調査レポート

0歳児家庭の家計に厳しさ、6割超が「余裕なし」―約4人に3人が第二子以降の判断に家計の影響【コズレ子育て世帯短期経済観測調査(0歳編)】[第1回:2026年8月調査]

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1. はじめに

続く物価上昇は、家計にさまざまな影響を及ぼしている。とりわけ0歳児を育てる世帯では、紙おむつやミルクなど日々欠かせない育児用品への支出が家計に重くのしかかり、限られた収入のなかで優先順位の判断を迫られる場面も少なくない。しかし、子育て世帯が足元の物価高をどのように受け止め、どの支出を削り、どの支出は守ろうとしているのか、その実態は十分に明らかにされてこなかった。そこで、0歳の子ども1人を持つコズレ会員を対象に、家計の景況感や物価上昇の実感、育児関連支出への向き合い方などを定期的に把握する「コズレ子育て世帯短期経済観測調査」(以下、「コズレ短観」)を開始した。

「コズレ短観」では、同様の調査を毎月実施し、家計の余裕や収支、物価上昇の実感、育児関連商品の負担感、節約行動などの推移を継続的に比較していく。単月の状況だけでなく、子育て世帯の家計や消費意識が時間の経過とともにどのように変化していくのかを明らかにすることを目的としている。今回は、その第1回調査として、現在の子育て世帯の家計と育児を取り巻く経済状況を明らかにした。

本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

2. 調査

調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:0歳の子ども1人を持つママパパ
調査期間:2026年8月7日〜2026年8月31日
有効回答数:460名

3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図16)は、記事末尾にまとめて掲載しています。

各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。

【用語の定義】

・子育て家計水準DI:「余裕がある」と回答した割合から、「余裕がない」と回答した割合を差し引いた値。調査時点において、子育て世帯が現在の家計にどの程度余裕を感じているかを示す指標である。プラス幅が大きいほど家計に余裕を感じる世帯が多く、マイナス幅が大きいほど余裕を感じていない世帯が多いことを示す。

・子育て家計DI:「ゆとりが出てきた」と回答した割合から、「ゆとりがなくなってきた」と回答した割合を差し引いた値。1ヶ月前と比較して、子育て世帯の家計状況が改善しているか、悪化しているかを示す指標である。プラスは改善傾向、マイナスは悪化傾向を示す。「子育て家計水準DI」が現在の家計の余裕度という“水準”を示すのに対し、「子育て家計DI」は前月からの“変化”を示す。両者を合わせて見ることで、「現在どの程度余裕があるのか」と「そこから改善・悪化しているのか」を捉えることができる。

・家計収支DI:「黒字だった」と回答した割合から、「赤字だった」と回答した割合を差し引いた値。直近1ヶ月における子育て世帯の実際の家計収支の状況を示す指標である。プラス幅が大きいほど黒字世帯が多く、マイナス幅が大きいほど赤字世帯が多いことを示す。「子育て家計水準DI」「子育て家計DI」が家計に対する実感を表すのに対し、「家計収支DI」は実際に収入が支出を上回ったか、下回ったかという収支面から家計状況を捉える。

・体感物価DI:「物価が上がった」と回答した割合から、「物価が下がった」と回答した割合を差し引いた値。子育て世帯が日々の生活のなかで、物価がどの程度上昇・下落していると感じているかを示す指標である。プラス幅が大きいほど物価上昇を感じている世帯が多く、マイナス幅が大きいほど物価下落を感じている世帯が多いことを示す。公的な物価指数そのものではなく、食品や日用品、育児用品などを実際に購入する子育て世帯の“体感”を捉える指標として位置づける。

・育児支出がまん率:家計上の理由から、本来必要だと思っていた妊娠・出産・育児関連の商品・サービスの購入や利用を控えた経験について、「何度もあった」「1~2回あった」と回答した割合を合計した値。家計の厳しさが、実際の育児関連支出の抑制にどの程度つながっているかを示す指標である。単に「家計が苦しい」という意識だけでなく、「必要だと思っていても買わない・利用しない」という具体的な行動への影響を捉える。

・第二子・家計影響度:第二子以降を持つかどうかの判断に、家計状況が「非常に影響している」「やや影響している」と回答した割合を合計した値。家計状況が第二子以降をめぐる家族計画にどの程度影響しているかを示す指標である。現在の生活や消費への影響だけでなく、経済状況が将来の家族形成に及ぼす影響を捉えることを目的としている。

