1. はじめに
若い世代の将来の妊娠・出産や心身の健康を見据えた生活習慣づくりとして、近年「プレコンセプションケア」という考え方への注目が高まっている。行政や医療機関からの情報発信も広がりつつあるが、当事者となる子育て世帯における言葉の浸透度や、妊娠前後の相談環境の実態については十分に把握されていない。特に、その普及を担う人材として2026年から養成が始まった「プレコンサポーター」については、認知度や期待される役割も明らかになっていないと考えられる。そこで本調査では、0歳以上の子どもを持つママを対象に、プレコンセプションケアおよびプレコンサポーターに関する認知度や相談ニーズの実態を明らかにした。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
📖 プレコンセプションケアとは
プレコンセプションケアとは、性別を問わず、将来の妊娠・出産や心身の健康を見据えて、ライフプランを考えながら日常の生活習慣と向き合うことを指す。妊娠を希望するか否かにかかわらず、栄養・運動・睡眠などの生活習慣を整えることや、必要な検査・ワクチン接種を受けることなどが具体的な取り組みとして挙げられる。WHO(世界保健機関)が2012年、妊産婦と小児の死亡率・罹患率低下を目的とした、プレコンセプションケアに関する国際コンセンサス形成会議を開催し、翌年にその内容をまとめた報告書を公表した。
日本では、厚生労働省やこども家庭庁が普及を推進している。国や自治体で、性や健康に関する正しい知識の普及を進めるとともに、相談窓口の設置や検査費用の助成、啓発パンフレットの配布など、プレコンセプションケアの周知に向けた独自の取り組みが広がりつつある。こども家庭庁は「プレコンセプションケア推進5か年計画」に基づき、2026年1月から、性や健康に関する正しい知識の普及と健康管理の促進を担う人材「プレコンサポーター」の養成講座を開始した。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:0歳以上の子どもを持つママ
調査期間:2026年7月〜2026年8月
有効回答数:521名
3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図13)は、記事末尾にまとめて掲載しています。
各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。
「プレコンセプションケア」の認知率は約8%にとどまる(→ 図1)
プレコンセプションケアという言葉を「知らない/初めて聞いた」と回答した割合は約92.1%と大多数を占め、「内容まで知っている」は約1.5%にとどまった(→ 図1)。子育て中のママであっても、プレコンセプションケアという概念自体が広く浸透していない状況がうかがえる。妊娠・出産を経験した後であっても、用語としての接触機会が少ないままである可能性が示唆される。
「プレコンセプションケア推進5か年計画」では、「若い世代におけるプレコンセプションケアの概念の認知度80%以上」を目標に置いており、引き続き認知度向上に向けた取り組みの必要性が認められる。
認知者が抱くイメージのトップは「妊娠前から健康管理をすること」(→ 図2)
プレコンセプションケアという言葉を知っている人の中では、そのイメージとして「妊娠前から健康管理をすること」が約41.5%と最多であった(→ 図2)。次いで「パートナーや家族にも関係があるもの」が約34.1%、「妊娠を希望する女性のためのもの」が約26.8%と続く。妊娠前の健康管理という本来の趣旨は一定程度伝わっている一方、パートナーを含めた家族全体の課題として捉える視点も広がりつつあることがうかがえる。
男性・パートナー向けの情報発信も、認知拡大の重要な切り口になり得る。
妊娠前・出産前の相談相手は「パートナー」が約6割でトップ(→ 図3)
妊娠前・出産前に不安や疑問を相談した相手としては、「パートナー」が約59.5%と最も多く、「親・きょうだいなど家族」が約49.1%、「友人・知人」が約36.1%と続いた(→ 図3)。専門機関である「産婦人科など医療機関」は約23.2%、「自治体・保健センター」は約6.5%にとどまる。身近な人間関係の中で相談が完結しているという実態は、公的な相談窓口の存在や利用のハードルの高さを示唆している。
