1. はじめに
ショッピングモールは、買い物・外食・子どもの遊び場を一度に満たせる存在として、子育て世帯の生活に深く根付いている。一方で、ベビーカーでの移動や混雑、授乳・オムツ替えの環境など、子連れならではの制約から、施設選びや来館の可否を慎重に判断する家庭も少なくない。子育て世帯が普段どのような基準でモールを選び、来館前に何を確認し、どのような理由で来館をためらっているのかは、必ずしも十分に把握されていない。そこで本調査では、子育て世帯のショッピングモール利用における移動手段・利用ブランド・来館目的・選定基準・情報収集行動・来館をためらう理由の実態を明らかにした。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:0歳以上の子どもを持つママ
調査期間:2026年6月11日〜2026年7月18日
有効回答数:464名
3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図8)は、記事末尾にまとめて掲載しています。
各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。
移動手段の約69%が自家用車、地域密着型の生活導線が浮き彫りに(→ 図1)
現在の主な移動手段は「自家用車(マイカー)」が約68.8%と圧倒的多数を占め、「自転車・徒歩」約19.0%、「公共交通機関」約12.1%が続いた(→ 図1)。この結果の背景には、子連れでの移動においてベビーカーや荷物の運搬、天候や子どもの体調変化への即応性など、自家用車ならではの利便性が重視されていることがあると考えられる。郊外型・車社会エリアに立地するショッピングモールが多いという施設側の立地特性も、この傾向を後押ししている可能性がある。駐車のしやすさや駐車場からの動線の分かりやすさは、来館体験の入口として引き続き重視すべき要素であると考えられる。
よく利用するモールは「イオンモール/イオン」が約46%でトップ(→ 図2)
普段最もよく利用するショッピングモールのブランドを尋ねたところ、「イオンモール/イオン」が約46.3%と他を大きく引き離して首位となり、「特に決まっていない」が約13.6%、「ららぽーと」が約7.1%で続いた(→ 図2)。店舗網の広さや、育児用品売場・フードコートなど子連れ利用を意識した館内構成が支持を集めている背景にあると考えられる。一方で「特に決まっていない」も一定数存在しており、複数施設を使い分ける層が一定数存在することも示唆される。圧倒的な認知・利用率を持つブランドが存在する市場では、後発・中小規模の施設は立地の利便性や独自の子連れ設備で差別化を図る必要があると考えられる。
出産後は「モールは同じ、過ごし方が変化」が最多(→ 図3)
出産・妊娠を機にした来館行動の変化を尋ねたところ、「行くショッピングモールは変わらないが、館内での過ごし方が変わった」が約56.7%と最多となり、「行くショッピングモールも、過ごし方も特に変わらない」約28.0%、「以前とは違うショッピングモールに行くようになった」約15.3%が続いた(→ 図3)。子どもが生まれても慣れ親しんだ施設を利用し続ける一方、フードコートやキッズスペースなど施設内で滞在する場所や過ごし方が変化していることがうかがえる。新規の施設誘致だけでなく、既存の利用者に対して館内の子連れ向け設備・サービスをどう認知させるかが、継続利用の鍵になると考えられる。
子連れでの来館目的トップは「子ども向けの買い物」約65%(→ 図4)
子連れでショッピングモールに行く主な目的は、「子ども向けの買い物(ベビー服・オモチャ・育児用品等)」が約65.3%で最多となり、「日常の買い物」約47.4%、「子ども向けのイベントや屋内遊び場への参加」約44.0%が続いた(→ 図4)。育児用品・ベビー用品の購入がモール来館の中心的な動機となっている一方、外食・イベント参加といった「時間消費」目的も高い水準にあることが分かる。単なる買い物の場ではなく、子どもと共に過ごす時間そのものを提供する場としての機能が、来館頻度を左右していると考えられる。
来館の決め手はベビー・キッズ専門店、約73%が重視(→ 図5)
