1. はじめに
乳幼児期の子どもを育てる家庭にとって、誤飲は日常のふとした瞬間に起こりうる身近なリスクである。電池やマグネット、医薬品など、飲み込むと重篤な事故につながりかねないものも家庭内には数多く存在する。しかし、実際にどの程度の家庭が誤飲・ヒヤリハットを経験し、どのような場面・ものに注意すべきか、保護者がどこまで対処法を理解しているかは、十分に可視化されてこなかった。そこで本調査では、誤飲・ヒヤリハットの発生率、発生場所や対応行動、そして保護者が求める情報ニーズを明らかにした。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:0歳以上の子を持つコズレ会員
調査期間:2026年7月3日(金)〜2026年7月14日(火)
有効回答数:418名
3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図17)は、記事末尾にまとめて掲載しています。
各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。
誤飲・ヒヤリハットは約半数の家庭が経験(→ 図1・図3・図5・図7)
お子さまが誤ってものを口に入れそうになった「ヒヤッとした経験」があると回答した保護者は約49.8%と、約半数にのぼった(→ 図1)。一方、実際に口に入れてしまった経験は約37.1%(→ 図3)、飲み込んでしまった経験は約12.0%(→ 図5)、喉に詰まった・詰まりかけた経験は約3.8%(→ 図7)と、段階が進むにつれて発生率は低下している。これは、多くの家庭でヒヤリハットの段階で保護者が介入し、深刻な事故に至る前に食い止めていることを示唆していると考えられる。一方で、約半数の家庭が「口に入れそうになった」経験をしていることから、誤飲は一部の家庭だけに起こる特別な事故ではなく、乳幼児のいる家庭にとって身近なリスクであることが明らかになった。
「口に入れそうになった」ものの6割超が紙・シール類(→ 図2)
「口に入れそうになった」ものとして最も多く挙げられたのは「紙・シール・包装材」で約63.5%、次いで「玩具の部品」が約41.8%、「自然物(土・砂・石・植物など)」が約26.4%であった(→ 図2)。電池やマグネットなど重篤な事故につながりやすいものは1割未満にとどまる一方、身の回りにありふれた紙類・自然物が上位を占めている。これは、誤飲対策として「危険物の管理」だけでなく、日常的に手の届く場所にある紙類やティッシュ、屋外の砂・石などへの目配りが重要であることを示唆している。危険物の厳重管理を訴求する商材だけでなく、日常のちょっとした「うっかり」を防ぐ収納・見守りアイデアを提案する商材にも一定の需要が見込まれると考えられる。
実際に「口に入れてしまった」ものも紙類が突出(→ 図4)
実際に口に入れてしまったものの内訳でも「紙・シール・包装材」が約62.6%とトップで、以下「玩具の部品」約31.6%、「自然物」約21.3%と、ヒヤリハットの傾向とほぼ同様の順位となった(→ 図4)。「口に入れそうになったもの」と「実際に口に入れてしまったもの」で上位項目が共通していることから、特定のものが繰り返し誤飲リスクになっている実態がうかがえる。特に紙類や小さな玩具部品など、生活の中から完全に取り除くことが難しいものについては、日常的な環境づくりや継続的な注意が重要になると考えられる。
「飲み込んでしまった」段階でも紙類が中心(→ 図6)
飲み込んでしまった経験があるケースにおいても「紙・シール・包装材」が約76.0%と大半を占め、「自然物」約14.0%、「玩具の部品」約12.0%が続いた(→ 図6)。電池・医薬品・洗剤類など、化学的・機械的なリスクが高いとされるものの割合は低い結果となった。実際に飲み込みまで至るケースの多くが比較的軽度なものである可能性を示す一方、件数として少数ながら深刻なリスクを伴うものも含まれている点には留意が必要と考えられる。リスクの大小にかかわらず「飲み込んでしまった場合にどう対応すべきか」という基本知識を、日常的な軽微なケースを入り口として届ける情報設計が有効と考えられる。
喉に詰まった・詰まりかけた経験では食品の割合が上昇(→ 図8)