相談しづらかった理由の最多は「特に相談しづらさはなかった」も、情報不足の壁も存在(→ 図4)
妊娠前・出産前を振り返って相談しづらかった理由を尋ねたところ、「特に相談しづらさはなかった」が約31.1%と最多であった一方、「何を相談してよいかわからなかった」が約24.2%、「プライベートな内容なので話しづらかった」が約16.5%と続いた(→ 図4)。相談自体への抵抗感よりも、相談すべき内容や窓口が明確でないことが障壁となっている可能性がある。
相談の「入口」を分かりやすく提示することが、利用促進の鍵になると考えられる。なお、「プレコンセプションケア推進5か年計画」では、「若い世代における一般的な相談窓口の認知度」100%を目標としている。
相談できていればよかったテーマは「育児に必要な準備」がトップ(→ 図5)
相談できる人や場所があればよかったと思うテーマとしては、「育児に必要な準備」が約33.4%で最多、「お金・家計の見通し」が約31.5%、「産後の生活の変化」が約30.9%と続いた(→ 図5)。妊娠前という段階でも、出産後の生活を見据えた実務的な情報へのニーズが高いことがうかがえる。
育児用品や家計関連のコンテンツは、妊娠前後の早い段階から接点を持つ余地がある。
もっと知っておきたかったことは「出産後の体調の変化」が最多(→ 図6)
妊娠前・出産前にもっと知っておきたかったこととしては、「出産後の体調の変化」が約42.8%で最も多く、「妊娠・出産にかかる費用」が約39.2%、「産後のメンタルの変化」が約37.4%と続いた(→ 図6)。「自治体の支援制度」も約36.1%と上位に入っており、費用や制度に関する情報ニーズの高さがうかがえる。
産後の心身の変化や経済的支援に関する情報は、妊娠前段階からの発信価値が高いと考えられる。
情報を得たい先は「産婦人科などの医療機関」が突出(→ 図7)
妊娠前・出産前の健康やライフプランに関する情報をどこで得られるとよいかについては、「産婦人科などの医療機関」が約58.3%と突出して高く、「SNS」が約38.4%、「Webメディア」が約33.6%と続いた(→ 図7)。医療機関への信頼が根強い一方、SNSやWebメディアといったデジタル接点への期待も大きいことがわかる。
医療機関の情報発信力とデジタルメディアの拡散力を組み合わせた発信設計が有効と考えられる。
相談しやすい形式は「専門職への相談」と「匿名性」がともに約5割(→ 図8)
相談するとしたらどのような形だと相談しやすいかについては、「医師・助産師・保健師など専門職に相談できる」が約48.6%、「匿名で相談できる」が約48.2%とほぼ並び、「チャットで相談できる」も約45.1%と高い水準であった(→ 図8)。専門性への信頼と、プライバシーが守られる気軽さの両方が重視されていることがうかがえる。
匿名性を確保したチャット相談など、専門職の関与とハードルの低さを両立する形式に一定の需要があると考えられる。
「プレコンサポーター」の認知率は極めて低い水準(→ 図9)
プレコンサポーターおよび養成講座の認知については、「よくわからない」が約51.8%、「知らなかったが、今回の説明で理解した」が約44.1%を占め、両者を合わせると9割超に達する(→ 図9)。「名前は聞いたことがある」は約2.5%、「内容まで知っていた」は約1.5%にとどまり、制度としての認知はこれからの段階にあることがうかがえる。
プレコンサポーターという制度自体の周知は、今後の重要な情報発信テーマになり得る。
プレコンサポーターに期待される役割は「正しい情報の発信」がトップ(→ 図10)
プレコンサポーターに期待する役割としては、「性や妊娠・出産に関する正しい情報を伝える」が約42.6%で最多、「学校や職場で学ぶ機会をつくる」が約31.1%、「年齢と妊娠・出産の関係について情報を伝える」が約30.9%と続いた(→ 図10)。一方で「よくわからない」も約29.4%存在し、役割そのもののイメージが浸透しきっていない層も一定数見られる。
情報発信と学びの機会創出という2つの軸が、期待される役割の中心になっていると考えられる。
プレコンサポーターの利用意向は「内容によっては利用したい」が過半数(→ 図11)
