1.はじめに
新型コロナウイルスの流行以降、3年ぶりに行動制限のない中で迎えた2022年のゴールデンウィーク。また、ゴールデンウィークの最終日は「母の日」ということもあり、お子さまをもつ家庭ではどのような連休を過ごしたのか、子育て中のママたちはどんな心境であったのかを報告する。
2.調査
調査主体:子育てマーケティング研究所
調査方法:インターネット・リサーチ
調査対象:0歳以上のお子さまをもつ女性
調査期間:調査期間:2022年5月25日(水)~2022年6月6日(月)
有効回答数:876名
3.結果・考察
(1)7割以上のママが、子どもと「一緒に遊ぶ」時間が取れた
「あなたはいつもの休日に比べて、以下の項目について連休中に子どもと過ごす時間を取れましたか。」という設問に対して「そう思う」と回答した割合は、「一緒に家で遊ぶ(77.17%)」が最も多く、次いで「一緒に外で遊ぶ(68.84%)」となった(図1)。3年ぶりの行動制限のない連休となったことで、外でも遊びやすくなったことがわかった。
(図1)あなたはいつもの休日に比べて、連休中に子どもと過ごす時間を取れましたか。
(n=876)
(2)2歳以降、パートナーの育児参加は増えるが、家事参加は大幅に低下
「パートナーはいつもの休日に比べて、以下の項目について連休中に育児参加していましたか。」という設問に対して「そう思う」と回答した割合は、「子どもと一緒に遊ぶ(70.17%)」「子どもをお風呂に入れる(67.06%)」が上位にあがった(図2)。
(図2)パートナーはいつもの休日に比べて、連休中に育児参加していましたか。
(同居のパートナーあり、n=838)
さらに、前問で「そう思う」と回答した割合を子ども(末子)の年齢ごとに比較すると、0歳では「子どもと一緒に遊ぶ(70.26%)」「子どもをお風呂に入れる(66.28%)」割合が高くなっており、2歳以上でもその割合は引き続き高いことがわかる(図3)。しかし1歳では、他の年齢に比べて「子どもと一緒に遊ぶ(65.24%)」「子どもを寝かしつける(36.59%)」割合が低くなることがわかる。
(図3)パートナーがいつもの休日に比べて、連休中に育児参加していたと思う割合
(末子妊娠中を除く0歳以上、n=660)
次に、「パートナーはいつもの休日に比べて、以下の項目について連休中に家事参加していましたか。」という設問に対して「そう思う」と回答した割合は、「掃除(40.93%)」、「片付け(40.69%)」、「洗濯(38.31%)」、「炊事(36.87%)」といずれの項目も40%前後となり、半数弱が家事参加している印象を受ける(図4)。
(図4)パートナーはいつもの休日に比べて、連休中に家事参加していましたか。
(同居のパートナーあり、n=838)
しかし、前問で「そう思う」と回答した割合を子ども(末子)の年齢ごとに比較すると、子どもの年齢が上がるにつれて家事参加の割合は下がる傾向にあり、とくに「掃除」は0歳の41.45%に対して2歳以上では34.78%と6.67pt低下し、「炊事」は0歳の37.94%に対して2歳以上では28.99%と8.95pt低下していた(図5)。
家事参加の割合が低下する要因として、パートナー側の「産後のママたちを気遣う」意識が徐々に薄れていくことや、家事には“休日”がないにも関わらず、育児休業中や専業主婦のママたちに対して「自分は外で働いていて、連休は“休日”だから(家事はしなくて良い)」という意識があるのかもしれない。
(図5)パートナーがいつもの休日に比べて、連休中に家事参加していたと思う割合
(末子妊娠中を除く0歳以上、n=660)
(3)行動制限なしのゴールデンウィークに、6割以上のママが満足
「今年のゴールデンウィークに対する総合満足度を教えてください。」という設問に対して、「満足」と回答した割合は64.27%となった(図6)。行動制限が解除されたことにより、「私の実家に帰省し、子どもの顔を見せられたので良かった」、「家族3人で動物園に行ったりできて楽しかった」、「旅行には行かず、近所の大きな公園やおうち時間を楽しんだ連休でしたが楽しく過ごせました」など、家族で満足のいく時間を過ごせたようだ。