A. 家計の状況

6割超が家計に余裕なし、子育て家計水準DIは-25.7pt(→ 図1)

現在の家計状況について、「あまり余裕がない」が約52%、「まったく余裕がない」が約10%となり、合わせて6割超が家計に余裕を感じていないことがわかった。一方、「かなり余裕がある」「やや余裕がある」は合計で約37%にとどまった。「余裕がある」割合から「余裕がない」割合を差し引いた「子育て家計水準DI」は-25.7ptとなり、子育て世帯では家計に余裕がない状態が優勢となっている。

子育て家計DIは-37.2pt、家計悪化の動きが鮮明に(→ 図2)

1ヶ月前と比べた家計状況について、「ゆとりがなくなってきた」と回答した割合は約39%となり、「ゆとりが出てきた」の約2%を大きく上回った。「ゆとりが出てきた」の割合から「ゆとりがなくなってきた」の割合を差し引いた「子育て家計DI」は、-37.2ptとなった。マイナス幅が大きく、足元では家計が改善した家庭よりも、悪化を実感している家庭が大幅に多いことがわかる。

「子育て家計水準DI」が現在の家計の余裕度を示すのに対し、「子育て家計DI」は前月からの変化を示す。今回の結果では、家計水準が低いだけでなく、そこからさらに悪化を感じている家庭が多いことがうかがえる。

家計収支DIは-13.7pt、赤字世帯が黒字世帯を上回る(→ 図3)

直近1ヶ月の家計収支について、「赤字だった」と回答した割合は約31%となり、「黒字だった」の約17%を上回った。「黒字だった」の割合から「赤字だった」の割合を差し引いた「家計収支DI」は-13.7ptとなった。また、「収支はほぼ同じだった」は約52%だった。半数程度が収支を維持している一方、黒字世帯より赤字世帯のほうが多く、子育て世帯の家計収支はマイナス方向に傾いている。

子育て家計水準DIが-25.7pt、子育て家計DIが-37.2pt、家計収支DIが-13.7ptとなったことから、家計の変化、現在の余裕度、実際の収支のいずれにおいても厳しさが表れている。

子どものための貯蓄未達率は46.1%(→ 図4)

子どもの将来に備えた貯蓄・積立について、「予定より少なかった」が約22%、「まったくできなかった」が約24%となり、合計約46%が予定どおりの貯蓄を行えていなかった。「予定以上にできた」「予定どおりできた」は合計約35%だった。また、「特に予定していない」は約19%となった。

家計が厳しくなると、日々の生活費や育児用品など、すぐに必要となる支出が優先されやすい。その結果、教育費をはじめとした将来への備えが後回しになっている可能性がある。子育て世帯の経済的不安は、現在の生活だけでなく、将来の資金準備にも及んでいる。

B. 物価への感度

体感物価DIは+81.3pt、約84%が物価上昇を実感(→ 図5)

1ヶ月前と比べて物価が「かなり上がった」と回答した割合は約39%、「やや上がった」は約45%となり、合わせて約84%が物価上昇を実感していた。一方、「やや下がった」「かなり下がった」は合計約2%にとどまった。「上がった」の割合から「下がった」の割合を差し引いた「体感物価DI」は+81.3ptとなり、物価上昇の実感が極めて強い結果となった。

物価上昇はニュースとして認識されているだけでなく、食品や日用品、育児用品などを日常的に購入するなかで、生活者が直接感じるものとなっている。特に子育て世帯では購入量を減らしにくい商品も多く、値上げの影響が毎月の負担として蓄積しやすいと考えられる。

値上がり実感は「食料品」、実際の支出増は「育児用品」が最多(→ 図6・図7)

直近1ヶ月で値上がりを感じたものでは、「食料品」が約84%と突出して多く、「日用品」が約56%、「育児用品」が約54%と続いた。一方、1ヶ月前と比べて実際に支出が増えたものでは、「育児用品」が約75%で最も多く、「食料品」が約62%、「日用品」が約41%となった。

値上がりを最も感じているのは食料品だが、家計支出の増加として最も強く表れているのは育児用品だった。紙おむつやミルクなどは、価格が上昇しても購入をやめにくく、子どもの成長や月齢によって必要量が変化する。育児用品は、子育て世帯にとって支出を削りにくく、家計への影響が表れやすいカテゴリーといえる。

値上げへの対応は「買わない」より「買い方を変える」(→ 図8)

