調査レポート

「育児耐久消費財」のEC化はどこまで進んだ? 購入チャネル調査2026

  • LINEで送る

1. はじめに

ベビーカーやチャイルドシート、ベビーベッドといった育児耐久消費財は、単価が高く、かつサイズが大きくかさばる商材が多い。こうした特性から、購入チャネルは実店舗とEC(インターネット通販)のいずれに向かうのか、またECで購入する場合には事前に実店舗で現物を確認する「ショールーミング」がどの程度行われているのかは、メーカー・小売の販売戦略を考えるうえで重要な論点である。しかし、育児耐久消費財に絞った購入チャネルの実態は十分に明らかにされていない。そこで本調査では、主要な育児耐久消費財12品目について、実店舗とECの購入比率、およびショールーミングの実施状況を明らかにした。あわせて、別途実施した育児消耗品の購入チャネル調査(2026年6月)と比較することで、耐久消費財ならではの特徴を浮き彫りにした。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

2. 調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:妊娠中および産後の子を持つコズレ会員
調査期間:2026年6月30日(月)〜7月27日(月)
有効回答数:512名

3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図4)は、記事末尾にまとめて掲載しています。

各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。

購入率トップは抱っこひも・チャイルドシート(→ 図1)

購入率が最も高い商材は抱っこひもで約70%、次いでチャイルドシートが約63%であった(→ 図1)。いずれも新生児期の外出・移動に必須の商材であり、多くの家庭が出産前後に優先的に購入していると考えられる。一方でベビーラック(約12%)やB型ベビーカー(約18%)は保有率が低く、ライフステージや育児スタイルに応じた選択的な購入にとどまっている可能性がある。

購入率の高い必需品ほど早い時期に検討されるため、妊娠期からの早期接点づくりが重要と考えられる。

育児耐久消費財のEC購入比率は全体で約4割に達する(→ 図2)

購入チャネルを購入者ベースで見ると、全12品目を通じて実店舗が約54%、ECが約45%と、実店舗がやや優勢ながらもECが約4割を占める結果となった(→ 図2)。かさばり・重量のある育児耐久消費財では、持ち帰りの負担を避けて自宅まで届くECが選ばれやすいと考えられる。

日用消費財と比べても育児耐久消費財のEC購入比率は高い水準にあると考えられ、ECを主軸とした販売設計の重要性が示唆される。

ベビーモニターはEC比率が約86%で突出、家電系はEC優位(→ 図2)

品目別に見ると、ベビーモニターのEC比率が約86%と最も高く、次いでベビーベッド(約67%)、電動さく乳器(約61%)、電動鼻吸い器(約58%)が続いた(→ 図2)。家電・デジタル機器はスペックや口コミで比較検討しやすく、店頭で現物を確認する必要性が相対的に低いため、ECに購入が集中していると考えられる。

機能で選ばれる家電系商材はEC起点の情報設計(比較コンテンツやレビュー訴求)が有効と考えられる。

実店舗が強いのはフィット・安全性を重視する商材(→ 図2)

一方、実店舗比率が高かったのはベビーふとん(約70%)、A型ベビーカー・チャイルドシート(ともに約67%)であった(→ 図2)。これらは装着感やサイズ、安全性など、現物を見て確かめたい要素が大きい商材であり、店頭での確認・接客を経て購入に至る傾向が強いと考えられる。

「触って確かめたい」商材では実店舗の体験価値が依然として購買の決め手であり、店頭施策の余地が大きいと考えられる。

ショールーミングはベビーカー類で約5〜6割と高い(→ 図3)

ECで購入した層に絞って事前の実店舗確認(ショールーミング)を見ると、A型ベビーカーが約65%と最も高く、チャイルドシート(約57%)、抱っこひも(約54%)、B型ベビーカー(約51%)が続いた(→ 図3)。単価が高く、かつフィットや安全性を確かめたい商材ほど、店頭で現物を確認したうえで価格やポイント還元の面からECで購入する行動が定着していると考えられる。

