調査レポート

約6割が「実家の近く」を選ぶ理由〜子育て世帯のリアルな住まい選び〜

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1. はじめに

共働き世帯が主流となるなか、祖父母による育児サポートの重要性が増している。核家族化が進む一方で、いざ子育てが始まると、日常的な預かりや緊急時の対応を親(実家・義実家)に頼る場面は多い。こうした背景から、住まいを選ぶ際に「実家との距離」をどう位置づけるかは、子育て世帯にとって重要な検討事項となっている。しかし、実際にどの程度の距離が望まれ、そこにどのような期待や不安が伴い、どのようなサポートが受けられているのかは十分に明らかになっていない。そこで本調査では、住み替え行動・希望する実家との距離・実際に受けている育児サポートの実態を明らかにした。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

2. 調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:妊娠中および0歳以上の子を持つコズレ会員
調査期間:2026年6月9日(火)〜2026年7月14日(火)
有効回答数:427名

3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図13)は、記事末尾にまとめて掲載しています。

各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。

住み替え経験者は約39%、未経験層の約34%が検討中(→ 図1、図2)

妊娠・出産以降に住み替えをしたことが「ある」と回答した割合は約39%であった(→ 図1)。また、住み替えをしていない層のうち、今後5年以内の住み替えを「検討している」と回答した親は約34%であった(→ 図2)。妊娠・出産は、住環境を見直す大きな契機となっていることがうかがえる。子ども部屋の必要性や実家との距離など、家族構成の変化に応じた住まいへのニーズが顕在化していると考えられる。

住み替え済み・検討中ともに「実家から1時間未満」を希望する家庭が半数超(→ 図3、図4

住み替えの際に希望した、または今後希望する実家との距離を見ると、「隣居・近居(片道1時間未満)」が住み替え済み層で約51%、住み替え検討層で約54%と、いずれも半数を超えた(→ 図3)。その背景をみると、同居・近居を希望した理由として「子どもの預かりや見守りを頼りたかった」が住み替え済み層で約59%、検討層では約67%と最も多かった(→ 図4)。次いで「病気や緊急時にすぐ頼れる環境が欲しかったため」「子供と親の交流機会を増やしたかったため」が上位を占めた。一方、「親の見守りや介護を見据えていたため」は約1割にとどまり、親世代の支援を目的とするよりも、子育て世帯自身が育児サポートを受けやすい環境を求めて近居を選ぶ傾向が強いことが示された。

住み替え前後ともに「隣居・近居」が最多で約6割(住み替え済み層)(→ 図5、図6、図7)

住み替え経験者の住み替え前の実家との距離は、「隣居・近居(片道1時間未満)」が約56%で最も多かった(→ 図5)。さらに、住み替え後にはその割合が約61%まで上昇している(→ 図6)。また、妊娠・出産以降に住み替えをしていない家庭でも、現在「隣居・近居」で暮らしている割合は約60%となった(→ 図7)。つまり、住み替えをした家庭・していない家庭のどちらにおいても、約6割が実家から1時間未満の距離で生活していることになる。住み替えによって実家に近づく家庭だけでなく、もともと実家の近くにある生活圏を維持しながら住まいを選んでいる家庭も多いと考えられる。子育て世帯の住まい選びでは、「最寄駅」「通勤時間」「間取り」といった住宅そのものの条件だけでなく、祖父母宅へのアクセスも生活利便性の一つとして捉える視点が重要になりそうだ。

近居の最大の価値は「育児を手伝ってもらえること」。一方で「近すぎる」ことへの不安も(→ 図8、図9)

同居・近居に感じるメリットでは、「子どもを預けやすい」が約62%で最も多く、「病気や緊急時に頼りやすい」が約58%、「送迎など日常的な育児を手伝ってもらいやすい」が約40%と続いた(→ 図8)。図4の近居希望理由と合わせても、実家の近くに住むメリットとして重視されているのは、子どもの預かりや送迎などの実務的な育児サポートであることがわかる。一方、近居への不安では「親から干渉される可能性がある」が約37%で最も多く、「自分やパートナーが親に気を遣うことが増える」が約32%、「プライベートな時間や空間を確保しにくい」が約29%と続いた(→ 図9)。近くに住めば住むほど良いという単純な構図ではなく、必要なときには頼れるが、お互いの生活には踏み込みすぎない距離」へのニーズがあることがうかがえる。住宅選びにおいても、同居・二世帯住宅だけでなく、徒歩圏・同一沿線など、適度な距離を保ちながら行き来できる暮らし方に注目する余地がありそうだ。

育児サポートの頻度は「月に数回程度」が最多、「子どもの預かり・見守り」が中心(→ 図10、図11)

両親から育児サポートを受ける頻度は「月に数回程度」が約24%で最も多く、「年に数回程度」が約22%と続いた。一方、「ほぼ毎日」「週に複数回」を合わせると約26%となり、日常的にサポートを受ける家庭も一定数存在する(→ 図10)。実際に受けたことのあるサポートでは、「子どもの預かり・見守り」が約63%と突出して多く、「食事の準備や差し入れ」が約44%、「子どもの用品・教育費などの経済的支援」が約35%と続いた(→ 図11)。近居に期待する内容として挙げられていた「子どもの預かり」が、実際のサポートでも最多となっており、実家との距離の近さが、具体的な育児支援につながっている様子がうかがえる。また、預かりだけでなく食事や経済面など支援内容は幅広く、祖父母が子育て家庭を複数の側面から支えていることも特徴的である。