値上がりを受けて取った行動は「セール時にまとめ買いをするようになった」が約56%で最も高く、「より安い商品へ変更した」が約52%、「ポイント還元を重視するようになった」が約32%で続いた(→ 図8)。注目したいのは、支出を完全にやめるのではなく、同じ商品を少しでも安く買う、別の商品に切り替えるなど、「買い方」を工夫している家庭が多いことである。生活必需品や育児用品は購入自体を控えにくいため、子育て世帯はセール、まとめ買い、ポイント、価格比較などを組み合わせながら家計を防衛していると考えられる。価格そのものだけでなく、「実質的にどれだけ負担を減らせるか」が購買時の重要な判断軸になっていることがうかがえる。

C. 育児への影響

育児費の負担は「紙おむつ」「粉ミルク・離乳食」に集中(→ 図9)

負担に感じている育児関連の支出では、「紙おむつ・おしりふき」が約72%で最も多く、「粉ミルク・離乳食」が約60%と続いた(→ 図9)。さらに、「最も負担に感じる支出」でも、「紙おむつ・おしりふき」が約38%、「粉ミルク・離乳食」が約29%と、この2カテゴリーが突出した。

いずれも乳幼児期には日常的に必要となる消耗品であり、使用頻度や購入量を大きく減らしにくいという共通点がある。そのため、1回あたりの値上げ幅が小さくても、継続的に購入することで家計への負担感が大きくなりやすい。「必要だから買わざるを得ない」支出ほど、子育て世帯の家計を圧迫していることが鮮明に表れた結果といえる。

負担の大きい育児用品で値上がり実感も突出(→ 図10)

値上がりを感じた育児関連の商品・サービスでは、「紙おむつ・おしりふき」が約65%、「粉ミルク・離乳食」が約46%と上位を占めた(→ 図10)。図9で負担感が特に大きかったカテゴリーと、値上がりを感じているカテゴリーが重なっており、価格上昇が日々の家計負担として直接認識されていることがわかる。特に紙おむつやミルクは購入頻度が高いため、値上げによる数十円・数百円の差でも、月単位・年単位では大きな負担につながりやすい。子育て世帯が物価上昇に敏感になる背景には、こうした継続購入型の育児用品の存在があると考えられる。

家計が厳しくても「粉ミルク・離乳食」は削りたくない(→ 図11)

家計が厳しくなっても支出を減らしたくない育児関連の商品・サービスでは、「粉ミルク・離乳食」が約62%で最も多く、「紙おむつ・おしりふき」が約57%、「医療費」が約27%と続いた(→ 図11)。図9ではこれらが家計負担の大きい支出として挙げられている一方、図11では「削りたくない支出」としても上位に位置している。つまり、負担が大きいにもかかわらず削減できないという二重の圧力が存在している。特に、子どもの食事や衛生、健康に直接関係する支出は、親自身の支出を削ってでも優先されやすいと考えられる。家計が厳しい時ほど、子どもに関する支出が「守るべき支出」として残り、その分ほかの生活費や貯蓄にしわ寄せが生じる可能性もある。

育児支出がまん率は56.1%、必要な支出を控えた家庭が半数超(→ 図12・図13)

家計上の理由から、本来必要だと思っていた妊娠・出産・育児関連の商品・サービスの購入や利用を控えた経験について、「何度もあった」が約27%、「1~2回あった」が約29%となった。両者を合計した「育児支出がまん率」は約56%となり、半数を超える家庭が、必要性を感じながらも家計を理由に購入や利用を控えた経験を持つことがわかった。さらに、子どもに必要な商品・サービスが「やや不足している」「かなり不足している」と回答した割合は、合計約25%だった。

家計の厳しさが、単なる節約意識にとどまらず、必要な育児関連商品・サービスへのアクセスにも影響している家庭が存在する。「何を削るか」だけでなく、「必要だと思っていても購入・利用しない」という選択が生じている点は、子育て世帯の経済状況を把握するうえで重要な結果といえる。

第二子以降を持ちたいがためらっている割合は約29%(→ 図14)

今後もう一人以上の子どもを持つことについて、「持ちたいが、ためらっている」と回答した割合は約29%となった。一方、「具体的に予定しており、ためらいはない」は約10%、「持ちたいと考えており、ためらいはない」は約34%だった。第二子以降を持つ希望がありながら、何らかの不安や負担を背景に、その実現をためらっている層が一定数存在する。

第二子・家計影響度は約74%、経済的不安が家族形成にも影響(→ 図15・図16)