高単価かつ体験重視の商材では、実店舗が「確認の場」、ECが「購入の場」として機能しており、両チャネルを分断せず連携させる設計が求められると考えられる。

家電系はショールーミングが低く、スペック購買が中心(→ 図3)

対照的に、ベビーモニター(約11%)やベビーラック(約13%)、ベビーふとん(約15%)はショールーミング実施率が低かった(→ 図3)。EC比率が高い家電系ほどショールーミングが少ないという逆の関係がうかがえ、これらの商材では店頭確認を経ずにオンライン上の情報だけで購入判断が完結していると考えられる。

EC比率が高い商材ほど店頭確認を必要としない傾向にあり、オンライン完結型の購買導線を強化することが有効と考えられる。

消耗品よりEC比率は高いが、店頭接触率は約7割に達する(→ 図4)

実店舗で購入した層に、ECで購入する前に実店舗で現物を確認した層(ショールーミング)を加えた「店頭接触率」は、全体で約69%に達した(→ 図4)。A型ベビーカー・チャイルドシートは約85%が何らかの形で店頭に触れており、EC比率が高いベビーモニター(約22%)とは対照的である。別途実施した育児消耗品の調査では初回・リピートとも実店舗が約8割を占め、EC比率は耐久消費財より低かった。この差は、耐久消費財の高単価ゆえに価格比較やポイント還元・配送の価値が大きく、かつ出産前の計画購入で配送のリードタイムを許容できることが主因と考えられる。低単価で日々の買い物のついでに即時購入される消耗品とは、EC選択の動機が構造的に異なると考えられる。

耐久消費財は消耗品よりEC比率が高い一方、店頭は「購入の場」から「確認の場」へと役割を変えつつ、依然として購買に深く関与していると考えられる。

4. 調査項目

  • 長子(第一子)の年齢
  • A型ベビーカーの購入有無/購入場所(実店舗・EC)/購入前の実店舗確認(ショールーミング)
  • B型ベビーカーの購入有無/購入場所/購入前の実店舗確認
  • チャイルドシートの購入有無/購入場所/購入前の実店舗確認
  • 抱っこひもの購入有無/購入場所/購入前の実店舗確認
  • バウンサーの購入有無/購入場所/購入前の実店舗確認
  • ベビーベッドの購入有無/購入場所/購入前の実店舗確認
  • ベビーふとんの購入有無/購入場所/購入前の実店舗確認
  • ベビーラックの購入有無/購入場所/購入前の実店舗確認
  • ベビーモニターの購入有無/購入場所/購入前の実店舗確認
  • 電動さく乳器の購入有無/購入場所/購入前の実店舗確認
  • 電動鼻吸い器の購入有無/購入場所/購入前の実店舗確認
  • 哺乳びんスチーム除菌・乾燥器の購入有無/購入場所/購入前の実店舗確認

※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

5. おわりに

本調査からは、育児耐久消費財の購入チャネルが商材特性によって大きく分かれる実態が明らかになった。まず普及の面では、抱っこひもやチャイルドシートといった外出必需品の購入率が高く、必需性の高い商材ほど妊娠期から早期に検討される傾向がうかがえた(図1)。

チャネル全体では、実店舗が約54%とやや優勢ながらもECが約4割を占め、かさばる育児耐久消費財においてECが有力な購入手段として定着している様子が確認された(図2)。とりわけベビーモニターや電動さく乳器・鼻吸い器といった家電系はEC比率が高く、機能・スペックで比較検討される商材はオンラインでの購買が中心となっている。

一方で、A型ベビーカーやチャイルドシート、ベビーふとんなど、フィット感や安全性を現物で確かめたい商材では実店舗比率が高かった(図2)。加えて、これらの高単価・体験重視の商材はECで購入する層でもショールーミング実施率が約5〜6割と高く、「実店舗で確認し、ECで購入する」という行動が定着していることが示された。反対に、EC比率の高い家電系ではショールーミングが少なく、オンライン完結型の購買が中心であった(図3)。