頼れる一方で、半数以上が祖父母との「育児観の違い」を実感(→ 図12・図13)

親に育児サポートを頼む際の気持ちを尋ねたところ、「気を遣うことなく、必要な時に気軽に頼れている」が約44%と最も多かった(→ 図12)。一方で、「もっと頼りたいが、親の年齢や生活を考えると遠慮してしまう」といった回答もあり、親が近くにいるからといって、必ずしも気兼ねなく支援を求められるとは限らない。さらに、親との育児方針や価値観の違いを「よく感じる」「たまに感じる」と回答した割合は合計約53%と過半数に達した(→ 図13)。祖父母は子育て家庭にとって重要なサポート源である一方、育児に関する常識や考え方には世代差も存在する。「親に頼れる環境」を整えるだけでなく、親世代と子育て世代がお互いに無理なく関われる関係性をどう築くかも、今後の子育て支援を考えるうえで重要なテーマといえそうだ。

4. 調査項目

  • 妊娠・出産以降の住み替え経験の有無
  • 住み替え前のお住まいと実家との距離(住み替え経験層)
  • 住み替え検討当時に希望していた実家との距離(住み替え経験層)
  • 同居・近居を希望した理由(住み替え経験層)
  • 遠居を希望した理由(住み替え経験層)
  • 実際に住み替えた後のお住まいと実家との距離(住み替え経験層)
  • 希望していた距離を実現できなかった理由
  • 現在のお住まいと実家との距離(住み替え未経験層)
  • 今後5年以内の住み替え検討状況(住み替え未経験層)
  • 住み替え時に希望する実家との距離(検討層)
  • 同居・近居を希望する理由(検討層)
  • 遠居を希望する理由(検討層)
  • 同居・近居に魅力を感じるメリット
  • 同居・近居に感じる不安・負担
  • 両親から受けている育児サポートの頻度
  • 両親から受けたことがある育児サポートの内容
  • 親に育児サポートを頼む際の気持ち
  • 育児方針・価値観の違いを感じる頻度

※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

5. おわりに

本調査からは、子育て世帯の住まい選びにおいて「実家との近さ」が重要な判断軸となっている実態が明らかになった。妊娠・出産以降に約39%が住み替えを経験し、未経験層でも約34%が今後の住み替えを検討している。住まい選びで希望する実家との距離は、住み替え済み層・検討層のいずれも「隣居・近居」が過半数を占め、近居志向は過去・将来を通じて一貫している(図1〜図3)。

近居が望まれる背景には、「子どもの預かり」「緊急時の対応」といった実務的な育児支援への期待がある。この動機は住み替え済み層・検討層で共通しており、実際の居住状況を見ても、住み替えの有無を問わず約60%前後が「隣居・近居」に位置している。近居メリットも「子どもを預けやすい」を筆頭に実働支援に集中していた(図4〜図8)。

一方で、近さは負担も生む。「親からの干渉」「気遣いの増加」「プライバシーの確保」といった不安が併存し、育児方針・価値観の違いを感じる親も合計約53%にのぼる。頼りたくても遠慮してしまう層も一定数存在する(図9、図12・図13)。近居のメリットと心理的負担は表裏一体であり、双方に配慮した提案が求められると考えられる。

実際に受けているサポートは「子どもの預かり・見守り」を中心に、家事支援・経済的支援まで幅広い。その頻度は世帯によって大きく分かれており、実家との距離や親の状況に応じて多様である。こうした違いを踏まえたセグメント別のアプローチが、住宅・育児支援サービス双方において有効となる可能性がある(図10・図11)。

コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 村尾、早川)

【グラフ】図1〜図13(全グラフまとめ)

 

【出典の記載についてのお願い】

調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「約6割が「実家の近く」を選ぶ理由〜子育て世帯のリアルな住まい選び〜」株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/21291
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)

この記事の著者

株式会社コズレ 取締役 早川修平の写真

著者: 早川 修平(株式会社コズレ 取締役/MBA)

NTT東日本にて法人営業、マーケティング、経営企画を経験後、慶應義塾大学大学院(在学中、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院へ留学)にてMBAを取得。戦略コンサルティングファーム「ローランド・ベルガー」にて自動車・金融業界など幅広いクライアント向けにマーケティング戦略立案、ビジネスプロセス改善の支援に従事。

その後、子育て世代向けWebメディア「コズレ」を創業期から運営責任者として牽引し、会員数100万人超のプラットフォームへと成長させる。累計500件以上の子育て世帯を対象とした市場調査を主導し、育児用品メーカーや子育て関連サービス企業向けに、定量・定性データに基づくマーケティング戦略やプロモーション施策を多数提案・実行している。また、子育て世代の購買行動やニーズを踏まえたマーケティング手法に関するセミナーや講演会の講師も務める。

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