方、「人間のような共感や寄り添いが感じられない」はわずか約2%にとどまり、利用者はAIに対して人間のような感情的なサポートよりも、正確で信頼できる情報を迅速に提供する役割を期待していることがうかがえる。
AIは「気兼ねなく話せる相談相手」が約57%で最多(→ 図9)
育児の悩みにおけるAIの存在を尋ねたところ、「気兼ねなく何でも話せる相談相手」が約57%と最も多く、次いで「ネット検索よりも便利な情報収集の道具」が約38%であった(→ 図9)。一方、「あまり信用できず、頼りにならない存在」はわずか約1%にとどまり、AIを否定的に捉える利用者はごく少数であることがうかがえる。AIは単なる検索の代替にとどまらず、心理的なハードルなく相談できる存在として受け入れられていることが示された。
未利用理由は「AIの回答が正しいか信頼できないから」で約36%(→ 図10)
妊娠・出産・育児に関する情報収集や相談にAIを利用していない理由では「AIの回答が正しいか信頼できないから」が約36%と最多であり、次いで「使い方がよくわからないから」が約30%、「身近な人に相談できるから」が約20%であった(→ 図10)。信頼性への懸念と利用方法の不明確さが、利用を妨げる二大要因であると考えられる。一方、「特になし」も約17%を占めており、子育て世帯の中にはAIを利用する必要性を感じていない層も一定数存在することが示された。
非利用者の今後の利用意向は前向き層が合計約43%(→ 図11)
妊娠・出産・育児に関する情報収集や相談にAIを利用していない子育て世帯のうち、今後「ぜひ利用したい」「やや利用したい」と回答した割合は合計で約44%であり、利用意向は二極化する傾向がうかがえた。(→ 図11)。信頼性への不安や利用方法のハードルが解消されれば、今後さらに利用者が拡大する可能性がある。
4. 調査項目
- 妊娠・出産・育児に関する情報収集や相談のためのAI利用経験の有無
- 疑問や悩みがあるとき最初に相談する相手・利用するツール
- AIの利用頻度
- AIを利用して情報収集・相談したことがある内容
- AIを利用している主な理由
- AIの回答を参考にしたことで誤った判断をしてしまった経験の有無
- AI利用による不安・悩みの軽減度
- AI利用に対する懸念点・不満
- 育児の悩みにおけるAIの存在
- AIを利用していない理由
- 今後のAI利用意向
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
本調査からは、育児領域におけるAI活用が「特別なもの」から「日常的な相談先」へと移行しつつある現状が明らかになった。AIの利用経験者は約53%と過半数に達し、最初の相談先としても約20%が選択するなど、SNSや検索に並ぶチャネルとして定着しつつある(図1・図2)。
利用者においては、「週に数回程度」を中心に高頻度の接触が一定数存在し、「妊娠中の体調・胎児の成長」をはじめとするセンシティブな領域で頼られている。その背景には、即時性・24時間性・気軽さという、多忙な子育て層のニーズに合致した価値がある(図3〜図5)。
利用の結果として、約95%が不安・悩みの軽減を実感し、誤判断の経験は約12%にとどまるなど、利用者の評価は総じて高い。一方で、「回答が正しいか判断できない」という信頼性への懸念は約48%にのぼり、利便性と不安が併存する構造が確認された(図6〜図9)。
非利用層においても、信頼性や使い方への不安が利用を妨げる一方、約43%が今後の利用に前向きであり、潜在的な拡大余地は大きい。信頼を担保する情報設計と、利用ハードルを下げる導線整備が、今後の鍵になると考えられる(図10・図11)。
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 村尾、早川)
【グラフ】図1〜図11(全グラフまとめ)

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「育児消耗品のEC・実店舗 購入チャネル実態調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/19994
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)



