1. はじめに
近年、大規模地震の発生確率が高まる中、乳幼児を育てる家庭における防災の備えの重要性が改めて注目されている。しかし、乳幼児がいる家庭では、ミルクや離乳食、おむつなど月齢に応じて必要なものが目まぐるしく変化するため、一般的な防災備蓄の考え方だけでは対応が難しいという課題がある。特に0歳児のいる家庭は、授乳・食事方法や紙おむつのサイズが数か月単位で変わるため、備えの継続的な見直しが求められる。そこで本調査では、0歳の子どもを持つママを対象に、非常用持ち出し袋やミルク・離乳食・おむつの備蓄実態、および熊本地震を受けた意識・行動の変化を明らかにした。
本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部である。「4.調査項目」記載のうち、掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
2. 調査
調査主体:コズレ子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:0歳の子どもを持つママ
調査期間:2026年8月3日〜2026年8月25日
有効回答数:216名
3. 結果・考察

📊 本章で言及する全グラフ(図1〜図13)は、記事末尾にまとめて掲載しています。
各小見出しの「→ 図〇」の番号と対応していますので、あわせてご参照ください。
非常用持ち出し袋を「準備していない」が約41%で最多(→ 図1)
乳幼児向けの非常用持ち出し袋の準備状況について、「準備していない」と回答した割合が約40.7%と最多であり、「自宅に備蓄はあるが、袋にはまとめていない」が約26.9%で続いた(→ 図1)。一方で「必要なものを一通り入れている」は約6.5%にとどまった。この背景には、0歳児の月齢に応じて必要なアイテムが頻繁に変わるため、持ち出し袋の中身を継続的に更新する手間が敬遠されやすいという実態があると考えられる。
乳幼児向け防災用品においては、単品販売だけでなく、月齢に応じて中身を定期的に見直せるサブスクリプション型やリフィル型の提案が有効である可能性がある。
地震発生時に「あまり確保できていない」が約46%(→ 図2)
大きな地震が発生した場合に子どもに必要なものを確保できているかを尋ねたところ、「あまり確保できていないと思う」が約46.3%と最も多く、「十分確保できていると思う」はわずか約3.7%にとどまった(→ 図2)。図1の結果と合わせると、備えの重要性は認識しつつも実行が追いついていない家庭が多いことが示唆される。
将来的な不安の解消につながる、具体的な備蓄目安や必要量の提示が乳幼児家庭への訴求として重要と考えられる。
おむつ交換の備えは「おしりふき」が約92%で突出(→ 図3)
おむつ交換のために準備しているものについては、「おしりふき」が約91.7%と突出して高く、「使用済みおむつ用の袋」が約70.4%、「おむつ替えシート」が約64.8%で続いた(→ 図3)。日常的な育児用品としての親和性が高いアイテムほど、災害時の備えとしても自然に選ばれやすい傾向があると考えられる。
日常使いと防災備蓄を兼ねられる「ローリングストック」型の提案が、乳幼児向けおむつ用品においても有効である可能性がある。
紙おむつは「現在のサイズ」中心の備えが約84%(→ 図4)
紙おむつの備えの状況については、「現在のサイズに合うものを準備している」が約83.8%と大半を占めた一方、「サイズアップに合わせたものも準備している」は約28.2%にとどまった(→ 図4)。0歳児は成長に伴いサイズが短期間で変化するため、将来のサイズまで見越した備蓄が後回しになりやすい実態が背景にあると考えられる。
サイズアップを見越した備蓄を促すには、成長予測に基づくリマインドや買い替え時期の提案が有効と考えられる。
ミルクの備えは「粉ミルク」が約57%でトップ(→ 図5)
ミルクを与えるために家庭で準備しているものは、「粉ミルク」が約56.9%で最多、「哺乳瓶」が約44.4%、「液体ミルク」が約40.7%と続いた(→ 図5)。粉ミルクは日常使用との連続性が高く備蓄しやすい一方、液体ミルクはまだ半数以下にとどまっており、認知や利用への心理的ハードルが残っていると考えられる。
液体ミルクの災害時における利便性を訴求することで、備蓄率の底上げにつながる可能性がある。
液体ミルクは認知先行、備蓄・使用は約23%にとどまる(→ 図6)
液体ミルクの状況について、「知っているが、使用・備蓄していない」が約42.1%と最多であり、「備蓄しており、子どもが飲むことも確認している」は約23.1%にとどまった(→ 図6)。認知はある程度浸透している一方、実際の備蓄や試し飲みまで至っていない家庭が多く、味や子どもの受け入れへの不安が行動のハードルになっていると考えられる。
液体ミルクの備蓄促進には、認知拡大だけでなく「試し飲み」を後押しするサンプリング施策が効果的である可能性がある。
断水・停電時、ミルクを「工夫すれば与えられる」が約37%(→ 図7)
断水と停電が同時に発生した場合のミルク対応について、「工夫すれば与えられる」が約36.6%と最も多く、「難しいと思う」も約24.1%と少なくなかった(→ 図7)。ライフラインが同時に断たれる状況を具体的に想定できていない家庭が多く、代替手段の情報不足が不安の一因になっていると考えられる。
常温対応の液体ミルクや加熱不要のアイテムを組み合わせた具体的な対応策の提示が、家庭の安心感醸成につながると考えられる。
備蓄離乳食を「1か月以内に食べさせた」が約40%(→ 図8)