プレコンサポーターによる情報提供や相談先案内の利用意向については、「内容によっては利用したい」が約50.3%と過半数を占め、「ぜひ利用したい」の約11.5%と合わせると約6割が利用に前向きである(→ 図11)。一方で「わからない」も約20.3%存在し、制度の詳細が伝わることで利用意向がさらに高まる可能性がある。
条件付きの利用意向層が多いことは、内容や利用シーンの具体的な提示が普及のカギになることを示している。
利用したい理由は「正しい情報を知りたいから」がトップ(→ 図12)
利用したい・内容によっては利用したいと回答した人にその理由を尋ねたところ、「正しい情報を知りたいから」が約70.5%で最多、「自分の状況に合わせて相談したいから」が約67.1%と続いた(→ 図12)。「匿名なら相談しやすいから」も約28.0%存在し、正確な情報への欲求と、相談のしやすさへの期待がともに利用意向を支えていることがうかがえる。
正確性とパーソナライズ、そして匿名性の担保が、利用促進の3つの要素と考えられる。
利用したくない理由の最多は「特に理由はない」、次いで内容の不明確さが壁に(→ 図13)
利用しにくい・利用したいと思わないと回答した人にその理由を尋ねたところ、「特に理由はない」が約33.3%で最多となった一方、「何を相談できるのかわからない」が約21.5%、「プライバシーが不安」が約16.1%と続いた(→ 図13)。積極的な拒否理由よりも、制度内容の不明確さやプライバシーへの懸念が利用のハードルになっていることがうかがえる。
制度内容とプライバシー保護の仕組みを具体的に伝えることが、利用意向の底上げにつながると考えられる。
4. 調査項目
- 「プレコンセプションケア」の認知度
- 「プレコンセプションケア」のイメージ
- 相談した相手
- 相談しづらかった理由
- 相談できていればよかったテーマ
- もっと知っておきたかったこと
- 情報を得たい先
- 相談しやすい形式
- 「プレコンサポーター」の認知度
- 期待する役割
- 利用意向
- 利用したい理由
- 利用したくない理由
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
プレコンセプションケアという概念そのものの認知は約8%にとどまり、プレコンサポーターという支援人材・制度についても認知はこれからの段階にある(図1・図9)。一方で、内容を知った人の間では「妊娠前からの健康管理」「パートナーとの関係」としてのイメージが一定程度形成されており(図2)、用語の露出機会を増やすことで理解が広がる余地は大きいと考えられる。
妊娠前・出産前の相談は、パートナーや家族といった身近な人間関係に大きく依存しており、公的な相談窓口の利用は限定的であった(図3)。相談しづらさの背景には、抵抗感よりも「何を相談すればよいかわからない」という情報不足が存在し(図4)、相談できていればよかったテーマとしては育児準備や費用、産後の生活変化に関するニーズが上位に挙がった(図5・図6)。
情報を得たい先としては医療機関への信頼が根強い一方、SNSやWebメディアへの期待も大きく、相談形式としては専門職への相談と匿名性の両立が求められている(図7・図8)。プレコンサポーターに対しても、正しい情報の発信や学びの機会創出という役割が期待されており(図10)、利用意向は「内容によっては利用したい」を中心に約6割が前向きであった(図11)。
利用したい理由としては正確な情報への欲求と相談のしやすさが、利用をためらう理由としては制度内容の不明確さとプライバシーへの懸念が、それぞれ中心を占めた(図12・図13)。プレコンセプションケアおよびプレコンサポーターの認知拡大と、相談内容・プライバシー保護の具体的な提示が、今後の普及における重要な論点になると考えられる。
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川)
【グラフ】図1〜図13(全グラフまとめ)】

【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「「プレコンセプションケアに関する認知・理解・ニーズ」実態調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/21524
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)



