1. はじめに
記録的な猛暑と物価高が続くなか、子どもの夏休みの過ごし方は大きく変わりつつある。屋外での活動は熱中症のリスクと隣り合わせとなり、旅行やイベントなどの「体験」には家計の負担が重くのしかかる。とりわけ、世帯の経済状況によって子どもが得られる体験に差が生じる「体験格差」への懸念も高まっている。そこで本調査では、長子3歳以上の子を持つ親を対象に、昨年の夏休みにおける屋外・屋内・在宅での過ごし方の変化、猛暑と物価高が体験機会に与えた影響、そして世帯年収による違いを明らかにした。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:長子3歳以上の子を持つコズレ会員
調査期間:2026年5月20日(水)〜2026年7月6日(月)
有効回答数:237名
3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図15)は、記事末尾にまとめて掲載しています。
各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。
屋外活動は約45%が「増加」、「減少」は約14%にとどまる(→ 図1)
昨年の夏休みの子どもの屋外活動について、「とても増えた」「やや増えた」の合計は約45%であり、「やや減った」「とても減った」の合計約14%を大きく上回った(→ 図1)。「猛暑で外遊びが減った」という直感とは逆の結果である。ただし、本調査の対象は長子3〜6歳が中心であり、比較基準である「それ以前の夏」は子どもがより低年齢であった時期にあたる。そのため、成長に伴う行動範囲の自然な拡大が「増えた」に含まれている可能性も考慮する必要がある。
猛暑イコール屋外活動の総量減、という単純な図式では市場の実態を読み違える可能性があると考えられる。
屋外活動が「減った」層の約85%が理由に「猛暑・熱中症回避」(→ 図2)
屋外活動が減ったと回答した層にその理由を尋ねると、「猛暑・熱中症のリスクを避けるため」が約85%と突出し、「熱中症警戒アラートが頻繁に発表されたため」も約32%が挙げた(→ 図2)。減少の背景には、価格や多忙よりも圧倒的に「暑さそのもの」があることが分かる。全体では屋外活動が減っていなくとも、減った層においては猛暑が明確な主因である。
屋外活動が抑制された家庭に対しては、暑さ対策や涼を軸にした訴求が響きやすいと考えられる。
約51%が猛暑で子どもの体験機会の「中止・変更」を経験(→ 図3)
猛暑の影響で子どもの体験機会(屋外イベント、スポーツなど)を中止・変更せざるを得なかった経験が「頻繁にあった」「時々あった」の合計は約51%に達した(→ 図3)。屋外を前提とした体験は、猛暑によって半数の家庭で予定変更を迫られている。この傾向は後述の通り世帯年収による差がほとんど見られず、猛暑は所得を問わず家庭を等しく襲う外圧であるといえる。
屋外前提の体験サービスは、代替プログラムや時間帯シフトを織り込んだ設計が求められると考えられる。
熱中症・体調不良は約34%、精神面への影響は約40%(→ 図4・図5)
猛暑による子どもへの影響は身体・精神の両面に及ぶ。熱中症の症状や体調不良(食欲不振・睡眠不足など)が「はっきりとした症状」「軽い症状」の形で見られた家庭は合計約34%であった(→ 図4)。また、猛暑や外遊びの制限によって子どもの精神面・機嫌に「大きな影響」「多少の影響」があったとする回答も合計約40%にのぼる(→ 図5)。
猛暑は子どもの健康と情緒の双方に負荷をかけており、涼しく安全に過ごせる環境の提供に価値訴求の余地があると考えられる。
保護者の約61%が子どもの世話・付き添いに「負担」を実感(→ 図6)
猛暑の中での子どもの世話や付き添いについて、保護者自身が感じた負担が「非常に大きかった」「やや大きかった」の合計は約61%に達した(→ 図6)。暑さの中での見守りや外出の付き添いは、子どもだけでなく保護者にも相当の負荷を与えている。この負担は、育児当事者が抱える「隠れたコスト」といえる。
