1. はじめに
共働き世帯が一般化し、母親が家事・育児・就労を同時に担う負担は依然として大きい。その中で見過ごされがちなのが、母親自身の体調管理である。子どもの受診には敏感である一方、母親が自分自身の不調を抱えながらも受診を「後回し」にしている可能性が指摘されてきたが、その実態や背景にある障壁は十分に明らかにされていない。そこで本調査では、母親自身の体調不良時における受診行動と、受診を後回しにする物理的・心理的な要因、及び家族・外部サービスによる支援の実態を明らかにした。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:妊娠中および0歳以上の子を持つママ
調査期間:2026年6月9日(火)〜2026年6月28日(日)
有効回答数:825名
3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図11)は、記事末尾にまとめて掲載しています。
各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。
体調不良を「週に数日以上」感じる母親が約5割(→ 図1)
直近1年間で体調不良を「ほぼ毎日」感じると回答した割合は約21%、「週に数日程度」が約30%であり、合計で約5割が週に数日以上の頻度で不調を抱えている(→ 図1)。育児・家事・就労の同時遂行による慢性的な疲労や睡眠不足が、高頻度の体調不良として表れている可能性が考えられ、母親自身の健康は一過性ではなく恒常的な課題として捉える必要があると考えられる。
母親の約8割が受診を「後回し」にした経験あり(→ 図2)
体調不良を感じた際に医療機関への受診を「後回し」にした経験があると回答した母親は約84%にのぼった(→ 図2)。受診の先延ばしが一部の例外ではなく、母親に広く共通する行動様式となっていることがうかがえる。子どもや家庭を優先する中で、自身の受診の優先順位が下がりやすい構造があると考えられる。
約8割が高頻度で受診を後回しにしている(→ 図3)
体調不良時に受診を後回しにする頻度では、「ほぼ毎回後回しにする」が約43%、「後回しにすることが多い」が約38%であり、合計約8割が高頻度で受診を後回しにしている(→ 図3)。後回しが偶発的ではなく習慣化していることを示しており、単発の啓発では行動変容が起こりにくい可能性が考えられる。
物理的障壁は「子連れ受診の大変さ」が最多(→ 図4)
受診を後回しにする物理的な理由としては、「子どもを連れて病院へ行くことが大変」が約46%で最も多く、次いで「子どもの世話を優先し、自分の受診時間を確保できない」が約44%、「病院の待ち時間が長い」が約31%であった(→ 図4)。「通いやすい・信頼できる医療機関がない」や「診療代や薬代・子どもを預けるための費用負担」といった項目は下位となっている。上位項目はいずれも育児に伴う負担に関する内容であり、子どもの預け先や同伴のしやすさが受診可否を左右していると考えられる。
心理的ハードルは「様子見」と「自分の後回し」が突出(→ 図5)
精神的な理由としては、「『そのうち良くなるだろう』と様子を見てしまう」が約65%と最多であり、次いで「子どもや家族を優先し、自分のことは後回しになってしまう」が約55%、「これくらいの症状で受診するほどではないと感じる」が約46%であった(→ 図5)。物理的障壁に加え、自己判断による様子見や、自身を後回しにする母親特有の意識が受診抑制の中心にあることがうかがえる。
受診の決め手は「症状の悪化実感」が約7割(→ 図6)
受診を決めるきっかけとしては、「症状が悪化していると感じたとき」が約69%で最も多く、「強い痛みがあるとき」が約42%、「高熱が出たとき」が約38%と続いた(→ 図6)。一方で「症状に気づいたとき」は約10%にとどまった。初期症状の段階では受診に至らず、悪化や明確な苦痛が生じて初めて行動に移る傾向が読み取れる。早期受診を促すには、悪化を待たずに行動できる判断材料の提供が求められると考えられる。
後回しの結果、約5割が「症状の長期化」を経験(→ 図7)
受診を後回しにした結果として、「回復までに時間がかかった」が約53%、「症状が悪化した」が約30%であった(→ 図7)。「長引く不調にイライラが増し、子どもやパートナーに当たってしまった」も約11%みられた。受診の遅れが回復の長期化や症状悪化につながり、さらに家庭内の情緒面にも波及している可能性がある。受診の後回しは、母親個人の問題にとどまらず家族全体への影響をもたらす可能性が示唆された。
約8割が体調不良時も家事・育児を担っている(→ 図8)