別途実施した育児消耗品の購入チャネル調査(2026年6月)と比較すると、耐久消費財の特徴はより鮮明になる。消耗品は初回・2回目以降ともに実店舗が約8割を占め、EC化が最も進んだ紙おむつでもリピート時の実店舗利用は約8割にとどまっていた。消耗品は低単価で日々の買い物のついでに即時購入されるためEC化の動機が働きにくいのに対し、耐久消費財は高単価ゆえに価格比較・ポイント還元・配送の価値が大きく、かつ出産前に計画的に準備するため配送のリードタイムを許容できる。こうした要因が重なり、耐久消費財ではEC比率が約4割まで高まっており、かさばる商材ほどECが選ばれやすいという当初の想定が裏づけられた。ただし、実店舗購入とショールーミングを合わせた店頭接触率は全体で約69%に達し、耐久消費財においても店頭で現物を確認したいというニーズは根強く残っている(図4)。

以上から、育児耐久消費財のマーケティングにおいては、消耗品以上にECの比重が高いことを前提としつつ、商材ごとに実店舗とECの役割を見極め、店頭を「確認の場」として活かしながら両チャネルを分断せず連携させる設計が重要になると考えられる。

コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川)

【グラフ】図1〜図4(全グラフまとめ)


【出典の記載についてのお願い】

調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「育児耐久消費財の購入チャネル実態調査2026(株式会社コズレ)」(https://cozre.co.jp/blog/21002)
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)

この記事の著者

株式会社コズレ 取締役 早川修平の写真

著者: 早川 修平(株式会社コズレ 取締役/MBA)

NTT東日本にて法人営業、マーケティング、経営企画を経験後、慶應義塾大学大学院(在学中、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院へ留学)にてMBAを取得。戦略コンサルティングファーム「ローランド・ベルガー」にて自動車・金融業界など幅広いクライアント向けにマーケティング戦略立案、ビジネスプロセス改善の支援に従事。

その後、子育て世代向けWebメディア「コズレ」を創業期から運営責任者として牽引し、会員数100万人超のプラットフォームへと成長させる。累計500件以上の子育て世帯を対象とした市場調査を主導し、育児用品メーカーや子育て関連サービス企業向けに、定量・定性データに基づくマーケティング戦略やプロモーション施策を多数提案・実行している。また、子育て世代の購買行動やニーズを踏まえたマーケティング手法に関するセミナーや講演会の講師も務める。

  • LINEで送る

子育てビッグデータ×マーケティング
の知見をご提供します

コズレ子育てマーケティング研究所は、120万人以上のママパパによる独自調査パネルと、570万件を超える回答データ・10年以上の運営で培ったビッグデータを活用し、子育て世帯をターゲットとする企業のマーケティング活動を支援しています。

子育て世帯Web調査サービスは、独自パネルを持つからこそ業界最安値水準です。
また、子育て世帯向けマーケティングのヒントが詰まった各種資料やセミナーアーカイブを無料で提供中です。
必要とされるデータが掲載されている資料をお探しの際は、AIチャットボット「調査データコンシェルジュ」にご相談ください。

子育て世帯Web調査サービスの詳細はこちら


子育て世帯調査資料の無料ダウンロードはこちら


セミナーアーカイブ配信はこちら


AIチャットボット「調査データコンシェルジュ」はこちら



📘 子育て世帯市場調査の知見をまとめた電子書籍、好評発売中!

コズレ子育てマーケティング研究所のデータ・知見を体系的にまとめた電子書籍
『子育て世帯マーケティングの教科書』をAmazon Kindleにて発売中です。
「変わらない市場の構造」と「最新トレンド」の両方をデータで解き明かした一冊。子育てマーケティングを初めて担当する方から、施策を見直したい経験者まで、幅広くお役立ていただける内容です。
Kindle Unlimitedご登録の方は無料でお読みいただけます。




マーケティング活動の支援にご関心がある方は、以下リンクからお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら