「学資保険」市場調査2026

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1. はじめに

子育て世帯にとって、子どもの将来の教育費をどう準備するかは大きな関心事である。学資保険はその代表的な選択肢として長く親しまれてきたが、近年は低金利環境や新NISAなど資産運用の選択肢の広がりを背景に、教育資金づくりの手段としての位置づけが変化しつつある。学資保険は今もなお検討されているのか、検討した人はどのような基準で保険会社や商品を選び、加入に至っているのか、その実態は必ずしも明らかではない。そこで本調査では、1歳以上の子を持つママを対象に、学資保険の検討経験から加入・非加入の分かれ目、比較検討のプロセス、保険料や受取総額の実態までを明らかにした。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

2. 調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:1歳以上の子どもを持つママ
調査期間:2026年7月1日〜2026年8月7日
有効回答数:263名

3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図17)は、記事末尾にまとめて掲載しています。

各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。

学資保険の検討経験は約51%とほぼ二分(→ 図1)

妊娠が分かって以降に学資保険を検討した経験がある人は約51%と、検討しなかった人とほぼ拮抗した(→ 図1)。学資保険がもはや「入って当然」の商品ではなく、数ある教育資金準備手段の一つとして選択的に検討される存在になっていることを示唆している。背景には、新NISA等の資産運用の選択肢が広がり、貯蓄方法そのものを比較検討する家庭が増えていることがあると考えられる。学資保険単体の訴求ではなく、他の教育資金準備手段と並べた際の相対的な魅力を示すコミュニケーションが重要になっていると考えられる。

検討した人でも加入に至るのは半数以下(→ 図2)

学資保険を検討したという経験を持つ人の中では、比較検討の末に加入したのは約44%にとどまり、加入しなかった人が約56%と上回った(→ 図2)。検討したからといって必ずしも加入には結びつかない実態が浮かび上がる。比較の過程で他の金融商品と比べた際に返戻率や柔軟性の面で見劣りすると判断されたり、必要性そのものを再検討した結果、見送るケースが一定数存在すると考えられる。「検討させる」だけでなく「比較の場で選ばれる」ための訴求ポイントの磨き込みが加入率向上の鍵になると考えられる。

検討開始は妊娠後期から産後半年に集中(→ 図3)

学資保険を検討したという経験を持つ人の中では、検討開始時期は「妊娠後期」が約23%、「生後0〜6ヶ月」が約24%と、この2つの時期に約47%が集中した(→ 図3)。出産準備が本格化する妊娠後期と、出産後に育児が落ち着き始める時期の2つのタイミングで、教育費への意識が高まることを示唆している。妊娠後期から生後半年までの期間に、集中的に情報接点を設計することが検討層へのリーチにおいて効果的と考えられる。

加入のピークは生後半年以内(→ 図4)

学資保険に加入したという経験を持つ人の中では、「生後0〜6ヶ月」での加入が約32%と最多であり、「1歳」の約24%が続いた(→ 図4)。検討開始のピーク(→ 図3)と比べると、加入のピークがやや後ろにずれていることから、検討から加入までに一定の比較検討期間を経ていることがうかがえる。出産直後の慌ただしい時期を過ぎた生後数ヶ月のタイミングでの再アプローチが、加入率を高める上で有効と考えられる。

検討理由は「計画的な貯蓄」が突出(→ 図5)

学資保険を検討したという経験を持つ人の中では、検討を始めた理由として「計画的・強制的に教育資金を貯めたかった」が約58%と突出して最多であった(→ 図5)。「将来の教育費に対する漠然とした不安があった」も約23%を占め、明確な計画性への欲求と、漠然とした不安の両方が検討のきっかけになっていることが分かる。「自動的に貯まる」という強制貯蓄の仕組みそのものを訴求の中心に据えることが、検討層の心理に合致すると考えられる。

検討〜加入は「即決」が最多も幅広く分布(→ 図6)

学資保険に加入したという経験を持つ人の中では、検討開始から加入までの期間は「即決」が約37%と最多だったが、「1〜2週間」も約17%を占めるなど、意思決定のスピードには幅があった(→ 図6)。即決層は事前の情報収集がすでに済んでいる可能性が高く、数週間かけて決める層は複数商品を比較していると考えられる。即断層への訴求と、比較検討層向けの詳細な資料提供の両方を用意する必要があると考えられる。

認知度はJAのこども共済が突出(→ 図7)

学資保険のブランド認知度は「JAのこども共済」が約57%と圧倒的に高く、「フコク生命 みらいのつばさ」の約33%、「明治安田生命 つみたて学資」の約26%が続いた(→ 図7)。共済系ブランドが地域に根ざした販路や信頼感を背景に高い認知を獲得していることを示唆している。後発ブランドは認知度で上位ブランドに対抗するのではなく、比較検討の場で選ばれるための差別化ポイントの提示に注力すべきと考えられる。

