1. はじめに
出産後の母親は心身が大きく変化するなか、慣れない育児と向き合い、孤独感や気分の落ち込みを抱えやすい状況に置かれる。しかし、こうした「産後の悩み」は誰に、どのように相談すればよいかが分かりにくく、専門機関への相談に至らないまま一人で抱え込んでしまう母親も少なくないと考えられる。近年はSNSを通じた情報収集や共感の広がりも見られるが、その影響が必ずしもプラスに働くとは限らない。そこで本調査では、0歳育児期における悩みやつらさの実態と、相談先の利用状況・意向を明らかにした。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:1歳以上の子どもを持つママ
調査期間:2026年6月~2026年7月
有効回答数:212名
3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図18)は、記事末尾にまとめて掲載しています。
各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。
「育児がつらい」経験者は約76%(→ 図1)
0歳育児期に育児がつらいと感じた経験は「よくある」「たまにある」を合わせて約76%に上り、多くの母親が何らかのつらさを経験していたことが示唆される(→ 図1)。なかでも「たまにある」が約40%と最多であり、慢性的というよりは特定の場面で断続的に負荷を感じるケースが多いと考えられる。核家族化により日常的な人手を確保しづらい家庭も多く、負担が特定のタイミングに集中して表れている可能性がある。育児支援サービスには、毎日型の支援だけでなく、負担が高まる局面に即応できる設計が有効と考えられる。
孤独感の経験者は約58%、「たまに」が最多(→ 図2)
0歳育児期に孤独感を覚えた経験は「たまにある」が約35%、「よくある」が約22%で、合計すると約58%の母親が孤独感を経験したことになる(→ 図2)。地域とのつながりが希薄化するなか、日中ひとりで育児と向き合う時間の長さが背景にあると考えられる。同じ境遇の相手が身近にいない状況が、孤独感を助長している可能性がある。孤立を防ぐには、オンライン・オフライン双方で気軽につながれる接点づくりが重要と考えられる。
気分の落ち込み・不安の経験者は約66%(→ 図3)
0歳育児期に気分の落ち込みや不安を感じた経験は「たまにある」約37%、「よくある」約29%で、合計約66%に達する(→ 図3)。ホルモンバランスの変化に加え、慢性的な睡眠不足や生活リズムの乱れが心理面に影響している可能性がある。多くの母親にとって気分の変動が特別な出来事ではなく、育児期に広く共通する経験である可能性がうかがえる。気分の波を前提としたサポート設計が、母親の安心につながると考えられる。
「産後うつかも」と感じた経験は約34%(→ 図4)
当時「産後うつかもしれない」と感じた経験は「やや感じている」約25%、「強く感じている」約9%で、合計約34%となった(→ 図4)。約3人に1人が何らかの形で不安を抱いていたことになり、産後うつは特別なケースではなく身近なリスクとして捉える必要があると考えられる。一方で「まったく感じていない」も約33%存在し、経験には個人差が大きいことがうかがえる。産後うつの兆候について、当事者が早期に気づける情報提供が求められると考えられる。
つらさ・不安のピークは「産後すぐ~1ヶ月」が約37%でトップ(→ 図5)
つらさや不安を感じた方に時期を尋ねたところ、「産後すぐ~生後1ヶ月頃」が約37%で最多となり、「生後2~3ヶ月頃」の約26%が続いた(→ 図5)。出産直後は身体の回復と新生児の世話が重なり、心身への負荷が最も高まりやすい時期であると考えられる。一方で「特にピークはなく、全体を通してつらかった」と回答した層も約19%おり、負荷が一時的でなく継続する母親も一定数存在することが示唆される。産後1〜3ヶ月の時期に手厚いサポートを重点配置することが有効と考えられる。
0歳育児期の悩みは「睡眠不足・体力消耗」が約67%で最多(→ 図6)
0歳育児期に抱えていた悩みやストレスは「睡眠不足・体力の消耗」が約67%で最多となり、「子どもの泣き止まないこと・理由のわからない不機嫌」の約50%が続いた(→ 図6)。授乳や夜泣きへの対応により睡眠が細切れになりやすいことが、体力面の悩みの中心にあると考えられる。「自分の自由な時間がないこと」も約40%と高く、身体的な負担だけでなく心理的な余裕の乏しさも課題として浮かび上がる。睡眠・休息の確保を軸にした支援は、多くの母親のニーズに直結すると考えられる。
相談相手は「配偶者・パートナー」が約52%でトップ(→ 図7)