第二子以降を持つかどうかの判断に、家計状況が「非常に影響している」と回答した割合は約35%、「やや影響している」は約39%だった。両者を合計した「第二子・家計影響度」は約74%となり、およそ4人に3人が、第二子以降をめぐる判断に家計の影響を受けていることがわかった。

「持ちたいが、ためらっている」と回答した人に理由を尋ねたところ、「将来の収入が不安」が約66%、「出産・育児にかかる費用が不安」が約65%、「教育費が不安」が約61%と、経済的な理由が上位を占めた。

現在発生している育児費だけでなく、今後の収入や教育費など、長期的な経済的不安が第二子以降をためらう背景にある。家計の厳しさは、日々の節約や購入の抑制にとどまらず、「もう一人子どもを持ちたい」という希望の実現にも影響している。家計に余裕が生まれるまで出産時期を先送りするなど、将来の家族計画が経済状況に左右される可能性もある。子育て世帯の家計負担は、現在の消費行動だけでなく、将来の家族形成にも関わる重要な課題となっている。

4. 調査項目

  • 現在の家計状況(余裕の有無)
  • 1ヶ月前と比べた物価の変化の実感
  • 1ヶ月前と比べた家計状況の変化/その理由
  • 直近1ヶ月の家計収支
  • 1ヶ月前と比べて支出が増えたもの/減った・抑えたもの
  • 直近1ヶ月で値上がりを感じたもの
  • 値上がりを受けて取った行動
  • 家計にもう少し余裕があればお金をかけたいもの
  • 家計を切り詰める際に優先して抑える支出
  • 負担に感じている育児関連の支出/最も負担に感じる支出
  • 値上がりを感じた育児関連の商品・サービス
  • 物価上昇により購入を控えた・低価格ブランドへ変更した育児関連の商品・サービス
  • 家計が厳しくても支出を減らしたくない育児関連の商品・サービス
  • 家計にもう少し余裕があればお金をかけたい育児関連の商品・サービス
  • 家計上の理由で育児関連の購入・利用を控えた経験
  • 子どもに必要な商品・サービスを十分用意できているかの実感
  • 子どもの将来に備えた貯蓄・積立の実施状況
  • 今後3ヶ月の高額商品の購入意欲
  • 第二子以降を持つことへの考え/家計状況の影響度/ためらう理由

※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。

5. おわりに

2026年8月の「コズレ短観(0歳編)」では、主指数である子育て家計DIが-37.2pt、現在の余裕度を示す子育て家計水準DIが-25.7pt、家計収支DIが-13.7ptとなった。いずれの指標からも、0歳児家庭の家計が厳しい状況にあることがわかる。

体感物価DIは+81.3ptに達し、物価上昇への実感は極めて強い。特に、紙おむつや粉ミルク・離乳食など、日常的に必要で削りにくい育児用品が家計負担となっている。

育児支出がまん率は56.1%、第二子・家計影響度は73.7%となった。家計の厳しさは、日々の買い物だけでなく、必要な育児支出、子どものための貯蓄、第二子以降の希望にも影響している。

今後も「コズレ短観(0歳編)」を継続的に実施し、各指標の推移を通じて、子育て世帯の家計や物価に対する実感の変化を明らかにしていく。

コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 村尾、早川)

【グラフ】図1〜図16(全グラフまとめ)

【出典の記載についてのお願い】

調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「【コズレ子育て世帯短期経済観測調査(0歳編)】[第1回:2026年8月調査](株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/21741
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)

この記事の著者

株式会社コズレ 取締役 早川修平の写真

著者: 早川 修平(株式会社コズレ 取締役/MBA)

NTT東日本にて法人営業、マーケティング、経営企画を経験後、慶應義塾大学大学院(在学中、米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院へ留学)にてMBAを取得。戦略コンサルティングファーム「ローランド・ベルガー」にて自動車・金融業界など幅広いクライアント向けにマーケティング戦略立案、ビジネスプロセス改善の支援に従事。

その後、子育て世代向けWebメディア「コズレ」を創業期から運営責任者として牽引し、会員数100万人超のプラットフォームへと成長させる。累計500件以上の子育て世帯を対象とした市場調査を主導し、育児用品メーカーや子育て関連サービス企業向けに、定量・定性データに基づくマーケティング戦略やプロモーション施策を多数提案・実行している。また、子育て世代の購買行動やニーズを踏まえたマーケティング手法に関するセミナーや講演会の講師も務める。

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