子どもの快適性だけでなく「保護者の負担軽減」をベネフィット軸に据える提案が、共感を得やすいと考えられる。
屋内有料活動は約43%が「増加」(→ 図7)
屋内での有料活動(屋内プレイルーム、商業施設、水族館、映画館など)の利用頻度は、「とても増えた」「やや増えた」の合計が約43%となった(→ 図7)。減少(合計約7%)を大きく上回っており、猛暑を避ける「涼しい遊び場」への需要が高まっている様子がうかがえる。屋外の代替先として屋内施設が選ばれている構図である。
涼を提供できる屋内体験施設にとっては、猛暑がむしろ追い風になっていると考えられる。
在宅時間は約41%が「増加」(→ 図8)
子どもが在宅(家の中)で過ごす時間についても、「とても増えた」「やや増えた」の合計が約41%であった(→ 図8)。屋外・屋内の外出と並行して、家の中で過ごす時間も長くなっている。猛暑下では「外に出ない」という選択が一定数の家庭で取られていることを示している。
在宅時間の増加は、家庭内で楽しめる商材・サービスの接触機会が拡大していることを意味すると考えられる。
在宅では「動画視聴」約44%・「室内遊び」約41%が増加(→ 図9)
在宅時間に子どもが取り組むようになった・時間が増えたものとしては、「テレビ・動画配信サービスの視聴」が約44%、「室内での運動や室内遊び」が約41%と上位を占めた(→ 図9)。一方で「特に変化はない」も約25%あり、家庭による差も見られる。増えた過ごし方の中心は、受動的な動画視聴と能動的な室内遊びに二分される傾向がある。
在宅コンテンツや室内遊び商材にとって、夏休みはプロモーションの好機になり得ると考えられる。
回答者の世帯年収は幅広く分布(調査対象の内訳)(→ 図10)
以降の分析の前提として、回答者の世帯年収の分布を示す。「400〜600万円未満」が約28%と最も多く、「600〜800万円未満」約21%が続くなど、幅広い所得層が含まれている(→ 図10)。本調査ではこの分布をもとに、世帯年収600万円を境に「600万円以上」「600万円未満」の2群に分けて体験機会の差を分析した(年収を回答した層が対象)。
体験費用は約32%が「増加」、約56%が「横ばい」(→ 図11)
子どもの体験(旅行、キャンプ、短期スクール、お祭りなど)にかける費用は、「大幅に増えた」「やや増えた」の合計が約32%、「変わらない」が約56%、「減った」が合計約11%であった(→ 図11)。物価高が叫ばれるなかでも、体験費用を維持・増額している家庭が多数派を占めている。子どもの体験は家計の中で優先度の高い支出と位置づけられている可能性がある。
「体験」は削られにくい支出であり、家計が厳しくとも投資対象となりやすいと考えられる。
体験費用を増やせたのは高所得層で約40%、低所得層で約28%(→ 図12)
体験費用が増えた(大幅+やや)とする割合を世帯年収別に見ると、600万円以上の層で約40%、600万円未満の層で約28%となり、高所得層のほうが体験投資を増やせている(→ 図12)。可処分所得の差が、上乗せできる体験費用の差として表れている構図である。体験の「量」を増やせるかどうかは、家計の余力に左右されやすい。
体験機会の拡大余地は所得と連動しており、ここに体験格差の一端が現れていると考えられる。
物価高で体験を「あきらめ・縮小」した経験は約47%(→ 図13)
物価高の影響で子どもの体験機会(旅行やイベント等)をあきらめたり、規模を縮小したりした経験が「頻繁にあった」「時々あった」の合計は約47%にのぼった(→ 図13)。約半数の家庭が、物価高を理由に体験をどこかで我慢している。前述の通り体験費用の総額は維持されやすい一方で、その裏では「本当はやりたかったことの断念」が広く生じている。
支出額だけを見ていては捉えられない「見えない我慢」が、多くの家庭に広がっていると考えられる。
「頻繁にあきらめた」層は低所得層が高所得層の約3倍(→ 図14)