育児の悩みやつらさを相談した相手は「配偶者・パートナー」が約52%で最多、「自分の親・義理の親」が約49%で続いた(→ 図7)。身近な家族が第一の相談先として機能している一方、「誰にも相談していない」も約14%存在する(→ 図7)。SNSやインターネットを相談先として挙げた割合は1割未満にとどまり、悩みの相談は身近な人間関係が中心である実態がうかがえる。家族への相談を後押しする情報提供や、家族側への育児理解を促す施策が有効と考えられる。
専門機関に「相談しようと思わなかった」が約69%(→ 図8)
医療機関や自治体などの専門機関への相談経験を尋ねたところ、「相談しようと思わなかった」が約69%と大半を占めた(→ 図8)。「相談したかったが、相談できなかった」という潜在的なニーズを持つ層も約10%存在する。専門機関という選択肢自体が想起されにくいか、相談するほどの悩みではないと自己判断している母親が多いことが背景として考えられる。専門機関を「重い悩みのための場所」ではなく、気軽に利用できる存在として認知を広げる余地があると考えられる。
相談しなかった理由は「窓口に行くこと自体がハードル」が約42%で最多(→ 図9)
専門機関に相談しなかった、あるいはできなかった理由として、「窓口に行くこと(外出・電話をかけること)自体がハードルだったから」が約42%で最多となった(→ 図9)。育児という経験を持つ人の中では、外出や連絡そのものに労力がかかる状況が、相談への心理的・物理的な障壁になっていると考えられる。「相談しても具体的な解決につながらないと思ったから」も約30%あり、相談へ期待できる効果への懐疑も一因とうかがえる。相談を容易にするため、どのようなサポートが受けられるのかイメージが具体化できるような情報提供や、相談方法の多様化が求められる。
専門機関に「相談したことがない」が約72%、相談経験者では満足度が分かれる(→ 図10)
専門機関に相談した際の満足度を尋ねたところ、「専門機関に相談したことがない」が約72%と大半を占めた(→ 図10)。相談したことがあるという経験を持つ人の中では、「やや満足した」約12%に対し「あまり満足できなかった」も約10%存在し、対応の質にばらつきがあることがうかがえる。相談経験自体が少数派であることも踏まえると、専門機関の存在や利用方法が十分に浸透していない可能性がある。相談窓口の周知とあわせて、対応品質の底上げが利用意向の向上につながると考えられる。
情報収集の方法は「インターネット検索」が約34%でトップ(→ 図11)
知りたいことや困ったことがある際に最も頻繁に利用する情報収集方法は、「インターネットでのキーワード検索」が約34%で最多、「SNSでのハッシュタグ検索やタイムライン」が約30%で続いた(→ 図11)。両者を合わせるとデジタル経由の情報収集が過半数を占め、育児情報の主戦場がオンラインへ移っていることがうかがえる。「家族や友人への直接の相談」も約18%あり、デジタルと対人のチャネルが併用されている実態が示唆される。育児関連の情報発信は、検索とSNSの双方で見つけやすい設計が重要と考えられる。
SNSのポジティブな影響は「共感・安心感」が約45%でトップ(→ 図12)
SNS利用によるポジティブな影響として、「同じ境遇の人の投稿を見て、共感や安心感を得られた」が約45%で最多となった(→ 図12)。「リアルタイムで役立つ育児の裏技や口コミ情報を収集できた」も約41%と高く、情報収集と心理的な支えの両面でSNSが役立っていることがうかがえる。「孤独感が和らいだ」との回答も約25%あり、SNSが孤立感の緩和に寄与している可能性がある。同じ境遇の母親同士がつながれる場の提供は、心理的支援としても効果が期待できると考えられる。
SNSのネガティブな影響は「他の子との比較による焦り」が約35%でトップ(→ 図13)
SNS利用によるネガティブな影響として、「他の子どもの発達状況と比べて焦りを感じた」が約35%で最多となった(→ 図13)。「周囲のキラキラした暮らしや育児の投稿と自分を比較して、落ち込んだ」も約26%あり、SNS上の他者との比較が心理的な負担を生んでいることが示唆される。一方で「ネガティブな影響を感じたことはない」も約31%存在し、SNSとの向き合い方には個人差があると考えられる。比較を誘発しにくい情報設計や発信の工夫が、SNSを安心して使える環境づくりにつながると考えられる。
相談の心理的ハードルは「リアルな家族・友人」の方が低いと約35%(→ 図14)
SNSでのやり取りと現実での相談を比較すると、「現実(リアル)での家族や友人への相談の方が、ハードルが低い」が約35%で最多となった(→ 図14)。「SNSでの発信や相談の方が、圧倒的にハードルが低い」「ややハードルが低い」を合わせるとSNS優位の回答も約37%あり、両者は拮抗していることがうかがえる。相談先への心理的ハードルの感じ方は一様ではなく、対象者の性質によって適したチャネルが分かれる可能性がある。リアル・SNSの両チャネルを併存させ、選択肢として提示することが有効と考えられる。
