1. はじめに
出産直後のママは、身体の回復途上にありながら昼夜を問わない育児に直面する。核家族化や共働きの進展により家族からの支援が得にくい家庭も増え、産後の心身の負担や孤立は大きな社会課題となっている。こうした中、宿泊型・日帰り型・訪問型でママの休養や育児支援を提供する「産後ケアサービス」の整備が自治体を中心に進んでいる。しかし、子育て世帯における同サービスの認知や利用の実態、利用を妨げる要因については、必ずしも明らかになっていない。そこで本調査では、産後ケアサービスの認知度・利用実態・満足度・利用意向を明らかにした。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:長子0歳以上の子を持つコズレ会員
調査期間:2026年6月20日(土)〜2026年7月7日(火)
有効回答数:697名
3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図15)は、記事末尾にまとめて掲載しています。
各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。
産後ケアサービスの認知度は約96%、「内容までよく知っている」も約47%(→ 図1)
産後ケアサービスを「内容までよく知っている」は約47%、「名前だけ知っている」は約49%であり、合計約96%が認知していた(→ 図1)。「初めて聞いた」は約4%にとどまる。自治体による事業整備や母子手帳交付時の案内などを通じ、産後ケアという言葉自体は子育て世帯にほぼ浸透していると考えられる。一方で、認知者の約半数は「名前だけ」の段階にとどまっており、サービス内容への理解や実際に利用する段階へのハードルが示された。
利用経験は約19%にとどまり、認知と利用に大きなギャップ(→ 図2)
これほど高い認知度に対し、実際に産後ケアサービスを「利用したことがある」のは約19%にとどまった(→ 図2)。約96%という認知度と比較すると、認知から利用への転換には大きなギャップが存在する。名称の浸透が利用に直結しておらず、料金・手続き・必要性の認識など、利用を妨げる別の要因があることが示唆される(後述の図13参照)。
利用種類は日帰り型・宿泊型が拮抗、利用回数は「1回」が約46%(→ 図3・図4)
利用経験者が利用したサービスの種類は、「日帰り型」が約43%、「宿泊型」が約42%と拮抗し、「訪問型」も約34%と一定の利用がある(→ 図3)。利用回数は「1回」が約46%と最多でほぼ半数を占めた(→ 図4)。自治体によって利用可能な回数・日数の上限は異なるが、「6回以上」の利用は約13%と少数派であり、継続的・反復的な利用は広がっていない。
利用の背景は「身体的な負担」が約49%、理由は「身体の回復」が約63%でトップ(→ 図5・図6)
利用の背景としては「出産による身体的な負担や体調不良があった」が約49%で最多となり、「精神的な不安や孤独感」約28%、「育児や家事の両立が大変だった」約26%が続いた(→ 図5)。利用理由でも「身体を休め回復させるため」が約63%でトップとなり、「育児について相談するため」約43%、「気分転換やリフレッシュをするため」約39%が続く(→ 図6)。産後ケアは第一義的には「母体の回復」のためのサービスとして利用されつつ、相談・リフレッシュといった精神面の支援も複合的に求められていることがうかがえる。
サービス選びの決め手は「サポート内容」(→ 図7・図8)
宿泊型・日帰り型および訪問型の利用者がサービスを選ぶ際に重視したことは「受けられるサポートの内容」とが最多となった。(→ 図7・図8)。自治体助成の有無」や「利用料金」も上位であり、費用面への関心が高いことがうかがえた。一方で、「スタッフの専門性・信頼性」や「利用しやすい立地・アクセス」も比較的多く選択されており、価格だけでなく、安心して利用できる体制や利便性もサービス選択に影響していることが示された。
情報源は「自治体」が最多。SNS・口コミは下位(→ 図9)
利用経験者が参考にした情報源は「自治体(ホームページ/広報誌/母子手帳交付時の案内など)」が約78%で突出し、最も参考にした情報源でも約52%と過半数を占めた(→ 図9)。次いで「医療機関・医療従事者」、「産後ケア施設のホームページ」が上位を占めた。一方、「SNS」や「家族・友人・知人の口コミ」は下位となった。一般的な育児用品ではSNSや口コミが重視される傾向があるが、産後ケアでは行政・医療という「公的・専門家ルート」が情報の関所として機能していることがうかがえる。
満足度は約93%、効果の実感は「身体の回復」が約53%でトップ(→ 図10・図11)