喉に詰まった・詰まりかけた経験があるケースでは「食品」が約37.5%と最も多く、「玩具の部品」約25.0%、「紙・シール・包装材」約18.8%と続いた(→ 図8)。これまでの段階と異なり、食品の割合が相対的に高まっている点が特徴的である。窒息リスクという観点では、食べ物の大きさや硬さが子どもの発達段階に合っていないことが背景にある可能性が考えられる。離乳食・幼児食関連の商材においては、誤飲対策と並行して「窒息を防ぐ食べ物の大きさ・硬さの目安」を伝えるコンテンツの重要性が高いと考えられる。
最も印象に残る経験は「取り出せたヒヤリハット」が中心、発生時期は生後6〜11ヶ月に集中(→ 図9・図11)
最も印象に残っている誤飲経験の内容を尋ねたところ、「口に入れたが、飲み込む前に取り出した」が約53.6%と最多で、「口に入れそうになったが、未然に防いだ」約27.3%と続き、両者で約8割を占めた(→ 図9)。また、その経験時の子どもの年齢は「生後6〜11ヶ月」が約55.9%と突出して多い(→ 図11)。ハイハイやつかまり立ちが始まり、行動範囲や好奇心が急速に広がるこの時期に、保護者のヒヤリハット経験が集中していると考えられる。誤飲対策において、事故が起きてから情報を届けるのではなく、子どもの行動が活発になる前から、成長に伴ってどのようなリスクが増えるのかを保護者が知っておくことが重要と考えられる。
印象に残る経験でも「紙・シール類」がトップ(→ 図10)
最も印象に残っている経験で実際に口にしたものを見ると、「紙・シール・包装材」が約40.9%で最多、「玩具の部品」約15.9%、「自然物」約10.4%と続いた(→ 図10)。これは図2・図4・図6でも確認された傾向と一致しており、誤飲の各段階を通じて紙・シール・包装材が繰り返し上位に挙がっている。保護者が注意すべき対象として、電池や医薬品など危険性の高いものに加え、紙やシールといった日常的なものも重要な位置を占めていることが、今回の調査から一貫して示された。
発生場所は「自宅のリビング」が突出(→ 図12)
誤飲・ヒヤリハットが起きた場所は「自宅のリビング」が約76.4%と圧倒的に多く、次いで「公園・屋外」約6.8%、「自宅の寝室」約4.5%であった(→ 図12)。誤飲リスクは外出先や特別な場面よりも、家族が日常的に過ごすリビングに集中していることがわかる。リビングは遊びや食事、くつろぎなど複数の用途が重なるため、大人が使う小物や包装材なども子どもの生活圏に入り込みやすい。誤飲予防では「子ども専用の空間」だけを安全にするのではなく、家族が共に過ごす生活空間全体を子どもの目線で見直すことが重要といえる。
発生時の対応は「口から取り出す」が最多、AIやネット相談は少数派(→ 図13)
誤飲・ヒヤリハット発生時の対応としては「口の中から取り出した・取り出させた」が約56.8%、「口に入れる前に取り上げた」が約35.0%と、その場での物理的な対応が中心であった(→ 図13)。一方、「インターネット・SNSなどで対処法を調べた」は約3.2%、「AIに対処法を相談した」は約1.4%にとどまり、情報収集を伴う対応は少数派であった。誤飲が起きた瞬間には、情報を検索してから行動するというよりも、保護者がその場で判断し対応している実態がうかがえる。そのため、誤飲に関する情報は「必要になってから探す」だけではなく、いざというときにすぐ行動できるよう、平時から知っておくことの重要性が高いと考えられる。
約8割は体調変化・ケガなし、一方で咳き込み等の症状も一定数(→ 図14)
誤飲・ヒヤリハットの経験によって子どもに生じた体調変化やケガについては「特になし」が約84.1%を占め、多くのケースは大事に至っていないことがわかる(→ 図14)。一方で「咳き込んだ・むせた」が約11.8%見られ、身体的な反応を伴うケースも一定数存在した。多くの誤飲・ヒヤリハットが結果的には大きな事故に至っていない一方で、発生した時点ではその後の影響を判断することは難しい。発生件数だけでなく、誤飲したものや子どもの状態に応じてリスクを見極め、適切な対応につなげる視点が重要である。
予防策の実践率トップは「手の届かない場所に置く」(→ 図15)