比較検討でもJAのこども共済が首位(→ 図8)

学資保険を検討したという経験を持つ人の中では、比較検討した保険会社として「JAのこども共済」が約35%で最多となり、認知度(→ 図7)と同様の傾向を示した(→ 図8)。「明治安田生命 つみたて学資」約26%、「フコク生命 みらいのつばさ」約23%も高い比較検討率を確保している。認知の広さがそのまま比較検討の土俵に乗る確率の高さに直結しており、認知獲得への投資が長期的な検討率向上につながると考えられる。

相談先は保険会社窓口と身近な人が中心(→ 図9)

学資保険を検討したという経験を持つ人の中では、相談した場所・情報源として「各保険会社の窓口・営業担当者・外交員」が約26%、「親戚・知人・友人」が約22%と上位を占めた(→ 図9)。専門家による直接説明と、身近な人の実体験の両方が意思決定の重要な情報源になっていることが分かる。公式窓口での丁寧な説明機会の提供と同時に、既契約者による口コミが生まれやすい仕組みづくりが有効と考えられる。

検討理由は返戻率と貯蓄の確実性が上位(→ 図10)

学資保険を検討したという経験を持つ人の中では、検討した理由として「返戻率の高さ」が約34%、「元本割れしないこと(確実な貯蓄性)」が約28%と上位を占めた(→ 図10)。「満期保険金や祝金の受け取り総額」も約23%となっており、増える金額そのものよりも、着実に貯まることへの信頼が重視されていることがうかがえる。「絶対に減らない」という安心感を軸にしたメッセージングが検討層に響きやすいと考えられる。

最重視は「返戻率の高さ」(→ 図11)

学資保険を検討したという経験を持つ人の中では、検討理由の中で最も重視したものとして「返戻率の高さ」が約25%で最多となり、「元本割れしないこと(確実な貯蓄性)」の約19%が続いた(→ 図11)。複数ある検討理由(→ 図10)の中でも、最終的な意思決定の決め手としては数字で比較できる指標が優先されやすいことを示唆している。返戻率や貯蓄性を分かりやすく可視化した比較コンテンツが、意思決定の後押しとして効果的と考えられる。

加入先は明治安田生命と第一生命が同率首位(→ 図12)

学資保険に加入したという経験を持つ人の中では、「明治安田生命 つみたて学資」と「第一生命保険 こども学資保険 こども応援団/Mickey」がいずれも約14%で同率首位となった(→ 図12)。認知度(→ 図7)や比較検討率(→ 図8)ではJAのこども共済が上回っていたのに対し、最終的な加入先ではより分散した結果となっており、比較の過程で条件面の優位性が加入先を左右している可能性が示唆される。認知や比較の土俵に乗った後、最終的な決め手となる条件面の訴求を強化することが加入獲得において重要と考えられる。

選んだ理由も返戻率が最多(→ 図13)

学資保険に加入したという経験を持つ人の中では、その学資保険を選んだ理由として「返戻率の高さ」が約39%と最多であり、「元本割れしないこと(確実な貯蓄性)」の約22%が続いた(→ 図13)。「担当者の人柄・すすめ」も約15%を占め、数字による比較だけでなく、対面での信頼関係が選択を後押ししていることがうかがえる。商品スペックの訴求に加えて、担当者との接点の質を高める体制づくりも加入獲得に寄与すると考えられる。

加入時の最重視理由も「返戻率」(→ 図14)

学資保険に加入したという経験を持つ人の中では、加入した理由の中で最も重視したものとして「返戻率の高さ」が約29%で最多となり、「元本割れしないこと(確実な貯蓄性)」の約15%、「親族・知人・友人からのすすめ」の約14%が続いた(→ 図14)。検討時(→ 図11)と加入時の最重視理由がいずれも返戻率で一致しており、返戻率が学資保険選びの一貫した判断軸であることが分かる。返戻率の優位性を訴求の最前面に据えることが、検討から加入までの一貫した戦略として有効と考えられる。

毎月の保険料は1万円前後が中心(→ 図15)

学資保険に加入したという経験を持つ人の中では、毎月の保険料は「5,000円〜10,000円未満」が約29%、「10,000円〜15,000円未満」が約27%と、1万円前後を挟んだ2つの価格帯に約56%が集中した(→ 図15)。家計への負担感を抑えつつ、まとまった貯蓄効果を得られる水準として、この価格帯が「無理なく続けられるライン」として選ばれていると考えられる。月々1万円前後を基準としたプラン設計や訴求が、多くの家庭のニーズに合致すると考えられる。