(図6)今年のゴールデンウィークに対する総合満足度を教えてください。
(n=876)
(4)母の日は、家事・育児から解放されず「普段の休日とまったく変わらない」
続いて今年の「母の日」について「誰に対するお祝いをしたか(してもらったか)」を聞いた結果、おもに「自分自身の母(46.00%)」、「パートナーの母(39.16%)」に対してお祝いをしていたことがわかった(図7)。一方、「自分自身」に対するお祝いをしてもらったのは、わずか14.16%に留まった。
(図7)誰に対する「母の日」のお祝いをしましたか(してもらいましたか)。
(n=876)
また、「母の日の過ごし方で、もっとも近いものをお選びください。」という設問に対して、「そう思う」と回答した割合は、多い順に「子どもとゆっくり過ごせた(48.52%)」、「家族でゆっくり過ごせた(45.43%)」となった(図8)。一方で「家事から解放された(11.42%)」、「育児から解放された(5.94%)」割合は低く、子育てに奮闘しているママたちにとって、「母の日は普段の休日とまったく変わらなかった(74.09%)」という結果になった。
(図8)母の日の過ごし方で、もっとも近いものをお選びください。
(n=876)
(5)ゴールデンウィークに比べ、母の日の満足度は大幅に低い
ゴールデンウィーク中も、家事・育児に忙しく過ごしたママたち。その最終日であった今年の母の日だが、「満足」と回答した割合は40.18%に留まった。ゴールデンウィークの満足度(64.27%)と比べて24.09ptも低い結果となった(図9)。
(図9)今年の母の日に対する総合満足度を教えてください。
(n=876)
また、「今年の母の日を終えて、どのような感想を持たれたか教えてください。」という設問に対しては、
・「子どもが産まれ、自身が母になって初めての母の日でしたが、SNSでよく見る、夫からのお祝いの言葉等はなく… 少なからず期待していたので、残念でした。」
・「夫に、妻(私)は僕の母じゃないからと祝ってもらえなかった」
・「子どもはまだ小さいので、ここは父親の頑張り次第だが、それは主人には難しい。」
・「本当は夫主導で息子からのお花や手紙などあると嬉しかったのですが…父の日は何かしてあげて、後悔させようと思います。」
など、ママたちからの不満やがっかりしたとの声が多く挙がった。とくに、乳幼児のいる家庭では、パパたちが子どもをサポートしながら母の日を祝うことが期待されているのだろう。
一方、
・「とくに何もなかったけど、旦那が少し家事を頑張ってくれてた気がしましたー! 」
・「道端に咲いていた花を息子がくれました。 こんなこと出来るようになったんだなぁ~と非常に嬉しかったです」
など、特別なことをしなくても、ほんの少し「ありがとう」という気持ちを伝えるだけでもママたちは報われる様子が伺われた。
4.おわりに
2022年のゴールデンウィークに対する満足度は高く、子どもの顔を遠方の祖父母に見せに行ったり、家族で外遊びをしたり、家族の絆をより深める機会となったようだ。
むしろ、母の日の満足度が下がったのは、ゴールデンウィークが充実しただけに、ママたちが母の日に対して「非日常」な時間を期待していた結果なのかもしれない。
コロナ禍により育児の相談ができる場所が限られるなか、赤ちゃんのお世話に奮闘するママたち。パパたちには「ママへの寄り添い」と、「より積極的な家事・育児参加」が求められているのだろう。子どもたちにとっても、コロナ禍でお友達や外からの刺激が少ない分、家族との時間を密に過ごせると良いのかもしれない。
(子育てマーケティング研究所 惣宇利)
【出典の記載についてのお願い】
調査結果を利用する際は出典を記載してください。出典の記載例は以下の通りです。
出典:「2022年ゴールデンウィーク・母の日 意識調査(株式会社コズレ)」
http://www.cozre.co.jp/blog/7928
(子育てマーケティング研究所 http://www.cozre.co.jp/blog/)
(cozre[コズレ]マガジン http://feature.cozre.jp/)