誤飲を防ぐために気をつけていることとして最も多く挙げられたのは「子どもの手の届かない場所に置いている」で約76.3%、次いで「使用後はすぐに片付けている」約40.9%、「床やテーブルの上に小さなものを置かないようにしている」約35.2%であった(→ 図15)。一方、「誤飲時の対処法や相談窓口を確認している」は約7.2%にとどまり、物理的な予防策に比べて、万が一の対応に関する備えは手薄な傾向がうかがえる。収納・整理関連の商材は誤飲予防の文脈で訴求しやすい一方、対処法の周知については伸びしろが大きい領域と考えられる。
対処法を知っているのは約6割、知りたい情報は「初動対応」に集中(→ 図16・図17)
誤飲時の対処法を「知っている」と回答した保護者は約62.2%で、約4割弱は具体的な対処法を把握していないことがわかった(→ 図16)。さらに、誤飲について知りたい情報を尋ねたところ「誤飲した時に最初に行うべき対応」が約57.4%、「誤飲した時にやってはいけない対応」が約52.9%と、緊急時の初動対応に関する情報ニーズが特に高かった(→ 図17)。図15では「対処法や相談窓口を確認している」保護者が約7.2%にとどまっていたことも踏まえると、初動対応への関心は高い一方で、実際の備えには十分につながっていないというギャップが見えてくる。誤飲に関する情報提供では、予防策だけでなく「起きた直後に何をするか・何をしてはいけないか」を、必要なときに迷わず判断できる形で伝えることが重要と考えられる。
4. 調査項目
- 誤って口に入れそうになった経験の有無(ヒヤリハット)
- 口に入れそうになったもの
- 実際に口に入れてしまった経験の有無
- 口に入れてしまったもの
- 飲み込んでしまった経験の有無
- 飲み込んでしまったもの
- 喉に詰まった・詰まりかけた経験の有無
- 喉に詰まった・詰まりかけたもの
- 最も印象に残っている誤飲経験の内容
- 印象に残っている経験で口に入れたもの
- 印象に残っている経験時の子どもの年齢
- 発生場所
- 発生時の対応
- 発生後の体調変化・ケガ
- 誤飲を防ぐために気をつけていること
- 誤飲時の対処法の認知
- 誤飲について知りたい情報
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
本調査からは、乳幼児期の誤飲・ヒヤリハットが約半数の家庭で経験されている一方、実際に飲み込んでしまう、喉に詰まらせるといった深刻な段階に進むケースは限定的であり、多くの場面で保護者がヒヤリハットの段階で食い止めていることが明らかになった。原因となるものは電池やマグネットといった特殊なものよりも、紙・シール類や玩具の部品など、身近にありふれたものが中心であった(図1〜図8)。
さらに、こうした経験は生後6〜11ヶ月ごろに集中し、発生場所としては自宅のリビングが圧倒的に多いことも確認された。行動範囲が急拡大するこの時期の家庭にとって、誤飲リスクはリビングという日常の生活空間に潜んでいる身近な存在であるといえる(図9〜図12)。
発生時の対応としては、その場で口から取り出す・取り上げるといった保護者自身の即時対応が中心であり、結果として多くのケースで体調変化やケガは見られなかった。ただし一定数は咳き込みなどの症状を伴っており、軽視できない実態も浮かび上がった(図13・図14)。
予防のためにできることとして「手の届かない場所に置く」といった物理的な対策は広く実践されている一方、誤飲時の対処法の認知は約6割にとどまり、「起きてしまった直後にどう動くべきか」という情報への需要が特に高いことが明らかになった(図15〜図17)。
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
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(コズレ子育てマーケティング研究所 村尾、早川)
【グラフ】図1〜図17(全グラフまとめ)

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「「子どもの誤飲・ヒヤリハット」実態調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/21271
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)