受け取り総額は「わからない」が最多(→ 図16)

学資保険に加入したという経験を持つ人の中では、満期金や進学祝い金など受け取る予定の総額について「わからない・覚えていない」と回答した人が約44%と最多であった(→ 図16)。「100万円〜200万円未満」の約20%が続くものの、加入後に受取総額を明確に把握できていない加入者が多いことがうかがえる。契約後も定期的に受取見込み額を分かりやすく伝えるフォローアップが、顧客満足や継続率の向上につながると考えられる。

非加入の理由は「他の貯蓄・運用の優先」が最多(→ 図17)

学資保険に加入しなかった、もしくは検討しなかった人の中では、その理由として「他の貯蓄や運用方法を優先したから」が約33%と最多であり、「どの商品が良いかわからないから」約23%、「必要性を感じないから」約22%が続いた(→ 図17)。学資保険が他の資産運用手段との比較の中で選ばれなかったケースが多い一方、情報不足によって検討自体が進まなかったケースも一定数存在することを示唆している。他の資産運用手段との違いを分かりやすく整理した比較情報の提供が、非検討層・非加入層の掘り起こしにつながると考えられる。

4. 調査項目

  • 学資保険を検討した経験
  • 比較検討後の加入有無
  • 検討を始めた時期
  • 加入した時期
  • 検討を始めた理由
  • 検討〜加入までの期間
  • 認知しているブランド
  • 比較検討した保険会社
  • 相談した場所・情報源
  • 検討した理由
  • 最も重視した理由
  • 加入した保険会社
  • 選んだ理由
  • 最も重視した理由
  • 毎月の保険料
  • 受け取る予定の総額
  • 加入しなかった・検討しなかった理由

※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

5. おわりに

学資保険は検討経験者が約51%とほぼ半数にとどまり、検討を始めるタイミングは妊娠後期から生後半年に集中していた(図1・図3)。検討理由としては「計画的・強制的に教育資金を貯めたかった」という強制貯蓄への欲求が突出しており、検討層の多くが漠然とした不安以上に明確な目的意識を持って検討をスタートさせていることがうかがえる(図5)。

検討した人のうち実際に加入したのは約44%にとどまり、検討と加入の間には大きなギャップが存在する(図2)。比較検討の過程では「JAのこども共済」が認知・比較のいずれにおいても高い数値を示す一方、相談先としては保険会社窓口と身近な知人の両方が重要な役割を果たしていた(図7・図8・図9)。検討理由・最重視理由のいずれも「返戻率の高さ」と「元本割れしないこと」が上位を占め、増やすことよりも確実に貯めることへの信頼が意思決定の軸となっていた(図10・図11)。

実際に加入した保険会社は「明治安田生命 つみたて学資」と「第一生命」が同率で最多となり、認知度で先行するJAのこども共済とは異なる結果となった(図12)。選んだ理由・最重視理由もやはり返戻率の高さが一貫して最多であり、月々の保険料は5,000円〜15,000円の範囲に半数以上が集中していた(図13・図14・図15)。一方で受け取る予定の総額を把握していない加入者が約44%に上る点は、加入後のフォローアップに課題があることを示している(図16)。

検討しなかった、あるいは検討したが加入しなかった人の理由としては、「他の貯蓄や運用方法を優先したから」が最多であり、学資保険が他の資産運用手段との比較の中で選ばれなかった実態が明らかになった(図17)。

コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川)

「学資保険」実態調査2026 図1〜図17 グラフまとめ

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「「学資保険」市場調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/21366
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)

この記事の著者

株式会社コズレ 取締役 早川修平の写真

著者: 早川 修平(株式会社コズレ 取締役/MBA)
NTT東日本にて法人営業、マーケティング、経営企画を経験後、慶應義塾大学大学院(在学中、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院へ留学)にてMBAを取得。戦略コンサルティングファーム「ローランド・ベルガー」にて自動車・金融業界など幅広いクライアント向けにマーケティング戦略立案、ビジネスプロセス改善の支援に従事。
その後、子育て世代向けWebメディア「コズレ」を創業期から運営責任者として牽引し、会員数100万人超のプラットフォームへと成長させる。累計500件以上の子育て世帯を対象とした市場調査を主導し、育児用品メーカーや子育て関連サービス企業向けに、定量・定性データに基づくマーケティング戦略やプロモーション施策を多数提案・実行している。また、子育て世代の購買行動やニーズを踏まえたマーケティング手法に関するセミナーや講演会の講師も務める。
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