体調不良時に周囲から得られているサポートについて、「十分なサポートを得られており、家事・育児のほとんどを任せられる」は約23%であり、約8割が体調不良時でも家事・育児をせざるを得ない現状が明らかとなった(→ 図8)。「ある程度サポートを得られており、家事・育児の一部を任せられる」が約46%と最多であり、「サポートはあるが十分ではなく、家事・育児の大半は自分が担っている」が約23%、「ほとんどサポートを得られず、ほぼすべてを自分が担っている」が約9%であった。十分な支援を受けられている母親は少数にとどまり、多くの母親は体調不良時であっても家事・育児から完全に離れることが難しい実態がうかがえる。
約2割が助けを「限界まで」求めない傾向(→ 図9)
家族へ助けを求める姿勢について、「困ったときは遠慮なく助けを求められる」は約39%にとどまり、「助けを求められるが、少し遠慮してしまう」が約31%、「本当に限界のときだけ助けを求める」が約16%であった(→ 図9)。支援を求める相手がいても遠慮や我慢が働き、限界まで助けを求めない母親が一定数存在することが示された。このような心理的ハードルを考えると、家族以外の第三者による支援や外部サービスは、遠慮なく利用できる選択肢となる可能性がある。
家族に求めるのは「家事・休養・育児」の代替(→ 図10)
家族に求める対応としては、「家事を代わってほしい」が約60%で最も多く、「一人で休養を取れる時間や環境を確保してほしい」が約55%、「育児を代わってほしい」が約52%と続いた(→ 図10)。具体的な受診同伴よりも、家事・育児からの解放と休養の確保が強く求められている。受診のための「時間と環境」を作ることが、母親が最も必要とする支援であると考えられる。
外部サービスは約7割が「利用経験なし」(→ 図11)
体調不良時に利用したことがある外部支援・サービスについては、「特になし」が約73%と大半を占めた(→ 図11)。利用経験があるサービスでは「オンライン診療」が約9%で最も多く、「一時預かり保育」が約7%、「産後ケア施設」が約5%であった。家族への支援要請に遠慮を感じる母親が一定数存在する一方で、外部サービスの利用は限定的であり、家族以外の支援が十分に活用されているとは言い難い実態が明らかとなった。**特に、利用経験があるサービスではオンライン診療が最も多かったことから、育児と両立しながら利用できる負担の少ない支援には一定のニーズがあることがうかがえる。
4. 調査項目
- 直近1年間で、自身の体調不良を感じた頻度
- 体調不良時に、医療機関への受診を「後回し」にした経験の有無
- 体調不良時に、医療機関への受診を「後回し」にする頻度
- 受診を後回しにする「物理的な理由・障壁」
- 受診を後回しにする「精神的な理由・心理的ハードル」
- 体調不良時に、医療機関への受診を決めるきっかけ
- 受診を後回しにした結果生じた影響・症状の悪化
- 体調不良時に周囲から得られているサポートの程度
- 体調不良時に家族へ助けを求めることへの意識
- 体調不良時に家族に求める対応・サポート
- 体調不良時に利用したことがある外部支援・サービス
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
【受診実態のフェーズ】本調査では、母親の約5割が週に数日以上の体調不良を抱え、約8割が受診を後回しにした経験を持つことが明らかになった。後回しは習慣化しており、母親自身の健康が恒常的に後回しにされる構造が確認された(図1・図2・図3)。
【障壁のフェーズ】後回しの要因は、「子連れ受診の大変さ」などの物理的障壁と、「様子見」「自分の後回し」といった心理的ハードルの双方にまたがる。受診のきっかけは症状の悪化実感に偏り、結果として回復の長期化や家庭への波及が生じている(図4・図5・図6・図7)。
【支援のフェーズ】約3割がサポート不足を実感し、助けを求めること自体に遠慮を感じる層も厚い。母親が求めるのは家事・育児の代替と休養時間の確保であり、受診の前提となる環境整備への需要が大きい(図8・図9・図10)。
【機会のフェーズ】外部支援・サービスの利用経験は約7割が皆無であり、オンライン診療など在宅完結型の手段に需要の芽が見られる。認知獲得と利用障壁の解消によって、母親の受診を後押しする余地は大きいと考えられる(図11)。
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 村尾、早川)
【グラフ】図1〜図11(全グラフまとめ)

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「育児消耗品のEC・実店舗 購入チャネル実態調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/20044
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)