モール選びの決め手になる店舗・ジャンルとしては「ベビー・キッズ専門店(アカチャンホンポ、西松屋、トイザらス等)」が約72.6%と突出して高く、「子ども向けメニューや座敷がある飲食店」約51.7%、「大型100円ショップや300円ショップ」約51.3%が続いた(→ 図5)。育児用品を扱う専門店の有無が、来館先を選定する上での最重要テナントになっていることが示唆される。テナント誘致においては、ベビー・キッズ専門店を核として飲食・雑貨の周辺テナントを組み合わせる編成が、子育て世帯の来館動機を最大化すると考えられる。
「これがあると選ぶ」設備トップはキッズ優先席、約55%(→ 図6)
「これがあるからそのモールを選ぶ」と感じるファミリー向け設備は、「フードコート内のキッズ優先席や小上がり(座敷)席」が約55.2%で最多となり、「靴を脱いで遊べる無料の屋内キッズスペース」約54.7%、「オムツ替え台の数が多く、並ばずに使える環境」約51.5%が僅差で続いた(→ 図6)。上位3項目がいずれも約5割を超えており、飲食・遊び・オムツ替えという滞在時間中の複数の場面で不便を感じさせない設備が、施設選びの決め手として横並びで重視されていることがうかがえる。単発の目玉設備を用意するだけでなく、滞在導線全体で不便を感じさせない設備配置が来館先選定を左右すると考えられる。
来館前に必ず確認する情報は「授乳室・オムツ替え情報」約42%(→ 図7)
来館前に公式ホームページやアプリで必ず確認する情報は、「授乳室・オムツ替えスペースの位置や詳細な設備内容」が約42.5%で最多となり、「子連れで入りやすい飲食店やキッズメニューの情報」約41.2%、「キッズスペースの有無や、開催中の子ども向けイベント情報」約35.6%が続いた(→ 図7)。実際に訪れてから設備を探すのではなく、事前に情報を得たうえで来館先を決定する行動が定着していることがうかがえる。公式サイト・アプリ上で授乳室や飲食店情報を分かりやすく発信できているかどうかが、来館先として選ばれるかどうかに直結すると考えられる。
来館をためらう最大の理由は「館内の混雑」約36%(→ 図8)
小さな子連れでの来館を控える・ためらう理由としては、「館内が混雑しているから」が約36.4%で最多となり、「子どもが座れる飲食スペースが確保できないから」約27.2%、「駐車場が混雑している、または駐車しにくいから」約26.9%が続いた(→ 図8)。混雑そのものに加え、混雑によって飲食スペースや駐車場の利用に支障が出ることへの懸念が、来館をためらう主な要因になっていると考えられる。混雑時間帯の可視化や、子連れ優先の飲食・駐車スペースの確保が、来館のハードルを下げる施策として有効であると考えられる。
4. 調査項目
- 主な移動手段
- よく利用するモールブランド
- 出産後のモール利用の変化
- 子連れでの主な来館目的
- 来館の決め手になる店舗・ジャンル
- 「これがあると選ぶ」ファミリー設備
- 来館前に必ず確認する情報
- 来館をためらう理由
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
子育て世帯のショッピングモール利用は、まず自家用車を中心とした生活動線の中に位置づけられており、利用するモールも「イオンモール/イオン」を筆頭とする大手施設に集中する傾向が見られた(図1・図2)。
出産・妊娠を機に、利用するモール自体を変えるのではなく、館内での過ごし方を変化させる家庭が多数派であり、子ども向けの買い物やイベント参加など、時間消費を伴う目的が来館理由の中心を占めていることも分かった(図3・図4)。
施設選びの決め手としては、ベビー・キッズ専門店の有無やキッズスペース・授乳室といった設備の充実度が重視され、来館前には公式サイトやアプリでこうした設備情報を確認する行動が定着していることが明らかになった(図5〜図7)。
一方で、混雑や駐車場の利用しにくさは依然として来館をためらう最大の要因であり、施設側にとっては混雑対策と快適な滞在環境の両立が、継続的な来館を後押しする課題として残されている(図8)。
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川)

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「子育て世帯の「ショッピングモールの来店基準」実態調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/21103
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)