物価高による体験のあきらめ・縮小を世帯年収別に見ると、「あった」計では600万円未満約53%・600万円以上約47%と大きな差はない。しかし「頻繁にあった」に限ると、600万円未満が約15%と、600万円以上(約5%)の約3倍に達する(→ 図14)。体験格差は「あきらめるか否か」よりも、「あきらめの頻度・深さ」に鋭く現れている。所得を問わず家庭を等しく襲う猛暑とは対照的に、物価高は低所得層により重くのしかかっている。
無料・低価格の体験機会を提供することは、この体験格差の是正に直結する取り組みになると考えられる。
最多の工夫は「公共施設の活用」約30%、一方で「特に工夫なし」も約32%(→ 図15)
物価高と猛暑のダブルパンチを乗り切るための家庭の工夫では、「無料・低価格で涼める公共施設(図書館・児童館等)の活用」が約30%で最多の実施項目となった。一方で「特に工夫したことはない」も約32%を占めた(→ 図15)。涼と節約を同時に満たす公共施設が、夏を乗り切る定番手段として定着しつつある。他方、工夫の余地に気づいていない、あるいは手が回らない家庭も一定数存在する。
無料・低価格の涼所提供や、家庭に工夫の選択肢を届ける情報発信に、企業・自治体の関与余地があると考えられる。
4. 調査項目
- 長子の年齢
- 昨年の夏休みの屋外活動の頻度変化(前年までの夏との比較)
- 屋外活動が「減った」理由
- 屋内有料活動の利用頻度の変化
- 在宅で過ごす時間の変化
- 在宅時間に取り組むようになった・増えた活動
- 子どもの「体験」にかける費用の変化(前年比)
- 物価高による体験機会のあきらめ・縮小の有無
- 猛暑による体験機会の中止・変更の有無
- 熱中症症状・猛暑による体調不良の有無
- 猛暑・外遊び制限による精神面・機嫌への影響
- 保護者が感じた世話・付き添いの負担感
- 物価高と猛暑を乗り切るための家庭の工夫
- もっと体験させたかったこと/断念して悔しかったこと(自由回答)
- 世帯の年間収入
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
昨年の夏、子どもの屋外活動は全体では増加が減少を上回った。ただし「それ以前の夏」との比較には成長による自然増が含まれる点に留意が必要であり、屋外活動が減った層に限れば約85%が猛暑・熱中症回避を理由に挙げている。約半数が猛暑で体験機会の中止・変更を迫られ、保護者の約6割が世話・付き添いに負担を実感した。猛暑は活動の「総量」よりも、その「質」と「保護者の負担」に影を落としていると考えられる。(図1〜図6)
猛暑を背景に、屋内有料活動や在宅時間はいずれも増加し、動画視聴や室内遊びが在宅での過ごし方の中心となった。涼しい屋内や在宅で楽しめる商材・サービスには追い風が吹いていると考えられる。(図7〜図9)
体験費用は全体の約3割で増加した一方、物価高による体験の「あきらめ・縮小」は約47%と広く発生した。注目すべきは、「頻繁にあきらめた」割合が低所得層で高所得層の約3倍に達した点である。体験格差は「体験の有無」よりも「あきらめの頻度・深さ」に現れており、無料・低価格の体験機会の提供が格差是正の鍵になると考えられる。(図10〜図14)
家庭では公共施設の活用などの工夫が広がる一方、「特に工夫していない」層も約3割存在した。猛暑は所得を問わず等しく家庭を襲うが、物価高は低所得層により重くのしかかる。この二つの外圧の性質の違いを踏まえた提案が、子育て世帯の夏を支えるうえで重要になると考えられる。(図15)
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川)
【グラフ】図1〜図15(全グラフまとめ)

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「子どもの夏休みの過ごし方 実態調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/XXXXX
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)