離乳食を与えている家庭の中では、備蓄している離乳食を「1か月以内に食べさせた」経験がある割合が約40.4%と最多であり、「備蓄していない」も約24.5%存在した(→ 図8)。定期的に試食させることで賞味期限管理や子どもの味の慣れを両立させようとする姿勢がうかがえる一方、備蓄自体をしていない家庭も一定数残っていると考えられる。
試食を促す「お試しセット」やローリングストックの提案が、備蓄離乳食の実用性向上に寄与する可能性がある。
離乳食備蓄は「常温可」重視が約67%(→ 図9)
離乳食を与えている家庭の中では、備えの工夫として「常温のまま食べられるものを備えている」が約67.0%と突出して多く、「水やお湯を加えずに食べられるものを備えている」も約26.6%であった(→ 図9)。断水・停電下では調理や加熱が困難になるとの想定から、そのまま食べられる利便性を重視する傾向が強いと考えられる。
常温・調理不要を訴求軸とした離乳食パッケージが、防災需要において強い訴求力を持つと考えられる。
必要品の備蓄日数は「3〜6日分」が約25%で最多(→ 図10)
お子さまに必要な飲料水・ミルク・離乳食・おむつ等の備蓄日数は「3~6日分」が約24.5%で最多であり、「準備していない」も約19.0%存在した(→ 図10)。推奨される7日分程度の備蓄に届いていない家庭が多く、必要量の目安自体が十分に浸透していない実態がうかがえる。
具体的な「7日分の中身リスト」等、実践しやすい備蓄目安の提示が備蓄率向上の後押しになると考えられる。
備えが進まない理由は「何をどれだけ準備すればよいか分からない」が約41%(→ 図11)
乳幼児向けの備えが十分にできていない理由としては、「何をどれくらい準備すればよいか分からない」と「子どもの成長・月齢によって必要なものがすぐ変わる」がいずれも約40.7%で最多であった(→ 図11)。情報不足と成長に伴う変化の速さが、備えを難しくする二大要因として存在していると考えられる。
月齢別の備蓄チェックリストや更新タイミングの提案が、備え不足の解消に有効である可能性がある。
熊本地震後の行動は「おむつ・おしりふきの確認」が約32%(→ 図12)
熊本地震を受けて行った準備行動としては、「おむつやおしりふきを確認・購入した」が約32.4%で最多、「何かしようと思ったが、まだ行っていない」も約31.5%と僅差で続いた(→ 図12)。意識の高まりが行動に直結した家庭が一定数いる一方、行動化に至っていない家庭も同程度存在しており、備えの実行段階に課題が残ると考えられる。
意識と行動のギャップを埋めるには、購入・準備までの手間を減らす簡易な防災セットの提案が効果的と考えられる。
熊本地震を受け「意識が高まった」が約80%(→ 図13)
熊本地震を受けて地震への備えに関する意識が変わったかを尋ねたところ、「非常に高まった」が約33.8%、「やや高まった」が約46.3%となり、合わせて約8割が意識の高まりを実感していた(→ 図13)。実際の被災報道や事例を通じて、乳幼児との生活における備えの必要性を身近な問題として捉え直す家庭が多いことが背景にあると考えられる。
意識が高まっているこのタイミングを捉えた情報提供・商品提案が、購買行動への転換を後押しすると考えられる。
4. 調査項目
- 非常用持ち出し袋の準備状況
- 地震時の確保見込み
- おむつ交換の備え品目
- 紙おむつのサイズ対応状況
- ミルクの備え品目
- 液体ミルクの認知・利用状況
- 断水・停電時のミルク対応
- 備蓄離乳食の試食経験
- 離乳食備蓄の工夫
- 必要品全体の備蓄日数
- 備えが進まない理由
- 熊本地震を受けた準備行動
- 地震への備えの意識変化
※本ブログにおいて掲載しているデータは調査の一部。掲載していないデータについては、プロモーション等のご提案の過程でお伝えをしていくので、お問合せいただきたい。
5. おわりに
本調査全体を通じて、0歳児家庭における地震への備えは、持ち出し袋や必要品の備蓄日数といった「土台」の部分でまだ発展途上にあることが明らかになった。非常用持ち出し袋を十分に準備できている家庭は限られ、必要品の備蓄日数も推奨水準に届いていないケースが目立った(図1・図2・図10)。
おむつについては、日常使用との親和性が高いおしりふきや使用済みおむつ用の袋を中心に一定の備えが進んでいる一方、成長に伴うサイズアップまで見越した備蓄は道半ばである(図3・図4)。
ミルク・離乳食の領域では、粉ミルクや常温対応食品を中心とした実用的な備えが進む一方、液体ミルクの認知・利用や断水・停電時の対応力にはまだ伸びしろがあることが示された(図5〜図9)。
熊本地震を受けて地震への備えの意識が高まったと回答した家庭は約8割にのぼるものの、備えが進まない理由としては情報不足や子どもの成長スピードの速さが挙げられ、意識と行動の間にはギャップが残っていることがうかがえる(図11〜図13)。
コズレ子育てマーケティング研究所では、こうした妊娠中のママや子育て中ママのリアルな声をお伝えすると共に、市場動向を明らかにしていきます。
本調査の詳細レポート、及び子育てマーケットに関する各種調査・コンサルティング・広告メニュー等についてご関心をお持ちいただいた場合にはお気軽にお問い合わせください。
(コズレ子育てマーケティング研究所 早川)
【グラフ】図1〜図13(全グラフまとめ)】

出典
【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。
出典:「0歳児世帯における「地震への備え」実態調査2026(株式会社コズレ)」https://cozre.co.jp/blog/21762
(コズレ子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)