利用経験者の満足度は「非常に満足」が約58%、「やや満足」が約35%で、合計約93%が満足と回答した(→ 図10)。実感した効果としては「身体の回復につながった」が約53%で最多となり、「睡眠や休息の時間を確保できた」約45%、「気持ちに余裕ができた」約39%、「育児に対する不安が軽減した」約38%が続いた(→ 図11)。利用のハードルは高いものの、一度利用すれば高い満足と具体的な効果が得られており、体験の質自体は極めて高いサービスであるといえる。
改善要望は「利用できる回数・日数を増やしてほしい」が約61%で突出(→ 図12)
利用経験者の改善要望は「利用できる回数・日数を増やしてほしい」が約61%で突出し、「利用料金を安くしてほしい」約44%、「利用できる施設やサービスを増やしてほしい」約43%、「自治体の助成内容を充実してほしい」約42%が続いた(→ 図12)。満足度が約93%と高い一方で、「もっと使いたいのに使えない」という量的な制約への不満が最大の改善点として浮かび上がった。
未利用の理由は「料金が高い」約41%、「家族のサポートで十分」約34%(→ 図13)
未利用者が利用しなかった理由は「利用料金が高いと感じた」が約41%で最多となり、「家族や周囲のサポートで十分だった」約34%、「利用する必要性を感じなかった」約21%、「申請や手続きが面倒だった」約20%、「近くに利用できる施設やサービスがなかった」約18%が続いた(→ 図13)。「サービスを知らなかった」は約6%にとどまり、未利用の主因は認知不足ではなく、価格・手続き・アクセスといった利用障壁にあることが明確になった。
未利用者の約76%が利用意向あり、条件のトップは「料金が安くなること」約67%(→ 図14・図15)
4. 調査項目
- 産後ケアサービスの認知度
- 産後ケアサービスの利用経験
- 利用したことがある産後ケアサービスの種類
- 産後ケアサービスの利用回数
- 産後ケアサービスを利用した時期(子どもの月齢)
- 産後ケアサービスを利用した背景
- 産後ケアサービスを利用した理由
- 産後ケアサービス(宿泊型・日帰り型)を選ぶ際に重視したこと/最も重視したこと
- 産後ケアサービス(訪問型)を選ぶ際に重視したこと/最も重視したこと
- 産後ケアサービスについて参考にした情報源/最も参考にした情報源
- 産後ケアサービスの満足度
- 産後ケアサービスを利用して感じた効果
- 産後ケアサービスについて改善してほしい点
- 産後ケアサービスを利用しなかった理由
- 今後の産後ケアサービスの利用意向
- 利用を検討しやすくなる条件
- 事前にあれば利用を検討しやすかった情報
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
認知のフェーズでは、産後ケアサービスの認知度は約96%に達し、名称の浸透はほぼ完了している。一方で「内容までよく知っている」は約47%にとどまり、利用経験は約19%と、認知と利用の間に大きなギャップが存在することが確認された(図1・図2)。
利用のフェーズでは、日帰り型・宿泊型を中心に利用され、利用回数は「1回」が約46%とほぼ半数を占めた。利用の動機は「身体の回復」を軸に、相談やリフレッシュといった精神面の支援ニーズが重なる。施設選びでは「サポート内容」と費用面が重視され、情報源としては自治体・医療機関という公的ルートが圧倒的な影響力を持っていた(図3〜図9)。
評価のフェーズでは、利用者の約93%が満足し、「身体の回復」「睡眠・休息の確保」など具体的な効果が実感されていた。一方で最大の改善要望は「利用できる回数・日数を増やしてほしい」(約61%)であり、体験の質より量的な制約が課題となっている(図10〜図12)。
未利用層においては、約76%が利用意向を持つ一方、価格・手続き・アクセスが障壁となって利用に至っていない。利用検討の条件も「料金」「助成」「手続き簡素化」に集中しており、障壁の解消が市場拡大の鍵であることが示された(図13〜図15)。
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 村尾、早川)
【グラフ】図1〜図15(全グラフまとめ)

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「産後ケアサービス、知っているのに使わない? 認知96%・利用19%から見えた利用の壁(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/20511
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)