「気持ちを受け止める場」の必要性を感じた母親は約83%(→ 図15)
医療的なアドバイスとは別に、気持ちをただ受け止めてもらえる場の必要性を尋ねたところ、「ある程度は必要」約50%、「非常に必要」約33%で、合計約83%に達した(→ 図15)。医療的な助言以上に、感情面での受け止めを求める潜在ニーズが大きいことがうかがえる。専門的な解決策の提示よりも、まず気持ちに寄り添ってもらえる場が求められている可能性がある。傾聴を中心としたサポートの提供は、母親の安心感に直結すると考えられる。
医療的な助言の必要性を感じた母親は約76%(→ 図16)
医療機関や自治体からの医療的な助言・指導についても、「ある程度は必要」約52%、「非常に必要」約23%で、合計約76%が必要性を感じていた(→ 図16)。図15の感情面のサポートに対する需要と比べるとやや低いものの、高い水準にあり、母親は医療的な正しさと感情的な受け止めの両方を求めていることが示唆される。相談先には、専門知識と共感力の両立が期待されると考えられる。
気軽・匿名の相談先の利用意向は約60%(→ 図17)
「気軽に・すぐ・匿名で話せる相談先」があれば利用したいかを尋ねたところ、「ぜひ利用したかった」約17%、「機会があれば利用したかった」約43%で、合計約60%が利用に前向きな意向を示した(→ 図17)。図8・図9で見た専門機関への相談意欲の低さとは対照的な結果であり、相談先の形式次第で潜在ニーズが顕在化する可能性が示唆される。匿名性と手軽さを備えた相談チャネルの整備は、これまで相談に至らなかった層の受け皿になり得ると考えられる。
相談先に求める特徴は「24時間いつでもすぐ繋がること」が約36%でトップ(→ 図18)
気軽・匿名の相談先に利用意向を示した方の中では、求める特徴として「24時間いつでも、スマホからすぐに繋がること」が約36%で最多、「名前や素性を明かさず、完全に匿名で話せること」が約29%で続いた(→ 図18)。育児中は時間の制約が大きく、すきま時間に即座に利用できる利便性が重視されていることがうかがえる。「専門家が優しくアドバイスをくれること」も約21%あり、専門性への期待も一定程度存在する。相談先の設計では、即時性・匿名性を軸に、専門家によるサポートを組み合わせることが望ましいと考えられる。
4. 調査項目
- 育児のつらさを感じた経験
- 孤独感を感じた経験
- 気分の落ち込み・不安を感じた経験
- 「産後うつかも」と感じた経験
- つらさ・不安のピーク時期
- 抱えていた悩み・ストレス
- 相談した相手
- 専門機関への相談経験
- 専門機関に相談しなかった理由
- 専門機関の対応への満足度
- 主な情報収集方法
- SNSのポジティブな影響
- SNSのネガティブな影響
- 相談の心理的ハードル(SNS/リアル)
- 「気持ちを受け止める場」の必要性
- 医療的助言の必要性
- 気軽・匿名の相談先への利用意向
- 相談先に最も求める特徴
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
0歳育児期の母親は、育児のつらさ・孤独感・気分の落ち込みを高い割合で経験しており、その多くが産後1〜3ヶ月に集中していることが明らかになった(図1・図5)。悩みの内容も睡眠不足や自由時間の欠如など生活全般に及んでおり、産後うつを自覚した層も約3人に1人にのぼる(図4・図6)。
相談行動の面では、身近な家族が主な相談先となる一方、専門機関へは約7割が相談しようと思わなかったと回答しており、相談のハードルや相談効果への懐疑がその要因として挙げられる(図7〜図10)。
情報収集やSNSとの関わりでは、検索とSNSがオンライン情報収集の中心となっており、SNSは共感や情報収集の面でプラスに働く一方、比較による焦りや落ち込みといったマイナスの影響も一定数見られた(図11〜図14)。
一方で、感情面を受け止める場や医療的助言への必要性は総じて高く、気軽・匿名で相談できる場への利用意向も約6割に達しており、専門機関への相談意欲の低さとは対照的に、相談形式次第で満たされていない潜在ニーズが存在することが示唆される(図15〜図18)。
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川)

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「「産後の悩みと相談先」実態調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/21113
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)



